八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.79「議会報告」

令和3年第4回(12月)定例議会

≪一般質問≫

1.児童相談所と子ども家庭支援センターについて

児童虐待の現状

・児童虐待の相談件数や事件にまで発展しているケースが年々増加していることは報道などで御存じのことと思います。厚生労働省の2020年度速報の数値に、全国215ヵ所の児童相談所が児童虐待相談として対応した件数は、1年間で19万3,870件とあります。この数値は、前年度比で5.75%の増、20年前との比較では11.5倍以上になっています。これとは別の全国市町村での児童虐待相談件数という数値は、2018年度12万8,816件とあり、こちらの件数も年々増加しています。
・同じ人が双方の窓口に相談しているケースもあり得るため、両方を単純合算したものを虐待の件数と捉えることはできませんが、少なくとも年間で児童相談所と全国の市町村にそれぞれ10万件を超える児童虐待の相談が寄せられています。
・この問題の難しいところは、これらの数値の評価についてです。虐待相談対応件数とは、相談を受け、何らかの指導や措置をした件数になります。窓口に連絡はあったけれども指導や措置に至らなかった件数あるいは窓口に相談がなかった事例は含まれません。また、虐待の定義が保護者によるものとされているため、その他の場でのそれに類する行為は反映されません。虐待的行為は家庭以外にも、子どもの生活の基盤である保育施設や学校などでも起きていますが、それが虐待と定義づけられていないため、本当の数を把握することは困難を極めます。
・また、家庭も含め、虐待のほとんどは他人の目が届きにくい密室で起きているため、他人の目に触れていない虐待行為は、まだ隠れていると考えるのが妥当ですので、児童相談所や市町村に寄せられた相談件数は全ての虐待を網羅しているわけではなく、このことだけをとっても、児童虐待防止・阻止の課題解決はまだまだ道半ばなのだと認識する必要があります。

Q本市の状況についてお聞きします。八王子市の相談窓口などに寄せられた児童虐待の相談件数、対応した近年の状況などから、本市での児童虐待に関する特徴などについてお示しください。

A【子ども家庭部長】
マンションや団地などの集合住宅が多いことから、近隣から子どもの泣き声がするなどのいわゆる泣き声通告が比較的多く、泣き声の発生場所の特定が難しいこと、市域が広いことから調査・現認に時間を要することなどの特徴があります。そのほか、全国的な傾向であるが、近年、本市も子どもたちの前で夫婦げんかを行う、いわゆる面前DVなどの心理的虐待の比率が高まっていると認識しています。

〇児童相談所について

・児童虐待防止対策のために、近年注視されているのが児童相談所です。児童相談所は、子どもに関する家庭その他からの相談に応じ、子どもが有する問題または子どもの真のニーズ、子どもの置かれた環境の状況等を的確に捉え、個々の子どもや家庭に最も効率的な援助を行い、もって子どもの福祉を図るとともに、その権利を擁護する相談援護活動を主たる目的として設置するもので、都道府県指定都市には児童相談所の設置義務があります。指定都市以外は、児童福祉法の改正により、平成18年、2006年から中核市、平成28年、2016年からは特別区での設置が可能となっています。
・八王子市が中核市となった平成27年、2015年4月以降、中核市となって得られた権限の1つとして、児童相談所を単独で設置すべきだという意見が複数の議員から出ましたし、私もその中の1人でした。これまでの議会でのやり取りで、行政側は設置に関して調査研究をしていくという慎重な答弁に終始しています。ちなみに、中核市で児童相談所を独自で設置しているのは、横須賀市、金沢市、明石市にとどまっています。
・そもそも児童相談所に求められる仕事は、児童虐待対応だけではありません。児童相談所が受け付ける相談の種類は、親権者に様々な事情が発生してしまったことによる養育困難、虐待を受けた子どもの養護・保護、後見人を持たぬ児童等、環境的問題を有する子どもの対応、養子縁組に関する相談など、多岐にわたる、以上、養育相談、それから様々な肉体的疾患・精神的疾患等を有する子ども及び障害や病気を有する子どもの保健相談や障害相談、さらに、非行相談、育成相談、不登校相談、学業や職業などの適性相談など、児童に関するありとあらゆるものが対象となっており、近年はその3割から4割が児童虐待対応となっていますが、対象となっている業務は多岐にわたります。
・近年は、児童虐待の増加と併せて、子どもや家庭をめぐる問題が複雑・多様化しており、問題が深刻化する前の早期発見・早期対応を図るとともに、地域におけるきめ細かな援助が求められるなど、社会背景が変化してきたことに加え、子どもが命を落とす悲惨な虐待事件が頻繁に発生している事態から、児童相談所は虐待からの子どもの養護・保護に重点が置かれるとともに、地域の児童相談所設置を望む世論が強くなってきました。

