鹿屋市議会議員

東ひでや

HIDEYA HIGASHI

東ひでやの活動報告
No.31(平成29年2月)

一般質問に24名の議員が登壇

議会・議員には市政の監視・政策提言・議案議決等大きな役割と責任があります。その役割を果たすべく市政全般に関する様々な課題について政策提言を交えながら行政当局の方針や考え方を問い質し、市民の前に明らかにする目的で定例議会毎に一般質問が行われます。この一般質問によってこれまでの議会の長い歴史の中で多くの提言が政策に反映されています。例えば、市・町の広域合併、公共下水道事業の整理縮小、合併処理浄化槽の設置促進、子ども医療費助成制度の拡充と利便性の確保、定住自立圏構想への取組、公会計制度改革への取組、等です。このように一般質問による政策提言は行政当局に「市民の声」として大きな影響を与えることから、大変重要な議員活動のひとつです。一般質問は、3月定例議会では各会派の代表質問、他の定例議会では個人質問が行われ、質問項目・質問主旨を事前に行政当局へ通告する事前通告制となっています。議員はそれぞれが市政の課題とする事柄について議会毎に一般質問を行う権利を持っています。鹿屋市議会12月定例会では、議員定数28名の内、私を含めて24名の議員が登壇し様々な市政の課題について一般質問を行うというこれまでにない活況を呈しました。私は、同僚議員と当局との論議を聞いている中で、政策に反映させるべき提言も幾つか散見されるように感じましたが、当局の答弁は必ずしも芳しいものではありませんでした。しかしながら、議員の提言は、政策反映させるための先ずは課題提起として位置付け、様々な視点から行政当局に訴え続けることが重要であろうと考えています。私は、議員生活18年間の議会の中で今12月定例議会ほど多くの議員が一般質問に登壇した議会は記憶にありません。議会が活性化してきたひとつの現れとして大いに歓迎しています。

鹿屋女子高等学校みらい創造プラン~活性化基本方針~市教育委員会が発表

鹿屋女子高校舎は老朽化と耐震性不足のため平成32年度供用開始を目途に現在地に建て替えられます。概算事業費22億円で、防衛施設周辺防音事業(防衛省)・産業教育施設整備事業(文科省)の国庫補助金や合併特例債を財源予定としています。建て替え計画に伴って本市教育委員会は、在校生や中学生、保護者をはじめ地元企業や地域団体等との意見交換会やアンケートを実施するとともに、有識者等で構成する「鹿屋女子高等学校活性化検討委員会」において多種多様の観点から議論を重ね、「鹿屋女子高等学校みらい創造プラン~活性化基本方針~」を策定し、昨年12月発表しました。これによると、「しなやかで豊かな感性を持ち社会に貢献できる人材の育成」を基本理念とし、活性化に向けた取組として5つの基本目標を掲げています。一つには、様々な可能性に挑戦できる仕組みをつくることによる多様な進路の実現、2つには、時代のニーズに対応する特色ある活動の実践、3つには、地域を愛し、貢献する人材を育成するための地域連携と貢献、4つには、個性を発揮できる環境を整備することによるキャンパスライフの充実、5つには、親しまれる学校づくり、です。これら5つの基本目標の達成を目指して、ハード・ソフト両面から様々な環境整備と取組みを示しています。ハード面では、現在の校舎1号棟・2号棟(西・東)・武道場を解体し、現体育館・プールの国道側に公民連携方式を用いて民間収益施設を併設した延べ床面積約6,000平方メートルの校舎を新築し、併せて現3号棟の改修も並行します。これによって運動場は現在の1.5倍の面積に拡大され、新校舎供用開始後は改修後の3号棟、現プール、現体育館が新校舎と伴に供用されます。電子黒板やタブレットの導入、自学自習や海外の学校との通信授業に活用するためのICT教育環境施設の整備や寮や食堂等生活活動の拠点となる施設整備等、既存の施設に加えて新たな施設も整備されます。ソフト面では、現行の「普通系」・「家庭系」・「商業系」の3つの学科を基本としつつも、希望の多い「保育・看護・医療」等分野や大学への進学など、多様な進路希望に対応した科目を学科の枠を越えて自由に履修できる総合選択制が2年生時から導入されます。加速する少子化の中、高等学校再編や狭隘な現在地での立地、財源対策等議会全員協議会や一般質問等で論議が交わされましたが、大隅半島唯一の女子校として鹿屋女子高は大きな存在であり続ける必要があることから、今般の建て替え計画に至ったものです。

