香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.15「清流」第68号

6月定例議会報告

6月6日より24日までの19日間会期で開かれた定例議会では、
1号議案―一般会計補正予算―歳入歳出それぞれ4160万4千円を追加し、総額を316億7160万4千円とする。
主な内容は、*防犯灯LED化自治会助成金119万2千円(瑞穂団地、吉野平、九美上)
*放課後児童クラブ施設整備事業106万1千円(栗源児童クラブを保健センターに移設のため)
*土地改良事業536万8千円(三ノ分目船泊の門扉補修)
*海洋センター管理費3256万2千円(栗源B&Gのプール、体育館工事)

2号議案―下水道事業特別会計の補正予算―歳入歳出それぞれ980万円を追加して、総額を22億4380万円とする。

3号議案―市議会議員および市長の選挙運動の公費負担に関する条例の一部改正

4号議案―放課後児童クラブの設置及び管理に関する条例の一部改正

5号議案―財産の無償譲渡(旧小見川北小利北分校 管理・教室等及び配膳室)

6号議案―財産の無償貸し付け(旧小見川北小利北分校跡地)就労移行支援可能な障害 者支援施設㈱グッドライフ(代表取締役高根実)に施設は譲渡、土地は30年の無償貸与

*諮問3件は人権擁護委員候補者の推薦について、任期満了に伴い議会の意見を求めるというもの―篠塚悦子氏、椎名正男氏、繪鳩寛氏

追加議案
7号議案―工事請負契約の変更―水郷町ポンプ場建設工事(1工区)設計変更―908万8200円―(常総開発)

8号議案―水郷町ポンプ場建設工事(2工区)設計変更―1118万3400円(前田建設)

いずれの議案も全員賛成により可決されました。

請願陳情については、「TPP協定を国会で批准しないことを求める意見書の提出を求める請願」「中小業者の自家労賃を必要経費として認めることを求める請願」が出され河野議員はいずれも賛成。陳情については、「子育て費用の家計負担軽減化を図るために保育料の低減化を求める陳情」と「保育士不足を解消するため、保育士の処遇を大幅に改善することを求める意見書の提出を求める陳情」に対し賛成の意を表明しました。

県立病院がなくなる?(part2)

3月議会以来、宇井市長は佐原駅北口に県立病院の代替施設となる400床規模の民間病院を誘致したい意向を示して来られました。

そして、「地域医療の在り方調査検討委員会」を立ち上げ、6月6日に第一回検討委員会 が開かれました。(委員は15名)その冒頭の市長のあいさつでも、「この十年間地域医療の充実が叫ばれ、周産期や小児科の入院体制、夜間の救急受け入れなど県立病院の整備を県にずっとお願いしてきたが、ままならず。県の保健医療計画では、県立病院は特化した医療を提供し、地域医療については地元の自治体もしくは民間にゆだねる旨が書かれている。このままあと十年待っているわけにはいかないので、佐原駅北口の県の土地を市で取得して、400床規模の民間病院を誘致したい。そこで、地域医療の在り方検討委員会で現状と課題を理解したうえで様々な角度から議論していただき、方向性を取りまとめて欲しい。その報告を最大限尊重し、基本構想に反映したい」と熱弁をふるわれました。

当日約30名の傍聴者がおられましたが議員も4名傍聴。そして6月議会でもこの病院構想について活発な質問がされました。

香取市民 間病院整備構想~病床過剰で県「増床不可」~

H28年6/17読売新聞より転記

香取市が検討している400床クラスの民間病院整備構想について、県は16日、県議会健 康福祉常任委員会で、同市を含む「香取海匝保健医療圏」が病床過剰の状態になっていることを根拠に、「原則病床配分できない」との見解を示した。地元市議会でも構想を疑問視する声が上がっている。

香取市の宇井成一市長は「400床クラスの民間総合病院の誘致や整備を図りたい」との 方針を示している。しかし、県が今年3月に改定した保健医療計画では、同医療圏は478床が過剰。例外として高度医療などの特例病床を認める制度があるが、過去10年で特例増床が認められたケースは、旭市の国保旭中央病院の1件(33床)だけで、目的は、がん医療などの充実だった。

