鹿屋市議会議員

東ひでや

HIDEYA HIGASHI

東ひでやの活動報告
No.39(令和3年4月)

特定用途制限地域が指定されます!

12月定例会において「鹿屋市特定用途制限地域内における建築物の制限に関する条例」案が提案され、全会一致で議決されました。人口減少により社会が縮小化する中にあって、これまでのように無秩序に住宅地が拡大・拡散することによる弊害が様々な形で顕在化しつつあります。既存の社会インフラを最大限活かし、新たな社会資本投資を抑制するために世代間をまたいで継続的に一定人口が一定地域に居住できるよう誘導政策を講じる必要があります。そこで、市街地では居住を促進し一定程度の人口密度を維持するために商業機能の立地誘導や土地利用の動向に伴う用途地域の見直しを行います。西原・寿地域では商業機能の立地誘導を図り、県道下高隈川東線沿いの寿地域・今坂地域・田崎地域では土地利用の動向によってそれぞれ用途地域の見直しを行い、規制を緩和します。一方、この条例では、郊外地に於いては一定以上の市街地拡大や建物用途の混在を抑制し、各地域に応じた土地利用環境の形成を図るために特定の建物の建築を制限する特定用途制限地域の指定を行います。特定用途制限地域の指定は、広域的な商業・業務機能を有する区域としての沿道商業・業務地型、工業・流通業務を集積する区域としての工業・流通業務地型、主に居住を専用とする区域としての郊外市街地型、郊外市街地内の生活利便機能を有する区域としての郊外市街地沿道型に区分され、それぞれ建築できる建物の規制を行います。平成30年3月定例会での私の「人口減少社会の都市政策について」の一般質問に対し、市長は、「本市では、市街地、郊外部に広がりつつある宅地開発等の影響により、生活道路や雨水排水など社会基盤整備への新たな投資、優良農地や緑地の喪失、中心市街地の空洞化などが都市構造上の大きな課題となっており、集約型の都市構造の形成に向け、先ずは、都市作りの土台となる用途地域の見直しや白地地域に於ける新たな利用制度の導入を進めている」と、答弁しています。人口減少・高齢社会を見据え、利便性の高い良好な市街地環境を作っていくため、郊外地に於ける開発が、これ以上広がっていかないよう市街地の拡大を抑制し、「まとまりのある都市作り」を進める必要があることから、私はこの条例提案を歓迎し積極的に賛成しました。本市では、商業・医療・福祉など都市機能を有し市全体の生活を支える中心拠点と総合支所等がある輝北や串良・吾平など各地域の生活を支える地方拠点とを形成し、それぞれを道路や公共交通で有機的に連携していく「多極ネットワーク型コンパクトシティ」を都市政策の基本方針としています。この方針に沿って、今後は、長期未着手となっている都市計画道路の見直しや居住を誘導すべき地域の設定や将来必要な都市機能の配置、誘導などを盛り込んだ立地適正化計画の策定が望まれます。

あれから20年!

本市では、生活環境の改善及び公共水域の水質保全を目的に、公共下水道事業、農業集落排水事業及び小型合併処理浄化槽設置整備事業によって生活雑排水の除去に取り組んでいます。私は、公共下水道事業に起因する本市の将来の財政負担を懸念し、小型合併処理浄化槽の汚水処理能力が高まってきていることから、集合処理を前提とする公共下水道事業は早期に整理縮小し、個別処理を前提とする小型合併処理浄化槽の導入を促進すべき旨、平成12年9月定例会での一般質問を皮切りに再三に亘って訴え続けて参りました。結果として、平成23年3月、公共下水道基本計画を見直し、第7期計画認可の途中で全体計画を1,249㌶から807.2㌶に縮小しました。しかしながら、これによって公共下水道事業が構造的に内包する財政的な問題が解決するわけではなく、事業の財政悪化に少し歯止めがかかった程度のもので、遅きに失した感が否めませんでした。あれから20年、現状の公共下水道事業の有様を見ますと、内包する予測された課題が今大きく顕在化しております。令和2年4月より公共下水道事業は農業集落排水事業とともに鹿屋市下水道事業として経営統合され、公営企業会計への移行が義務づけられたことから、受益者負担の下、事業の経費を当該事業の収入をもって能率的に運営されることが原則となり、事業を継続していくうえで様々な課題が明らかになってきました。一つには、毎年5億円程度の一般会計からの繰入金に依存していること、二つには、集落排水事業と公共下水道事業にその使用料と経費回収率に大きな差があり、同じく生活環境の保全及び公共水域の保全を目的とした事業によって利用者の負担に不均衡が生じていること、が挙げられます。平成30年度で汚水処理原価は1立法メートル当たり公共下水道事業で150円、集落排水事業で166円となっており、一方、使用料単価は公共下水道事業が105円、集落排水事業が166円となっています。それぞれの経費回収率は公共下水道事業が70%、集落排水事業が100%となっています。早急な是正措置が必要ですし、目的を同じくする合併処理浄化槽利用者の経費負担との整合性も確保する必要があります。私は、12月定例会一般質問でこのことを指摘し、早急な対応を求めました。

デジタル社会の実現は人口減少社会に於ける突破口!

