室蘭市議会議員

小田中みのる

MINORU ODANAKA

小田中みのるの市議会レポート
VOL.9

≪会派行政視察報告≫

遅くなりましたが、7月に実施した会派による行政視察の報告をいたします。

1.野田市

≪視察項目≫
  「公契約条例」について

公契約とは、市が発注する工事または製造その他についての請負の契約です。

野田市では、一般競争入札の拡大や総合評価方式の採用などの改革が進められてきましたが、一方で低入札価格の問題によって下請けの事業者や業務に従事する労働者にしわ寄せがされ、労働者の賃金の低下を招く状況になってきていることを鑑み、公契約にかかる業務の質の確保及び公契約の社会的な価値の向上を図るため、この条例を制定したものであり、ひと言でいえば、官製ワーキングプアの解消のための条例であるといえます。

条例制定の背景には、野田市長が市民との対話の中で中小零細企業の賃金が低く後継者が育たないなどの相談を受けたことがあり、H21年第1回定例会の市政方針に盛り込み、第3回定例会(H21.9.30)において、全国で初めて制定した条例であります。

また、条例の前文には、構成かつ適正な入札を通じて豊かな地域社会の実現と労働者の適正な労働条件が確保されることは、ひとつの自治体で解決できるものではなく、国が公契約に関する法律の整備の重要性を認識し、速やかに必要な措置を講ずることが必要不可欠であるとも謳っており、国が動かないのなら地方が率先して条例化をするという考えは、全国に広がっています。

内容は、契約後の履行確認が必要であり、そのためには調査のためのマンパワーが必要となり、現状の職員数では限界があるために契約の範囲を設定(予定価格-1億円以上の工事、1,000万円以上の請負、市長が特に必要と認めるもの)、労働者の範囲を定めるとともに、最低賃金については、下請け等の労働者にも受注者の連帯責任を規定しています。報告や立ち入り検査を規定するとともに、「労働者配置計画」を提出させ、給与明細や賃金台帳により履行確認し、受注者が違反している場合には、公契約の解除や公表、更には損害賠償の責任を負わせるなどの規定もしています。

条例施行後1年間において、業務委託16件221人、工事11職種208人、指定管理者3件56人の合計485人の履行確認を実施し、適正賃金支払いを確認しています。

H22年9月に長期継続契約制度や低収札価格調査制度の拡充などの一部改正を行っていますが、さらに適用工事の拡大や業務委託契約における低入札価格調査制度を導入することなどの検討をしているということでありました。

本市においても、工事だけでなく民間委譲や指定管理者制度など公契約が拡大している現在、官製ワーキングプア解消のためには、本条例の制定が必要性であると感じるとともに、本来であれは国が率先して法整備を進めるべきところですが、そうでない今は、多くの地方自治体において条例化を進め、国を動かすという野田市長の考えに共感を覚えた、大変有意義な視察でした。

2.松本市

≪視察項目≫
  「あるぷキッズ支援事業-発達障害児支援システム-」について

平成19年度から「子ども」に関する施策を実施している中で、庁内担当者会議を行い各課の現状と課題の確認、松本市として取り組めることの検討をし、平成21年4月1日から新たに「こども部」が創設されることとなりました。

こども部が創設されて、情報共有・連携が容易になり、速やかな対応が可能になった事、課内処遇検討会議など、教育と福祉の両面から検討ができるようになった事、障害児フォロー教室・手当業務・虐待・母子関係業務が同一課内にあるため、対象児の全体像がつかみやすくなった事、保育園(公立)幼稚園の管理課が一つになったことで、同じサービスが提供できるようになった事、部全体で、子どもについて考える姿勢が強まった事、等の利点が生まれたそうです。こども部の新設で、平成22年4月から発達障害児を支援するシステムの構築を目指した、「あるぷキッズ支援事業」が開始される運びとなります。

