香取市議会議員

こうの節子

SETSUKO KOUNO

こうの節子の活動報告
VOL.9「清流」第62号

河野節子が語る
小見川総合病院の建て替えと香取海匝地域の医療体制について

新年おめでとうございます

「清流」第62号は、いつもの議会報告ではなく、地域医療の拠点としての小見川総合病院を存続させて欲しいと願う多くの市民の皆様の声に応え、「地域医療について」河野節子の考えを「新年号」としてお届けいたします。

宇井市長の地域医療の考え

宇井市長は、「県立佐原病院と小見川総合病院の統合再編成を4年前から腹に決めていた」
「県の保健医療計画の改訂を前提
に県立佐原病院を、多田地区の企業庁用地に移転し、350床から400床の高度急性期を担う統合病院を建設し、小見川総合病院は、そのサテライト診療所とする」 という私案を、昨年10月の議会全員協議会そして12月議会において表明されました。

簡単に言うと、『小見川総合病院を廃止し、小見川診療所にする』という考えです。

地域医療を守る~小見川総合病院の存続~

≪河野節子はこのように考えます!≫

私は、合併当初より、香取地域の地域医療機関の連携体制の構築と医療体制の充実を訴えて参りました。

まず始めに、昨年新聞でも報道され、市民団体の皆様で作られている会が中心となり2万3千人強の署名を集めた小見川総合病院の建て替えについては、築38年経過した建物の老朽化も著しく、耐震診断もできない状況であり、急務だと思っております。

ただし、建て替えにあたっては、地域医療を考えた上で小見川総合病院の①位置づけ②現在の診療状況③今後の医師体制などを考慮の上で、現在の場所又は現在の場所に極めて近い位置に新築すべきと考えております。

現在の小見川総合病院は170床の認可病床を持ち、内科、外科、整形外科、小児科、眼科、歯科、耳鼻科、泌尿器科、皮膚科、リハビリセンター、などの多数の診療科を標榜する総合病院であり、地域の2次医療、2次救急の重要な役割を担っています。(但し、整形外科についてはH25年10月より脊椎、脊髄センターに特化)

*2次医療とは、比較的専門性の高い外来医療や一般的な入院医療で、2次救急は入院治療や手術を必要とする重症患者に対応する救急医療

将来の人口動態、高齢化社会の実態、そして香取市の一次医療を担う開業医の偏在を考えると、小見川総合病院は地域医療の拠点として残していかなければならないと思います。

*香取市内の開業医数は38医院、うち27 医院は佐原区に集中し、小見川区には7医院、山田区には3医院、栗源区には1医院という分布になっています。

小見川総合病院はまた国保直診病院(国民健康保険直営診療施設)として、住民の福祉を増進する目的で、地方自治法に基づき設置された病院です。そして医療水準の向上や民間医療機関の進出が期待できない地域における医療の確保の必要性から設置されている病院ですので、香取市東部地区の開業医の少ない地域(小見川7医院、山田3医院―主に内科)や共同経営母体の東庄町住民にとっても、小見川総合病院は無くてはならない存在です。

また、災害時の医療拠点としても、県立佐原病院だけでなく、東部地域の住民にとっては身近な所に病院機能を必要としています。

宇井市長の考える「有床診療所」(19床以下の入院ベッドを持つ診療所)構想は、地域住民の医療ニーズと大きくかけ離れたものであり、極端な医療サービスの低下を招くのではないかと大変危惧されます。

また、病院から診療所へ一度病床を減らしたら再度病床を増やすことは困難であり、市民は不安の声を募らせています。

私は、小見川総合病院の建て替えについて現状のままでは無理があるなら(財政や諸々の条件を考えて)現在の病床稼働率90床前後という実態をふまえ、最低でも100床の病床を保有し、県立佐原病院との役割分担ができる1次医療と一部2次を担う地域医療の拠点としての病院の建て替えが必要と考えます。

≪県立佐原病院の在り方と小見川総合病院の連携≫

本来、小見川総合病院は、香取市と東庄町の組合立で運営し、県立佐原病院は県で運営しており、事業経営主体の異なる二つの病院が統合できないと私は考えます。

現在、県立佐原病院は、2次医療圏の中で重要な役割を果たしており、特に災害時の拠点病院として県においても指定されておりますし、今後とも2次救急は県立病院が担うべきだと思います。