我が国では、人口減少が大きな社会的課題になっています。高度経済成長期終焉後の団塊ジュニア世代の年間出生数は200万人超でしたが、その後は、昭和63年の131万人から平成29年では95万人へと急激に低下しています。さらに、令和3年はコロナ渦の影響もあって、84万人まで落ち込むのではと危惧されています。その結果、少子高齢化が今後さらに加速度的に進展し、労働力不足が顕著になってきており、平成7年には8,726万人いた生産年齢人口は年々減少し、2040年には3分の2の6000万人未満になると予想されています。こうした中、女性や高齢者の労働参加が年々高まってはいるものの、就業人口の減少を補うには足りず、労働人口の絶対量が不足することが長期的課題となっています。現在の生活や経済の水準を維持向上していくためには、限られた資源の中でいかに労働生産性・効率性を高めていくか、という課題が官民を問わず全ての局面で突きつけられています。他方で、デジタル技術の進歩は目覚ましく、30年前はスマートフォンやデジタルテレビは存在せず、個々人に普及することもありませんでした。しかし、令和の時代になった今日では、通信速度は100万倍超になり、中央演算処理装置(CPU)等の能力は150倍超となった結果、誰もが手にしているスマートフォンは30年前のスーパーコンピューターを凌駕しており、更には、クラウドコンピューター技術やAI技術の深化、IoT機器の普及なども進んでいると言われています。こうしたネットワークの通信速度とコンピューターの計算能力を含めた様々なデジタル技術を活かし、物理的な情報をセンサー等によりデータとしてデジタル化し、そのデータを自動的且つ大量に集めてAI(人工頭脳)等で処理し、人や物を動かそうとする仕組みを構築することで、人手に頼っていた日常の仕事を自動化する事が可能となり、さらに、これまで人が出来なかった仕事を行えるようにする等のIT社会の実現によって労働生産性・効率性を高め、労働力不足を克服し、地域社会の維持・活性化が図られ、人口減少社会に於ける諸課題解決の突破口の一つとなりえます。国は、こうしたデジタル社会の実現を今後の我が国の社会的課題の解決と成長戦略の柱として位置付けており、今後、地方自治体を含めた社会全体のデジタル化を加速させるために本年9月「デジタル庁」の創設を目指して鋭意準備中です。私は、このことを踏まえ、本市でもデジタル化を進める取組(デジタルトランスフォーメーション)を急ぐべきである旨、6項目に亘って12月定例会一般質問で本市の方針を質しました。

マイナンバーカードの普及促進がデジタル社会構築の基盤?

マイナンバー制度は、平成28年1月から社会保障・税・災害対策分野においてマイナンバーの利用が開始され、平成29年11月から情報連携の本格運用を開始しています。その後、幾度かの法の改正を経て利用範囲及び情報連携の拡充が図られてきました。令和2年1月現在では国・地方自治体を通じて約2000の行政手続きにおいて本格運用されています。マイナンバーカードは、プラスチック製のICチップ付きカードで券面に氏名、生年月日、性別、マイナンバー(個人番号)と本人の顔写真が表示されています。本人確認のための身分証明書として利用できるほか、自治体サービス、eーTax等の電子証明書を利用した電子申請等、様々なサービスにも利用できるようになっています。マイナンバーカード保有のメリットとして次の様なことが挙げられます。一つには、マイナンバーの提示が必要な場面で、マイナンバーを証明する書類として利用できます。二つには、マイナポータルへのへのログインをはじめ、各種の行政手続きのオンライン申請等に利用できます。三つには、マイナンバーの提示と本人確認が必要な場面では、これ一枚で済む唯一のカードで、金融機関に於ける口座開設・パスポートの新規発給など、様々な場面で利用できます。四つには、オンラインバンキングをはじめ、各種の民間オンライン取引に利用できるようになります。五つには、市町村や国等が提供する様々なサービス毎に必要だった複数のカードがマイナンバーカードと一体化できます。六つには、コンビニなどで住民票、印鑑証明書などの公的証明書を取得できます。さらに、本年3月には健康保険証として利用を開始し、令和4年度中には概ね全ての医療機関での利用が可能となるよう窓口利用環境の整備を目指しています。これは国民健康保険高額療養資金貸付制度に於ける手続きの簡素化等の被保険者・医療機関での利便性・効率性の向上に留まらず、健康診断・診療・投薬履歴がカードに記憶されることで健康手帳の機能も期待できます。さらに、保険事業者での診療報酬の適正化のチェックにも有用となります。また、運転免許証もマイナンバーカードへの一体化が令和6年度迄に実現します。これによって住所変更時に市町村窓口でマイナンバーカードの住所を変更すれば警察署への届け出が不要となるなど利便性が向上します。このようにマイナンバーカードの利用範囲は今後益々拡大していきます。マイナンバーカードとスマホがあれば、官民を問わず市役所の窓口に出向くなど面倒な手続きをすることなくほとんど全てがオンラインで可能となります。このような便益を全ての国民にもたらすのがマイナンバーカードです。マイナンバーカードを通じた社会のデジタル化によって、行政のみならず住民・事業者をはじめ社会全体の効率化が図られ、生産性が向上することを狙いとしています。国は、令和4年度中にほとんどの住民がマイナンバーカードを保有していることを想定し、市町村毎のマイナンバーカード交付円滑化計画の推進と定期的なフォローアップを行うとともに、必要な支援を自治体に実施するとしています。マイナンバーカードの普及促進がデジタル社会構築の基盤です。本市でも普及促進を強力に推進する必要があり、私も市民の皆様のマイナンバーカード取得をお奨めします。

