香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.21「清流」第74号

12月定例議会報告

11月27日から12月15日までの19日会期で開かれた12月定例議会には、10議案が提出され、各常任委員会に付託、審議され、最終日の本会議ですべての議案が可決されました。

議案第1号は、一般会計の補正予算で総務企画常任委員会に付託。

歳入歳出それぞれに15億9006万9千円を追加し、歳入歳出予算の総額をそれぞれ386億6816万1千円とするもので、その主な内容は、
*企画費の計画策定事業に432万円―地域医療(産科クリニック誘致を目指す調査委 託)子育て(幼保連携の市場調査委託)
*ふるさと香取応援寄付金事業に1353万7千円
*老人ホーム施設管理費に187万9千円(ひまわり苑の空調機更新設計業務委託料)
*保育士処遇改善事業補助金に1680万円(民間、指定管理者対象)
*幼保一元化施設整備事業に1億8297万7千円(佐原認定こども園用地購入費等)
*農業経営基盤強化対策事業に4585万8千円
*道路維持事業に2051万円(その内、大角地先の道路補修に1751万円)
*橘ふれあい公園整備事業に850万円(排水溝整備)
*復興交付金返還金に12億2430万6千円(液状化対策事業が予定より安くできた ため国に返還)

尚、大角の道路補修については、再生土の搬入のため、大型ダンプの往来が激しく、道路が陥没したりして、8件もの物損事故が起きており、生活道路の補修が喫緊の課題となっているため予算は通さざるを得ません。しかし、明らかに再生土を運び入れている事業者の責任であり、過積載の警告も受けているわけですから、当然事業者に弁償させること、法的措置も考えて対処すべきであると委員会で強く申し入れました。

議案第2号は「歯と口腔の健康づくり推進条例」の制定について―市でも成人の歯科検診や口腔がん検診などは実施しているが、歯科医師会からの要望もあり条例化に全会一 致で賛成、可決されました。

議案第6号は工事請負契約の締結について―橘ふれあい公園の交流館建設工事(建築工事)は総合評価一般競争入札で石井工業株式会社が5億8536万円で落札。(予定価 格の96.6%)但し、この交流館建設については、一昨年の3月議会で5億8千万と の答弁あり、その後5月の全員協議会に提案された建設費が15億となり、UR事業団 に丸投げではないかとの批判続出、設計の見直しも含め二転三転してこの金額に収まっ たものです。

尚、電気及び、機械工事については別発注。

参 考

鈴木聖二議員の一般質問より橘ふれあい公園の事業費について

全体の事業費―約25億円
  交流館―8億4千万円
公園整備―11億7千万円
土地買収―2億4千万円
測量費等―2億5千万円
財源―社会資本整備交付金で約9億円(工事費の1/2、用地費の1/3)
合併特例債で14億3千万円一般財源で1億4千万円

尚、社会資本整備交付金については毎年国に申請し、交付率は年度ごとの国の状況によって変化。
パークゴルフ場の整備費は?
地盤改良など交流館も含む第一工区で約6億3千万円との答弁がありました。

さらに最終日の本会議においては、3件の追加議案が提出され、可決されました。

議案第11 号、一般会計の補正予算で、人事院勧告による給料等の補正措置によってその過不足を調整するため歳入歳出予算の総額から、それぞれ6830万8千円を減額し、補正後の総額を385億9985万3千円とするもの。

議案第12号、13号は人事院勧告に準じて、特別職及び一般職の期末手当の年間支給月数を0.1ヵ月分引き上げるとともに、一般職員の給料月額を平均0.2%引き上げるほか、55歳を超える職員の給料等の1.5%減額支給措置を廃止するための条例改正。

人口減少対策に本腰を入れて

総務企画常任委員会で栃木市に視察に行きました。視察の目的は、市の中心部にあって閉店したデパートをリフォームして活用している市役所の現状研修。一階は東武デパートの売り場として貸付、二階から四階までの広々としたフロアーを市役所として使っているもので、およそ役所らしからぬオープンな雰囲気で市民からも好評とのこと。議会事務局の案内で各階を見て回った時に目に入ったのが、栃木市住宅課定住促進係の窓口にあった「栃木で暮らそ。若者世代、子育て世代、全国No・1栃木市」というパンフレット。

日本全体の人口が減少時代を迎え、さらに東京一極集中に対し、地方の各都市においては、いかに若者の移住者を増やしていくか、智恵を絞って必死の対策を練っています。

香取市においても人口減少対策は最重要課題です。そして国の指導に従って、H27年度に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を立て、人口減少を抑制する施策を推進しているはずですが、果たしてその成果は?

一般質問でも質したのですが、もっと本腰を入れて取り掛からない限り、毎年約千人ずつ減少している人口に歯止めはかからないでしょう。

そこで若者移住者全国ナンバーワンの栃木市と比較しながら考えていきたいと思います。

河野:人口減少対策の主な施策とその成果は?

大堀部長:15歳から34歳までの人口流出を効果的に抑制するため、通勤通学を容易にする都市間公共交通の利便性向上(高速バスターミナルの整備)、市内での雇用確保のための企業誘致、地域医療の向上という施策を横断的に行っている。
転出超過数がH27年度の285人に対し、H28年度は195人と多少改善された。

河野:空き家バンク事業の成果は?

