香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.12「清流」第65号

6月定例議会報告

6月2日~19日までの18日会期で開かれた6月定例議会には、一般会計補正予算案の中に橘ふれあい公園整備事業の継続費補正で「(仮称)生きがい交流館」の建設費15億1545万円が初めて議会に提案されました。

議会に先立ち、5月26日に開かれた全員協議会において、初めて交流館の設計図、完成イメージ図、建設費等が示され、あまりの建設費の膨大さに、どの議員も驚きを隠せない様子でした。

というのも、3月定例議会の鈴木議員の一般質問で、市の部長答弁は「変わることもあるとしながらも総事業費は18億5千万円。交流館の建設費は5億6千万円、公園整備費等に10億4千万円、委託料2億5千万円」とのことであった為、交流館の建設費だけで15億1545万円と約3倍にもなっていたからです。 6月15「日に開かれた総務企画常任委員会において、建設費が約3倍になった理由を尋ねると、

*地盤強化で2億円*資材・人件費の高騰で1億円*住民要望による面積増で3億円* 耐火耐震化で1億円*バリアフリー・ガラス張り等の自然光取り入れ・展望デッキ設置 等で2億円、増額になるとのこと。

市の説明によれば、年間7万人の利用者を見込んだ魅力ある、公園と一体となった複合施設としてステージ付きの市民ルームや大浴場、シャワールーム等パークゴルフのクラブハウス的な要素を含め、更にいくつもの会議室や展望デッキ等を備え、観光客の誘致を図るとのこと。

この事業はUR都市機構に全面的に委託されている為、このような基本設計が提案され、議会には、この6月議会に初めて継続補正予算として提案されたのです。

≪3ヵ月で建設費が3倍

千葉日報(H27.6/16)より転載

香取市が旧山田町地区の橘ふれあい公園(同市仁良)で進める整備事業で、2017年3月に完成予定の「(仮称)生きがい交流館」の建設費が、市が3ヵ月前に示した額の3倍に上っていたことが15日、分かった。同日開かれた市議会総務企画常任委員会で明らかになった。常任委の採決で、交流館の建設費が盛り込まれている一般会計補正予算案は賛成多数で可決した。交流館の建設は、来年度までの2カ年継続事業。

委員会における質疑応答

問 交流館の建設費が5億6千万円から約3倍になった基本設計の内容は市側の要望か、URの提案か

答 URとはよく話し合って市の要望を入れてもらったが、市の内外からの集客力を高める魅力ある施設にする為、このような設計になった

問 重複する機能の会議室や展望デッキ等市側の要求項目を減らして工事費の削減を図るべきではないか

答 市としても減らす努力をした結果、この金額まで縮小したものですので理解して頂きたい

問 基本設計を見直す考えはないか

答 このまま実施設計に進めていきたい

問 公園全体の総事業費は(30億とも40億とも言われているが)、どのぐらいになるのか

答 まだ明確な数字が上がってきていない

問 年間の維持管理費はいくらを想定しているのか

答 交流館の維持管理費は年間1300万円、パークゴルフ場(36ホール)は約3000万円を想定している

問 交流館建設予定費15億1545万円の財源内訳は?

答 合併特例債と一部県の振興交付金

問 交流館の建築業者の入札は市が行うのか、URか

答 URに委託してあるので建設工事もURが発注する

問 市民の要望で建設面積が拡大したとのことだが、どのような要望があったのか

答 高齢者連合会からの市民ルームのスペースの拡張要望以外は、市の方で機能を拡充した

問 このような施設の基本設計になって、市民に対し事業費や財源等も含めきちんと説明しているか

答 していない

問 URと話し合って市の要望も入れてきたとのことだが、URの提案に合わせたのではないか

答 基本的な構想は市、専門的な部分はUR提案

質疑者 鈴木聖二議員/河野節子議員

討論 (河野節子)

(補正予算の中に、初めて橘ふれあい公園整備事業の継続費補正が組み込まれて提案さ れ、3月議会での部長答弁では5億6千万円との事であった交流館の建設費が、15億 1545万円と言う約3倍の金額になっている。)

『均衡ある発展を願う山田区の皆さんにとっては期待する事業であり、交流館の建設について反対するものではない。しかし、香取市の将来を考えると、合併特例債と言えども3割は借金に変わりはない。そして、これからの多額の維持費を考えると若い次世代の市民に負担を負わせることになる。市長も常日頃言われているように身の丈に合った施設の建設にすべきであり、設計の見直しを求めて補正予算の継続費補正には反対。』賛成討論無し

委員会での採決の結果、賛成多数で可決。(反対は鈴木、河野)最終日の本会議において鈴木議員が反対討論をしましたがこの議案に反対したのは4名(鈴木、平松大、久保木宗一、河野)のみで、賛成多数の可決となりました。

旧小見川西中跡地への特別養護老人ホームの建設用地変更

昨年の9月議会で一般質問し、『清流』63号でもお知らせした旧西中跡地の土地の使い方ですが、当初(H25.8月)議会に説明された特養の誘致についての建設用地は図①、そして公募の書類で示された建設用地は図②、その期間の変更については議会に何ら報告なしで進められていた為、昨年9月議会で「市有地は市民の財産―使い方に問題あり」として同志と共に変更を強く要求していたのですが、「その後、地区住民にアンケートを実施。再考の結果、現行の建設用地(図②)では市有地全体の有効活用を図るのが難しいと判断。

県に対し、建設用地の一部が廃棄物最終処分場の敷地境界より100m以内であっても特養施設の建設が認められるよう現地視察を行ってもらい、千葉県の内部規定で要件を満たすことができたので、図③のように変更する」ということが5月26日の議会全員協議会で報告されました。

旧清見屋跡地に何ができるの?

