鹿屋市議会議員

東ひでや

HIDEYA HIGASHI

東ひでやの活動報告
No.17(平成22年2月)

三期目最後の議会報告です

本年4月30日、鹿屋市議会議員の任期が満了します。

私は、引き続き議員として市政に関わってゆきたく、4月25日に実施が予定される鹿屋市議会議員選挙に4期目を目指して、立候補する所存です。

平成11年4月初当選以来11年間、2期目以降2月と8月の年2回ではありますが、この「鹿屋市議会報告」を市民の皆様にお届けして参りました。

私の政治テーマは「真の市民自治の実現」です。

議会での審議の様子や私の意見や考え方を織り交ぜながらできるだけ多くの事について、事実を詳しくありのままに歯に衣着せぬ姿勢で、この「鹿屋市議会報告」を通じて市民の皆様にお知らせしてきました。

私の「鹿屋市議会報告」は、一部の同僚議員には大変な不評であったことも事実ですが、市民の皆様に市政について考え判断していただくために、敢えて同僚議員との軋轢等に怖れず、怯まず、囚われず、勇気を持ってお知らせし続けることが、私の議員としての努めであり、私の政治テーマとしております「真の市民自治の実現」に繋がると考えるからです。

一方で、市民の皆様からは、私のこの「鹿屋市議会報告」にお手紙やお電話を通じて多くのまじめなご意見や力強い励ましの言葉を頂いているのも事実です。

このことで私は議員として鍛えられ、支えられ、多くの事を学んだものと感謝しています。

今回が3期目最後の「鹿屋市議会報告」ですが、引き続き議員としての立場がある限り、市民の皆様の声を聞き、自らを鍛えるために継続してお届けしたいと考えております。

議会の役割・権限は拡充の方向で見直されるべきです

夕張市に代表される自治体の財政破綻の原因として、首長と職員の浪費癖と議会のチック機能の麻痺が挙げられます。

行政と議会・議員の馴れ合い・癒着を排除し、健全な地方自治を実現するためには、有権者である市民のみなさんの監視が不可欠です。

地方政治においては、市政運営における権限は、市長に一元化され、大きな権限を持っています。

一部には、「議会は要らない」と言い切ってはばからない一般市民さえおられますが、一極集中する市長の権限を牽制・監視する機関として議会・議員の役割には大きなものがあります。

神戸市長に対する損害賠償住民請求訴訟の大阪高等裁判所の判決は、神戸市の外郭団体へ不当支出したとの訴えに対して不当であることを認め、市長に55億円の神戸市への損害賠償を命じ、さらに、神戸市長への55億円の請求権を放棄するとの神戸市議会の条例議決を住民訴訟制度を根底から否定するものとして無効としています。

我が鹿屋市でも、このような事態が今後発生しないとも限りません。地方分権が進展し、市長の権限と裁量権が大きくなるにつれ、これまでの行政の監視機関としての議会の役割・権限も拡充の方向で見直されるべきです。

例えば、これまで予算の編成権を市長の専権事項として議会が関わることを一切排除してきたものを、議会の関与を認めることなどです。

こうすることで、議員による公開の場(議会)での「事業仕分け」を通じて、これまで密室で行われてきた予算編成作業において「可視化」が図られます。

行政職員は「市民の顔」より「市長の顔」を見て仕事をします。ここに議会が関わるべきです。

ごみステーションからの資源物の持ち去り禁止と罰則規定が条例化されました

市内のごみ集積所からの有価資源物の持ち去りが後を絶たないとの多くの市民の皆様からの指摘を受けて、議会においても問題にされ、12月定例会に於いて、鹿屋市廃棄物の処理及び清掃に関する条例の一部を改正する条例議案が行政当局より提案されました。

条例改正案によりますと、市及び市から収集又は運搬の委託を受けた者以外の者が、市が一般廃棄物処理計画に基づいて行う収集の対象として排出された一般廃棄物のうち、資源物(資源化を目的に排出された物)を、ごみステーションから収集・運搬することを禁じ、これに違反した者には20万円以下の罰金に処することになっています。

更に、持ち去った者が法人の従業員であった場合には、従業員のみならずその法人に対しても併せて罰則を科す両罰規定となっています。

鹿児島市や指宿市等ではこの禁止規定と罰則規定が既に条例化され、警察による取り締まりがなされており、摘発の例があることは報道でご承知の通りです。

この条例改正案は全会一致で可決され、本年4月1日から施行されることになっています。

3市5町で定住自立圏形成協定を締結

少子高齢化・過疎化が急速に進展している大隅圏域の中で、それぞれの市町村の区域だけで暮らしや産業振興に必要な社会サービスを完結することが困難になってきていることから、中心市の都市機能を周辺地域の住民が活用するなど圏域全体としての都市機能を集約的に中心市に整備する構想が定住自立圏構想です。

平成20年6月に総務省よりこの構想が発表されたことを受けて、私は、大隅圏域の中核都市としての取り組みについて、20年6月定例会並びに12月定例会において個人質問を致しました。

これを機に、鹿屋市は、総務省の呼びかけに呼応し、大隅圏域全体での地域浮揚を図るべく先行実施団体として指定を受けました。

鹿屋市は都市機能を中心都市として鹿屋市に集約的に整備し、周辺市町は環境・地域コミュニティ・食料生産・歴史文化などの観点から役割を分担し、圏域全体で相互連携をとりながら活性化を図ろうとするもので、圏域の市町が一体となってこの構想を推進し、自立した「大隅定住自立圏」の形成を目指すものです。

本年12月定例会において具体的項目について圏域の3市5町間(鹿屋市・垂水市・志布志市・大崎町・東串良町・錦江町・南大隅町・肝付町)で協定を結ぶための議案が提案され、全会一致で可決されました。

