八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.74「議会報告」

令和2年第1回(3月)定例議会

≪代表質疑・令和2年度八王子市一般会計、各特別会計及び公営企業会計予算について≫

1.働き方改革の取り組み
2.地域子ども・子育て支援事業について
3.子育て施策の充実と八王子市の新生児数の将来像について
4.防犯カメラ、AED等の施策展開に伴う維持管理費増大の考え方について
5.公衆街路灯、道路照明灯省エネ化整備工事について
6.平和推進について
7.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事業について

1.働き方改革の取り組み

〇日本人は働き過ぎだと、この言葉は日本人を象徴する表現として、かねてから言い続けられています。私は、高度成長時代の後半に幼少時代を過ごし、バブル時代に会社員として寝る間もなく働いた経験がありますので、昨今の働き方が働き過ぎに当たるとは感じない世代ですが、現代は時代変化が目まぐるしく早かったり、高齢化率が過去とは比較にならないほど高かったりと、私が経験してきた時代とは時代背景が違いますので、社会でのストレスもまた違ったかかり方をするのでしょう。働き過ぎを是正して、生活や自身の健康維持などのために時間的な余裕を持とうという取り組みは、それで世の中が成り立つのであれば積極的に進めるべきだと思います。
・まず、八王子市の職員の働き方の現状に関してお話をさせていただきます。
昨年12月現在の八王子市職員数は、一般職員2,669人、再任用と任期付職員が424人の合計3,093人です。これらの人が働く職場の数は136課施設あり、平成30年度の年間時間外労働時間数は月平均8.5時間ですが、多い職場は30.7時間で、この数値に近い職場がほかに3課あります。年20日付与される有給休暇の取得は平均15.07日取得しており、私の労働組合での活動の感覚では、この数字はよいほうだと感じますが、休暇取得日数が6日から9日と半分まで取得できていない課が14ありました。
時間外時間数は、平均してしまうとそれほど多いという印象はありませんけれども、恐らく個人の数値を詳細に調べれば、突出して多い方はいると思います。また、時間外時間数と休暇取得日数を組み合わせておのおのの課を見れば、その課の特徴がはっきり見えてきて、例えば職場人数が少ないことなどの原因が鮮明になってきます。

Qこれらの職場実態と働き方に関してお聞きしますが、時間外時間数や休暇、夏休取得実態などを分析して、職場人数の調整や業務の見直しなどの改善の取り組みは行われているでしょうか。取り組みの実情についてお示しください。

A【石森孝志市長】
年度ごとに時間外勤務や休暇取得状況を含め、職場の状況を把握し、業務の量や質の変化に応じて職員を配置しております。また、業務のプロセス分析を行い、業務の見直しを図っております。

〇昨年4月の職員安全衛生委員会の資料から、メンタルヘルス不調の職員の現状をお聞きしました。メンタルヘルス不調で療養休暇を取得されている職員数は、平成28年度48人、29年度75人、30年度66人と増加傾向にあります。男女別の特徴は顕著には表れていません。年代別にその年代の職員数に占める割合を見ると、20代が3.17%、30代2.95%、40代2.62%、50代1.46%と、若い世代に多く見られる傾向がありました。
八王子市では、相談体制を充実させており、産業医や産業保健スタッフ以外に、週に1度、メンタルヘルス専門医に来ていただき相談できる体制をとっています。これらの窓口での1年間の相談件数は延べで1,500件にもなっています。コンピュータ、AIがさまざまな分野で重宝されている時代であっても、職場の主役は当然人であり、人が一番の財産です。