H20年佐原駅周辺活性化推進委員会からの要望書により、清見屋跡地及び日通駐車場を市が取得し、賑わいの再興に寄与する施設整備をはかるということでH24年新規事業として「仮称まちおこしセンター」整備事業が加わりました。

H25年3月には、経済効果4億円、6万人の集客を見込む「(仮称)まちおこしセンター構想」が示され、総事業費16億円を予定。実施計画の予算措置までされていたのですが、その計画は白紙に戻り、新たな案が先日5月26日の議会全員協議会で示されました。

基本計画の見直し
『H25年5月に策定された「佐原駅周辺地区活性化拠点基本計画」は、その後の市民アンケートや庁内の意見調整によって、導入施設を再検証、基本計画を見直すこととした』と言うことで、導入検討施設の概要が示されました。

施設の構成については、【佐原駅周辺地区活性化拠点基本計画書】に示された施設を基本に、市民アンケートの結果や市内公共施設の整備状況を参考にして、市民意見や関係団体等との協議を経て決定するそうですが、敷地面積8131㎡に建物規模約7000㎡、導入予定施設は、観光物産情報コーナー、ロビー休憩スペース、福祉センター、子ども支援センター、社会福祉協議会、図書公民館、運動施設、民間施設、駐車場と盛り沢山。この敷地内にこれだけの施設をどの様に作るのでしょう。

私(河野)は、佐原の中心市街地活性化に反対するものではありません。ただこれから作る箱ものについては、市民に納得され、使い勝手の良い有効なものであってほしいとの願いから、この複合施設構想について一般質問を行いました。

残念ながら今の段階では、総事業費の予測も、内容的にも核となる施設は特になく、市民が使う施設がメインとなるというような答弁で、図書館についても、まだしっかりとした構想が練られていない状況。にも拘わらず7月にはプロポーザルの業者公募、8月契約という整備スケジュールが示され、拙速な動きに危惧を感じます。《一般質問の一問一答については、議会広報をご覧ください》

独り言

「入りを計って出るを制す」と言うのが行政の原理原則。
今後人口の減少に伴って税収も交付税も縮減していくことが予測されているにも拘わらず、橘ふれあい公園整備事業にしてもまた、佐原駅周辺整備事業にしても、大枠を決めずに要望に沿った積み上げ方式で事業を拡大していくことに不安を感じざるを得ない。合併特例債も有利だからと言って安易に使っていると、その3割は借金として残る。

施設の生涯管理維持費は建設費用の3倍~4倍がかかるとも言われている。

次世代に負担を残さない為には、今こそ二元代表の一翼を担う議会の役割は重要なのではないだろうか。

百聞は一見に如かず

市民主導の病院視察研修に参加

小見川総合病院の建て替えが進められている状況で(基本設計業者選定)「建て替えを推進する会」のメンバーから「視察実行委員会」が立ち上がり、病院スタッフや行政、議員にも参加を呼び掛け、7月6、7日に下呂市の市立金山病院と県立下呂温泉病院の視察研修が実現しました。(病院5名、議員2名、市民5名)

金山病院はNPO法人医療施設近代化センターに業務委託して、専門的な立場からのアドバイスを得ながらそれまでの基本設計を見直し、病院の決算規模から事業費を20億円以内、延べ面積は7000㎡以内を目標に、『日本一・ローコスト・高価値の病院作り』を目指し、実際に99床、約19億4千万円で建設。院長先生、下呂市の健康医療部長、看護師長、事務長等、7名の方々に迎えられ、病院建設、下呂市の医療ビジョン、そして何よりも院長先生の熱のこもった方を伺った後、シンプルな中にも地域医療を多面的に支える中核病院として生まれ変わった病院内部を案内して頂きました。特に下呂市の地域医療ビジョンにおいては、市立金山病院と県立下呂温泉病院を整備し、地域医療の拠点として、医師会や市民参加の医療フォーラムを定期的に各地域において開催し、地域医療を守る為の連携した取り組みが紹介され、市民の関わりの必要性が改めて認識されました。

県立下呂温泉病院は【生活の場の医療】を実現する患者中心の病院作りを目指し、院長先生の理念で全室個室化を実現、206床の素晴らしい病院がH26・5月1日にオープンしたものです。外来部門を1階に集約し、3階から5階に5部屋で1ユニットとなるよう な個室の病室が、センターのスタッフステーションを囲むような形に配置され、どの部 屋も明るく、広々として、また廊下や収納庫、ベンチやテーブルなどにも細かな気配り が感じられ、設計者と病院スタッフの思い入れが感じられました。

ちなみに、この206床の病院建設は、当初の設計時には70億の予定が、予算が50 億しかないとのことで、建築工事費を54億円で抑えています。資材の高騰前で時期もよかったとのことですが、まさに「百聞は一見に如かず」素晴らしい病院でした。

こうの節子
香取市議会議員