香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.16「清流」第69号

9月定例議会報告

9月議会は決算審査特別委員会が設置され、前年度の決算について審査、できれば次年度の予算に反映されることを要望しました。

27年度香取市の実質収支は(約22億6千3百万)の黒字

昨年度は、8%に増額された消費税が平年度化し、地方消費税交付金として約14億3千5百万円が、そして地方交付税の震災復興特別交付税約12億円を含む地方交付税として約101億3千万円が歳入として入り、人口減少等により年々減少している地方税(83億2千4百万円)を補って、26年度よりも71億円も多い411億円の歳入、380億円の歳出。

歳入から歳出と翌年度へ繰り越すべき財源を引いた実質収支が、22億6297万円の黒字になったわけです。家計の普通貯金にあたる財政調整基金の現在額も約97億円に上っています。

しかし、合併特例債を含む地方債(いわゆる借金)も年々増加しています。地方債の現在高は394億6360万円で市民一人当たり49万5481円の借金、因みに市民一人当たりの積立金は21万4066円です。

河野議員の提言

普通預金に当たる財政調整基金が97億にも上っていますので、そのうちの10億でも20億でも病院の建設基金として積み立てることを提言。

小見川総合病院の建て替えが決まり、来年度から建設に取り掛かることになっていますが、病院の建設に約50億の費用が掛かります。合併特例債も使わず、すべて企業債で賄うとのこと。その2分の1は病院の医師はじめスタッフの負担になりますので、できる限りその負担を軽減し、新たな医師の招聘にも影響のないようにとの思いから提言したのですが、今は組合立なので無理とのこと。しかし東庄町からは、建設費用は出せないので、組合を脱退する旨の意思表示あり。いずれにしても地域医療を担う病院の存続は優先順位としても一番に考えなければならない問題です。
それならとりあえず今後老朽化した公共施設の整備基金として基金を設立してはどうかとの提案には検討するとのこと。

危険空き家対策に市条例制定

昨年12 月議会で鈴木聖二議員が一般質問し、危険、あるいは著しく景観を損ねる空き家対策について、市の取組を質問した際は、国の空き家対策特別措置法が制定されたので、 条例は必要ないとのことであったが、特措法では緊急措置に対応できる規定がなく、強制代執行に行き着くには時間がかかりすぎるとの理由で、市が緊急措置を行えるよう「香取市空き家等適正管理に関する条例」が全員賛成によって可決されました。

現在市には、特定空き家が69戸あり、そのうち緊急措置を必要とするものが11件。空き家対策検討委員会を設置して、空き家基準と所有者を調査し、所有者がわかる場合はまず所有者に通知、助言、指導の後、緊急措置。市が代執行した場合も費用は徴収する。ということで一般会計補正予算にも空き家対策事業費216万5千円(調査委託料等)が計上され可決。

①佐原区小野川辺りの重要伝統的建造物群の真中に位置する危険空き家:10/6フジTVの「とくダネ」で放映されてしまった。

②小見川区356号沿い 子供達の通学路にある危険空き家:台風のたびに屋上の構造物が落下の心配いずれにしても行政代執行により一日も早く危険を取り除いて欲しい建物です。

お知らせ

可燃ごみ指定袋が値下げ、年内実施予定!

現在3種類の可燃ごみ用の袋を2種類に集約―大袋(40㍑)と小袋(25㍑)。
将来的に住民からの要望があった場合は種類を増やす。
改正料金は広報かとり11月1日号に掲載予定。

小見川南保育所が廃止に

入所児童数の減少に伴い、年齢別の成長と発達に応じた保育並びに食育の推進に重要である集団保育体制を確保することが困難となったため。
現在入所している児童や南地区の入所希望の児童については、29年4月開園予定の「おみがわこども園」や東保育所に希望に応じて通えるよう優先度を高くするとのこと。

県立佐原病院の存続なるか?

香取地域医療の在り方に係る調査・検討委員会

6月6日を第一回として9月20日まで4回の検討委員会が開かれた。香取地域医療の現状分析、課題と対策等コンサルの提示する資料を元に会議を進め、第三回に事務局から示された地域医療に対するたたき台を各委員がチェックし、最終日に議論のまとめ(案)を了承しました。

検討委員会では、地域医療体制の充実に向けた課題と対策として、医師不足の現状―新医師臨床研修制度の影響で大学医局の人事権が大きく損なわれ、特に小児科や産婦人科といった特定の診療科においては、医師を個別の病院に派遣することは困難な状況。旭中央病院のような規模の病院に集中的に医師を派遣し、地域医療を確保せざるを得ない状況。
救急医療体制についても医師不足が問題。

医師不足への対策としては―
①病院において幅広い疾病領域をカバーできる医師育成のため、大学寄付講座の設置や専門医研修プログラム作成支援など市内の病院と連携した医師研修体制の整備を検討する。