Qしかしながら、実際に児童相談所を設置している中核市は、全国の中核市62市のうちの3市と少ないのが実態です。市はその理由をどのように分析しているかについてお示しください。

A【子ども家庭部長】
平成30年末に中核市における児童相談所の設置義務化も含めた措置の検討の必要性が示されたときには、中核市市長会から国に対して、児童相談所の設置の促進については、義務化ありきではなく、丁寧な議論と設置後の十分な財政措置や人材の育成・確保に係る支援を要請しています。それに加え、近年は、益々専門的人材確保が困難となっていること、また、保護した児童の生活に係る委託料の負担なども設置に踏み出せない理由の1つと考えています。

・中核市では児童相談所設置に慎重なところが多い一方で、2016年の法改正により設置可能となった東京23区は、練馬区を除いて、単独設置の意向を示しています。既に2020年度には世田谷区、江戸川区、荒川区、本年4月には港区が開設済み、来年4月には中野区が開設予定で、その後も2025年までに開設するとしている区は8区あります。一方で、開設の意思表示はしているものの開設時期未定となっている区も、目黒区、杉並区など9区あり、練馬区だけが設置を表明していません。
・これら特別区の準備状況から、幾つかの共通した課題が見えてきているようです。その中の大きな課題は人材不足で、これは圧倒的に足りないと表現されている報告が多く見られます。
児童相談所を運営するためには、児童福祉司や心理士といった資格取得者を大量に雇用する必要があります。児童相談所を開設するにはどのくらいの人数が必要なのか。仮に八王子市の人口でおのおのの配置基準を基に計算してみますと、児童福祉司15人、児童福祉司スーパーバイザー3人、児童心理士8人以上、児童心理士スーパーバイザー1人、医師1人、弁護士1人、一時保護職員、この一時保護職員の方たちも社会福祉士などの資格取得者や実務経験が求められますが、この方たちが10人程度。ここまでで既に約40人。そのほかに栄養士、調理師、看護師数名、当然ですがこういった資格取得者以外に、子どもたちの日常生活のお世話をしてくださる方々、一般事務の方々も必要となります。また、仕事は夜間勤務もあり、総勢では最低でも70人程度以上の常勤職員が必要となる計算となります。
幾ら人口の多い東京都といえども、一斉に20ヵ所以上が人材確保に動いていますので、資格取得者が圧倒的に足りないという事象となっていることは当然のことです。さらに、これだけの人を雇用することや新たに施設を建設することを考えると、費用面では大変大きなものになり、行政の財政負担も重要な課題だと思われます。

Q児童相談所を開設した場合の費用についてお尋ねします。本市での設置に関しての調査研究において、概算費用についても調査したのではないかと推測しますが、設置に当たっての建設費用、運営をしていくに当たっての人件費を含めた施設運営費などの概算費用について、また、これらについての国・都の補助の有無など、費用面についてお示しください。

A【子ども家庭部長】
今まで調査した中で、相模原市と横須賀市の場合、建設費は、相模原市は県の児童相談所として使っていた2階建て、延床面積2,235平米の施設で、土地・建物で時価約10億円のものを半額で譲渡されています。横須賀市は、地下1階地上5階建て、延床面積約8,684平米、そのうち児童相談所一時保護所分として3,150.1平米の新築の複合施設を、設計費と建設費で約25億8,000万円かけて建設しており、補助金は約3,700万円、8割近くが市債となっています。また、運営費については、相模原市と横須賀市共に年間約13億円となっており、国や県からの補助金の割合は、3割から5割弱と聞いています。

Q理事者にお伺いします。八王子市が中核市となった2015年は、特別区での児童相談所設置可能となる法改正が行われる前でしたので、私も独自設置について積極的な意見を持っていましたが、状況が大きく変わった現在、特別区での児童相談所設置に当たっての人材不足をはじめとした深刻な課題、さらには単独で運営したときの財政負担などを考えると、八王子市としては、当面は児童相談所を設置せずに、東京都の児童相談所との連携強化を図る手法のほうが賢明だと考えますが、本市独自の児童相談所設置に関する方向性についてお示しください。