14日の香取市議会定例会でも、一般質問に立った議員から「病院を造れるのか」、「医師を確保できるのか」といった発言があった。市側は「(病床数は)医療圏内で調整も可能」、「医師の招聘は民間病院(が対応する)」とした。市は有識者の調査検討委員会で、こうした論点を詰め、9月以降に構想の骨格を固めるという。

参考資料

*県の保健医療計画に書かれている「県立病院の将来方向」

○県立病院は医療圏内で完結することができない高度専門的な医療について全県及び複数圏域を対象とした医療機能を担っていくことを基本とする。

○一方、これまでの県立病院が担ってきた地域完結型の一般医療については、県民の理解を求めながら、地域の事情に応じて小回りの利いた医療サービスが提供できるよう地域の自治体などが中心となり、新たな医療提供体制の枠組みへの再構築を進めることとする。

○新たな医療提供体制が整うまでは、これまで県立が担ってきた地域医療の水準が後退しないよう十分に配慮し、こうした地域の自治体の取組を積極的に支援する。

○災害に備え、老朽化・狭隘化等が課題となっているがんセンター、精神科医療センター及び佐原病院の施設整備等を行い、県立病院の病院機能を一層強化し、災害時医療救護活動等の機能担っていく。

*この様に県の保健医療計画には県立佐原病院をなくすとは一言も書かれていません。

果たして400床の民間病院誘致は可能か?

厚労省の指示に基づき県では地域医療構想がたてられ、人口動態等を鑑み、各二次医療圏毎に平成37年における必要病床数を算出しています。

それによると香取海匝医療圏の現状では、478病床が過剰となっており、新設病院はできないことになっています。

ですから、「新設ではなく県立病院の代替施設として、県立が閉院したらすぐにその240床を引き継ぐという形で開院できるようにする」(市長弁)のだそうです。
県はまだ県立病院の閉院ということは一言も言っていません。

さて、それにしても心配なのは、市長が力説されている周産期医療と小児科の入院、夜間の救急という今まで県立に整備を要望してきて叶わなかった医療体制ですが、果たしてその機能を備えた民間病院を誘致できるのでしょうか?

特に周産期については、小林院長、寺本院長によれば、過酷な業務のため、千葉大からも8人体制で集約して送られているので、香取市がいくら要望しても無理とのこと(検討委員会での発言)

県立病院の産科がなくなって以来香取市内で出産ができなくなっていますので、本当はあってほしいと望むものですが、リスクを伴う産科の医師になり手が少なく、更に8人でのチームでなければできないとなるとまず叶わないのではないでしょうか。(であれば、香取市として出産を控えた妊婦に対する助成を別の方法で考え、市外の病院の病床契約など便宜を図ることはできないものか提案したい。)

医療体制の充実は合併当初より、市民の一番の願いでした。それでは、民間病院が来ればその充実は果たされるのでしょうか?

そこで、14日、15日の本会議において、香友会の鈴木聖二議員と河野議員が一般質問で具体的に質問しました。

鈴木:県の保健医療計画の改定が二年延期され、一部の改訂がされたとのこと。それは何か?

福祉部長答弁:医療構想が中に入ったことで、県立佐原については改定されていない。

鈴木:では県立佐原病院の行く末が決まっていないこの時期に、なぜ新病院誘致を発表しているのか。

市長答弁:方向は決まっている。つまり地域医療は市町村または民間に委ねるということになっているが香取市で(県立病院を)受けるのは困難。まずは小見川総合病院を建て直して経営を堅持するのが第一。県立については県と話しながらできるだけのことをしていこうというのが話の発端。

鈴木:医療体制が整うまでは県立の医療水準は落とさないということも明記されている。県立の行く末が決まっていない時に香取市が自前で病院を整備するというと県に誤ったイメージを与えてはいないか。

市長答弁:県の医療計画を待っているわけにはいかない。香取市民のために一刻も早く提言したい。

鈴木:(県立病院は)災害時には拠点病院に指定されている。耐震工事が中止になった時、即、県と協議はしたか?

