香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.13「清流」第66号

香取市が工事締結案撤回

◆千葉日報(H27.9/17)より転載◆
《3倍に膨らんだ公園交流館建設費問題》
縮減視野に再検討へ

香取市は16日、市議会9月定例会に提出した「(仮称)生きがい交流館」工事施工協定の締結案について、撤回する方針を市議会に伝えた。同日開かれた市議会運営委員会で明らかにした。議決2日前での異例の決断で、市側は規模の縮減も視野に、再検討が必要と判断した。市議会事務局によると、市が定例議会にいったん提出した議案を取り下げたのは初めて。

9月定例議会報告

8月25日より9月18日までの22日会期で開かれた9月定例議会には、《6億3937万円を追加した一般会計補正予算》《特別会計の補正予算》、マイナンバー制度導入に伴う《個人情報保護条例の一部改正》《手数料条例の一部改正》の議案が提案され各常任委員会に付託されました。

この他、当初、第12号議案として「橘ふれあい公園の(仮称)交流館建設に関する業務委託―工事施工協定について」が提案され、経済建設常任委員会に付託されていました。
また、H26年度の決算審査特別委員会も開かれ、昨年度の決算については3日間にわたって審査、最終日の本会議で認定されました。

さて、『清流』前号で皆さんにお知らせした「橘ふれあい公園の交流館建設費が当初より約3倍に膨らんだ件」で、多くの市民の皆さんから「新国立競技場と同じだ」「議会でも、もっとしっかり議論して欲しい」という声が寄せられていました。

『香取市が工事締結案撤回』は本当に異例のことであり且つ重大な意味を持つ決定ですので、ここに至るまでの今議会の報告を致します。

先ず、当初より約3倍に膨らんだ建設費、香取のショールーム機能を持たせ、年間7万人の集客を見込むとのことで2階建てに変更された(仮称)交流館の15億1545万円という補正予算が6月議会で賛成多数により可決された後、
<8月18日>
議会全員協議会が開かれて、総事業費が約31億円になるとの報告がありました。

<8月25日>
9月議会には、『交流館』の工事施工契約案件が12号議案として提案されていました。つまり、市はUR都市再生機構に15億1545万円で交流館の工事を業務委託する協定を結ぶ為、議決を求めていました。

<8月27日>
宇井議員、河野議員が12号議案についての質疑
問「当初の計画から大きな方針変更の詳細な説明が必要ではないか」
答「(仮称)生きがい交流館の計画を踏襲しながら、パークゴルフ場のクラブハウス、公園の管理機能を加え、更に香取市のショールームとし、市外からの訪問客を誘導する施設として整備することにしたもので、パークゴルフ協会の人や高齢者クラブの声も聞いた」
問「URとの随意契約を結んだ経緯や委託業務の内容、発注の方法は?」
答「魅力ある施設にするため設計の段階から総合的なコーディネートが必要でURは公園建設に実績のある唯一の公的機関であるから。
公園の設計、測量、地質調査等をH25年度に、交流館の基本、実施設計をH26年度に委託した。入札も発注も、URの基準に基づきURが行う。」
問「URに支払う1億1千余万円の内訳は?」
  答「工事管理費に約4千万円、URの事務費に約7千万円」
問「当初の計画から大きな変更があるのだから、議案を出す前に市民や議会に対しての説明会を先にすべきではないか」
答「説明会については市民にも事あるごとに行っていく」

質疑の後、12号議案は経済建設常任委員会に付託された。

<9月1日>
宇井議員、鈴木議員の一般質問で、『大幅な計画変更』が再度指摘され、「2階の展望デッキは不要、『(仮称)いきがい交流館』当時の木造平屋で十分」と計画の見直しを要望するが、「あくまで機能を拡充しただけで、計画を変更したわけではない」という市側の答弁と議員側の意見は平行線のまま。

<9月2日>
河野議員の一般質問(香取市ホームページ市議会の本会議録画又は11/1発行の議会だよりをご覧ください)

<9月10日>
決算審査特別委員会で関連質問

<9月14日>
経済建設常任委員会「なぜここにこのような大規模なものが必要か?老人福祉センター機能だけで市民が楽しめる物で良いのではないか?」「ゴルフ場でも18ホール。老人がやるのに36ホールは必要ないのではないか?」(URの入札結果等の資料を元に)「事業推進協議の為の資料作成を日本工営に399万6千円で委託しているが、地元説明会の為の資料か?」 「設計業務についても日本工営が、他社よりも1千万も高額で落札している。市に発注権もない。そのようなやり方のURをなぜ選択したか?」「『交流館』の2階展望デッキの建設は市民の要望か?」「交流館の設計業務は遠藤設計が他社よりも高額の2775万円で落札。更に建設積算が二葉積算で更に280万8千円と別に発注しているが、これはUR独特のやり方か?だから金額が上がっているのでないか?」など2時間にわたる質疑の後、根本議員、平松大議員の反対討論

「役所の判断で市民の意見を聞いていない。急ぐ必要はないので、今一度修正して新たに提案すべし」「作ることに反対はしないが、将来に禍根を残さないよう、身の丈に合った施設が必要」
その後採決を図り、賛成3名《田山、高岡、木内各委員》反対3名《根本、平松大、伊能各委員》の同数により、小野委員長裁定で12号議案は否決されました。