Q現代はさまざまな企業、さまざまな業種で慢性的に働き手不足が課題となっているほどの人不足です。せっかく八王子市に就職してくれた若者を無事に大きく育ててあげることが市政の繁栄につながります。不幸にもメンタルヘルス不調で足踏みをしてしまった若手に対して、元気に職場復帰を果たしてもらうこと、またなぜ不調に陥ってしまったかなど、ともに考え、改善してあげることが大切です。こういったフォロー体制の充実についてのお考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
若い職員に限らず、メンタルヘルス不調は誰にでも起こり得ることであり、組織の大きな課題であると捉えております。職員一人一人の能力を最大限生かすために心身の不調を早期に相談できる体制の充実を図り、これからの市政を担う若い職員が心身ともに健康で意欲を持って働き続けられる組織づくりに引き続き取り組んでまいります。

〇職場の働き方を改善し、仕事の繁忙感を払拭するためには、徹底した業務の効率化が必要です。
一つ例をお話ししますが、私の家庭では、保育園と学童保育に通う子どもがおりますが、入園申込みや毎年の継続申請の際におのおのに書類を提出しますが、添付書類として、保育園と学童保育所にそれぞれ両親の在職証明書の提出が求められます。在職証明書の様式が若干違い、その都度勤務先におのおの作成してもらい、双方に提出していますが、保育と子育ての担当所管が違うことは存じていますが、それぞれに在職証明をチェックしている意味がどこにあるのか甚だ疑問です。一家で一式提出すれば済むものではないかと思いますが、こういった細かな重複を捉えて見直すことも業務改善です。

Q働き方改革を進めるに当たって、部門を超えた業務改善の取り組みについてお考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
職場の働き方を改善し、職員のやる気を高める点からも、業務改善は不断の取り組みと認識しており、第9次行財政改革におきましても、人づくりや組織づくり、そして組織を横断する柔軟な対応を視点としたところであります。窓口改革や行政手続のオンライン化など、職員の働き方の改善にも寄与できる全庁的な業務の改革・改善を積極的に進めてまいります。

〇フレックス制度は、1987年の労働基準法の改正で合法化された制度で、2016年に一部内容が改正されています。
・制度を簡単に説明しますと、普通は例えば8時30分から17時30分というように1日の労働時間が決まっており、基本的に全従業員はこの時間には雇用主に拘束されています。この拘束時間を例えば10時から15時のように短くし、これをコアタイムと呼びます。この場合、途中の12時から13時は休憩時間が挟まっていますので、実質4時間がコアタイムということになります。10時以前の時間と15時以降の時間がフレックスタイムとなり、この時間帯に働く時間を個人が自由に設定します。自由にといっても、実際には職場全体の理解を得ながら時間調整をすることが必要ですが、例えば、明日は16時から子どもの保護者会があるので、15時でフレックスを取らせていただきますと管理者に申請して承認さえとれれば、休暇を取らなくてもこの時間は自由にすることができます。勤務時間数は月単位、改正法では3ヵ月単位まで可能というふうになっていますけれども、そういった単位でトータル管理されます。以上は一般的な例で、企業や業態ごとに細かな部分を修正した方式が存在します。
・平成8年頃には従業員数1,000人を超える大企業の4割近くが制度を導入しましたが、その後、下降線をたどり、平成27年では同2割程度となりました。しかし、近年の働き方改革で時間外時間数などが厳しく見られる背景から、再びフレックスタイム制度が見直されています。
・行政では、大阪府寝屋川市が昨年10月から、必ず勤務しなければならない時間帯、コアタイムなしの完全フレックスタイム制を全国の自治体で初めて導入しました。寝屋川市の常勤職員1,175人、この全ての職員を対象として実施に踏み切っています。
私は、フレックスタイム制は個人の生活の自由度を上げるほか、調子が悪いときやリフレッシュが必要なときなどに活用することでメンタルヘルス不調の未然防止も期待できると思っています。

Q職員の働き方について思い切った改革の視点を検討し、よりよい働き方を模索していただき、働き方改革を積極的に進めていただきたいと思います。フレックスタイム制度の導入も含めた前向きな取り組みを期待しますが、お考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
多様な働き方を推進し、職員の働きがいの向上を図る観点から、職員が勤務時間を選択できる制度は有効な手段であると考えております。本市では既に7月から9月まで、夏期の朝型勤務を実施し、一定の効果も確認しておりますので、夏期以外への拡大も検討してまいります。

