室蘭市議会議員

小田中みのる

MINORU ODANAKA

小田中みのるの市議会レポート
VOL.51

会派視察報告

平成29年5月23日から26日まで先進都市行政視察を行いましたので報告いたします。

1 佐賀県武雄市

人口:49,433 人(H29.3.31現在)行政面積: 195.40 k㎡

<視察項目~「新武雄病院」について>
武雄市民病院は、平成12年2月に国立療養所武雄病院の移譲により武雄市立武雄市民病院として開院。病床数は一般135床、結核20床。

その後、経営問題や医師確保の困難になってきたこと、療養病院として建設されたことによる地理的状況などを踏まえ、経営診断業務委託を行い、平成19年11月に武雄市民病院経営改革基本方針を策定した。

病院経営改革基本方針では2つのポイントとして、医師の確保なくして抜本的な改善はないこと、経営形態の見直しでは独立行政法人か民間移譲することとし、平成20年5月策定の武雄市民病院改革ビジョンでは、6つの要素、1.救急医療の充実、2.安定した経営体制、3.地域医療機関との連携、4.良好な医療環境、5.医師・医療スタッフの確保、6.職員の雇用を検討し、最終的に民営化を方針決定した。その間も医師不足は深刻化し、平成16年には16人いた常勤医が、平成20年4月には9人へと減少し、救急及び午後の診療を休止せざるを得ない状況に陥った。さらに同年7月には5人へと減少。

民営化に向けた動きでは、平成20年6月に移譲先法人を公募し、公開市民説明会等を経て移譲先選考委員会にて優先交渉権者を決定。

議会としては、平成20年7月16日に臨時会を開会し、武雄市立武雄市民病院設置条例の廃止議案、優先交渉権者となった法人への移譲議案を相当の議論をしたうえで可決。

すぐに移譲に関する基本協定を締結し、8月1日には医師2名派遣、8月11日からは救急医療が再開された。

一方、市民病院の民間移譲に対して問題が多いとして地元医師会が反対。その動きは市長のリコール活動に発展したことから、当時の市長がリコールの前に辞職し平成20年12月28日に再選挙が行われる事態に発展。結果は、医師会の推す前市長であった候補者を破り現職が再選。

平成21年6月には関係議案の可決、7月には土地建物の売買契約、事業譲渡契約、資産無償貸付契約他が取り交わされ、平成22年2月に新武雄病院として開院。翌23年6月には、立地の良いバイパス沿いに移転新築し、現在に至っていたものである。

なお、移譲後も武雄市立武雄病院移譲先病院評価委員会を設立し、譲渡契約の履行に関する事項、医療サービスに関する事項、その他(経営の効率化、当該医療圏での不足医療の把握、地域貢献)について評価を行い、市長に報告するなど、市としての責任も果たしていた。

現在の新武雄市民病院は、内科・外科・救急科など14科で一般病床135床、職員数は、468名(常勤22名を含む正職員418人、パートタイム職員等50人)となっており、評価委員会の全体評価も「計画どおり」と評価されている。また、公立病院の課題である医師確保については、民間移譲により大学病院の医局に依存することなく様々な手法で医師を確保できているのでは、との話もあった。

市立室蘭総合病院においても、医師をはじめ医療スタッフの確保、経営改善など多くの課題を抱えているが、市内唯一の急性期病院であった武雄市民病院と、本市のように市内に他に2つの総合病院が存在する地域との場合と単純に比較できないが、地域医療構想による病床数も踏まえ公的病院のとしてどうあるべきか、医師確保策も踏まえた中でしっかりと検討しなければならない。

2 佐賀県佐賀市

人口:234,152 人(H29.3.31現在)行政面積:431,84 k㎡

<視察項目「福祉総合窓口システム」について>
佐賀市では、福祉総合窓口システムについて伺ってきました。保健・福祉・介護などのデータを連携データベースに登録し、個々の相談に対応するだけでなく、世帯に視点を広げ、問題の根本を横断的に見ることで最適な福祉サービスを提案出来るシステムで、相談者に優しい総合相談体制の充実が図られていました。

システム導入(1億4千万円)や毎年の管理経費(約5千万円)がかかりますが、検討すべきシステムでした。

3 長崎県長崎市

人口:424,066 人(H29.4.1現在)行政面積:405.86 k㎡

<視察項目「地域コミュニティのしくみづくりプロジェクト」について>
長崎市では、地域コミュニティのしくみづくりについて伺ってきました。人口減少が進む中、H24年度に地域コミュニティ推進室ができ、今年度からは、各小学校区に地域コミュニティ連絡協議会を立ち上げるべく、市内17カ所での市民説明会を市長自ら説明に歩くなど、みんなが暮らしやすいまちへ、未来は『地域『地域』で創るという動きが本格化していました。自治会など地域で活動している団体の活動はそのままに、地域の力を高めるために地域内の連携を強め、地域で決めて地域で実行し、もっと暮らしやすい地域を作っていくというものです。市は、人、拠点、資金の視点で応援。特に資金では、合併特例債を活用した地域振興基金約40億円を使い、地域のまちづくり計画に沿った交付金制度を来年度に創設するとのことでした。

室蘭には同様の基金はありませんが、市民協働という考えから、地域のことは、地域で考え行動するという方向に行かなければなりません。

ちなみに白鳥台では、S-projectを組織して白鳥台の活性化に向けて取り組んでいますが、地域全体の取り組みになっていないのが課題です。

何れにしても、このような動きが市全体に生まれるような取り組みが必要だと感じました。

小田中みのる
室蘭市議会議員