鹿屋市議会議員

東ひでや

HIDEYA HIGASHI

東ひでやの活動報告
No.23(平成25年2月)

制度が揺るぎかねない肝付吾平町農協の期間中途での指定管理者辞退の申し出!

12月定例会閉会後の議会全員協議会で、鹿屋市交流センター「湯遊ランドあいら」の指定管理者である肝付町吾平農協から期間中途での指定管理者辞退の申し出があり、鹿屋市は指定の取り消しを行う旨の報告がありました。この施設は、肝付吾平町農協が平成23年4月1日から5年間の指定を受けて施設の管理運営を行ってきたところですが、
①平成24年度上半期決算で赤字経営となったこと
②農協は組合員の財産で運営しており、組合財産を毀損することについては説明責任が発生すること
③経営努力も行ったが赤字経営は避けられないこと等を理由に、平成25年3月31日(2年間)をもって辞退したい旨の申し出です。

これを受けて、鹿屋市は、利用者の混乱や市民サービスの低下を招くことのないように継続して管理運営を行うため、早急に再公募の手続きを行うとのことです。報告を受けた議会全員協議会では、自己都合のみを優先した一方的な協定違反であり、事業リスク負担の点で他の多くの指定管理者にも多大な影響が予想され、指定管理者制度自体が揺るぎかねない重大な問題であるとして、契約期間(5年間)途中での辞退の申し出は受理せず5年間は現行の協定内容で継続させるべきで、受理するのであれば協定違反による損害賠償や違約金の請求を検討すべき、との意見が議員の間から噴出しました。

このことについて基本協定内容を顧問弁護士と検討した結果、鹿屋市は、協定違反による具体的損害額の証明が困難なこと等から損害賠償金や違約金の請求について提訴できず、辞退申し出は受理せざるを得ないとの結論達したとのことであります。この施設の指定管理者は競争原理に基づく一般公募によって選定されており、鹿屋市が示した管理運営仕様に従った管理運営を期待され、鹿屋市と肝付町吾平農協との基本協定書に権利義務関係が規定されています。基本協定書は管理運営に当たっての様々な事業リスクを協定当事者がどのように負担するのか明確に規定されなければなりません。

私は、この点で基本協定内容に不備があったことを指摘し、リスク負担の明確化を含む協定内容の早急な見直しを鹿屋市に求めました。

                

行政の無謬性神話に立ち向かって!

                    

「行政の無謬性」とは、行政の理論・判断に誤りがないとすることです。行政には市民の生命・財産を守らなければならない重大な使命と責任があり、そのために法に裏付けされた強力な権限と予算があります。したがって、行政は「誤り」を犯してはならないことは当然です。

しかし、行政組織が閉鎖的で客観的な視点を欠いている場合、「誤りを犯してはならない」ことが、「誤りを起こさない」ということに変容してしまうことがしばしば起こりえます。そういう変容が行政組織内に発生しますと、やがてそれは「行政の行うことは正しい」となり、しまいには「行政の行うことだから正しい」となってしまいます。これが「行政の無謬性神話」です。行政も生きて活動する人間で構成する組織ですから、現実に政策的誤りやミステイク・不正行為等が発生することは避けられません。努力によって発生確率を下げることは可能であっても、「根絶」することは神ならぬ人間の身には不可能です。

しかし、「行政の無謬性神話」に行政が冒されていますと、「行政のやったことは正しい」のだから、現実の誤りや失敗を「なかったこと」にしてしまわなければなりません。つまり、行政として誤りや失敗の認識を拒否してしまい、ここに「嘘」が発生してしまいます。このことで、組織全体に「認知の歪み」をもたらし、問題が生じているにもかかわらず認識できなくなり、外部環境の変化に対して適宜適切に対応することを阻害するばかりでなく、「嘘」の連鎖によって問題が硬直化することでますます誤りや失敗の修復が困難になってきます。

行政運営上極めて有害です。マネッジメントは、プラン・ドゥ・チエック・アクションのマネッジメントサイクルを繰り返すことです。仕事の結果をチエックして改善する。この単純な繰り返しが価値創造につながります。この単純極まることが、行政に於いては時に非常に困難になることがあります。現実の把握を困難とする大きな原因がこの「行政の無謬性神話」です。事業導入時に正しかった行政の判断・理論も未来永劫正しいとは限りません。私は、議員としてのこれまでの13年間この「行政の無謬性神話」に立ち向かい、多くの政策提言を行うことで鹿屋市の政策的転換と見直しを求め、その幾つかを実現させてきました。今後もこの政治姿勢を堅持していく所存です。