2.地域子ども・子育て支援事業について

〇八王子市が、心や家庭に問題を抱えた子どもや、育児に悩んでいる保護者などの子育て家庭を支援するために展開している複数の施策の中で、令和2年度はショートステイ、トワイライトステイ事業を充実させると示されています。
・この事業を実施している施設は市内におのおの2ヵ所で、平成30年度の年間の利用者は合計でショートステイ768件、トワイライトステイ216件となっています。私はショートステイを行っている八栄寮の施設長とは以前からさまざまにお話をさせていただいております。ここでは泊まりで預けられる子どもたちは、泊まりの施設の中で担当職員の方と食卓を囲んで夕食と朝食を取り、お風呂に入れていただき、眠れない子どもには添い寝をしてあげたり、絵本を読んであげたりと、家庭にいるような状況でお世話をしてくださっているそうです。そのように寄り添ってお付き合いをすると、きちんと体を洗ってもらっていないんだとか、ふだんの食事が菓子パンばかりのせいなのか、箸やスプーンが上手に使えないなどと気がつく子どもがいるそうです。虐待とまではいかないけれども、生活があまり恵まれていないと気になる子どもがいるとお話ししてくださいます。
・ショートステイ、トワイライトステイは、子どもたちを水際で救ってあげることができる可能性を秘めた施策だと思っていますので、本施策の充実は、来年に限らず継続してぜひとも行っていただきたいと要望しておきます。
・さて、子どもへの虐待の件数ですが、児童虐待相談件数は相変わらず増加しています。平成30年度の数値では、児童虐待に関係する子ども家庭支援センターでの相談受付件数は968件と、年間1,000件にも及ぼうかという数字になっています。実際に児童虐待から保護に至る件数は、八王子児童相談所が東京都の管轄のため、詳しい数字として把握していないということですが、これもかなりの件数があるだろうと推測します。
・八王子市が中核市になると、中核市は児童相談所を独自で設置できることから、八王子市独自の児童相談所を設置すべきと過去から申し上げてきましたし、他の複数の会派、議員からも同様の意見が発せられていました。
新聞報道によりますと、総務省は来年度、児童相談所を設置する地方自治体に対して財政支援を拡充し、施設整備費の約7割を国が実質的に負担するという方針を打ち出しました。同時に、児童福祉士や児童心理士の給与や、民生委員、児童委員の活動費などの増額による処遇改善を実施し、児童虐待防止に向けた施策の充実を図るとのことです。
現在の八王子児童相談所の担当地域は、八王子市と町田市、日野市となっていますが、例えば八王子市が単独で児童相談所を設置し、このくくりから外れることができれば、おのおのに現行の児童相談所の受持区域の見直しを行うなどして、他市も結果として体制強化を図れることになります。単独で児童相談所を持つということは、市長が常々おっしゃる、八王子市は多摩のリーディングシティを目指すという言葉どおりの施策になると思います。

Q国が財政支援を拡充するこの機会を捉えて、八王子独自での児童相談所設置に向けて取り組むべきと考えますが、御所見をお伺いします。

A【石森孝志市長】
財源面はもとより、人材確保・育成や一時保護所など施設整備も必要と考えております。
現状におきましては、児童相談所が市内にあるという利点を生かし、子ども家庭支援センターと役割分担をし、連携を強化することで子どもの安全確保を図っております。まずは、児童相談所への派遣研修を行うなど、人材育成に力を入れてまいります。

