香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.18「清流」第71号

3月定例議会報告

3月定例議会は、2月23日~3月17日までの23日会期で行われ、年度末の補正予算(先議)のほか29年度の当初予算については、予算審査特別委員会において審議され、最終日の本会議において可決されました。

また、今会議においては議長副議長の選挙が行われ、議長に眞本丈夫氏、副議長に平野和伯氏が選出されました。各常任委員会の編成については殆ど変更がなく、河野議員は総務企画常任委員会に留まっています。(その他病院組合議会議員、成田空港対策特別委員会委員)

3月議会での補正予算は、3億9389万7千円の減額で歳入歳出予算の総額を327億7589万9千円とするものですが、減額の主なものは、山田中学校校舎大規模改修工事に国庫補助金が来ないため、今年度は廃止して29年度に再設定した為、3億8236万6千円の減額、旧清見屋跡地への複合施設については、実施設計にかかわる1億1千万余が減額、その他農業振興費や交付金の交付額が要望額よりも少なかった為道路改良工事や橘ふれあい公園整備事業などで減額補正となりました。

そして、新たな補正予算として組まれたものは、老人福祉施設整備費補助金として江戸川豊成会に5500万円、保育運営委託事業として8133万6千円、生活環境向上施策推進基金積立金に4千万円、水の郷さわら管理運営事業に1億414万7千円(物販施設200㎡増築工事費等)また、年度内に事業が実行できなかった繰り越し明許費は、水の郷さわら施設整備事業や橘ふれあい公園整備事業など12事業、佐原駅周辺地区活性化拠点整備事業の繰り越し明許費は1億9239万6千円から3億8534万8千円に変更。

平成29年度当初予算はまたもや過去最大規模

一般会計367億4千万円で前年度より51億1千万円の増、特別会計は225億4205万円で前年度比7億7万8千円の減、公営企業会計も40億5891万7千円で前年度比4907万円の減。主な増額の理由は、公共施設整備基金として20億円を新たに創設したこと、農業振興費の強い農業づくり交付金事業補助金(芳源ファーム)13億9500万円、臨時福祉給付金2億4千万円、山田区小学校統合事業に5億1050万9千円、小見川中学校大規模改修事業に11億2664万8千円、山田中学校大規模改修事業に4億1525万9千円などがあげられます。

その他、新規事業としては、コンビニでの住民票等の証明書交付事業に348万6千円、民間認定子ども園等(清水保育園、慈母学園)の施設整備にかかる費用の助成3億2212万4千円、放課後児童クラブ施設整備事業(栗源、小見川第3)1億2490万9千円、おみがわ子ども園運営事業8321万5千円、木質バイオマス活用事業790万円、空き家対策事業503万5千円、ユネスコ無形文化遺産登録記念事業1640万1千円、三菱銀行佐原支店旧本館保存修理事業2280万3千円、などです。

今後10年を見通しての第2次総合計画策定について問う

河野:市町村の自主性と創意工夫が期待される香取市総合計画策定は議決事項から外されている。次期総合計画策定にあたって、人口減少、少子高齢化、税収の減少、さらに交付税の算定替えなど厳しい財政状況が予測されるが、現在の総合計画の中で、総合計画が飾り物になって、突然提起される箱物建設事業が目立つ。それらが次期総合計画に負のレガシー(遺産)にならないか?

総務企画部長:検証を行いながら、着実に市民の意見を聞きながら進めていく。

河野:橘ふれあい公園の36ホールパークゴルフ場、旧清見屋跡地の複合施設やホテル誘致、はたまた400床の病院誘致など、市民の方からはどこからそれらの計画が出てきて決まるのかと聞かれるが、それらの具体的な計画はどこから出てくるのか?また次期計画を立てるにあたって検証は十分にしているのか?

総務企画部長:パークゴルフは総合計画の中に謳っている内容。市民のニーズ等も受けながら見直していくのは当然のこと。

河野:市民側からの事業評価はしているのか?

総務企画部長:総合計画審議会において検証結果を報告し、意見を聴取したり、市民意識調査で重要度や満足度等を把握し、その結果を計画に反映している。

河野:(次期計画策定にあたっては)積極的に情報発信をするとのことだがどのような方法で?

総務企画部長:市民ワールドカフェやまちづくりワークショップ、自治会連合会総会などで、この計画の基本方針やスケジュール、アンケートの実施などについて情報発信する。総合計画審議会の会議結果もHPに随時掲載する。

河野:以前は各地区に出向いてタウンミーティングのような形で市民との交流があったが最近は無い。行政が遠くなったとの声も聴かれる。ワールドカフェとは?