本来、この12号議案は、最終日の本会議で委員長報告の後、質疑、討論を経て採決される予定でしたが、急遽、市長より「議員の諸氏のさまざまな意見等を踏まえ、建設費縮減を視野に再検討する」という理由が述べられ、この議案は撤回されました。

そして鈴木議員の質疑に対し、公園内で計画されている他の施設についても市長は『全面的にチェックし直す』と答弁されました。

議案撤回に対する河野議員の賛成討論

「議案撤回ということは、異例のことであり、市長の言葉を借りれば、委員会での反対の立場の議員の意見を真摯に受け止めたということですが、車の両輪としての議会も市の施策が本当に市民にとって納得のいくものにするために、また市民の税金が適切に使われるようチェック機能を発揮していかなくてはなりません。

その意味において、議会の使命と責任を果たすべく真剣に取り組んだ結果であり、且つ二元代表制の一翼を担う議会が市民の声を代弁してチェック機能を行使できた初めての大きな成果であるということは言うまでもありません。

そしてこれがスタートで、この事業の成り行きについては無論、ほかの事業についてもしっかりと議会の役割を果たしていくべきと思います。

この議案については、今議会当初より、上程される前に三か月で三倍になった建設費や二階建てになったこと等市民への説明と議会への詳細な説明もなく上程されたことに問題があったので、今後このようなことが二度とない様対応して頂くことを要望し、議案撤回についての賛成討論といたします。」

何故河野議員は12号議案に反対したか?

この議案は、橘ふれあい公園(仮称)交流館の建設に関する業務を15億1545万円で独立行政法人UR都市再生機構に委託協定することを締結するというものです。

私(河野)は、この12号議案の工事施工協定には反対ですが、山田区の皆さんが期待を寄せる橘ふれあい公園の整備に反対するものではありませんし、交流館の建設についても、身の丈に合った、皆さんが使いやすいものにすべきだと思っています。

反対の理由

もともと「牧野の森基本計画」から発した橘ふれあい公園整備計画は、たまたま東日本大震災で使用不能となった老人福祉センターの代替施設建設も加わって、市民参加で計画が造られ、25 年9月に私達議員に基本計画図が示されました。

その時の交流館は木造平屋の設計で、周囲の景観にも馴染んでいました。

しかし、それが都市整備課に担当が変わり、UR都市再生機構に公園等の設計業務を委託する随意契約を結んで以来、まさに市民不在の行政主導で進められ、議会に対しても当初の事業からの大幅な変更についての説明がありませんでした。

ましてや、議会の正式な答弁で3月議会まで交流館建設費5億6千万円、総事業費18億5千万円と言っていた訳で、それが急遽三倍になって発表され、承認させようとすること自体、あまりにも議会軽視と言わざるをえません。

建設費が坪単価250万円という豪華な交流館について、特に二階部分の展望デッキなどについては市民の要望ではなく市の提案とのこと。またパークゴルフのクラブハウス機能を備え、市内外からの集客を4万3千人と見込んでいるとのことですが、民間で必死に努力しても2~3万人と言われています。交流館だけで7万人の集客を見込み、公園全体で14万人という数字を提示されましたが、建物を建てたからと言って人が集まるわけではありません。

ましてや生涯維持管理費は建設費の四倍かかると言われますので、もし総事業費が31億であれば約120億円となってしまいます。

また、URとの随意契約により、測量、設計等全てUR任せで入札が行われています。発注者側の市が、市民の税金を使って行う公共事業にもっとシビアになるべきです。

今回の財源は合併特例債で賄われることになっていますが、今のまま行けば交流館だけで単純計算で5億円、総事業費は31億円とのことですから、その3割、約10億円が借金となって後世に残ります。更に建ててからの維持管理費は毎年市の財政を圧迫することになり、自ずと市民サービスの低下が予測されます。

そこで私は、今回の交流館建設については、今一度計画を見直し、身の丈に合った施設にすべきと考えます。

老若男女、みんなが楽しめる公園整備を求めて36ホールのパークゴルフ場が計画されていますが、競技としては18ホールでも可能ですし、健康増進施設としてみんなが楽しめる安全で維持コストがかからない施設であれば、グランドゴルフの方がプレー人口も数10倍と言われています。

また、子育て支援施策を重視するなら、子どもたちが自由にのびのびと遊べるようなプレーパーク、牧野の憩いの森には高学年向きのアスレチック、平地の公園には低年齢の子供たち向けのアスレチックなどを整備して、親子連れや、学校、幼稚園、保育園の子供たちも楽しめるような公園の整備計画を、市民参加で作っていけたら素晴らしいと思うのですが・・・。

皆さんからの声

私達の望む橘ふれあい公園を!!

「どうしてこんな事が!」清流を見た子育て世代の親の声です。建築費・維持管理を考えたら、とても許せるものではありません。

鉄道も国道もない緑と自然が自慢の地域に、場違いに大きく立派な建物は必要でしょうか?また、莫大な費用は、若い世代の負担となります。地域・地形に合った施設で、子供達や高齢者が、自然の中でスポーツや森林浴やキャンプ等を楽しむ。桜が咲き、鯉のぼりが舞う。利用する人が、其々思い思いの工夫で一日を楽しく過ごす。そんな場所で在ってほしい。コンパクトで誰もが気楽に立ち寄れる「温かみのある《生きがい交流館》」とパークゴルフコースを含めた憩いの広場が、一日も早く建設稼働される事を強く望んでやみません。
山田区の一市民より

こうの節子
香取市議会議員