1つには、第1次産業を基軸として第2次・第3次産業の振興を図り、域内で完結させる内発型産業の構築、2つには、九州新幹線の全線開業効果の域内への導入や各市町の観光拠点の機能充実を図り、交流人口の増加促進による地域活性化、3つには、医療提供体制の確立や、これらを支える道路・情報通信基盤の整備を図る生活機能強化、これら3項目を各行政分野にわたる総合的な事業構築に対応していくために、総合的な推進組織として3市5町の市町長及び議会議長で構成される「大隅定住自立圏形成推進協議会」が設置されました。

今後、鹿屋市は、大隅圏域の中心市としての役割と責任を常に念頭に置きながら市政運営を図っていく必要があります。

県公共事業費の市(地元)負担金算定に根拠を示すべきです

大阪府の橋本知事が、地方分権改革推進会議で、国直轄の公共事業で大阪府が負担する直轄事業負担金について、「ぼったくりバーに金は払えん」と発言、批判し、話題になりました。

国直轄の公共事業は、地方財政法に基づきその事業費の一部を受益者として都道府県に負担させることができますが、事業の内容や実施について大阪府との事前調整をする機会がほとんど無い中で、負担金だけがその内訳明細の提示もなく請求されるというものです。

この直轄事業負担金については、何十年も前から都道府県側に不満として残っていたそうですが、国の方針に楯突くと補助金を減らされたり、事業が取り上げられず予算を他の都道府県に回されたりする可能性が高いために、声を大きくしてものをいえず泣き寝入りしてきたのが実態のようです。

これほど霞ヶ関の権力が強大だと言うことでしょうが、地方分権や道州制を議論する中にあって、まことに情けない気がします。

こうした国直轄事業にかかわる国・都道府県間の負担金を巡る問題は、県直轄事業に係る市町村の負担金を巡る問題と全く同様の構図で見ることができます。

このようなことから、全国知事会は、国が県に負担させる直轄事業負担金の見直しを求めると同様に、県が市町村に負担させている市町村負担金も併せて見直すことを申し合わせています。

そこで、私は、平成21年9月定例会の個人質問で、鹿児島県の公共事業費の鹿屋市(地元)負担金のあり方について、鹿屋市行政当局を質しました。

答弁で当局は、本市の要望により県において事業採択され、その必要性から応分の負担をしてきたもので、その総額は21年度9月補正予算時点で県営土地改良事業を初めとする8事業、35カ所、3億1,747万を計上しているが、人件費等の詳細な内訳明細は県より示されていないものの、県は国からの指針に準拠して地元負担金の支出を求めてきており、この負担割合を前提に県に事業申請を行っていると述べ、そしてまた、一方で、国営事業負担金と同様に県公共事業負担金についても、内訳を明らかにすべきであり、県と市との役割分担を基本にして、経費内訳の透明性の確保や事前協議の手続き面の見直しを図る必要があるとも述べました。

私は議員としてまことに恥ずかしいことですが、こうした話題がマスコミに取り上げられるまでこのような問題が存在することを知る由もありませんでした。

事業の受益者としてある一定程度の負担を請う場合、その事業の優先度合いや負担の内容について、事業主体者と事前の協議を行った上で、事業の可否を吟味するのが常識的に当然であると思っていたからです。

行政機関の間での常識が、実は、普通一般では全く非常識であることを改めて知る想いがしたところです。

ようやく「鹿屋市公会計制度改革計画」が策定されました

平成11年4月市議会議員初当選後最初の私の個人一般質問のテーマが「公会計制度改革」でした。

その質問内容は、①現行の会計手法は、行財政運営上、資産管理面・行政サービスのコスト管理面で有用な会計手法とはいえないと思うが、どうか。②当鹿屋市においても、外郭団体を包括した連結貸借対照表並びにサービス形成勘定書を作成し、市民に公表・説明する方向で、庁内に調査研究チームを発足させる考えはないか。というものでした。

その後、平成12年6月定例会、平成13年3月定例会、平成20年3月定例会の個人及び代表質問で改革の方向性を示しながら、公会計制度改革の必要性を訴えて参りました。

この間に、平成11年度末時点での鹿屋市の貸借対照表が初めて作成され、その後、行政コスト計算書も追加的に作成され、本市が平成18年1月に合併するまで公表されてきました。

現在の公会計は、単年度予算主義のもと、予算執行の結果としての歳入と歳出の内訳のみを記録する現金主義に基づいた単式簿記が採用されています。

このような会計手法ですと、予算の執行や現金収支の把握には適しているものの、これまでにどのような財源内訳でどのように資産形成され、その結果としての現金以外に発生している行政コスト(行政経費、例えば減価償却費)を把握することは不可能です。

私はこのことを訴え、制度改革の必要性を説いて参りました。

平成18年8月に総務省は、「地方公共団体における行政改革の更なる推進のための指針」を策定し、主として地方自治体の資産・債務管理改革に資する観点から、これまでの「貸借対照表」や「行政コスト計算書」に「純資産変動計算書」や「資金収支計算書」を加えた財務書類4表の作成とともに、公営事業会計や一部事務組合、第三セクターまで含めた連結ベースでの財務書類整備の必要性を示しています。

鹿屋市は、これを受けて、平成20年4月に「鹿屋市公会計制度改革計画」を策定し、総務省改訂モデルに従って、普通会計及び一部事務組合等の連結による財務書類4表を策定しています。

このような財務書類の作成・分析を通じて、財政面から見た鹿屋市の特徴や課題を明らかにし、行政経営の意志決定や資産・債務の適切な管理に活用されていくことが本来の会計の意義であり、私の理想とするところです。

東ひでや
鹿屋市議会議員