A【木内基容子副市長】
児童相談所の設置については、現状においては課題が非常に多く、本市独自での設置は考えていません。まずは市の子ども家庭支援センターと八王子児童相談所との連携を強化して、子どもの安全確保を図ることが最優先で取り組まなければならない課題であると認識しています。

〇東京23区の中でただ1区だけ児童相談所の設置表明をしていない練馬区の子ども家庭支援センター所長の見解があります。児童相談所の開設を表明していないから練馬区が子どものことを考えていないわけではありません。児童相談所設置によって児童虐待の問題が即時に解決するわけではなく、練馬区は児童虐待を含む子育て支援を重要な課題と捉え、地に足がついた方法での問題解決に当たりますと明言し、具体的には、東京都の児童相談所との役割分担を明確化し、子ども家庭支援センターは、学校・民生委員・警察・医療機関ほかなどと連携した地域協議会を組織し、初期対応を充実させます。また、練馬区の子ども家庭支援センター内に都の児童相談所機能や職員を置くといった新しい体制の構築を進めていますと述べています。

Q本市でも、相談員の人数確保の課題とは別に、増え続ける児童虐待に万全の体制で臨むためには、東京都の児童相談所との連携強化を図る必要性を感じます。児童相談所を市の単独で持たずとも、都の児童相談所との連携強化により、八王子市の子どもたちの権利を擁護し、命を守る体制を構築していただきたいと考えますが、御認識をお示しください。

A【子ども家庭部長】
令和元年10月から、児童相談所と子ども家庭支援センターとの運用ルールを改正しており、役割分担が明確になっています。比較的軽微な夫婦げんかなどの面前DVなどについては、児童相談所から子ども家庭支援センターに送致を行うことが加わり、子どもたちを守る連携体制の強化を図っています。また、23区の中で唯一児童相談所開設を表明していない練馬区のサテライト方式の例も参考にしつつ、さらなる連携強化を図ることを検討しています。

〇子ども家庭支援センター

・東京都内における児童相談所への児童虐待通告件数を見ると、おおよその数値ですが、2013年度1万4,000件に対して2017年度は2万7,000件と、僅か4年で倍増しております。通告件数とは虐待を受けたと思われる児童を発見した人が連絡した件数ですが、様々な悲惨な虐待事件を受けて、児童虐待への関心が社会全体で高まっていることも総数倍増要因の1つにあると思われます。
通告されたものが全て重大事案かといえば、そうとは限りませんが、重大か否かを確認するためには、通告があれば48時間以内での迅速な現場対応が必要となり、児童相談所の職員の仕事は激増しています。しかし、そういった背景があるにもかかわらず、児童相談所の職員数はほとんど増員されていないのです。先ほどお話ししたように、児童相談所の職員は専門知識と資格取得が不可欠であり、急に増やそうとしても増やせない背景があるのでしょうが、現在はひとつひとつの案件に十分向き合えないほど多忙であるとお聞きします。
・一方で、子ども家庭支援センターはどうでしょうか。本市の子ども家庭支援センターで扱った最近の数値ですが、総合相談件数は、2018年度4万7,822件に対して2020年度は5万6,691件、僅か3年で1万件近く増えています。そのうち児童虐待に関しては、新規受付件数で2018年度666件に対して2020年度は1,145件と倍近く増えています。

Q子ども家庭支援センターで対応している相談件数、児童虐待新規受付件数とともに著しく増加していますが、この間、子ども家庭支援センターの人員は増員されているのでしょうか。現状についてお示しください。

A【子ども家庭部長】
平成29年度と令和2年度を比較すると、子ども家庭支援センターの新規相談受付件数は約2.3倍に増えています。人員について、正規職員は児童相談所に派遣した職員も含めて2名の増となっています。現在、会計年度任用職員の専門職の増員やアシスタント職員を庶務的な業務担当として新たに配置し、相談員の事務の軽減を図ることや、部内応援による正規職員を事務従事として子ども家庭支援センターに配置するなど、実質、人員の増を図っているところです。

・平成30年7月、児童虐待防止対策について閣議決定された児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策の中に、児童福祉司の適正な業務量として、児童福祉司1人当たりの業務量が児童虐待相談及びそれ以外の相談を合わせて虐待相談40件相当となるよう設定と明記されています。児童福祉司が業務過多に陥っている状況では丁寧な対応が図れなくなることを危惧して、この数値を目安に児童福祉司を配置し、件数増加が見られる際には児童福祉司の増員を実施するよう、明確に記載されています。