国民健康保険事業は四苦八苦、保険税率の引き上げを検討

鹿屋市は、安定的で持続可能な国民健康保険制度を将来にわたり維持していくために、平成23年4月に、①医療費の適正化②保険税の収納率向上対策③保険税の見直し、の3つを柱とする「鹿屋市国民健康保険事業財政健全化基本方針」を策定し、合併後初めて保険税率の引き上げを行い、国民健康保険事業特別会計の収支の改善を図ってきました。

23年度では、収支不足が予想される6億円のうち2億円について保険税率の引き上げで賄い、残り4億円については一般会計からの法定外の繰り入れで収支を保ってきました。しかしながら、24年度の見込みで翌年度への繰越金が半減することから一般会計から2億円法定外の繰り入れを行っても、25年度には、やはり4億円程度の収支不足が予想されています。

このようなことから、この4億円の収支不足の解消を図るために、保健事業の推進などによる医療費の適正化を図るとともに、保険税率の見直しを図るとしています。その基本的考え方として、①税負担の平準化を図るため、主として応益割(均等割・平等割)を引き上げること(現行の応能割合47%、応益割合53%を堅持)②納税者の不公平感を是正するため、資産割を縮減すること(不公平感とは、「固定資産税との二重課税ではないか」との声)③資産割の縮減に当たっては応能割合を変えず、かつ、所得割合への急激な配分を行わないこと(地域の経済状況等を勘案すること)、等をベースに引き上げの検討を行うとしています。

具体的には、第1案、収支不足4億円を全て、第2案、一般会計から1億円法定外で繰り入れて後なお不足する3億円、第3案、一般会計から2億円法定外で繰り入れて後なお不足する2億円、のいずれかを保険料税の引き上げで賄うとしています。一人当たり平均の税額では年間11,131円から18,327円の引き上げ幅になります。この保健税率引き上げに係る条例等の改正議案は三月定例会で上程される予定です。全国の市町村国保事業が抱える構造的な問題として、加入者の年齢構成が高く医療費水準が高いうえに加入者数が減少傾向にあること、所得水準が低いことから保険料負担が組合健保に比べて重いこと、保険料税の収納率の低下等が挙げられます。現行の制度の仕組みでは受益者負担の原則から税率の引き上げは制度維持のために苦渋の選択としてやむを得ないものの、地方自治体ではすでに限界に達しつつあり、国・県での財政支援強化を含む国保財政面での抜本的な改革が早急に望まれるところです。

 

鹿屋市の財政は消費税増税でも合併算定替え廃止で更なる行財政改革が必要

「消費税増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連法案」が成立したことで、現行5%の消費税率は平成26年4月に8%、27年10月に10%へ二段階で引き上げられます。これに伴う鹿屋市への配分は、普通交付税交付金が税率8%時点で約5.000万円、10%で5億円の増加となり、地方消費税交付金は8%で約6億円、10%で約10億円の増加となりますが、普通交付税については、これまでの交付税特別会計借入金の償還や臨時財政対策債へ充てられる可能性があり、地方消費税交付金についても景気の動向に大きく左右されることから、最終的に普通交付税交付金及び地方消費税交付金がどの程度増額されるか不透明な状況です。

逆に、平成18年度の合併に伴う普通交付税優遇措置によって、本市の普通交付税は合併後10年間は旧自治体毎に算定した交付税の合計(合併算定替え)で交付されてきましたが、28年度からはその優遇措置が5年間に亘って毎年縮減(一本算定化)されることから、約20億円程度普通交付税交付金が減少してきます。したがって、歳入面ではむしろ減少の方向にあります。一方で、歳出面では、福祉関係の扶助費の自然増加や消費税増税に伴う委託料や工事請負費等の歳出経費の増加が見込まれています。

こうしたことから、鹿屋市の財政は、消費税増税で若干の歳入増加があったとしても合併算定替え廃止で財政負担の軽減は見込めず、今後も尚一層厳しい状況が続きます。このような見通しの下、健全財政を第一義として引き続きこれまで以上に行財政改革に取組む必要があります。行政も議会も今後鹿屋市の財政状況が益々逼迫していく状況にあることを市民に正直に説明し、市民の理解と協力を得るための努力を行う必要があると考えています。

議会基本条例案3月定例会で上程、議決予定 

議会改革特別委員会では議会基本条例の制定を目指して様々な視点から論議を重ねてきた結果、ほぼ議会基本条例の素案が出来上がってまいりました。この素案を市民に公表し意見を求めるパブリックコメントに付し、市民の意見を基に必要な加除修正を加え3月定例会に議案上程し、議決します。