  

台風16号被害総額64億円、局地激甚災害の指定

昨年9月台風16号により、幸いに人的被害は少なかったものの、総額64億にものぼる物的被害を被りました。今でも災害の爪痕は各地に残り、その大きさを物語っています。本市では、9月定例議会最終日に被災した道路や公園・農業用施設等のうち、早期に市単独で復旧を講ずる必要があるものについて財政調整基金を財源として6億2千万円の補正予算(第5号)を編成し、即日全会一致可決しました。そしてまた、被災施設等の災害復旧に関し、災害査定前施工、応急対応工事等の災害復旧に要する経費などを緊急に措置するために道路や橋梁、農業用施設の災害復旧に要する経費5億5千万円の補正予算(第6号)を市長は編成専決処分し、12月定例議会で議会はこれを承認しました。通常の災害復旧に要する経費は、災害の程度により概ね6割~7割、2分の1から3分の2程度、災害復旧国庫補助事業として国の補助対象となります。今般の台風16号による甚大な被害は、調査の結果激甚災害指定基準に達し、局地激甚災害の指定を受けることになりました。激甚災害制度は、地方財政の負担を緩和し、又は被災者に対する特別な助成を行うことが特に必要と認められる災害が発生した場合に、災害復旧事業などに係る国庫補助の特別措置を講じようとするものです。この激甚災害指定によって国庫補助率が通常の補助率にさらに1~2割程度嵩上げ措置が講じられることになります。私は今回の災害による本市の財政に与える影響について心配しておりましたが、今後特別交付税の交付も予想され、被災自治体・被災者の自己負担が通常災害より軽減されることから、ひとまず、激甚指定を受けたことに胸を撫で下ろしています。今後、災害査定、災害復旧事業申請などを経て本格的な災害復旧事業に着手することになりますが、早期の復旧を願ってやまないところです。災害発生以降、鹿屋市当局は当面の足下復旧事業に加え、災害指定に向けた調査、復旧工事早期着手に向けた調査などに多忙を極めており、献身的に職務に励んでいる本市職員の皆さんに心から感謝します。

人口減少社会が加速していく状況下、災害復旧のあり方も検討すべきです。

近年、地球温暖化による異常気象の結果台風や竜巻など大型化し、さらに地殻変動による火山噴火や巨大地震が頻発し、甚大な被害をもたらしています。私は、前世紀末から今世紀にかけて災害多発時代に入ったのではと考えています。まずいことに、我が国においては超少子高齢化・人口減少社会を迎え、経済社会が縮小し、様々な社会保障制度を今後も維持することが困難になっていく中で、災害復旧に費やす社会全体の経済的負担も多くを期待できなくなっています。今世紀は人口減少社会との闘いの世紀であり、このことを念頭にあらゆる政策が立案展開されるべきであろうと考えています。つまり、今後半世紀にわたる人口減少の動き何とか食い止め、人口の維持・反転を目指すとともに地方が持続可能性を有する基盤を構築するための積極的施策と人口減少に伴う経済・雇用の縮小や社会保障の負担などマイナスの影響を最小限にくい止める調整的な施策も必要であり、同時並行的に取り組んでいかなければならないと考えています。そのためには、社会全体のあらゆる分野で効率性・生産性の向上を図る必要があります。これまでのように人口増を前提とした際限のないインフラ整備によってその維持管理費用も増大する中にあって、非効率的・非生産的なインフラは整理縮小し、急激な人口減少時代にかなった社会基盤を再構築する必要があります。人口減少・高齢化が進む中、地方都市においては地域の活力を維持するとともに、医療・福祉・商業等の生活機能を確保し、高齢者が安心して暮らせるよう地域公共交通と連携して、コンパクトなまちづくりを進めることが重要です。今般の16号台風では記録的な豪雨をともなって、輝北地区・高隈地区の山間部、串良川沿いの地区に甚大な被害が見られ、議会では、これらの地域の被災状況の視察調査を実施しました。山崩れで山肌が大きくえぐられ林道も崩落し、流木が田んぼに散乱し、川の流れが原型を想像できないくらい変形し、その近辺の田んぼも流出し、壊滅的に消滅していました。こうした状況を目の当たりにし、原型に戻す復旧事業ができるのか、また、復旧そのもが人口減少社会という社会構造の変化を考えたとき適切であるのか疑問を持たざるを得ませんでした。被災箇所によっては治山治水目的に限った復旧のあり方も模索する必要があるのではと感じたところです。今後も自然災害はますます大きくなることが予想される中で、急激な少子高齢化・人口減少社会にかなった復旧のあり方・考え方について検討する必要があることから、市長にその考え方を質しました。国がその指針を示すべきとの答弁でしたが、行政当局の復旧にあたっての主体的立場を踏まえた考え方を示して欲しいものです。