福祉部長答弁:特にしていない。

鈴木:人の命を守る為の耐震工事が中止になったのに何故協議しないのか?

福祉部長答弁:検討委員会でいろいろな角度から検討してから県に要望させてもらうつもり。

鈴木: 新設病床はできないはずだが他にできる方法はあるのか?

福祉部長答弁:香取海匝医療圏域内で病床を移すこともできなくはないが不確定。県立病院が建て替えれば240床を代替できる。

鈴木:400床の根拠は?

総務部長答弁:安定経営が可能な病床数で、一般的に400床が誘致には必要。

鈴木: 医師の招聘はどのように考えているのか?

市長答弁:誘致を図って応募している段階で手を挙げる民間病院がきちっと確保できるのかを見ていく。

鈴木:病院の建物は市が建てるのか?

市長答弁:構想という段階でまだ県にも話してはいないが県立の代替施設として、東金の東千葉メディカルのように県からの補助金、市の補助金、足りないところは民間に負担してもらう。土地は県から市が取得して、無償で貸し出す。

鈴木:北口に誘致するとのことだが400床の病院には狭くないか?駐車場の問題もあるが。

総務部長答弁:今年度予算で北口、南口整備計画があるのでその中で整合性を図りながら考えていく。

― 続いて、河野議員の質問―

河野:市長は正式に県に話をしているのか?

市長答弁:まだしていない。小見川総合病院の単独での建て替えが決定し、あとは県立について、11年経っても進まないので私案として北口にこういうものを誘致してもよいのではないかと、今後県に正式に持っていければという思いで協議会を立ち上げ、その結果をもってどうするのか決めたい。県の代替施設なので県が優先すべき話である。県が確実に内容を改善して医師数を倍増するとか、老朽化した施設を改善してくれればいいが。

やっぱり産科は無理?

河野:市長の誘致しようとする民間病院は、周産期、小児科の入院、そして夜間の救急という今まで県立に求めてもできなかった機能を備えているのか?

市長答弁:分娩業務を含めた周産期や小児科を行うがための400床病院ではない。要望はするが地域医療を担う為の現状改善策としての施策であり、ないものねだりをするための施策ではない。

河野:香取海匝医療圏での病院機能連携、更に自治体間の連携は十分に取れているか?

市長答弁:小見川を核として旭中央、県立、東庄、多古などとの連携を取り医師の派遣もされている。また香取海匝のみならず印旛や茨城南部も医療圏に含んで地域医療の連携をしていく。

河野:小見川総合病院と県立佐原病院は今でも機能連携して香取市民の医療に寄与しているが民間となるとそうはいかないのでは?

市長答弁:今も県立の存続はお願いしているが、民間になれば形態は変わる。しかし、ある意味形態は変えるべき。

河野:県立だからこそ、需要がある以上撤退はしないが、民間は採算が合わなければ即撤退してしまう危険がある。(県立病院となら連携体制ができていた地域の開業医の皆さんは、400床の民間病院誘致について果たしてどうお考えだろうか?)

小見川総合病院建設に合併特例債の活用を

河野:小見川総合病院の建て替えについて基本設計が出来上がり、来年度にはいよいよ建設工事に取り掛かることになっているが、建設費45億の財源について、以前の部長答弁でも特例債の活用を検討することになっていたので改めて確認したい。

総務部長答弁:現在把握している特例債の活用事業の総額が、発行上限額を大幅に超過しているため、病院事業のように元利償還金が地方交付税措置されるもの等については、特例債を活用するかどうか逐次見直しているので、全体のバランスを考えながら検討していく。

河野:小見川総合病院はかなりポテンシャルが高い。しかし病院建設にあたっては、できるだけ病院の負債を少なくしておかなければ、医師の負担が大きすぎると医師が辞めてしまいかねない。そこであらゆる補助金はもとより合併特例債も活用して、まずは医師や職員の負担を軽減するよう考えてほしい。

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