「議会基本条例」は、市民に開かれた議会改革を目指し、市民に対しての議会・議員の理想的なあるべき姿・規範・役割・責任・権能等について模索・議論した結果をまとめたものです。この中で特徴的なものとして、第2章「市民と議会の関係」で、市民への議会活動の公表や情報提供によって透明性を高め、審議等における論点や争点の説明責任を充分に果たすことや市民と議会の双方向関係構築のために市民との意見交換の場を設けることで市民のニーズ・意見を把握し、政策提案の拡大に努めていく事等を定めています。このため「市民との意見交換の場」として、議会自ら積極的に地域に出向き、行政への政策提言や議会活動の状況を報告し、市政に関する情報を提供するとともに、市民ニーズや意見を直接お聴きする機会として「議会報告会」を位置づけ、実施していくものとしています。

この条例の制定によって、市民の前に行政と対峙する議会の役割・責任が明確になり、また地方政治の二元代表制の下での市民と議会の関係がこれまで以上に緊密になります。このことがさらに議会の活性化に繋がります。私が追求して止まない「真の市民自治の実現」に寄与できるものと期待しています。「議会報告会」への市民の皆さんの積極的なご参加とご意見・ご要望をお願いしたいと思っています。

現行議員定数30名から2名削減28名、議員報酬据え置き

         

議員定数及び議員報酬についても議会改革特別委員会で活発な論議がなされた結果、議員定数は現行の30名から2名削減し次期選挙から28名とし、議員報酬は現行の額(月額37万円)を維持するものとする素案がまとまりました。これについてもパブリックコメントに付した後、3月定例会で議案上程し、議決する予定です。

議員定数削減の理由及び根拠について、①現下の社会経済状況の中で、全国的に議員の削減が進んでいることを踏まえ、市政の現状・課題・議員活動の評価等に関する市民の意見を総合的に勘案して、議員定数を見直す必要がある。
②地方交付税の合併算定替え終了等を見据え、行政として職員定数削減等の行財政改革を積極的に進めていることから、議会としても議員定数削減によって行財政改革に取り組むべきである、
③全国の類似都市(人口10万人以上11万人未満)のうち、市域面積(鹿屋市の面積は448.33?)400?~600?の都市の議員平均定数は28.1名である、
④平成18年1月合併時の議員数76名から34名に削減し、さらに平成22年度には30名に削減している事などから、合併事情を考慮すると急激な削減は避けるべきである、
⑤全議員の意向調査の結果平均が27.67名であり、4つの常任委員会の均衡(各常任委員会7名)を図るうえで望ましい、等が論議されました。

また、議員報酬据え置きの理由及び根拠について、①全国の類似都市(人口10万人以上11万人未満)の議員報酬平均は42.1万円であり、現行の鹿屋市の議員報酬額37万円は平均より5.1万円低い、
②定数削減や新たな議員活動(議会報告会等)によって議員の活動範囲が拡大することで議員の専業化が進む事などから相応の報酬が必要であり、減額によって議員活動に支障が出ることが懸念される、
③議員の報酬及び市三役の報酬は特別職報酬等審議会で慎重に審議され、現行額が決定されている、
④新たな立候補者への阻害要因になっては成らない、等が論議されました。

        

議員の表決態度(議案への賛成・反対)は市民の前に明らかにし、説明責任を負うべき!

    

議会基本条例の素案では、第4条で「議会は、議会活動に関して有する情報を積極的に提供し、透明性を高め、情報共有を推進するとともに、説明責任を十分に果たすものとする」とし、また、第9条で「議会は、議決責任を深く認識するとともに、議案等を議決し、自治体としての意志決定又は政策決定をしたときは、市民に対して説明する責務を有する」ともしています。これらは、議会が議決責任について市民に対して説明責任を有することを明確にしていることとして、評価することができます。

しかしながら、議会の意志はこれを構成する議員個々の表決態度(議案への賛成・反対の意思表示)の多寡によって議決されることから、議員個々の表決責任についても市民の前に明らかにし、その説明責任を負うべきです。これは代議員制度の大前提であり、議会制民主主義の基本原則と言っても過言ではありません。市民は、議会を構成する議員を含めたワンセットで議会そのものを選ぶものではなく、あくまでも一人の市民が一人の議員を単記無記名の直接投票で選ぶ仕組みになっています。

