香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.27「清流」第80号

9月議会報告

9月定例議会は、8月 27 日から9月 20 日までの25 日間会期で開かれ、一般会計の補正予算他10議案と、30 年度の決算認定議案が審議されました。

提案された一般会計補正予算の主なものは、
*地域経済循環創造事業交付金(馬場酒造の宴会場)―1千万円(上限額の変更による)
*未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金― 112万円(国の政策で単年度、一人当たり1万7千円給付)
*保育所統合整備事業―716万2千円(東大戸保育園とみずほ保育園の統合)
*放課後児童クラブ運営事業 ―170万円
*放課後児童クラブ施設整備事業―177万3千円(佐原第5クラブを新設)
*生活環境向上施策推進基金積み立て金―1903万8千円(太陽光発電の収益より積立 て、ごみ出し困難者に対する個別収集や防犯灯のリース料、合併処理浄化槽の補助金、小学校のトイレの様式化や市民体育館のトイレ改修などに活用している)
*ゴミステーション整備補助金―100万円
*土地改良事業2124万5千円
*観光振興対策事業―100万円(観光案内看板を多言語化、英語、タイ語、中国語)
*道路維持事業―1億674 万7千円
*橘ふれあい公園整備事業― 1250万円(民間活力導入のための支援業務委託料)この他に令和2年度までの債務負担行為補正として2732万円が計上され、この支援業務委託料の合計は約4千万円となる。
*学校統合整備事業―2602万3千円(わらびが丘小学校スクールバス購入費)

尚、スクールバス運営管理業務委託については、わらびが丘小学校が令和2年度から3年度までの債務負担行為で5108万4千円、栗源小外2校が令和2年度から6年度までの債務負担行為で1億9602万円の補正予算が計上されています。
*債務負担行為とは歳出予算の金額、継続費や繰越明許費の金額に含まれているものを除き、将来にわたる債務を負担する行為。
*小学校空調設備設置事業― 5400万円(理科室、音楽室などの特別教室)
*中学校空調設備設置事業― 2200万円

討 論

一般会計補正予算の中には橘ふれあい公園の支援業務委託料が含まれており、一概にすべて賛成することには抵抗があったため、鈴木聖二議員と河野議員がその意思を示した討論を行いました。

鈴木議員の討論要旨

「橘ふれあい公園は市民の憩いの場としての健康維持や健康増進の施設として、また来街者との交流の場として市民の意見を聞きながら整備されてきたが、発注方式の変更や民間活力の導入によって市民の為の公園整備から利益を求める公園整備に変わってしまう。

整備方針の見直しにより大きく変わるのであれば、地域住民や市民の理解を得た上で予算計上すべきであるため、設計業務等委託料の1250万円と債務負担行為の2732万円には反対。その他の補正予算には賛成する。

河野議員の討論要旨

「橘ふれあい公園整備事業は、URに基本設計を委託して以来、市民の公園というより、 観光や市外からの来場者を目当てに計画が拡大してきている。元々この事業は、事業対象者を全市民として、住民一人当たりの公園面積が全国平均、千葉県平均より低いため都市公園として整備するということが事業実施の背景にあったはず。であれば、パークゴルフ場にしても、一部の市民と市外からのプレーヤーのために約6億円をかけて大会用の36 ホールを整備することが市民の望むものではない。民間活力導入の為、支援業務委託費として約4千万円ものコンサル料が計上されているが、市民の税金だから、数字にマヒすることの無いよう危機感と責任をもって事に当たって欲しい。特に9月9日早朝、千葉県を直撃した台風 15 号により市民に苦痛を強いている。 また農業関係だけでも 10 億に上る被害額が想定される。まずは災害の復旧が第一。こういう時期だからこそ、将来に禍根を残さないよう、計画の変更も視野に入れた市長の英断を求めて、橘ふれあい公園に係る予算付けには異を唱え、それ以外の補正予算には賛成 」

河野議員の一般質問

大型の公共事業の在り方について問う

香取市において継続中の大型 公共事業は、橘ふれあい公園整備事業と佐原駅周辺複合公 共施設整備費業です。これらの大型事業では、橘ふれあい公園の場合はURに、そして 旧清見屋跡地に建設予定の複合施設については佐藤総合計画というコンサルに、市に代わって業務を委託。大型の建設事業については外部のコン サルに頼らざるを得ないというのが実態です。

そこで、市民の財産となる市の公共施設が、市民にとって、使い勝手がよく、市民の福祉に貢献できる喜ばれる施設であって欲しいと思いますし、地元に経済効果をもたらし、香取市にとっても将来的にお荷物になったり、負の遺産にならないよう十分に吟味しながら議論を尽くしていくのが、今議会という場に籍を置く私たち議員の責務と考え、質問をしました。

河野:橘ふれあい公園については、(仮称 )交流館の建設時に、URに委託して建設費が約3倍の 15 億円に上り、6月補正予算が通ってしまったが9月議会で契約議案についての反対、市長の英断で議案取り下げにより、URとの契約が解消された経緯がある。この事業は24 年から始まって、いろいろ紆余曲折があり、市の財政状況から工事の遅延もあると思うし、全体計画を見直す余地も残っていると思う。 そこで総事業費の概算と今までにかかった経費はいくら?