 

ICT化推進への取組みが求められます。

人類は、近現代史の中でこれまで3回の産業革命によってその都度大きく当時の経済社会構造を変化させ、多くの軋轢を生み、犠牲を伴いながらこれを克服してきました。第1次産業革命は、19世紀のイギリス、蒸気機関の発明により作業が「人手」から「機械」でできるようになりました。いわゆる「機械化」です。第2次は、20世紀のアメリカ、電力を使うようになり、一度に多くの物が生産できるようになりました。「大量生産」です。第3次は、20世紀中盤から後半、コンピュータの発明により指示通りに機械が自動的に動くようになりました。「自動化」です。そして、第4次は、21世紀、データ収集・解析技術で機械が自ら考えて動くようになってきています。「自立化」です。こうした流れを遂げ、いま第4次産業革命が進展していると言われています。過去の産業革命によって社会経済構造は大変革を強いられてきましたし、今後も大きな社会の変化が予想されます。この第4次の大きな波を受けて、政府は、平成25年6月、「世界最先端IT国家宣言」を策定しています。そしてまた、平成27年6月、これまでの2年間と急速に進展するモノのインターネットや人工知能などによるデジタル化への変化を踏まえ、2020年までに世界最高水準のIT活用社会の実現と成果の国際展開を目標としたIT戦略の基本方針となる「世界最先端IT国家創造宣言」の改訂版を閣議決定しています。この改訂版で、日本は65歳以上の人口が21%を超えた超高齢化社会を迎え、労働人口の減少や社会保障給付費の増大、自然災害対策、社会インフラの老朽化など多くの社会課題に直面している。これらの山積する社会課題に対して世界でも類を見ない「課題解決型IT利活用モデル」を構築することで、国民が真の豊かさを実感できる社会の実現を目指すとしています。ITを利活用した課題解決に向けて4つの項目を柱に掲げています。1つには、IT利活用の深化により未来に向けて成長する社会、2つには、ITを利活用したまち・ひと・しごとの活性化による活力ある社会、3つには、ITを利活用した安全・安心・豊かさが実感できる社会、4つには、ITを利活用した公共サービスがワンストップで受けられる社会、です。さらに昨年5月、特に、「地方創生」・「女性活躍推進」・「国土強靱化」・「一億総活躍」等の実現にはIT利活用による効率的投資、イノベーション創出を通じた生産性向上が不可欠であることから、国全体を通じたIT利活用の取組を推進するためにこれまでの3年間の成果を「国から地方へ、地方から全国へ」横展開していくことにより、安心・安全・快適な国民生活を目指し、2020年までを集中取組期間として3つの重点項目を中心に展開するとする改訂版を発表しています。1つには、国・地方のIT化・業務改革(BPR)の推進、2つには安心安全なデータ流通と利活用のための環境整備、3つには、超少子高齢化社会における諸課題の解決、です。このようにICT推進の取組は我が国の経済社会構造を見据えた国家戦略です。一地方自治体であっても主体的に創造的に取り組むべき課題です。ICT化の推進により、医療・介護・福祉・子育て・産業振興・防災・災害復旧等、あらゆる分野において生産性向上が図られ、働き方改革を伴って今後の経済社会が劇的に好転する可能性を期待できると私は考えることから、これまでの本市の取組成果と今後の取組、そしてその推進体制の整備について12月定例会一般質問で質しました。私は、当局答弁を踏まえ、行政の効率化に偏った取組みではなく、その有用性を官民を問わず広く様々な分野で享受できる取組みを期待することを質問の最後で申し述べました。

           

市長の市政報告会は大盛況、議会の議会報告会は閑古鳥、これって、一体どういうこと?

