八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたの使命

こんにちは、八王子市議会議員の相沢こうたです。

2019年6月

〇先月に続いてゴミの話しです。バックナンバーを見ると、打越の不法投棄、高尾の案内川への車窓からのゴミの投げ捨ての話しなど、ゴミに関係する課題に多く携わっています。議員の仕事をする以前には労働組合の委員長時代に職場の地域貢献活動として組合員の皆さんのご賛同をいただきながら地域のゴミ拾いを実施したりと、何かとゴミに関係することが気になり始めてからかれこれ20年以上になります。

・さて、ここのところプラスチックごみの話題が頻繁に報道されていると感じている方は多いのではないでしょうか。プラスチックストローやレジ袋の廃止などがこの報道の主役ですが、少し調べてみましたら全世界的な大問題であることを知り愕然としました。これはもうストローとかレジ袋といった悠長な課題ではなく是非とも一人でも多くの方にこのことを意識してもらいたいという思いで、6月の一般質問でも取り上げて問題提起をさせていただきました。今回はこの課題の大枠について書いてみたいと思います。

〇プラスチックとは「石油から生まれた合成樹脂」のことを言い、合成樹脂とは「人間の手で製造された高分子化合物からなる物質」のことを言います。
プラスチックは19世紀後半に発明され、生産が本格化したのは1950年頃です。発明当初は植物に含まれる高分子化合物・セルロースからセルロイドを合成するなど、様々な天然の素材を使っていましたが、石油の精製過程で生じるエチレンなどのガスの分子を結合させれば様々な高分子化合物を手軽に生み出せることが分かり、それからプラスチックの用途が一気に広がりました。あらゆる物がプラスチックで作られるようになり、生活の中に安価なプラスチック製品が溢れました。現在、世界で生産されるプラスチックは年間約4億トンで、生産量は未だに猛烈な勢いで増加しています。

〇これまでの累計生産量は83億トンと言われており、そのうち破棄されたものは63億トンにのぼりますが、破棄された中でリサイクルされていないプラスチックは57億トンあります。破棄されたものの9割は何処かに捨てられたか焼却されたことになります。破棄されたプラスチックがどの程度焼却され、どの程度が土中に埋められ、また海に流出したのかは誰にも分からないということですが、沿岸部から海に流出するおおよその値として、毎年年間480万~1270万トンにのぼると推定した数値があります。更に海に流出したプラスチックの推測の値に対して世界の海で見つかっている廃プラスチックの量は、その1%程度だと言われており、残りの膨大な量のプラスチックがどこに行ってしまったのか、その陰すらつかめていません。
海に流れ出したプラスチックが分子レベルまで分解される時間は450年という説もあれば、永久に分解されないとの見方もあり、ひとことでプラスチックと言ってもその種類は多岐に渡り、自然界で分解されるしくみについても明確に解明されていないのが現状です。分子レベルにまで分解されていませんが、波や太陽光、海の生物などにより微細な粒子となって海中を漂っている物質、これをマイクロプラスチックと言います。深海の堆積物から北極の海水にまであらゆる海域でこれが採取されており、ハワイ島では浜辺の砂のうち15%をマイクロプラスチックが占めているところがあるという報告もあります。実はハワイ周辺の海域は海流の関係で太平洋のごみベルトと言われ、海に流れ出したゴミが堆積する地点だと判明しています。

〇日本など比較にならないほどひどい状態なのは急成長するアジアの国々です。2010年の試算で世界の廃プラスチックの半分は、中国・インドネシア・フィリピン・ベトナム・スリランカのアジアの5か国で発生しており、海洋に流れ出るプラスチックの量もこれらの国が多くを占めています。これらの国ではゴミの収集システムが整備されておらず、そもそも存在すらしていない国もあるといいます。リサイクルどころかいらなくなったものは投げ捨てるしかないという国で、様々な社会のしくみが確立しないまま新しい物だけが入って来て人口は増加の一途をたどっている歪でしょうが、この状況は今も全く改善されないまま酷さを増しているのです。先進国でゴミ処理途上国に分担して指導、支援を行い、これらの国のゴミ環境の改善を行うしか道はないように思えます。

相沢こうたの使命

写真:【川から海に流れ出るゴミ、と言ってもピンと来ないのですが、今の日本では想像もできないほどのゴミで溢れた川の様子から事の重大さを感じます。橋が架かっていなくてもゴミの上歩いて渡れるほどだといいます】