大堀部長:H27年度から開始して6件を斡旋。移住者は2世帯で6人。他の4件は市内在住者が転居したもの。
栃木市では、H27年度27世帯75名、H29年度62世帯181名が「おすすめ補助制度」(注)を活用して移住。

※(注)栃木市の「おすすめ補助制度」とは
■「IJU(移住)補助金」市街化区に家を新築・購入した転入者に新築30万円、中古20万円の補助金。さらに若年世代、子供、勤労者には加算(5万~10万円)あり。他に多世代家族新築補助金20万円。
■「【フラット35】子育て支援型・地域活性化型」住宅金融支援機構の住宅ローン利用者に借入金利を引き下げ
■「通勤者特急券購入費補助金『楽賃(らくちん)』」(1月最大1万円)
■「新婚新生活支援補助金」夫婦の所得合計が340万未満の新婚者に住宅購入、賃貸、引っ越し費用補助、上限24万円(香取市にも有る国の制度)
■「空き家バンクリフォーム補助金」空き家バンク制度利用者に対しリフォーム工事費用の2分の1(上限50万円)家財処分費(上限10万円)補助

河野:若い世代の就労、結婚、妊娠、出産、子育ての希望を実現すると謳っているがその具体策と成果は?

大堀部長:子育て施策に対する満足度は満足率から不満率を引くものだがH29年度には8.1%改善がみられる。小見川こども園の開園や地域こどもセンター事業、母子、父子福祉推進事業の施策効果が出ていると思う。
また独身男女の出会いの場を創出するイベント開催やセミナーを実施。
30組が成婚。H27年度から結婚新生活支援補助金を創設、9組の新婚世帯に交付した。

河野:妊娠から子育て期に渡る切れ目のない支援を行うための子育て世代包括支援センターの設置は?

下川部長:福祉健康部内で検討会を立ち上げ設置に向けて検討中。

河野:香取市では子供が産めないと言われて10年。産科の誘致の実現性は?

市長:市民への公約なので実現に向けて事あるごとに話しているが、構想してはいない。力不足は否めない。

河野:周産期については特にチームで行うので産科の誘致が難しいことは承知している。
それでは発想を変えて助産院を検討したらどうか?以前市の協力を得られず私財を投じて開設した香取助産院でも4人が生まれている。これから次々と出てくる廃校を利用しながら助産院の開設も考えてはどうか?

市長:あらゆる可能性について協議していきたい。

河野:香取市の基幹産業は農業だが後継者不足や農業離れで農地が遊休地となっていく不安がある。そこで都会から豊かな田舎暮らしを望む人たちを呼び込む施策は?

伊奈部長:農業を志す人向けに経営体育成セミナーなどを行い新規農業従業者をバックアップしている。

河野:その成果は?

伊奈部長:経営開始型の実績として、今年度給付予定を含め3夫婦、8名。29年度からは1夫婦1名が加わる予定でうち二人は移住者。

箱物行政よりもソフト事業の充実を

河野:香取市の場合、行っている事業がばらばらで、周知のしかたも不十分。通勤圏にある東京への高速バスについても、ターミナルの整備に多額の費用をかけるよりも定期券の発行を推進し、その補助を行うとか、駐車場の料金補助などのソフト面での補助事業が必要ではないか。移住についてももっと手厚い補助制度がなければ、若い世代は集まらない。

栃木市の場合、前述の補助制度に加え、移住・定住応援制度が住まい・仕事・教育・保育・医療などの多岐にわたり豊富なメニューをそろえてパンフッレトに掲載しています。

そして懇切丁寧に、栃木市に暮らしたくなったならと、移住までの流れを案内―特に3LDKの家を用意し、1泊2千円、1ヵ月3万円(光熱水費込み)で移住体験もできるようになっています。

県内で住みたい田舎第1位のいすみ市でもソフト面での補助制度が功を奏しているし、移住相談ブースを港の朝市に出して市の担当職員が来場者の相談に乗っています。それに比べ香取市はあまりにも消極的。箱物行政に偏ることなくもっと人口減少対策に本腰を入れて、積極的に情報提供をすべきだと思うのですが・・・

水上スポーツの振興にもっと力を

河野:黒部川という自然の資源を活用しての水上スポーツは、香取市の特色として全国に売り込んでいける。旧小見川町時代から施設整備もされ、中学、高校生の部活としても取り入れられて、全国大会に出場。優勝はじめ好成績を残す選手を輩出している。
黒部川においては、ボートやカヌーの県大会、関東大会あるいは大学生の水上スキー競技大会などが一年を通じて開催されている。さらに、2020年のオリンピックにはボート競技のオランダチームの事前合宿地として候補に挙がっている。
以前は水上スキーのアジア大会も開かれたし、市民参加のレガッタ大会は、香取市になっても継続して開催されているが、一種独特な水上スポーツの振興のための組織体制づくりが必要では?

林部長:現在は、主にスポーツ振興班と事業推進班、小見川B&G海洋センターが中心となって各種大会や事業を展開しているが、今後は水上スポーツ所管組織の強化について検討している。

河野:オリンピックにはカヌーの強化選手も小見川から出ているし、オランダの選手団を迎えるためにもぜひみんなでおもてなしができるよう周知をしてほしい。

こうの節子
香取市議会議員