  

鹿屋市議会は議会基本条例に基づいて年1回以上議会報告会を実施することになっています。平成28年度も10月17日から23日迄の水曜日と土曜日を除く5日間、市内11会場で行い、延べ118人の市民の皆さんのご参加をいただきました。また、市長も行政執行機関の責任者として市政報告会を11月4日リナシティかのや3階ホールで行い、380名の市民のご参加を得、今後、旧3町での開催も予定されています。議会と行政は、市政の議決機関と執行機関としてそれぞれ重要な役割と責任を担っており、いわば、市政運営上の車の両輪です。いずれも市民に開かれた市民主役の政治を目指してそれぞれの立場で役割と責任を果たそうと努めており、そのための議会報告会と市政報告会です。しかしながら、市政報告会と議会報告会それぞれの参加者数には雲泥の差があり、議員の一人として落胆を禁じ得ず、「これって、一体どういうこと?」首をかしげたくなる思いがするところです。先ずは議会の存在意義について市民の皆様にご理解頂ける努力を積み重ねる必要があろうと考えています。

 

「鹿屋市土地利用対策要綱」にもう一工夫を!

本市に於ける宅地開発行為は都市計画法等で一定の面積以上について許可制になっていますが、許可の対象とならない小規模宅地開発で、道路冠水や隣地地権者とのトラブルなど周辺地域へ影響を及ぼす問題や分譲後の雨水配水施設の維持管理問題等が発生し、多くの苦情が行政に寄せられていました。しかし、許可対象となっていないことから行政が関与できないという問題があり、私も対応に苦慮し、小規模宅地開発へ何らかの行政指導の必要性を一般質問等で行政に求めてきました。これに対応し、本市では、これらの問題を緩和する目的で「鹿屋市土地利用対策要綱」を制定し、昨年1月に施行しました。市内全域1,000平方メートル以上の宅地開発のみでなく、メガソーラー開発や路外駐車場など法令の適用を受けない開発についても3,000平方メートル以上を対象とし、開発に必要な雨水配水施設などの配置方針や整備基準を設けています。これに適った雨水排水施設は鹿屋市が無償譲渡をうけ、その後の維持管理を行うことになります。この要綱は、宅地開発事業者に対して罰則などを設けて強制するものではなくトラブルが全て解消されるわけではありませんが、緩和できる方策として高く評価し、行政当局のご努力に敬意表します。とはいっても、この要綱が宅地開発事業者や市民に歓迎されているのか気になるところです。この要綱は新規宅地開発行為が対象になっており、既存の分譲済み宅地については対象となっておらず、分譲済み宅地の雨水排水対策の問題は依然として解消されていません。そこで、私は、分譲済み宅地についての適用に向けて一工夫できないか、去る12月定例議会一般質問で質しました。これに対し、市長は、分譲済み宅地への適用については今後課題等を整理し、勉強していく旨答弁しました。

              

12月定例会個人一般質問

1,本市のICT化推進の取組について

                  

(1)政府は平成25年6月に世界最先端IT国家創造宣言を策定した。この宣言に基づく本市のこれまでの取組成果を示されたい。

(2)今般の宣言変更において、これまでの成果を「国から地方へ、地方から全国へ」横展開することで「一億総活躍」等の安全・安心・快適な国民生活の実現を目指し、2020年までを集中期間として3つの重点項目を中心に展開するとしている。今後の本市の取組について示されたい。

(3)ICT化の推進により、医療・介護・福祉・子育て・産業振興・防災等、あらゆる分野において生産性向上が図られ、働き方改革を伴って今後の経済社会が劇的に好転する可能性が期待できるとしている。より強力に推進するために組織横断的な「ICT推進戦略本部」を設置する考えはないか。

2,災害復旧のあり方について

(1)コンパクトシティ化が求められる昨今、災害復旧事業に当たっての本市の基本的考え方について示されたい。

(2)台風16号による災害復旧事業が本市の財政に与える影響について中長期的にどのように認識し、その対策をどのように考えているか示されたい。

(3)少子高齢化・人口減少社会が加速していく状況下、災害多発時代を迎えた今後の災害復旧のあり方を検討すべき時期が到来していると思うが、どう考えているか。

3,「鹿屋市土地利用対策要綱」の運用状況と今後の課題について

(1)本年1月に施行された「鹿屋市土地利用対策要綱」の運用状況と今後の課題について示されたい。

(2)既存の分譲済み宅地についての適用は考えられないか。

4,本市の公用車及び職員の通勤車の車両管理について

(1)公用車及び通勤車の車両管理と通勤車の任意保険の管理に遺漏はなく万全か。

※議会の会議録は議会事務局又は市立図書館のほか、鹿屋市のホームページでもご覧になれます。
また、議会本会議の生中継及び録画中継もご覧になれます。

※この議会報告について皆さんのご意見・ご批判をお聞かせ下さい。

東ひでや
鹿屋市議会議員