香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.29「清流」第82号

3月議会報告

令和2年3月定例議会は、2月25日から3月18日までの23日間会期で開かれ、コロナウイルスの感染対策により、手指消毒は無論のこと、マスク着用や、室内換気などを行いながら令和2年度予算の審議が行われました。定例会初日の本会議において、市長の提案理由説明があり、「香取市を取り巻く環境は大変厳しく、大幅な人口減少と人口構成の変化により、市内経済活動の縮小や生産力の低下が進み、香取市の財政運営においても、市税収入が減少する中、社会保障費が大幅に増加するなどの影響を危惧している」とのことでした。

令和2年度予算

一般会計予算は321億2千万円で前年度比6億9千万円(2.2%)の増。特別会計(6会計)と公営企業会計(5会計)を合わせた全会計の総額は619億3270万1千円で、前年度比67億5838万7千円(12.2%)の増。一般会計での6億9千万の増額は昨年の台風により被災住宅緊急支援事業に約7億円を計上したことによるものです。

予算審査特別委員会での主な審議内容

総務・企画部門

河野:他市の当初予算では歳入での市税が増になっているが香取市では市税が減収となっている。その要因は?

答:市民税2億6900万円減少の原因は、納税義務者数が900人減少したのと昨年の災害により、課税所得の減少を想定したため。

河野:人口減少を食い止めることが目的の「まち・ひと・しごと創生総合戦略」だが、その具体的な事業は?

答:人口増加の特効薬はない。市民の不満解消策として、産科の誘致、公共交通の利便性を図るため佐原北口バスターミナルの整備事業がある。

河野:産科クリニックの誘致については予算がついていないが

答:進出意向のある医療法人と交渉中で、来年度の予算は計上していない。

河野:佐原駅周辺地区活性化拠点整備事業(旧清見屋跡地への複合公共施設建設)3億9004万7千円の内容は?

答:工事費3億7837万円は実施設計、施工管理費で、1079万7千円は佐藤総合計画のCM(コンストラクションマネージメント)業務料。

*循環バス、路線バス、乗り合いタクシー運行事業でR2年度から動き出す具体的な事業は?

答:循環バス、ワゴンの再編事業として、福田線に代わり火・木曜日に10人乗りワゴン車の実証運行。大戸・瑞穂ルートのダイヤ見直し。大倉路線バスの朝の通勤通学時間に合わせたダイヤの変更をバス業者と調整中。

福祉・教育部門

河野:子育てのための施設等利用給付事業869万4千円の事業内容は?

答:保育料無償化に伴い、市町村の確認を受けた認可外保育所(ヤクルト、イムス等)を利用した場合の利用料を保護者に支給するもの。一旦利用者が施設に支払い、後に償還払いする。

河野:幼保一元化施設整備事業1億4246万6千円の内容は?

答:佐原幼稚園、佐原保育園、津宮幼稚園、香取保育園を統合してこども園とするもので、その用地買収費。

河野:民設民営での建設と聞いているが、民間で建設する場合の補助金制度は?

答:施設整備費の補助は、国2分の1、県4分の1です。

河野:放課後児童クラブ運営費が6879万8千円増額しているが?

答:民間事業者㈱アンフィニに委託。支援員不足と課題解決に向けた強化のため。

河野:兄弟の一人が入れないと母親の仕事に支障が出る。学童に入れる基準は?

答:低学年を優先している。

*地域生活支援事業に1159万5千円増額の要因は?

答:障害者デイサービス事業の利用回数の増加を見込んだものと、児童発達支援センター(コスモスの花)への運営費補助として600万円を予算計上したもの。

河野:中学校国際交流事業557万9千円の内容は?

答:R2年度はハワイ、プレパラトリーアカデミーのサマープログラムに9日間、中学7校より30名の生徒を派遣予定。自己負担額は21万8千円。

河野:表敬訪問負担金240万円とは?