3.子育て施策の充実と八王子市の新生児数の将来像

〇平成26年11月に公布・施行されたまち・ひと・しごと創生法に基づき、八王子市では平成27年10月に八王子市まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されています。私は、まち・ひと・しごと創生総合戦略が求めるものは、異常な人口減少時代の是正と地方都市消滅の危機回避であると捉えています。
・八王子市の場合、東京圏に位置しますので、都市消滅の危機という部分では、その波が来ることはあったとしてもかなり先のことだと思っていますが、人口減少に関しては、日本の国を上げて取り組まなくてはならない大きな課題で、現に八王子市の出生数は減少の一途をたどっています。出生率でいえば2.07という人口置換水準、人口が増えも減りもしないと言われる出生率ですが、これに対して平成26年の数値では全国が1.42、東京都1.15、八王子市1.19という壊滅的な数値でありました。その後、計算の分母になる子どもを産む年代の女性数が年々減少していることが加わり、出生率は人口減少を見る数値から乖離し始めており、取り組みはますます厳しい局面を迎えていると思っています。
・令和2年度の子育て施策を見ると、今まで以上に各施策に力点を置いていると感じるところです。ただ、新規の施策はなく、充実を図る項目が多いということは、今までも同様の取り組みを行ってきたにもかかわらず、出生数は毎年減少してきたとも言えるわけです。

Q人口減少問題解消のためには、出生数を増やすことが国としての大きな課題ですが、まち・ひと・しごと創生総合戦略の視点において、子育て施策の推進に関してどのようなお考えをお持ちであるかお示しください。

A【石森孝志市長】本市はこれまでも総合戦略の基本方針にまち・ひと・しごとの好循環と交流人口の増加を掲げ、さまざまな施策を展開してまいりました。将来の人口構造を安定化させ、持続可能な地域社会を実現するためには、出生数の増加も含め、年少人口を一定数維持していく必要があります。引き続き、本市の特性や課題を踏まえながら、子育て施策を初めとした人づくりに関する施策を推進してまいります。

〇昨年10月から幼児教育・保育無償化がスタートしました。3歳から5歳児を持つ家庭の経済負担が大きく軽減された施策の効果は期待できると考えます。また、八王子市では、東京都の補助制度を利用して多子カウントについて年齢制限を撤廃しました。多子カウントとは、従来は3人のお子さんがいた場合、保育無償化により2人目、3人目のお子さんの対象はゼロ歳から2歳児となりますけれども、3人とも保育園に通う場合、第2子は保育料2分の1、第3子は無料です。しかし、上の子が小学生に上がこういったってしまうと、第2子が満額、第3子が2分の1となっていた。こういったものを、第1子が小中学校に就学しても、第2子2分の1、第3子無料の扱いになるよう改善していただきました。これは保育無償化と併せて少子化対策として期待できる施策だと思っています。令和2年度の八王子市の保育園の保育定員数は1万1,736人となっています。ここ数年、出生数の減少傾向が顕著なため、保育施設の定員数はある程度この辺りで落ち着き、以降減少していくという読みであるとお聞きしています。
私の希望的観測も若干入っていますが、今回の保育無償化と多子カウント撤廃の施策は、子どもを育てる上で経済的負担の大きな軽減となり、3人以上子どもを育てたいという人の追い風になると思っています。また、世の中は慢性的な労働力、働き手不足であり、年々最低賃金の底上げもされていますので、子どもを保育園に預けて働きに出たいという母親の要望が増える可能性も高くなるのではないかと思っています。

Q保育園の保育定員数は、前年度の申込件数や待機児童数の実績や、市内の未就学児の年齢別統計などから予想を立てていると想定しますが、例えば、母子手帳を発行しているわけですから、新たに宿った子どもの数を把握することもできるわけで、早めに対象となる子どもの数を捉えることが可能だと思います。子育て環境をより的確に準備するためにさまざまな統計やデータを駆使した予想を展開していただき、施策が後手に回ることのないように対応していただきたいと考えますが、お考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
既に保育園の需要予測は、過去の児童人口の推移を基本に、申込率、共働き世帯の上昇率、マンション建設予定などの情報を基に最新の数値等を用いて待機児童数の発生予測を行い、施設整備などの待機児童解消対策に取り組んでおります。今後も適切なデータの選択や調査分析に基づき、子ども・子育て施策に取り組んでまいります。