総務企画部長:4、5人の小グループで意見を出し合ってメンバーを変えながら話し合うという手法で3~40名を想定している。

河野:3~40名が市民代表ですか?市民の参画をもっと広げるために100人委員会でもよいのではないか?

総務企画部長:現在はそのような考えは持っていない。

河野:もっと市民参加を願うのであれば行政のアリバイ作り的なやり方ではなく、子育て中のお母さんや市民公募(13人中3人選出)で積極的に応募された人たちの意見等も尊重し、十分に市民の意見を取り入れて10年先の香取市を作っていくための総合計画を作ってほしい。

真の文化は図書館を背景とす(伊万里市民図書館の標語)

3月27日、28日と会派の仲間で九州の図書館視察に出かけました。

2013年レンタル大手TUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)に運営を委託し、館内にスターバックスを入れて従来の図書館のイメージを変えて注目を浴びた武雄市図書館と設計段階から市民が参加し積極的なボランティア活動で子どもの読書推進や生涯学習の拠点となっている伊万里市民図書館をセットで視察して参りました。

まず、武雄市図書館は、年中無休、午前9時から午後9時まで開館し、コーヒーを飲んだりケーキを食べながら読書ができるということで、今まで図書館を利用していなかった層も取り込み、来館者数を激増させているようですが、まず入ってすぐ目につくのが、新刊本と文房具の陳列。これらはもちろんTUTAYAの販売品。30万冊という蔵書が並べられた書架は天井まで届く高さで本がびっしり並べられ、どう見ても古めかしい。

しかも最上段の本には手が届かない。歴史資料館は市の直営で一角を展示会場にしていたが、武雄市の郷土資料を保存していた蘭学館はTUTAYAのCD、ビデオコーナーに代わってしまい、レンタル料金を取って貸し出しがされていたのにはがっかり。

2003年に地方自治法が改正され、図書館運営に民間企業が指定管理者として参入可能になったことから、2006年市長に当選した樋渡市長が「トップダウン」方式でCCC社を指定管理者としてリニューアル開館したものです。視察についても5人以上でないと受け入れず、館内での写真撮影禁止。

一方、伊万里市民図書館は、20年前に設立されたにも拘わらず、その設立の段階から大きな違いがありました。

「図書館はそもそも誰のためにあるのか?」伊万里市民図書館は設計の段階から、「伊万里を作り、市民とともに育つ市民の図書館」を旗印に、建築施工主(設計者)、図書館、市民の三者で多くの議論を重ね、図書館づくりについての勉強会(伊万里塾)を8回重ね、竣工式には200名もの一般市民が参加。市長が甘党であったことから、市民がぜんざいを炊き出し、参加者全員にふるまわれたとのこと。その後も「図書館芽生えの日」として毎年2月に来館者にぜんざいをふるまうイベントが開催されている。

私たち会派の面々は、予定より30分早い到着にも拘わらず、盛議長、杉原館長(ともに女性)に迎えられ、その後末次係長(司書)の丁寧な説明と、館内を案内して頂いた。

至る所に市民目線のきめ細かさと、子供たちが夢を描けるような装置や心の豊かさを育む施設、成人の一般書架にもゆっくりと一日この場所で過ごせるような工夫があちこちに施されていて感動しました。

また、郷土史や郷土の偉人の著書なども大切に保存、開示されており、TUTAYAの売り場に化けてしまった武雄市との違いを感じました。伊万里は勿論直営。蔵書は40万冊、図書購入費1800万円、香取市は800万円。

11月には市民の有志とと一緒に長野県塩尻市の図書館を中心とした複合施設「えんぱーく」を視察してきたが、この施設も直営で素晴らしかった。

後世に残せる素晴らしい施設は、市民とともに何度も議論を重ね、しっかりとした理念のもとに設計者とともに作られている。特に、図書館は、その地域の文化、地方自治をはぐくむ拠点であり、将来を担う子供たち、孫たちに残すべき地域の資産である。今香取市では、複合施設の中に公民館や福祉施設、観光施設などと一緒に中央図書館を入れて計画しているが、果たして後世に禍根を残すようなことにならないか?

箱モノは作ってしまってからでは取り返しがつかない。使い勝手の悪さで今でも不評を買っているいぶき館のようになってほしくない。

こうの節子
香取市議会議員