Qこれは児童相談所のみならず、子ども家庭支援センターにも当てはまる文章だと解釈しますが、八王子市の子ども家庭支援センター相談員の1人当たりの持ち件数の現状についてお示しください。

A【子ども家庭部長】
1人当たり平均約57人を担当しています。地域によっては80人を担当する相談員もいます。

Q休日・夜間の対応についてお聞きします。児童虐待に関しては、24時間365日、気が抜けることはないと推測しますが、子ども家庭支援センターでの土日祝日・夜間の体制についてお聞かせください。

A【子ども家庭部長】
地域の子ども家庭支援センター5ヵ所では、月曜日から土曜日まで、午前9時から午後5時まで総合相談を行っています。クリエイトホール内にある子ども家庭支援センターでは、平日に加え、日曜も午前9時から午後5時まで対応しています。夜間勤務・祝日についてはクリエイトホールのセンターのみですが、夜間は月曜日から土曜日まで、午後7時まで、祝日は午前9時から午後5時まで対応しています。年末年始などの休館日や勤務時間外については、児童相談所の相談専用ダイヤル189や、警察署での対応をお願いしています。

〇寄せられる新規相談受付件数がここ直近4年間で約2.3倍に増えているのに対して2名の増ということですが、もともとの相談受付件数が微量であったのならばそれでよいでしょうが、そもそもの母数が大きいものが約2.3倍なのですから、この人数では人員増を図ったレベルにはなりません。
さらに、相談員1人当たりの持ち件数が平均57人、多い地域で80人ということで、これは先ほどお話しした基準の倍を担当していることになり、これらのことから、本市の子ども家庭支援センターの相談員の数は圧倒的に不足しているということになります。
他国の例で、2017年のイギリス全体の児童保護に関わる1人当たりのケース数は約16.8件だと報告されており、欧米全体での児童保護機関のソーシャルワーカーの持ちケース数はおおむね20件前後だと言われています。つまり、日本の児童福祉司1人当たり40件という目標そのものが、諸外国に比べると非常に低い水準であるということで、厳しい環境にいる子どもやその家庭を見守り支援する体制が、日本ではまだ不十分です。持ち件数が基準よりも異常に多いということは、対象となる子どもたちに対して不幸だということだけではなく、働く側にとっても不幸なことです。対応が手薄になって事故やトラブルに発展してしまうことを懸念する精神的負担を筆頭に、あらゆる労働条件にマイナス要素となります。
・仕事には、改革とか効率化を図ることが容易なものと、そもそもふさわしくないものがあります。児童虐待対応をはじめとした子ども政策の本筋の部分は後者であり、特に子どもたち自身に発生している事象に対応する部分は、迅速かつ的確に対応していただかなくてはなりません。

Q子ども家庭支援センターに対して効率化を求めるのであれば、一般事務の部分、電話受付、市内に複数ある子ども家庭支援センターの地域ごとの相談件数の偏りの是正などに対してであり、これらによって、より有効な子ども家庭支援センターの体制づくりを行っていただき、一方の現場対応をする相談員などの人数は柔軟に適正人数を配置すべきだと考えますが、これらについてのお考えについて、経営改革担当部長にお聞きします。

A【経営改革担当部長】
職員配置については、これまでも業務プロセスを精査した中、デジタル化や業務委託を取り入れるとともに、多様な雇用形態の職員を活用しながら、業務内容や業務量に応じて適切に職員を配置してきたが、質問者からあった、職員でなければできない業務については、今後も適切に対応してまいります。