デジタル化推進の中核となるIT技術者を核とする「デジタル化推進室」の設置を!

私は、これまで5回に亘って一般質問等で国の動向を踏まえながら本市のIT化推進の取組について質してきた中で、急速なIT化に向けての進展に対応していくためにはそのための組織体制の整備と人材の確保が必要であると考えています。昨年11月発表された2020年度版の政府の経済財政白書では、日本がコロナ渦でデジタル技術をうまく活用できなかった理由として、ITへの投資と人材確保が不十分だった点を主因として挙げています。「日本のIT人材がIT産業に偏りすぎており、ITを活用する側のユーザー企業や行政機関などに所属するIT人材が大きく不足している」と指摘しています。このIT人材の偏りによって、システムの発注側と受託側の間で情報や知識の差が大きくなっていることを懸念しており、ユーザー側が適切な発注や判断ができていない可能性を指摘していると言えます。白書では、米国、英国、ドイツ、フランス等欧米4カ国と日本との比較で、日本はIT人材がIT産業に偏在している状況を示しています。日本ではIT人材の72.3%がIT産業で雇用されており、非IT産業に従事する人材は27.7%に過ぎず、一方、欧米4カ国ではIT人材の過半数が非IT産業で雇用されています。米国の64.5%を筆頭にドイツが61.4%で続き、英国とフランスも53%台に達しています。米英のユーザー企業は、大規模な基幹システム構築・更新に合わせて、数年間と区切って優秀なIT技術者を雇用しています。米国では、連邦政府や州政府もIT人材を短期で雇用し、大規模なIT調達やシステム内製化に生かしています。欧米では日本と比較して雇用の流動性が高いことが影響していると思われますが、雇用流動性が比較的低いとされるドイツやフランスでも、ユーザー企業がIT人材を多く雇用しています。先進主要国の中で特に日本に於いてはユーザー側にIT人材が決定的に不足していることがIT化を進めるにあたっての課題となっています。このようなことから、国は、本年9月「デジタル庁]設置にあたって、IT人材が民間と政府や自治体を行き来できる環境の整備やIT産業から人材の採用を行う方向で調整しています。さらに、デジタル化の速やかな推進を目的に、その障害となっている府省間の縦割りを打破すべく、各府省に対する司令塔として、予算を含めた企画立案と統括・監理の強い権限、更に勧告等を含めた総合調整の役割を与える計画です。本市での推進体制は、市の行政組織に於ける横断的な取組が不可欠であることから、「鹿屋市電子自治体推進委員会」等で審議しながら、総務部情報行政課を主管課として、部門横断的で多様な情報化施策を一体的・総合的に推進するとしています。私は、こうした本市の推進体制では司令塔としての機能は果たし得ないと考えています。市長直属の機関として市長公室の中に「デジタル化推進室」を設置し、IT人材の外部調達を含めた強い権限を与えるなどして、強力な組織体制の整備を検討すべきである旨、12月定例会一般質問で主張しました。市長は、「現時点では新たな組織の設置は考えていないが、令和3年度のデジタル化に関する事業メニューが国から示されておらず、今後の国の動向によっては検討することになりうる」と、答弁しました。