したがって、市民にとっては、議会の議決結果もさることながら議員個々の表決結果が重要となってきます。私は、議会だけでなく個々の議員も市民の負託を受けた者として堂々と議案の賛否について市民の前に明らかにし、説明する責任と義務があると考えることから、議員の表決責任についても議会基本条例に規定すべきであると議会改革特別委員会で主張しましたが、議会基本条例は「議会及び議員に係る基本事項を定める」と規定しながらも、残念ながら受け入れられませんでした。

    

(有)いずみ商事の操業休止に伴う補助金返還請求に係る産業建設委員会の調査報告

平成20年度地域バイオマス利活用交付金325百万円の国の補助を得て、焼酎粕を原材料に家畜飼料や肥料・燃料等に利活用するため、プラントを建設し操業を開始したにもかかわらず、わずか1年余りで工場は休止に陥りその後再開の目途が立っていないばかりか、金融機関が抵当不動産競売の手続きの開始を決定したことが判明したことを受け、九州農政局と協議のうえ本市では、(有)いずみ商事に対して補助金交付決定取消通知並びに補助金返還通知を行ったものです。

このことに対して、西口議員より、本補助事業は計画当初から巷において事業の計画性・採算等実績がなかったことから、その事業の成立性について危惧されていた案件であり、設立・開業当初からプラントの設計設備の関係団体をはじめ融資に係る金融機関団体の違法行為がいくつも明確になる等、当局も認めているとし、「百条委員会」を設置のうえ調査すべきとの動議が9月定例会でなされました。議会では、動議は否決され、「百条委員会」設置の前に所管の産業建設委員会で調査すべきとの結論に達し、「閉会中の継続調査事項」として調査されてきました。

産業建設委員会では議会閉会中に5回に亘って委員会を開会し調査を行い、12月定例会最終日にその調査結果が本会議で報告されました。調査結果は、平成20年度環境保全型農業推進事業(バイオマス利活用施設整備事業)の事務執行は適正であり、当該施設の操業開始から休止に至るまで及び操業休止後の市の対応についても適正であったが、当該施設が操業休止した最大の理由であると考えられる焼酎粕原料の供給がストップした原因については解明できなかったとの結論でした。事業主体である(有)いづみ商事の経営状況・実績等や操業開始後の運転資金を含む自己資金の把握が不十分であり、より詳細で多角的に精査すべきであった等の委員の指摘は当然であろうと思うところです。

今回の補助金交付に係る失敗は、行政が、事業計画についての審査能力や事業主体である(有)いずみ商事の経営状況・資金調達能力・技術力・経営者の経歴等についての信用調査能力に未熟だったことと、一連の手続き過程において確証(裏付け資料の確認)を得ることを怠ったことに起因していると、私は考えています。今後、この点での組織・体制整備が求められます。

12月定例会個人一般質問

                           

≪1,消費増税法成立に伴う本市の中期的財政見通しと運営方針について≫

     

①平成26年度からの消費税率の引き上げに伴って、本市の一般財源の増収額はどの程度見込まれるか。
                                        ②財政改革プログラムにおける中期財政見通しに変動が生ずるが、人件費・扶助費・公債費等の節減目標・方針に変更はないか。
                              ③平成28年度からの普通交付税の合併算定替え廃止による一般財源の大幅な縮減を踏まえると予断は許されない。策定中の「財政構造改革実行計画」の中にどのように盛り込まれるのか。
④今般の消費増税法成立に伴う本市の中期的財政見通しと運営方針について示されたい。

    

≪2,土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の防災対策について≫

        

①危険の周知徹底、警戒避難体制の整備に関する事項は警戒区域ごとに地域防災計画に定められ、運用上万全となっているか。
                              ②特に、高齢者・障害者・乳幼児等自力避難が困難な災害時要援護者の利用する施設が警戒区域内にある場合、円滑な警戒避難のための情報伝達に関する事項も定められ、万全となっているか。
③今後の追加指定はあり得るか。その場合の可及的速やかな対応についてはどうか
   ④特別警戒区域内の建築物の移転促進にあたっての支援措置はどうか。

           

≪3,行政の無謬性について≫

                              

①行政の無謬性神話は、本市行政組織運営上、存在し得ると思うか。
          ②自己否定の連続によってこそ無謬性は克服できると思うが、どうか。
            ③現実を率直に冷静に把握し、そこからの正直なフィードバックによって、改善を継続していく  内部統制が望まれるが、どうか。

                            

※議会の会議録は議会事務局又は市立図書館のほか、鹿屋市のホームページでもご覧になれます。

  

※この議会報告について皆さんのご意見・ご批判をお聞かせください。TEL44-7824 

東ひでや
鹿屋市議会議員