香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.19「清流」第72号

6月定例議会報告

6月6日から23日までの18日会期で開かれた6月定例議会では、理事者側から提案された6議案と、請願2件、陳情1件を審議。

議案第1号の一般会計補正予算は、歳入歳出それぞれに1億5212万2千円を追加し、総額をそれぞれ368億9212万2千円とするもの。

主な内容は、
*公用車両にドライブレコーダー設置費―338万3千円
*佐原駅周辺地区整備事業(旧清見屋跡地周辺)―1億358万4千円(含む―公有財産購入費―4918万5千円、物件移転補償費―4839万9千円)
*佐原駅北口バスターミナル整備設計業務委託料―2800万円
*認定こども園(佐原地区)整備事業―1147万1千円

尚、この認定こども園の設計業務委託についての補正予算は、場所が確定されているわけではなく議会にも説明されないまま予算をつけることに対し、付託された総務常任委員会でも「場所が確定されてから予算をつけるべきであって、議会に対し予定地の説明もせずに予算だけ通せというのは問題だ」と異議を唱えたのですが、最後まで予定地の説明はなく、「今、交渉中」とのこと。

結局、鈴木議員、河野議員、宇井議員の3名が反対しましたが、賛成多数で可決。
最終日の本会議で鈴木誠二議員が反対の討論をしたのですが、やはり反対6名の賛成多数で可決されました。

議案第2号は工事請負契約の締結について

山田中学校大規模改修工事を※総合評価一般競争入札で石井工業株式会社が落札―契約金額は13億572万円。

※総合評価とは金額だけでなく技術や地域の貢献度などの点数も加えて落札者を決める方法

議案第3号から6号は国保税、介護保険、都市計画税条例の一部改正の専決処分の承認

請願第11 号「中小業者の自家労賃を必要経費として認めることを求める請願」は総務常任委員会に付託されました。この請願は、「事業主の配偶者とその親族が事業に従事したとき、対価の支払いは必要経費に算入しない」という所得税法第56条を早急に廃止してほしい旨の意見書を国や関係省庁に提出してほしいというものです。

国連女性差別撤廃委員会からも日本政府に対し、「家族経営における女性のエンパワーメントを促進するために、家族経営における女性の労働を認めるよう所得税法の見直しを検討すること」との勧告が出され、2015年末の閣議決定で第4次男女共同参画基本計画に所得税法の見直しを盛り込んだとのことでしたが、地方から国を動かすという意味で、賛成の意を示しました。

賛成議員は鈴木、宇井、河野、久保木、坂本。反対多数で否決。

請願12号「香取市残土条例を改正し、再生土による埋め立て事業の届け出・許可制をもとめる請願」は生活経済建設常任委員会に付託されました。

この請願は山田区の山倉区長を代表として、940名の署名をもって出されたもので、以前残土処分場・産廃処分場として埋め立て事業を開始したものの、住民の同意を得られずに埋め立てを中断していた場所や新たなくぼ地や傾斜地などに再生土が埋め立てら れている。住民は再生土の搬出場所の特定・放射性汚染土壌や産廃・有害残土の混入な ど大変心配しているが、千葉県においては指導指針のみでの対応。【近隣他県(茨城、 神奈川、埼玉)では条例で規制】そこで現在取りうる規制強化策として、香取市の残土 条例を改正して、再生土埋め立て事業を届け出・許可制にすることを求めるものです。

この問題は一般質問でも取り上がられ、「香取市内では22か所(佐原5、栗源3,山田 14)あり、うち4か所が稼働中。

3000㎡以上は県、500~3000㎡未満は市の指導」とのことであったが委員会において、「県の条例もなく指導でしかできていない再生土は本当に安全か?住民が納得できる対処ができていない。

県に条例の制定を要望するというが、市の要望はどのように、どれくらいしたのか?」(平松大)の質問に対し、「H28年11月に指導指針を作りそれに基づいて排出確認、追尾調査、土壌分析をしている。3000㎡以上は県で立ち入り調査(県内145回うち香取市68回)」

「香取・海匝地域で協議して県に訴えていく」との答弁「請願に対する市の考えは?」との質問に対して「県の指針ができて1年足らずなのである程度の結果を見ていきたい」とのことで市独自の条例制定というよりも、「県との関係を断ちたくないので、4市3町の協議を優先する」という市の姿勢に、傍聴していた請願者の皆さんは失望を隠せない様子であった。

この請願は、「香取市残土条例を改正し、再生土埋め立て事業を届け出・許可制にすること」を求めているため、議会としては全会一致で賛成、採択されました。そして、議会発議を経て、議会として意見書を市長に提出しました。

河野:実際に山田区での再生土埋め立て地を見て回ってきたが住民の不安が募るのは当然。香取市の残土条例を改正して、独自にでも早急に対処していかなければならない。

税金の公正且つ有効な使い方を求めて―入札、契約制度について問う

河野:公務員は一部の奉仕者ではなく、全体の奉仕者として私たち議員を含め、市長及び職員は税金の公正且つ有効な使い方をするために最大限の努力をすることが、市民との信頼関係を結ぶ上で大変重要なことです。

公共工事は民間工事と比べても積算価格が高く見積もられているということは周知の事実ですので、入札改革によって税金の無駄遣いを防ぐことができるならば、限られた財源をより有効に市民サービスのために使うことができるのではないかという視点から一般質問をしました。