答:継続的に出来る様、市長以下8名を前もって派遣する費用。

河野:中学校教育振興費で72万円減額となっている。小見川中学校のNIE(新聞を取り入れた教育)が新聞に載っていたが、学校図書費は充実しているか

答:減額分は道徳の教科書発行がなくなったからで、小見川中のNIEは県の指定でR1・R2年度に行っている。図書費については、R1年度200万円からR2年度は218万円を計上している。

*国保小見川総合病院の解体工事のスケジュールは?

答:まず初めにボイラー室の解体を5月中に行い仮駐車場を設置し、その後病院本体の解体工事を12月まで更地になるまで行う予定。

生活経済・都市整備部門

河野:観光振興事業で地域おこし隊募集事業に1000万円の内容は?

答:観光協会活動の補助として、観光宣伝や観光客の誘致促進などを行い、実際に香取市に住んで地域の交流を行いながら最終的には定住・定着をしてくれる人材をHPや移住交流推進機構等で募集するもの。

河野:戸籍住民基本台帳一般事務費1億47万1千円の内、窓口業務委託料が3218万2千円、民間委託の是非は検討したか?

答:職員は人事異動があるが、業務委託によりスキルが集約され、待ち時間が短縮される。接客の向上もある。

河野:3702万6千円増額の要因は?

答:R2年度に実施するマイナンバーカードを活用した国の消費活性化策やR3年3月から健康保険証として利用が開始となることから、マイナンバーカードの普及と利活用の促進が大幅に見込まれるための増額。

*防犯カメラ設置事業に1430万円計上してあるが何台、どんなところに設置するのか

答:1台65万円で20カ所設置予定。駅前や交差点など警察や地域住民と協議の上で設置する。

*市民協働まちづくり活動事業について、市民活動支援機能を充実させる内容は?

答:小見川、山田、栗源の支援センターは住民自治協議会の他に、自治会や市民活動団体にも支援対象を広げ、合わせて市民活動スペースを確保して印刷機を設置し、市民活動のための印刷や情報交流ができるようにする。

当初予算に対する賛成討論

全体としては賛同したいと思いますが、主要な自主財源である市税の2億6900万円もの減少、財政調整基金(貯金)を11億5千万も取り崩したうえでの予算編成となっていることを改めて確認したいと思います。

普通交付税の合併算定替えによる優遇措置も令和2年度は最終年度となり、今後益々厳しい財政運営が求められる中での予算編成で、継続事業とは言え多額の予算が措置されている佐原駅周辺地区複合公共施設整備事業の工事請負費については異議を申し立てざるを得ません。特に、公民館等の貸館事業で市民を巻き込んでのにぎわいづくりを目指すのであれば、今のやり方にいささか不安を感じます。

また橘ふれあい公園についても、今まで何度も見直しを求めてまいりましたが、36ホールのパークゴルフ場については、今なお負の遺産にならないか危惧を感じています。

今後の維持管理費の負担を負うのは市民であり、これからの若い世代の負担になることは明白です。

香取市は市民協働のまちづくりを推進していますが、市民が納得できるような、市民との信頼関係を築く行政の姿勢を強く求め賛成討論といたします。

河野議員の一般質問

香取おみがわ医療センターの現況と今後の展望を問う

河野:病院組合を解散し、市立病院となって半年が過ぎた香取おみがわ医療センターの病床稼働率は84%、外来患者数は、延べ42,957人で一日平均438.3人とのこと。そこで、9月以降の医業収益状況はいかがか?

事務部長:市立病院になってからの経営状況は、1月までの5か月間で、入院収益7億1682万4621円、外来収益3億8236万768円。

河野:地方病院の一番の難題が常勤医師をいかに増やすかということ。今まで専門機関に依頼して医師招聘の努力をしてきた成果は?