4.防犯カメラ、AEDほか、施策展開に伴う維持管理費増大の考え方について

〇防犯カメラは、犯罪抑止効果と、万一の事故、犯罪が起こったときの早期解決の目的で設置されており、年々その設置台数は増加し続けています。
市が管理、関与する防犯カメラも同様で、平成26年から小学校の通学路に1校当たり5台を設置したほか、小中学校の校門には各校1台が設置してあります。おのおの台数にすると通学路が345台、校門が107台となっています。令和2年度は、子どもの安全対策の充実として通学路への設置を15台追加する予定となっており、これで通学路に設置してある数は360台になります。
学校関係以外には、商店街での防犯カメラ設置要望があった場合は、その補助を出すなどして対応していますが、こちらの財産は商店街となるため、設置台数の管理はしていません。ほかに市の施設に設置してあるものなどがあり、管理している総数はさらに多くなります。
・AEDは、現在公共施設に設置されている市の管理下にあるものが324台あります。令和2年度には、市内のAED設置がない地域にコンビニなどの協力を頂いて、そこに80台を新規に設置する予定となっています。ちなみに、AEDはリース契約となっており、価格は1台当たり月4,235円となっています。単純にリース料を計算すると、令和2年には約400台となりますので、単価4,235円掛ける400台で月170万円程度、年間では約2,000万円となります。
・これ以外に、時代の推移で増加しているものが小中学校に代表される冷暖房機器で、教室や特別教室はもとより、近年、小学校の給食室に設置しました。令和2年度は2校の武道場に設置される予定となっています。現代において必需品であり、一つ一つを見れば必要であるということになりますが、こうよいことなのでしょうが、各所管が所管の目的ごとに設置していることに、それでよいのだろうかと思うわけです。
・これらの設置や維持管理、経年劣化による取り換えなどの費用は所管ごとに予算を取って実施していますが、八王子市として一体こういった費用が全部で幾らかかっているのだろうかと考えたときに、それを統括して管理する視点がないように感じます。安全・安心の向上施策で行っている施策がほとんどですから、充実するにこしたことはありませんが、充実すればするほど維持管理ほかにかかる費用が増大することを真剣に考えるべきだと思います。
・他に、体育館に冷暖房を整備してほしいという要望が議会でも一部の会派から出ていますが、現行の維持管理費と電気料金にさらに膨大な同様の費用が上乗せされることになりますので、慎重な検討が必要です。その施策が市の財政にどの程度の負担になるのかをしっかりと検討し、将来にわたってこれらの費用負担が持続可能なのかどうかを判断することが必要であると考えます。

Q限られた予算で効率的な施策を展開し、ランニングコストを含めた費用のむだを省くためには、全庁的な視点で整理し、管理することが必要であり、重要であると考えますが、お考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
各所管における防犯カメラなどの設備の設置、運営に当たりましては、本市全体として捉え、最少の経費で最大の効果を得ることが極めて重要であると認識をしております。今後も、全体最適の視点による施策展開にしっかりと取り組んでまいります。

5.公衆街路灯、道路照明灯省エネ化整備工事について

〇市内の公衆街路灯、道路照明灯、公園灯など、まちの灯りについては厳正的確管理の観点から、管理方法を改善するとともに、一斉にLED化するためにESCO方式に移行すべきだと平成23年から一般質問や委員会でしつこいほどに言い続けてきました。多摩地区最後となってしまいましたが、ようやく令和2年度からこの事業に取り組むこととなりました。