②“ワークライフバランス”を重要視する傾向にある若手医師をリクルートする為の財政支援を含めた何らかの行政支援を検討する。

③「かかりつけ医」を持つことを推奨、啓発し、市民が安易に最初から中核病院を受診して勤務医が疲弊することのないように、労働環境の改善を図る。

④医師の指示のもとに高度な知識や技能が必要な医療行為ができる『特定看護師』の有効活用を積極的に検討する。などが提案されていましが、特に目新しい打開策は示されず。

『香取地域が連携して対応すべきこと』「香取市」「医師会」「香取市内の病院」「香取市民」それぞれの対応策がまとめられた上、香取地域医療が抱える課題の抜本的改革の方向性として、
①病院の再整備(建て替え)による機能の充実―老朽化した県立佐原病院の再整備を含む存続

②病院の統廃合による再編・ネットワーク化―県立佐原と小見川総合の両病院の経営主体の統合

③新病院の整備もしくは誘致―香取市が主体となって県立佐原病院の代替施設となる新病院の整備もしくは誘致による抜本的改革が事務局より議論のまとめ(案)として示されました。

これらの3つの方向性案についてはそのどれもが容易な解決策ではなく、委員中より、「これらが並列にあるのではなくまずは県に対して、県立佐原病院の存続充実を第一に考えて県と話し合うべきである。」「医師会としては県立と小見川総合の両方を存続させるため県立の存続が第一義的」という意見が出されていました。

しかし、議論のまとめ(案)では、5、さいごに として「県立佐原病院の医療充実については10年間以上県に要望し続けてきても抜本的改善が見られない」ので「香取地域医療体制の早期充実を図るための手法については、既存の病院の統廃合による再編や香取市が主体となって県立佐原病院の代替施設となる新病院を整備もしくは誘致するなど、抜本的な改革についても検討していく必要がある。」

「今後は、香取市と千葉県(健康福祉部や病院局)が協力し、その手法を検討するための新たな枠組み作りが必要不可欠であり、市民が安心して暮らせるための医療提供体制の充実が早期に図られることを望みます。」
というように、議会においての市長答弁を想起させる文章で締めくくられております。

市長の考えは、「佐原病院の整備が十分に進まない場合、400床クラスの民間総合病院の誘致や整備を目指す」とのこと。また、県立病院に要望してきた「救急医療や小児・産婦人科については民間病院に対してもないものねだりはできない」
とのことで、県立病院ではできない医療を民間病院に求めるという従来の目的からの変化が議会答弁で語られています。

多額(一千万円)の費用を払ってコンサルに委託して出来上がった市の有識者による調査・検討委員会の報告書は、9月29日岡本委員長より宇井市長に手渡され、一か月後をめどに県に要望書として提出されることになっています。

傍聴しての感想

医療体制の充実は、合併当初より市民の一番の要望であり、私(河野)も合併後すぐの議会において市内の医療機関の連携体制を求め、協議会の設置を要望していたのですが、ずっと叶わず今回やっと開催。しかし4回の会合でまとめることには無理がある。また、この十年の間に状況はかなり変化している。しかし委員会でK病院長が言われたように「これからはまた医療環境は変化する。成田の国際医療大学とも連携し、関連病院として医師の招聘も可能になる」のでは。

市民の願いである県立佐原病院をいかに存続させるか、県との交渉の仕方にも工夫と熱意が必要。

コンサルから出された資料には、病院の再編ネットワーク化や整備、誘致の成功事例が紹介されていたが、委員の一人である民間病院の院長の発言が現実的。

「ここに出ている民間病院は私の所の法人だが、都心だから成功したのであって香取市のように一時間に一本しか電車の通らないようなところでは無理」

医師不足対策について委員中より、「奨学金を出して地元出身者を育成したらどうか?」 「思い切った財政支援を」という意見が出されたが、私(河野)も以前長期展望に立って医師を育て、地元に帰って貢献してもらうためにも奨学金の設立を市長に求めたことがあった。そのとき市長はそのつもりはないとの返答であったが、今からでも遅くはないのでは?

大学への寄付講座設置も今回提案されている。是非とも積極的に検討してほしいものです。

みなさんからの声

私は佐原在住の八十過ぎの独居老人です。二ヶ月前の夜七時過ぎに急に血圧が195まで上がり、立つことも歩くこともできず、電話で了解を得ることもできないまま、急遽タクシーで県立病院の救急に行きました。その時のお医者さん、看護師さんの丁寧でやさしい対応に、不安で心配だった私の心は、ほっと落ち着きを取り戻しました。その結果、安静に休むことが一番だという先生の説明でしたが、「一人で家に帰ると又不安で落ち着かないでしょうから、ここのベットで休んで行きなさい。」ということで二時間弱の時間、病院のベットで休ませて頂き、血圧140まで下がった時点で帰宅しました。私はその時、夜間救急がいかに私達市民の命を守ってくれるか、しみじみと実感しました。重症の方、軽い病人の方々が次々と来られましたが、どの方に対してもきびきびとやさしい対応をなさる先生、看護師さん方に本当に感謝と尊敬の念をもちました。

開業医の先生方は、一日中多忙な診察に追われていますので、夜の治療はお願いできません。

救急については今後とも絶対に必要な県立病院を存続させて、私達市民の命を守ってほ しいと思います。一度でも診療を受けられた方々すべて、そう思われていると思います。 どうぞ、その為にもご努力されますことを心からお願い致します。(W)

こうの節子
香取市議会議員