一般に国や地方自治体が公共事業を行うにあたって契約を締結する方法として、一般競争入札、指名競争入札、それと随意契約があります。

①一般競争入札―公告をして条件に合った不特定多数のものに申し込みをさせる方法により競争させ、入札者の中から最も有利な条件(安価)で落札したものと契約を締結する。

②指名競争入札―資力、信用その他の条件に適当と思われる特定多数の競争参加者を選び、競争をさせて最も有利な条件(安価)で落札したものと契約を締結する。(自治体毎に条件に沿って、予めランク付けされた業者を工事の規模によって、指名、競争させるもの)

③随意契約―入札には公告を含め長期間要するので、緊急の場合や少額の予算の場合に限り、見積もりはとるにせよ入札は行わずに発注できるもの

行政は法律に則り、原則として一般競争入札によって事業を発注しなければならず、また、予定価格内で最低価の業者に落札しなければならない。

香取市の場合、3000万円以上の建設工事については一般競争入札を実施し、それ 以外は指名競争入札。そして議会にかけられるのは1億5千万円以上の工事の契約締結 についてのみ。

公共工事の入札は、一般的に役所が積算した予定価格と最低制限価格内の価格であれば、入札事業者間で一番安い価格で入札した業者が落札します。

そして予定価格と落札価格の差を表すのが落札率で、これが100%に近いほど競争性が低下し、入札制度の意味を失います。ちなみに香取市では、予定価格は事前公表、最 低制限価格は事後公表。最低制限価格より下回って入札した場合は無条件で失格となっ ています。予定価格の事前公表により、職員に対して探りを入れるという不正行為が防 止されるというメリットがあるとのことですが、競争性が損なわれていないかは疑問です。

河野:一般的に95%を超えると談合の疑いありといわれる。
平均落札率が高値どまりしているようだが、どのように判断しているか?

総務企画部長:役所側の積算を超えた額ではないので、高いという判断はしていない。

河野:成田市や印西市では、70~80%台での落札。印西市では2億円以上の公園整備工事での一般競争入札があり、最近71.5%で落札されている。
印西市は予定価格も最低制限価格も事後公表にしているので競争性が増して落札率も低く抑えられているのではないか?

総務企画部長:それに関しては、入札に参加されている業者の皆さんの考え方ではないか。予定価格を事前公表することは、ある一定の目安を示せることで、指名業者の皆さ んが失格せずに、その金額の範囲内で競争性が出てくることを期待している。

河野:予定価格の決め方について設計書の作成はどのようにしているのか?

建設水道部長:建築一式工事の場合、設計図書の作成は建築設計事務所に委託し、図面の作成、および数量の積算をしてもらい、その数量をもとに市の担当者が単価を入力し設計書を作る。

河野:予定価格は事前公表されているが、最低制限価格は事後公表。誰がどのように決めるのか?

総務企画部長:最終的には指名審査会を開いて決めていく。(規約によれば2000万円以上の工事については市長が決めるとなっている)

河野:低入札価格制度を導入していれば、最低制限価格を下回っても失格せずに調査委員会で審査して、合格すれば安価で良質の工事ができ、さらに落札率も下がるのではないか?
印西市ではこの制度を導入し、一定の効果を上げているとのこと。

建設水道部長:香取市では総合評価方式による一般競争入札において低入札価格調査を導入している。通常の一般競争入札については他の自治体の状況を見ながら調査・研究していく。

河野:入札制度は地方自治法に則り、時代の流れの中で、国からの指示を参考に各自治体が要綱や規約を定めているので、各自治体によって多少の違いが出ています。今回は成田市や印西市と比べて質問してみました。
予定価格の事前公表は透明性という効果の反面、事業費の高値誘導(税金の無駄遣い)談合土壌の醸成、自由競争の疎外とそれに伴う企業努力の停滞などマイナス効果が大きいともいわれています。
以前視察に行った旧小淵沢の鈴木町長曰く、「絶対に談合させないという自信がない限り、予定価格の事前公表はまやかしの合法的な価格漏えいであり、役所の責任放棄といえる」「民間工事に比べ、公共工事で談合が多いことは、これを許す発注者側の責任が当然問われることになり、『談合するのは業者であり、業者のモラルの問題』などという責任転嫁は許されず、談合阻止への責任の自覚と断固とした姿勢が求められる」
自治体の首長自らの言葉として重みがあるので引用させていただきました。

皆さんからの声

香取市での出産、子育ては負担が多く、孤独である。この現状を、香取市民が、そして市政に関わる方々がどれだけ実感をしていらっしゃるだろうか。

人口は年間千人も減っている。超高齢化で若者への負担が増すばかりの香取市。

「将来香取市に住んで、子育てしたらいい」と私は母親として、子ども達に勧められようか?

そこへ進行しつつある事業が、山田区の橘ふれあい公園の整備事業である。

「生きがい交流館」建設に、近隣施設の倍の広さのパークゴルフ場を作るという。生きがい交流館だけでも十億円もの予算をつぎ込むという話を聞いた私の友人は、「そんなものを作って、香取市から出て行きたくなった」と嘆いた。

維持費は合わせて年間五千万円。一体誰がこれを負担するするのだろう?私はこの莫大なお金を、大切な子ども達に負担せよ、とは言えない。

「こんな金額を背負う位なら、他の市町村で家庭を築きなさい」と促すだろう。

子育て世代は、人口で言えば少数派でしかない。しかし、子どもを持つ親世代の声が市政に反映されないということは、香取市の未来への希望を葬り去るのと同じことなのではないだろうか?(M・K)

こうの節子
香取市議会議員