第3次議会改革特別委員会協議結果をお知らせします

第3次議会改革特別委員会は平成30年10月に設置され9項目に亘り協議してきました。項目別の協議結果は次の通りです。なお、この特別委員会は本年3月定例会で予定される委員長報告を以て、閉会されます。
1,市議会議員及び市長の同時選挙に関すること
  90日特例及び議会自主解散による同時選挙は行わないとする。
2,議員の定数及び常任委員会の改編に関すること
  議員定数を次期改選期から現行28人を26名とする。予算・決算を除く4常任委員会数を総務市民環境委員会(定数9名)、文教福祉委員会(定数8名)、産業建設委員会(定数9名)の3つとし、常任委員会としていた決算委員会をその都度設置する特別委員会とする。
3,議員報酬及び政務活動費に関すること
  現状維持とする
4,議会・議員の情報公開の在り方に関すること
  政務活動費に係る収支報告書・領収書・視察報告書等を令和元年度分からホームページ等で全面公開する。委員会のライブ中継は行わず、傍聴の扱いはこれまでどおり。
5,議会のICTの活用と効率化に関すること
  議会のICT化に関する要望書を当局に提出、令和3年度のタブレット導入に向けて議会のICT化、ペーパーレス化を推進する。
6,議会報告会の在り方に関すること
  議会報告会の名称を「議員と語る会」とし、12の中学校区を毎年3ヶ所ずつ実施する。事前にテーマを決めることとし、公募も含めて議会運営委員会で協議する。広く市民との意見交換ができるように努め、学生や職域等との交流を深める。従来の周知方法に加え、SNS等も活用する。なお、議員自ら議会報告会への参加を求める努力をする。
7,鹿屋市議会申し合わせ事項等にかんすること   議会運営委員会で引き続き協議する。
8,議会及び議会事務局の体制整備に関すること
  現行のままとする。
9,その他議会改革に関すること
  議会報委員会を任意の委員会から「協議・調整の場」として、鹿屋市議会会議規則に明確に位置付ける。

12月定例会個人一般質問

1,本市のデジタル化について

(1)行政のデジタル化を進める取組(デジタルトランスフォーメーション)を急ぐべきである。その現状と課題及び今後の展望を示されたい。
(2)デジタル化を支える基幹業務システムは構築されているか。また、自治体クラウドの導入についてはどうか。
(3)行政のみならず社会全体のデジタル化を加速させるため、令和元年5月、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップを基本原則とする「デジタル手続法」が成立した。これまでの国や自治体の業務の在り方や考え方を根本的に変えようとするものである。その意義についての見解を示されたい。
(4)本市では、平成31年3月策定の「鹿屋市情報化計画」を官民データ活用推進基本法で国が地方自治体に求める官民データ活用推進計画として取り扱うとしている。「デジタル手続法」の成立を受けて見直し・改定する必要があり、実施計画にはどう反映されるのか。
(5)マイナンバー制度はデジタル社会構築の基盤であり、今後、急速に利用範囲及び情報連携の拡充が図られることから、マイナンバーカードの普及を更に加速させる必要がある。その方策についてどのように考えるか。
(6)国は、デジタル社会の実現を今後の我が国の社会的課題の解決と成長戦略の柱として位置付けており、都市圏に様々な点で比較劣位にある地方こそ先んじて取り組む必要がある。デジタル化推進の中枢となるべきIT技術者を核とする「デジタル化推進室」の設置を検討すべきであるが、どうか。

2,大隅定住自立圏の取組について

(1)福岡高速バス導入事業の進捗状況と課題、その導入可能性について示されたい。
(2)「大隅はひとつ!」大隅広域観光推進プロジェクト事業の進捗状況と課題、その成果について示されたい。
(3)広域の計画策定や研修を通じた圏域内市町職員の交流促進のための圏域人事交流事業、圏域職員合同研修事業の実績と内容について示されたい。
(4)大隅定住自立圏共生ビジョンでは、今後の方向性として産業振興と交流促進の分野に特化し、圏域一体となって施策・事業を検討・展開するとしている。考えられる具体的施策・事業について示されたい。

3,公共下水道事業について

(1)本年8月に開かれた鹿屋市下水道事業審議会に提出された当局資料によると、公共下水道事業に於ける汚水処理単価では類似団体平均を下回り、全国平均を若干上回っており、事業努力は見られるものの、経費回収率では類似団体平均、全国平均ともに遠く及ばない現状である。今後策定される経営戦略の中で下水道使用料の改定について検討されると思うが、農業集落排水事業、合併処理浄化槽利用者の経費負担との整合性も図るべきであるが、どうか。

*議会の会議録は議会事務局又は市立図書館のほか、鹿屋市のホームページでもご覧になれます。また、 議会本会議の生中継及び録画中継もご覧になれます。
*この議会報告について皆さんのご意見・ご批判をお聞かせ下さい。

東ひでや
鹿屋市議会議員