事務部長:今年1月から内科に勤務する女性医師1名を採用。また、国際医療福祉大学成田病院から医師が派遣され、毎週月曜日の午後と木曜日の終日、形成外科の診療が始まります。

河野:来年度予算に寄付講座開設のための予算4000万円が計上されている。その詳細を伺いたい。

事務部長:これは千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学と香取おみがわ医療センターが協力体制を構築し、寄付講座を立ち上げ、運営するものでその内容は、長期的に安定した医療が行えるよう、地域医療を理解する優秀な医療人の育成、地域実地診療における専門診療科の設置、キャリア形成のための研究活動支援を行うものです。寄付講座設置期間は4年間、費用は1年あたり4千万円で総額1億6千万円。

河野:以前から議会でお願いしていた寄付講座の立ち上げが市立病院になったことから実現し、千葉大との連携で安定的な医師の派遣が期待できる。市長の英断に感謝。そこで、長期展望に立った医師や看護師の育成策として、香取市としての奨学金制度を設けてはいかがか?

市長:現在当医療センターでは看護師奨学金貸付制度を設けているが、医師を対象にした制度についても今後研究、検討していきたい。

食育の観点から学校給食を考える

河野:子供達に対する食育は、心身の成長及び人格の形成に大きな影響を及ぼし、生涯にわたって健全な心と体を培い、豊かな人間性を育んでいく基礎となるもの。4月から給食費が値上げされ、小学生は4688円、中学生は5278円となる。無償化が叫ばれるが、香取市の児童・生徒数からして予算的にもかなり難しい。そこで多少値上げされても、食育の観点から安全で質の良い、おいしい食事が提供されることを望むが、値上げによる具体的な改善策は?

教育長:学校給食は栄養のバランスの取れた食事の在り方や、食べ物を大事にする感謝の気持ちや食事のマナーを学び、香取市産の食材から香取市の基幹産業である農業について意識づけるなど、学校における教育活動の一環である。令和2年4月から給食費を見直すことになっているが、今まで食材等の価格上昇に伴う実質的な給食費の見直しは、平成18年以降現在まで行わずに、何とか低廉な食材で献立を工夫し、文科省規定の学校給食摂取基準を満たせるよう努力してきた。今回の値上げで、使用できる食材が広がり、多彩な献立を提供できると思う。

河野:一時、給食の味が落ちたとの苦情が寄せられた時期があったが、その後アンケートなどで保護者や子供たちの声は拾われたか?

教育部長:平成25年度と29年度に児童・生徒対象のアンケートを実施し、4年間で「美味しい」という評価が約10%上昇した。平成30年度の保護者アンケートでは、「美味しい」が70.6%、「普通」は25.6%でした。

河野:献立表のHPへの掲載や一口メモなどの工夫によって、母親への情報提供はできないか?

教育部長:献立表のHPへの掲載はいろいろな部分を検証しながら研究していきたい。一口メモは空きスペースを利用して掲載しているが、直接学校にファクスして給食時間に児童・生徒への献立のポイントを伝え、学校で活用できるようにしている。

河野:食材の安全性についてのチェック方法は?

教育部長:見積書を徴収する際に、成分表や産地、食物アレルギー表示を求め、栄養士全員で内容を精査し、より信用のおける食材を選定している。

河野:食物アレルギー対策はどのようにしているか?

教育部長:料理ごとにアレルギー表示された資料を全校に配布し、希望する学校には食材ごとにアレルギー表示された詳細な資料を配付して、家庭とも連携を取っている。食物アレルギーがある児童・生徒には学校職員が保護者と面談し、給食での対応を希望する保護者には、月ごとに食材を示した詳細な献立表を渡し、保護者から食べることを避けたい食品を学校に知らせてもらっている。実際の給食では、毎日担任等が児童・生徒と食品を確認して、安全に食事をしている。

河野:農政課とも連携し、地元の有機野菜を給食に取り入れることはできないか?

教育部長:安心、安全な食材として提供したいが、量の確保の問題がある。

河野:食育によっていじめ、非行、暴力を失くした事例や、岩手大教授のデータもある。給食時間が短かすぎとの声も聞くので、月に一度でもゆっくり給食を食べられる日を作って、食育の時間にして欲しい。

こうの節子
香取市議会議員