八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたの使命

こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。

10月

〇令和2年度第3回定例議会が終わりました。一般質問では「熱中症対策としてエアコン未設置家庭への経済的支援策の必要性と、同時に古い型のエアコンなどの家電製品の買い替えによる環境負荷低減を同時に図る施策を展開していただきたい」と提言した他、補正予算、追加予算、令和元年度決算認定のそれぞれの議案に対して会派代表質疑を計3回行わせていただきました。各々の議題に対して「地域経済を活性化する視点を如何に組み込むか」という重要性を一貫して申し上げ、市側には今後の様々な施策展開において地域経済という視点を重視していただけるよう強く訴えました。以前から地域経済に敏感であって欲しいと発言してきましたが、コロナ禍において更にその考え方が重要だと思っています。八王子市で事業を営む方々に「八王子市だったからコロナ禍でも生き残れた」と実感していただける施策展開が必要です。

〇少し石炭火力発電所に絡んだ課題についてお話しさせていただきたいと思います。

7月2日の読売新聞朝刊の報道を皮切りに、ここのところ石炭火力発電所の廃止に向けた方針が取り上げられています。政府は温室効果ガス(CO2)を2030年までに2013年度比で26%削減する目標を掲げており、予てからCO2排出量が多いと指摘されていた石炭火力発電所にその矛先が向いた格好です。以前から日本の発電は火力発電の比率が高いとCO2排出量について他国からの批判が多くありました。私は非効率な石炭火力発電所の廃止にまで難癖をつけるつもりはありませんが、かと言ってあと10年程度で大きく他方に舵を切れるほど事は簡単ではないと考えます。石炭火力発電所廃止のシナリオを描くには実効性のあるエネルギー基本計画の改訂が急務であり、そのためには福島第1原子力発電所の事故以降、政府をはじめその根本的議論を避け続けているように映る原子力発電所の将来について取り上げる必要がありますが、私が疑問視していることはもっと手前のところです。

・まず環境問題の視点です。環境問題に整理される事象はCO2だけではありません。エネルギーの歴史に限って見れば、環境問題は動植物の生態系破壊の方が大問題であり、江戸時代末期からは薪炭を利用したいがために山の樹木を切り崩した結果、その当時の日本の森林面積は国土の4割以下にまで下がっています。現在は67%が森林ですが、この時代に際限なく伐採したのは広葉樹林で次のエネルギー資源に充てるために成長の早い杉などを構わず植林しました。その後エネルギーの主役が石炭や石油に代わったため、その時に植樹した杉などがそのまま現代に残っています。ですから一見緑豊かに見える山もそこにある樹木はそれほど歴史が長い訳では無く、大地の保水力や根付きなど本来の山の機能に課題が発生しており、大雨での大規模災害が全国各地で発生し、また樹木の種類が偏っていることが花粉症の原因にもなっているのです。

【明治時代と思われる山梨県塩山付近・植樹されている幼木以外に樹木がありません】

歌川広重・東海道五十三次より(東海道子十三次・・1832年頃の制作)
鞠子(丸子)宿・・バックの山に樹木が無く植林か・・

・現在政府が活用を促進しようとしている再生可能エネルギーに関しても産業廃棄物利用等の一部を除いて環境破壊につながるものばかりです。例えば太陽光発電ではパネルを張った下部には太陽光は当たらず必然的に植物は生育できず、大掛かりなものになればその地域の保水力の低下にもつながり洪水の原因になります。またこの発電の原理は太陽光のみを利用し太陽熱は吸収しませんので、パネルの温度は摂氏70℃近くにまで上がり、そのため局地的な気象さえ変化させてしまう可能性があります。ヒートアイランド現象の拠点ともなり、それらがその地域の生態系に影響します。更に太陽光や風力を使った再生可能エネルギー発電は地表面積当たりのエネルギー密度が火力や原子力と比較して桁違いに低く、詳細は省きますが2000~3000倍の違いがあります。すなわち火力発電や原子力発電と同じ電力量を得ようとするとそれらの2000~3000倍以上の敷地が必要となり、広大な面積の自然破壊につながる訳です。現在メガソーラー発電所を海上に計画したりしていますが、容量を得ようとすれば異常な大きさとなることは前述したとおりで、海とはいえこれが自然に悪影響を及ぼすことは必至です。風力などについても同様ですが、こういった議論は置き去りにされています。

・次はバックアップ電源に関してです。天候や昼夜に左右されて発電量や電圧が目まぐるしく変動する太陽光や風力では安定的に電力供給を継続することは不可能です。また実質的な発電量は太陽光では 夜間はゼロ、朝夕、曇天、雨天などでは出力は非常に小さくなり、日本の地理・気象条件下では年間を通じた発電量は性能上の最大発電能力の15%にも満たないのです。風力も同様の効率は30%行けば良いといった程度です。小規模な発電量であれば電力網の変動の範囲で吸収して補えるでしょうが、大規模な設備ではそうは行かず、系統に供給する電力の不足する分は他のバックアップ電源を併用して補う必要があります。バックアップ電源は気まぐれな太陽光や風力の発電量の変動に対応して細かな出力調整や稼働が求められますので火力発電か水力発電、または蓄電池に貯めた電気の利用となります。火力発電を縮小しようという方針があることから蓄電池が有力なのかと思いますが、蓄電池はコストが高く蓄電池整備の費用を発電コストに置き換えると単位当たりの電力単価は火力発電などの10倍となります。再生可能エネルギーの比率が増えれば不安定な電力の巾も大きくなりますのでバックアップ電源の施設量は増えることになります。再生可能エネルギー導入に積極推進派の方々はこの議論を意図的に避けているように見え、報道などでもバックアップ電源については全く触れられていません。再生可能エネルギーのコストにはバックアップ電源のコストを含んだ額での比較とならなくては他の発電方式との本当の比較になりませんし、太陽光パネルだけ設置して発電していることは安定供給を全く無視した事業となります。不安定で効率の悪い再生可能エネルギーはその運用にあたって同等程度のバックアップ電源を準備しなくてはならないことから実質コストは非常に高いということになります。また太陽光や風力の実質的な発電容量は前述したとおり設備の発電能力の1/3から1/4程度ですので、再生可能エネルギーの導入の数値は最高出力では無く実質的な値を用いて行うべきです。人々の日々の生活に空気や水と同等に無くてはならない電気ですので、エネルギーの将来を考える時には費用負担の議論を含める必要がありますが、その費用が正しく表されていないことは問題です。

・他にも腑に落ちないことは多々ありますが、それらについては次の機会にするとして、ではどうすれば良いのか、ということに関して少しだけ。

人類のエネルギーに関連した歴史には地球上の何かを犠牲にしてきた足跡が刻まれています。そうして生み出されたエネルギーによって現代は過去よりも便利な世の中が形成出来ており、このレベルを更に向上させたいと考える以上、引き続き地球上の何かを犠牲にしながら進歩していくことは避けられない事実なのだと思います。そういった矛盾だらけの人間社会で、それでも少しでも将来に向けて地球の負荷を減らすにはどうすれば良いのかと考える時、私は犠牲にするものを比較します。これは個人によって何を大事に考えるのか、考え方に差があるでしょうから大変難しいことですが、正しい知識に基づいた冷静な議論によって導き出すことが必要です。まずは偏った情報や感情論を排除したエネルギーの正論を作ることが求められるのです。 人類の進歩の歴史を見れば、悲しいかな、必ず何かを犠牲にして成り立ってきています。将来に渡って取り返しのつかないことにならないよう、犠牲にするものを誤らないこと、このことに尽きるのだと思っています。

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