<現状の課題について>

▽道路照明灯
・市道に設置されている道路照明灯は、道路事業部にて管理されています。道路照明灯は、その主流が水銀灯ですが、水銀による汚染防止を目指した水銀に関する水俣条約により、水銀を使った製品の製造や輸出入が2020年に原則禁止されることになることが決定しています。水銀条約は、水銀や水銀を使用した製品の製造と輸出入を規制する国際条約で、2013年10月10日に熊本県熊本市で採択、署名されました。この条約は、水銀の供給や使用、排出、破棄などに規制を設けて人為的な水銀の排出をなくし、地球規模での水銀汚染の防止を目指すものです。
日本は、過去に水銀による公害、水俣病を経験している国として当然のことですが、率先して取り組む必要があります。本来であれば、2020年以前から水銀の使用を解消していく取り組みが必要だと考えていましたが、ぎりぎりの取り組みとなりました。既存のものに対する規制はないとはいえ、球切れなどの場合、同じ製品を調達し使用することができなくなります。ですから、市内の道路照明灯約1万7,500基のうち、水銀を含有しているものが約9,300基残っていますので、これを適宜交換しなくてはなりません。

▽防犯灯
・これらは各町会にて管理されていますので、所管が市民活動推進部になっています。常々この管理方法について特に問題視していると申し上げてきました。
①全般的に、厳正的確管理という視点から相当にかけ離れた状況にあります。町会に対して管理方法の指導や検査が行われていません。そもそも防犯灯の設置灯数は、管理方法の見直しやLED化を行った他の自治体での照合結果の実績では、1割から2割程度、現地と台帳の数が合わないようで、契約電力の相違も同じ程度あるとお聞きしますが、町会に照明の型番や契約電力まで管理させることは現実的に不可能です。
②町会加入率が伸び悩んでいる中で、町会の負担が発生する防犯灯の新設工事は、町会加入者と未加入者で負担が不公平です。学校や企業、人の通行が多いところでも町会管理となっていますが、こういった場所はまちづくりや市民の安全確保の観点から市で管理すべきであり、そういった場所が多いと感じます。
③LED化など新技術の導入や移行には大変不便ですし、防犯灯新設や修繕工事の発注も町会で実施しているため、作業の安全管理を含めた適正管理ができていません。しかし、あまりに細かな管理を要求すればするほど、町会の負担になってしまいますので、現行の管理方法以上の要求は現実的

には無理です。
④町会には防犯灯1灯当たり年間一律700円の修繕費が支給されていますが、この金額の算出根拠は結局はっきりしませんでした。私は、設置台数が的確と言えない数値に根拠がはっきりしない単価を掛け算して支給していることは非常に不適切だと申し上げ続けてきました。
・さて、令和2年度から、これらのまちの灯りのうち、道路照明灯、防犯灯、公園等について一括して市の管理の下でのLED化とその後の管理運営を市で実施することになります。
先ほど、公衆街路灯の現場実態が電力会社の契約実態と合っていないなどと申し上げましたが、こういったものも含めて、まずは徹底的に市内のまちの灯りの実態を調査する必要があります。調査した現場実態を電力会社との契約と照らし合わせて、契約上のむだを精査することが必要です。防犯灯の契約が電力会社のデータと一致しない理由はさまざまにあるのですが、何かの理由で撤去したのに契約を停止する手続を行っていない、またその反対、LED化したのに契約電力の変更手続をしていないなどによるものと思われます。さまざまな要因が積もり積もって、何が正しいのか分からなくなってしまっているのが現実です。
・他に、現地調査の結果から徹底的に行っていただきたいのは、例えば道路照明灯がついているのに、防犯灯や公園灯がダブってついているところ、人通りが多いのに、また通学路や通勤路なのに暗い防犯灯しかついていないので道路照明灯に変更したほうがよいところなど、こういった現場状況に合致した設備形成の検討をしっかり行っていただき、むだな場所と必要な場所を徹底的に洗い出してもらいたいと思います。これによって無駄の排除と夜間の市民の安全性が格段に向上します。