〇2016年、日本小児学会は虐待で死亡した可能性がある子ども(15歳未満)に関する研究報告をまとめ、虐待によって死に至った可能性のある子どもは年間350人に上ると試算しました。当時、厚生労働省がまとめていた虐待死の子どもの数は年間69人から99人でしたが、学会は多くの虐待死が見逃されている可能性があると指摘しました。当然、見逃されている可能性があるのは死に至らない虐待も同様です。子どもの命にまで及ぶ行為は誰が見ても児童虐待と判断できるでしょうが、難しいのは、どのような行為が虐待に当たるのかということを定義することです。
児童虐待防止法では、児童虐待の定義を定めた第2条で、身体的虐待、性的虐待、ネグレクト、心理的虐待の4種類について具体的な行為を含めて明記していますが、難しいのは、例えば親が子どもにけがをさせないようにして優しくたたくといったしつけだったり、甘やかさないといった教育の一環だったりという行為についてで、この辺りの感覚は大きく個人差のあるものだと思います。
児童虐待防止に関しては、刑罰の発生する法律がある以上、加害をした大人の行為が虐待に当たるかどうかという線引きをすることは避けられません。しかし、そうした線引きは、ともすれば虐待はよくないが虐待でなければ許容されるという認識を引き起こします。
しかし、忘れてならないのは、このような課題に関する全ての議論は、子どもの利益を守るということが目的だということで、大人に、これはしてはいけないけれどもこれはしていいと保証を与えることではありません。いかなる事情があろうとも子どもへの虐待的行為が正当化されることはありません。生きる環境を自分で選べない子どもが、育つ環境のせいで長期にわたって苦しみ、不利益を受けなければいけない正当な理由などどこにもないのです。

Q理事者にお伺いいたします。様々に児童虐待、児童相談所、子ども家庭支援センターについて、現状と課題について申し上げてきました。私は子どもを守る施策に関して、前回の議会では通学路の交通安全確保、今回は児童虐待について申し上げました。子どもは社会の宝です。社会として、大人として、宝物である子どもたちを守ることは最優先して考えるべきだと思っています。市の行っている施策のひとつひとつに優劣をつけて比較することまではいたしませんが、今回取り上げた子ども家庭支援センターに関して、を含めて、子どもたちに関わる施策に関しては積極的に充実を図っていただきたいと考えます。特に児童虐待に対応している相談員が圧倒的に不足している部分については、大きな社会的事件に結びつかないうちに、実態把握と即効性のある対策をとるべきだと申し上げておきます。子ども家庭支援センターの充実についての八王子市としての見解をお示しください。

A【木内基容子副市長】
児童虐待対策については、子どもの命、そして成長に関わる極めて重要な施策であると認識しています。子育て家庭を取り巻く社会環境が大きく変化し、児童虐待相談件数も増え続けている実情を考えると、児童相談所とさらなる連携強化を行っていくためにも、子ども家庭支援センターの機能の充実、体制の強化を進めなければならないと考えています。

〇資格取得

・様々な近年の児童虐待に関する国や都を含めた対応について改めて調べてみますと、児童虐待通告件数の急激な増加に対応し切れていない現状にあると感じました。特に児童福祉司を筆頭にした人材不足は、実は東京の区部が個別に児童相談所設置を計画する以前からの課題であり、児童虐待件数急増に対応しなくてはならない既存の児童相談所において、児童福祉司の増員が人材不足によって追いついていない状況であったのです。
国は資格取得者を短期間で大幅増員したい考えのようですが、取得するためのハードルは結構高いのです。児童福祉司は国家試験ではなく任用資格ですが、要件は、専門の養成課程を修了する、それから医師・社会福祉士・精神保健福祉士などの専門資格を持っている、大学・大学院で心理学などを専攻した上で1年の実務経験を積む、大学で社会福祉概論など指定の科目を3つ以上履修した上で、社会福祉主事として一定の職務経験を積むなどとあり、私などは項目を1つもクリアすることができません。行政が児童虐待防止に取り組むために必要な人材を確保するに当たっての資格取得者がそもそも少なく、需要と供給のバランスが全くとれていない分野なのだと感じるところです。

Q新たに児童福祉司が誕生しても、引く手あまたの状態ですから、こういった資格を持った方の取り合いは当面続くという想定の下に、子ども家庭支援センターの充実を図らなくてはなりません。子ども家庭支援センターの相談員は専門的な業務となり、児童相談所のように児童福祉司や児童心理士の資格が必須ではないにしろ、あったほうがありがたい。そこで考えるのは、市の内部でそのような資格者を増やしていくことが必要なのではないかと思います。資格取得に関する考え方や取組があればお示しください。

A【子ども家庭部長】
虐待対応を行う上で専門知識の習得は必須であり、その手段として児童福祉司等の資格取得は有効であると考えます。正規職員の人事異動があった場合には、児童福祉司資格取得のための費用を助成するなど、積極的に取得を進めています。また、会計年度任用職員の専門職の採用に当たっては、社会福祉士等の資格を有することを必須としています。

※【意見として】
本市職員の資格取得に関しましては、積極的に取り組んでいただき、市内部で相談員にふさわしい人材育成を進めていただきますようお願いいたします。

相沢こうた
八王子市議会議員