しかし、宇井市長の考える統合病院(?)案とは、あくまで県の保健医療計画の改訂が前提ですが、多田地区の企業庁用地に350床から400床の高度急性期を担う病院を建設するとのことで、小見川総合病院はその病院のサテライト診療所とするというものです。(県の承認は未定。財源も未定。)

*サテライトとは
辞書によれば衛星、人工衛星の意味で、大きな病院の外来診療を行う直営の診療所のことを指す

しかし、本体の病院がなければサテライトもないわけですからそれまで老朽化した小見川の病院を建て替えずに置くわけにはいきません。

私は、小見川の病院を19床以下の診療所にすることには反対です。

県立佐原病院を高度急性期を担える病院に格上げさせる為に、地域保健医療計画の見直しを県に迫っていくにしても、県立病院の病床拡大のために、小見川総合病院を19床のサテライト診療所にするということには納得できません。

まずは地域医療を担うべき小見川総合病院の病床数を100床は確保した上で(その場合 70床分は返納)、県立病院の病床数(現状は240床)を350~400床に増やしたいのなら、香取海匝医療圏内において不足分となっている136床(+70床)を活用して増やすこともできるのではないでしょうか(床数に応じて国から交付税措置されているので、最低100床は必要)

宇井市長の言われる統合病院とはどのような統合なのか解りませんが、経営の統合に関 して、統合病院は「千葉県」の経営で、小見川診療所は「香取市、東庄町」の経営でやると公言しておられます。
共同経営者である東庄町にしても自分の町にある病院以下の診療所運営に携わってくれるでしょうか。

【地域保険医療計画とは】

知事が、都道府県における医療を提供する体制の確保に関する計画を作成し、5年ごとに見直す項目は次の通り
1.基準病床数 2.二次医療圏、三次医療圏の設定 3.地域医療支援病院の整備 4.病院、診療所、薬局等の機能及び連携の推進 5.僻地医療、救急医療の確保 6.医療従事者の確保 7.その他、医療供給体制の確保についての計画を作成

≪香取海匝地域の医療連携≫

【香取海匝医療圏とは】
千葉県が設定する医療圏で、香取郡市・銚子市・旭市・匝瑳市で構成される

今後の地域の診療体制については、地域の開業医、医療従事者の方々との十分な話し合いの元、連携を取って住民の便宜が図れるような体制をとっていくべきと考えております。

また、救急医療体制については、現在旭中央病院の夜間救急の多くが、その日のうちで帰宅できる1次救急患者であるとも聞いております。

地域の救急病院の役割分担をはっきりさせ、私達市民も、限りのある医療資源を有効に活用し、それぞれの病院に診察に行く必要があります。どんな患者も旭中央病院では旭の医師たちが疲弊してしまいます。

旭中央病院は、3次救急体制に特化させ、重症患者を中心に受け入れる病院、小見川総合病院は、入院治療の必要な2次救急患者、軽い症状の患者は地域の診療所と言うように医療連携が必要です。そして県立佐原病院には、2次救急患者の受け入れと地域医療を担う総合診療医の育成を目指した指導研修施設としての役割を担ってもらえるよう県にも強く要請し、(これからは国の政策としても総合診療医の増員が必須)、それぞれの病院の体制と役割を明確にすることで、救急医療の対応もスムーズにできるのではないでしょうか。

また、旭中央病院に集中した患者が、急性期を過ぎたら、小見川総合病院に転院してくることもできるように、小見川病院の病床数の確保は、経営の面からも、また住民の利便性からも必要なことです。

長文になってしまいましたが、お読みいただき感謝申し上げます。
皆様お一人お一人の考えもあると思われます。
今年4月にあります香取市長選でも大きな争点になるだろうと考えております。
この大事な地域医療の問題に関して、皆様に関心をお持ちいただき、当事者として、地域の医療、福祉、健康づくり体制を作り上げていけたら幸いです。

その為にも今後とも引き続き、皆様方に情報の提供をいたしますので、予防医療も含めて、地域医療の在り方を皆様と共に考えていきたいと思います。

こうの節子
香取市議会議員