建設水道部長:事業全体の概算事業費は約25 億円。平成30年度末までに執行した事業費 は約 14 億3千万円で残りの事業については約10億2千万円を見込んでいる。

河野:URに委託してから急に大きな事業となり、集客数も 14 万人と予測していたが、その予測に変わりはないか?

建設水道部長: 基本計画策定後、計画規模を見直していないので、利用人数想定に変更はない。

河野:ゴルフ人口も最盛期の3分の1。酒々井のパークゴ ルフ場は閉鎖。地の利やアクセスの悪さからしても過剰な見積もりではないか?

建設水道部長:昨年の市場調査で民間企業からの意見ではキャンプ場の魅力を高めるた めにも規模の拡大を望む声もあり、パークゴルフ場についても集客を考えると 36 ホール の方が良いとのことなので現状では想定人数の変更は考えていない。

河野:キャンプ場とパークゴ ルフ場は独立採算で民間に任せるのが可能か?

建設水道部長:民活導入可能調査ではキャンプ場の有料サイトは独立採算で行けるとい う結果が出ている。

河野:現在無料のキャンプサ イトが人気で、埼玉、東京、柏や松戸などからの来場者がテントを張っている。無料いうことと、自然の魅力が人を呼んでいる。また地元の人たちがバーベキューを楽しむ公園としても人気がある。子供たちの自然観察や環境教育にとっても貴重な資源を残して欲しい。事業仕分けでの意見として、「 25 億もの事業であるからこそ全市民の為の物になるよう、今後住民と一緒に考える場を作っておく」とまとめに書いてあったが、今一度市民の声を十分に聴く考えはないのか?

建設水道部長:平成 24 年度の基本計画策定以来、市民説明会や関係団体のヒアリングを実施して来たので今後説明会は予定していない。

河野:事業仕分けでの意見は活かされないのでしょうか? 私も何度か近隣のパークゴルフ場に視察に出向き、経営者の意見等も聞いてきているが、プレイ人口の減少、地の利や交通アクセス、公営の安いゴルフ場との競合、高額な維持管理費等運営の難しさは否めない。果たして今、6億円をかけて36 ホールのパークゴルフ場を整備する必要があるのか、計画を見直すことはできないのでしょうか。

複合公共施設にDBO方式 を採用する意図は?

河野:平成 29 年時点での基本計画では事業手法制定への考察として「地元企業の育成と地元経済の活性化に寄与する手法は、設計、施工、維持管理の分離発注方式が望ましい 」とされていたにも拘わらず、30 年度に佐藤総合計画に委託してからDBO方式で設計、施工、管理運営を一括して発注する方式が採用されたがその妥当性は?

総務企画部長:平成 30 年度にサウンデイング調査を行い改めて事業手法を検討。民間事業者のノウハウによる効果的 な運営や、維持管理費の工夫などの定性的評価とVFM ( バリュー・フォー・マネー ) を算出して定量的評価をした結果、DBO方式を採用した。

河野:VFMの算出で示されるのは比較したパーセンテー ジだが、実際の金額は?

総務企画部長:12 月に発注、公告、入札を予定しているので具体的な金額は言えない。15 年間で9.5 %の削減を想定している。

河野:SPC ( 特定目的会社 ) を組成して、安定性やリスク分担の責任所在を明確にしておくことは重要だが、SPCを組成しない理由は?

総務企画部長:SPCを組む会社、企業等で経費を出す必要がありお金がかかるのでS PCを組まない方式を望む企業が多かったから。

河野:(企業の言いなり?)SPCを組成しない場合のリスク分担はどこが責任を負う のか?

総務企画部長:維持管理、運営業務を行う代表企業が責任を負う。

河野:要求水準書、予定価格は誰が策定するのか?

総務企画部長:要求水準書は支援業者の支援を受けて市が案を作成し、技術審査会で協 議、決定する。予定価格は佐藤総合計画が算出し、協議、検証を重ねたうえで決定する。

河野:DBO方式というのは、 資金調達は市が行い、設計、施工、維持管理運営を一括して発注する方式で、支援業務を委託した佐藤総合計画に市は殆ど依存している。 15 年という長期の契約をして途中での内容変更が難しいデメリットがあるにも拘わらず、複合 の公共施設を前例のないこの方式で発注することに疑問と不安を禁じえません。特に社会情勢や経済の変動が激しい状況を考えると、厳しいチェック体制の確立が求められるのではないでしょうか。

まちづくり協議会( 住民自治協議会)の今後の方向性は?

市長:手探りで積み重ねてきた協議会の取り組みが地域の大勢の皆さんを巻き込んだ活 動になるまでにはまだ知恵と工夫が必要。参加者の固定化も問題。今後どのように持続させていくかは、若い世代や地域内外の活動団体と連携して、地域の実情に合わせて柔軟に改変していける組織づくりや活動内容の精査が必要。

河野:福祉課の地域包括ケアシステム作りと地域の課題解決を目的とする協議会の活動 はダブっているが行政が求める仕事に対する予算付けはできないのか?

生活経済部参事:協議会の主体的取り組みを大事にしつつ、市としても人的支援、財政的支援を通じて後押しする。

河野:人材の育成方法は?

生活経済部長:協議会の役員や市職員対象の研修会を活用して、コーディネート力、調 整力の底上げを図り、市としても支援、情報の提供をしていく。

こうの節子
香取市議会議員