従来松本市で行われて来ている早期発見から就学までの支援では乳幼児健診、二次乳幼児健診、保健師による相談・訪問、育児教室、あそびの教室、保健所障害児入所審査委員会、保育園巡回相談、教育相談、就学指導委員会があるようですが、年々乳幼児健診での発達に遅れのある要観察児数の増加、普通小中学校での発達障害児と診断された児童数、また、疑いのある児童数は増加の傾向をたどっております。その経緯から従来の支援プラスあるぷキッズ支援事業を行う運びになったようです。

この支援事業はあるぷキッズ支援室を設置し、①発達障害児及び発達につまずきを抱える子どもや保護者を、継続して総合的に支援していく。②発達障害児と毎日関わる支援者(保育士、教諭)を支援していく。③発達障害に関する相談窓口の明確化。この3つが目標で、具体的には、1つ目にこども福祉課内に常設の相談窓口を設置し、支援チームの専門職員が発達障害に関わる様々な相談に対応する。2つ目に保育園・幼稚園・学校への巡回支援。3つ目にあるぷキッズサポート手帳の発行、配布。4つ目には保護者支援の充実。5つ目には地区ブロックでの支援ですが、現在協議中のようです。6つ目には職員の育成です。

あるぷキッズ支援事業を実施しての課題は、発達障害についての正しい理解を広めていくこと、この支援事業の一層の周知を図ること、対象児をとりまく関係者(保護者、医療機関、通園・通学施設、支援機関など)との連携を深めていくことがあげられ、あるぷキッズ支援事業のこれからは、発達障害及びあるぷキッズ支援事業についての理解と周知、顔の見える関係での支援体制の確立、対象児を取り巻く関係者、関係機関との連携及び地域全体で対象児を支援していく体制づくり、就労後も含めた対象児への支援方法の検討、国・県の動向への対応などを主に取り組むそうです。

全国的にも発達障害を持つ子どもが増加の傾向をたどっている現状の中、松本市の取り組みは本市における支援体制の強化、これからの必要性を認識させられ、大変参考になる内容でした。

3.彦根市

 

≪視察項目≫
  「公共交通(コミュニティバス路線、予約型乗合タクシー)」について

彦根市では、通勤通学などの交通手段に自家用車を利用する市民の割合が高く、バス利用者の減少が続く中、事業者の赤字路線からの撤退を受け、不採算路線を市と県の公的助成で運行する「コミュニティバス路線」が導入されました。公共交通維持の観点から補助負担については必要経費として考えられてきましたが、平成17年度補助額が1億円を超え、市の財政を圧迫し維持できない状態となったため、バス路線の再編が行われました。

バス路線の廃止、系統の統廃合などの再編により赤字額は一時的に解消されましたが、利便性が著しく低下したことが利用者の更なる減少に繋がったため、低コストで効率的な公共交通への改善が検討され、平成20年、予約型乗合タクシー(デマンドタクシー)の試験運行が導入されました。(※デマンドタクシーとは、廃止路線や乗車率の低い路線、公共交通空白地域を補完する公共交通。契約タクシー会社の車両を使用し、予約があった場合のみ運行されます。病院などの公共施設、スーパーなど商業施設までを結ぶ路線を前提とし、停留所や運行時刻が設定されるなど、公共交通であることから敢えて不便さを残し、既存タクシー会社との競合を避け運行されています。基本的な利用者負担額は区間により、500円・1000円の2段階運賃に設定されており、利用者負担額を超えたメーター料金の差額分を補助するシステムです。) 平成21年度からは、国の支援を受けた実証運行がされています。また、同年、彦根市周辺4町との湖東圏域定住自立圏形成協定が締結され、現在、1市4町の枠組みの中での実証運行がされており、来年度からの本格運行移行に向け、圏域交通の利便性向上など改善計画が立てられています。

本市では、コミュニティバス導入計画があることから、公共交通についての考察を深めるため、デマンドタクシーが導入されている彦根市での視察研修を行いました。視察を終え、利便性を確保しながら財政負担を抑え、公共交通を維持することの難しさを感じましたが、課題も含め大変参考となる視察となりました。

小田中みのる
室蘭市議会議員