Q八王子市は面積が広大なため、調査は大変な仕事量になり、予算書にある工程の調査期間では終わらない、また、照明の無駄を省くための検討はさらに時間が必要かもしれません。しかし、今回を逃すと二度と市内全域の夜間照明の実態を正しく把握することはできないと思っています。正確な調査と改善検討、電力会社との契約の整理などの準備作業を重視し、徹底的に実施していただきたいと思いますが、お考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
ESCO事業の導入は、短期間にLED化が達成できるとともに、市内全域の夜間照明の全容を把握し、効果・効率的な照明灯管理に移行する機会でもあると捉えております。そのために、現状を把握するための調査の実施と夜間照明の最適化を進めてまいります。

〇予算書の工程表を見ると、特に防犯灯のほうはとんでもなく短い工期となっており、実際に工事を行う方の工事力などが考慮されておらず、この短い工期での完成は不可能ですので、今後発注までの間で道路事業部としっかりと調整をして実現性のある工程表に訂正することを求めます。
また、防犯灯の維持管理を長く町会管理で実施していたため、全てを市に移管することに慎重な町会、既に全てをLED化してしまったので今回の施策に不公平感をあらわにする町会など、さまざまな反応があるとお聞きしています。今回行う市一括管理への移行は、LED化だけではなく、市内の夜間照明灯の最適化を図ること、それによる環境負荷の軽減と市民の安心・安全の向上、厳正的確管理への移行など他の要素が大きく含まれていることをしっかりと説明し、理解していただくよう、各町会への丁寧な対応に努めていただきたいと思います。また、来年の移行時には、移管しないと判断した町会でも、10年という期間では役員が変わるなどして方針が変わったり、事業の本質を理解していただけたり、後に町会の意向が変わる可能性はあると考えますので、間口を広くして対応していただけるようお願いいたします。

Q工期の考え方、地元の工事となるよう工夫していただきたいこと、町会への対応など述べましたが、この事業を進めるに当たってのメリットなどを含めて、市はどのような期待を持って取り組まれるのかお考えをお示しください。

A【石森孝志市長】
公衆街路灯の維持管理は、長い間、町会・自治会の皆様が中心となって取り組んでいただいております。その負担を軽減し、地域コミュニティの醸成やソフト面での安心・安全なまちづくりに力を発揮していただきたいと考えております。今回の新たな管理手法の導入により、環境負荷の低減と効果・効率的な維持管理を行ってまいります。

6.平和推進について

〇私は、平成30年9月議会の一般質問で、第二次世界大戦の記憶の継承について(活動報告Vol.64に掲載してあります )という題目で、第二次世界大戦、この悲惨な戦争の記憶を後世にきちんと伝えていく施策を取り上げました。第二次世界大戦を経験し、記憶している世代がいなくなってしまう世の中が来る時代に、戦争の記憶を引継ぎ、その悲惨さと人命と平和の尊さをどのように伝えていけばよいのかということを真剣に考えなくてはならないとお伝えしました。
こういった視点で八王子市の取り組みを見たとき、ぜひともすぐに改善して行っていただきたいことは、終戦記念日である8月15日の正午に、終戦記念日であることの説明の放送とともに、サイレンを流していただき黙祷することだと申し上げました。
第二次世界大戦で日本人は310万人あまりの死者を出しています。軍人だけではなく、民間人や、戦争終盤には、本土空襲や原子爆弾などにより幼い子どもたちを含めた一般市民も無差別に殺されました。ここ八王子の市街地も空襲により焼け野原となりました。あまりにも悲惨であった第二次世界大戦の経験から、二度と戦争など起こしてはいけないと世界中の人々が対戦の悲劇を教訓に平和を心に誓いました。この大戦から75年あまりの年月が過ぎ、戦争を経験した世代が年々少なくなっていく中で、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えていく活動は重要です。
終戦記念日の8月15日、さらには広島と長崎に原子爆弾が投下された日を含めて、一斉放送でサイレンを流して黙祷を行っている行政は全国に山ほどあります。多摩地区でも、三鷹市、調布市、武蔵村山市、町田市、多摩市、あきる野市が行っています。高校野球夏の甲子園大会でも、12時少し前に試合を中断し、場内アナウンスで終戦記念日であることと、観客にも起立し黙祷するよう放送が入り、サイレンの下、1分間の黙祷を行います。私も毎年この日に、1分間という短い時間でありますが、戦争で苦しい思いをした先人に哀悼の意を伝えることの重要さを感じています。
前述の一般質問の際に、なぜ八王子市は行わないのかとお聞きしたとき、その理由に、防災行政無線の使い方は慎重にとか、サイレンの音が苦情になるなどのくだらない理由があったと記憶していますが、そのままのお考えで検討すらされていないとしたら、市は事の本質を全く理解していないと思います。第二次世界大戦を体験している世代がいなくなってしまうということは、大きな社会の課題で、間もなくその時期を迎えます。空襲を受けた都市として、また平和宣言都市として、戦争の歴史を後世に継承するとともに、平和の意味を深く伝承していく施策をきちんと行うべきです。