〇国連環境計画(UNEP)によりますと、プラスチックごみの排出量は現在でも年々増加傾向にあり、2015年の数値では年間3億トンで、このうち47%をペットボトルやレジ袋、包装などの使い捨てプラスチック容器ごみが占めているということです。プラスチック容器ごみの総排出量は中国が世界一位ですが、人口1人あたりの廃棄量では世界最多のアメリカに次いで日本は2番目に多く、次いでEUとなっています。UNEPは禁止や課金などの対策を各国に要請し、これを受ける形で、環境省は使い捨てプラスチックの削減戦略案を打ち出し、2030年までにこれらを25パーセント削減する目標を定めました。

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写真:【バングラデシュのブリガンガ川の橋の下でペットボトルのゴミを収集して使えるものを分別し回収業者に売り月一万円くらいの収入を得て生活している、恐らく貧しい層の家族の様子をとらえた写真で、プラスチックごみ問題を特集した雑誌に掲載されていた写真です。】

【ちなみにブリガンガ川は現在世界で一番汚染されている川だと言われている川です】

〇2017年末から今まで世界中から廃プラスチックを輸入していた中国が、主に生活由来の廃プラスチックの輸入を禁止しました。中国はそれまで石油から精製してプラスチックを生産するよりも、廃プラスチックを原料として受け入れてペレット状に生成した方が安価で簡単であることから廃プラスチックの輸入を積極的に行っていましたが、ゴミになる部分も多くこれが国内で社会問題化していることから輸入の禁止に舵を切りました。日本は世界第3位の廃プラスチック輸出国で、2017年は143万トンの廃プラスチックを輸出しており、その約半分は中国でした。中国の輸入禁止に伴いそれ以降、東南アジアや台湾向けの輸出が増加しており、昨年はタイ、マレーシア、ベトナム、台湾などへの輸出量が増加し、いずれも前年比2倍以上となっています。しかしいずれの国や地域も2018年7月以降、廃プラスチックの輸入基準を厳格化しており、日本が今後も同基準での輸出を継続していくことは困難とみられ、また中国や他のアジアの国に代わる廃プラスチックの輸出先が現れる可能性は極めて低く、日本の廃プラスチックの行き場は無くなりつつあります。

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〇5月の連休あたりからプラスチックごみのことを真剣に考え始めて以来、自分自身の生活の中でプラスチックを意識してみますと、容器包装に使われているプラスチックの多さと、それをとっておいても自身の生活の中で何の使い道もなく、捨てる以外の選択肢が無い事に改めて愕然とする思いでした。コンビニでおにぎりを買うとプラスチックで包んであり、それをまた丁寧に小さなビニル袋に入れてくれます。コンビニで特に食料品などを改めてよく見ると、ほぼプラスチックの容器や袋に入っています。宅急便で荷物が届くとその荷物の梱包や隙間を埋めるビニルの小さな風船のような物が入っています。野球場や競馬場で生ビールを買うと一杯ずつプラスチック製のコップに入れてくれます。お弁当の醤油やからし、インスタントラーメンの粉スープや薬味、細かなものを包装してあるものはほぼ全てがプラスチックであり、それらは使い捨てです。使われるプラスチックのうち4割から5割はこういった使い捨てのものだということを実感しました。

〇現代の日本において海に流れ出すプラスチックゴミはそれほど多くないとは思いますが、清掃活動などで河川敷に入ると多くの投げ捨てられたゴミを拾いますし、道路脇の植樹帯などには車窓から投げ捨てられた多くのゴミがあります。無責任にゴミを捨てる人の数は少なくなって来ているとはいえ、日本でもゼロではないのです。

・まず、プラスチックをはじめとした使い捨てのゴミが全世界で大問題になっていることを知ってもらい、せめて自分の周りからはこういったゴミを一切出さないという意識を国民に広げていく活動が必要です。日本ではプラスチックゴミを輸出して処分していた経過から、国内でのリサイクル施設が全く足りない現状にありますが、行政が牽引役となってこれらを至急整備する必要もあります。エネルギーの話題でも常々申し上げていますが、日本は石油系の資源は皆無ですので、資源の無い国としてゴミをゴミにしない取組みは重要なことです。便利になった時代の針を逆回転させて使い捨てプラスチックの無い世の中にすることは出来ないと思います。ならばそれらをゴミにしない取組みに本腰を入れて取組まなくてはならないのです。(見て見ぬふりをしていた時間が長すぎてかなり遅い感はありますが、時間は戻せませんので仕方がありません)

 今まではプラスチックで便利な製品を作り、それが生活を豊かにすると信じていたため、そのことを批判する人はいませんでした。壊れたら捨てればよいという程度で後処理に無頓着過ぎたことを使用者である各個人はもとより業界もそれを認めて改善に矛先を向けて、日本の技術と国民性を持って取り組めば出口の無い課題ではないと思います。将来にツケを残さないことを目的に、前向きに取り組みたいと考えています。

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