Q平和推進の施策として、終戦記念日の黙祷を実施すべきと考えますが、市長の見解をお聞きします。

A【石森孝志市長】
平和行政の推進は引き続き行ってまいりますが、防災行政無線の使用につきましては、本来災害時に使用するものであり、市民からさまざまな御意見もあることから慎重に判断していくべきと考えております。

7.東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会関連事業について

〇決して対応そのものを否定するつもりではございませんが、現状から、このように見る市民は結構多いのではないかという角度からお聞きします。
・八王子市の場合、事前の聖火リレーが富士森公園を中心に行われること、本番はオリンピックの自転車競技ロードレースが南大沢方面の道路を一瞬かすめる程度しかなく、八王子市は東京なのかと思わざるを得ない状況だと感じています。また、想像以上に入場券が手に入りにくいことなども関係しているのでしょう、オリンピック・パラリンピック開催まで5ヵ月を切っているのに、ここ八王子では全く盛り上がりに欠けているというのが私の印象です。

Q改めて予算書を見てみると、この盛り上がらない中、また競技は前述のとおりであるにもかかわらず、1億1,000万円もの予算が計上されています。都の支出金がそのうち約半分とはいえ、そこまでの費用をかけて取り組みを行うことの意義について、市のお考えをお伺いします。

A【石森孝志市長】
半世紀を経て東京で開催される今大会につきましては、世界最大のスポーツと文化の祭典をまさに身近で体験できるまたとない機会であり、大会を成功に導く取り組みをしっかりと進めてまいります。この取り組みが次代を担う子どもたちにとってもかけがえのない財産になるとともに、本市の新たな魅力や活力を生み出すレガシーにつながっていくと確信をしております。

〇東京オリンピック・パラリンピックのシンボルが高尾山の山頂に設置されています。このシンボルは、東京で7ヵ所設置されるようですが、大会終了後には設置した東京都が高尾山頂からこれを撤去し、高尾山下にある高尾599ミュージアムの敷地内に八王子市の費用で再設置する予定となっています。ちなみに、設置される7ヵ所のうち、これが再設置されるのは3ヵ所とのことです。今後の維持管理をミュージアムの指定管理者が行うのか、地元の有志で行っていただけるのか定かではありませんが、これが風雨にさらされて汚くなってしまうなど、移設したら粗末にしておくわけにもいかないものでしょうから、今後のお荷物になってしまうのではないかと危惧いたします。

Qこのシンボルを高尾山599ミュージアム敷地内に移設することとした意義についてお示しください。

A【石森孝志市長】
大会の感動と記憶をレガシーとして後世に長く伝えていくとともに、自然と共生をテーマとした高尾599ミュージアムに再設置することで東京2020大会のコンセプトである持続可能性の継続的なPRにつなげていくため、東京都と連携して移設することとしたものであります。
再設置後は、指定管理者が適正な維持管理を行うこととなっており、市では新たな観光資源になることも期待をしております。

相沢こうた
八王子市議会議員