八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.57「議会報告」

平成29年第3回(9月)定例議会

≪一般質問≫

1.水素社会到来に向けた新たな取組みの提言

1.水素社会到来に向けた新たな取組みの提言

◇再生可能エネルギーとエネルギーの歴史について

・再生可能エネルギーとは、本来、絶えず資源が補充されて枯渇することのないエネルギー、利用する以上の速度で自然に再生するエネルギーという意味の用語です。
 また、太陽、地球物理学的、生物学的な源に由来するエネルギー全般を指し、具体的な物質としては、太陽光、風力、火力、潮力、流水、地熱などの温度差、バイオマスなどが一般的に挙げられ、その熱を利用したり、物理的、科学的にその力を変換して発電をしたりする源になるものを指します。
 一方で、近代の社会を見ると、第一次産業革命では石炭、第二次産業革命では石油と、一般的に化石資源と言われるエネルギー源が人々の生活や産業を大きく変えた歴史があります。
 現在はこれらに加えて天然ガスがエネルギーの主流ですが、埋蔵量に限界があることや燃焼時に発生するCO2が大きな課題であり、またCO2を発生せずに大きな力を得られるウランやプルトニウムといった原子力は取り扱いや処分などの安全性に課題を残しており、近年はさまざまな再生可能エネルギーが再び注目されるようになっています。
 再生可能エネルギーは各々に弱点があり、総じて言えるのは、エネルギーとして安定性がなくパワー不足であるということです。このことは、人々がエネルギーに求める資質から見ると決定的な欠点を持っていると言え、普及拡大はされているものの、現状以上の効力は期待薄であると言わざるを得ません。
 さまざまな利用手段がある中で、電気に限定して申し上げますと、電気の一番の課題である溜められないという部分に関して、化石資源はその出力を使用量に合わせて意図的に制御できますが、水力や地熱などの一部を除いた他の再生可能エネルギーはその制御が難しいという弱点があります。このキーワードは後で関係してきますので、覚えておいていただきたいと思います。

・原子力発電が世の中の信用を失ったこの6年余りは、その代替エネルギーとして、太陽光発電や風力発電を筆頭にした再生可能エネルギーの利活用に期待が集まりましたが、ここのところ、特に太陽光発電の買い取り価格の引き下げによりブームが沈静化し、昨年あたりから太陽光関連企業の倒産が相次いでおり、2012年当時の世論の期待に反し、成果はかけ離れた結末に向かっています。
 実は、現代と大変よく似た状況がありましたので、簡単に紹介します。
 1973年のオイルショックは皆さんも知るところでしょう。この一連の石油危機によって、化石燃料に頼らない世界をと、現在の風潮と同様に期待されたのが太陽光と風力でした。1977年、アメリカの物理学者エイモリー・ロビンズという人がソフト・エネルギー・パスという本を出版しました。この本によりますと、再生可能エネルギーと省エネルギーで数十年以内に第三のエネルギー革命が生じ、これによって化石燃料や原子力はほとんど用済みとなり、35年後に約7割はソフトエネルギーに転換になるといったものでした。
 化石燃料、原子力というハードエネルギーから、風力、太陽光、地熱といった多様なソフトエネルギーの組み合わせと、あわせて省エネを図ることになるというこの本はベストセラーになり、当時のアメリカのカーター政権を初め、日本のエネルギー政策にも少なからず影響を与えました。1977年から35年後は2012年となりますから、ちょうど過ぎたばかりです。この予言が当たったかどうかは、私たちが知るところです。
 結局、ロビンズのソフト・エネルギー・パスの予言は、現在のアメリカで見れば、一次エネルギー供給における水力発電を除くソフトエネルギーの割合は7割どころか5%に満たず、これらの再生可能エネルギーによるエネルギー革命は起こりませんでした。
 数年前、原子力発電事故以降のソフトエネルギーへの転換ブームが起こったとき、エネルギーに詳しい方々はこういった過去の事象、経験を知っていますので、冷めた感覚の方が多くいらっしゃいましたが、今回の太陽光発電ブームの沈静化は、歴史から予測できたことだったと言えるわけです。

・近代社会で人間が利用するエネルギー源は、山の木を伐採して(薪、炭のことを薪炭といいます)薪炭として利用していた時代から、第一次産業革命で石炭に移行し、第二次産業革命では石油に移行、その後、原子力がその主力を引き継ぐシナリオでしたが、それが少し怪しくなってきたのが現代です。
 これらのエネルギー転換の歴史を見ると、この世界には元に戻った例がありませんので、ソフト・エネルギー・パスで一度取り組み、もくろみどおりにならなかった再生可能エネルギーを再び主力として利用しようという考え方自体に私は疑問を持っていました。社会のエネルギー需要を改善していくとしたら、それは今まで使ったことのない何かに移行していくのがエネルギーの歴史から見た正常な判断ではないかと思うのです。

◇水素エネルギー

・エネルギーの世界で現在注目されているのは水素です。水素は過去に主役になったことはありません。水素事業は今や日本の国家プロジェクトとして進められています。
 東京都では、3年後の2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた選手村で水素を利活用する設備が盛り込まれた開発が進んでいます。また、神戸市では、1,700キロワット規模の水素コージェネレーションを用いて電気や熱を供給する実証をポートアイランド地区で計画しており、神戸市の公共施設などもこの供給を受ける計画になっています。

他に、水素ステーションの設置に対する国の補助金は、2015年までは四大都市圏とそれらの地域を結ぶ高速道路沿いに限定されていましたが、2016年以降は政令指定都市を中心とする大都市圏に対象を拡大しており、現在計画中も含めて全国で100ヵ所を超える設置数に増加してきています。国は、水素社会の実現に向けた基本戦略を年内にも策定する予定となっており、再生可能エネルギーに水素を組み合わせた省庁連携が図られたアクションプランとなるようです。

・水素は再生可能エネルギーなのでしょうかという疑問が湧く方がいらっしゃると思います。無限に枯渇することなく存在するエネルギーという再生可能エネルギーの条件とは少し違うと思いますので、再生可能エネルギーではない新たな媒体だということになると思います。
 水素が期待されている理由は幾つかあり、まずCO2を発生しないということ、それから発電燃料として燃焼させることができるということ、そして再生可能エネルギーなどで発電した電気を利用し、水の電気分解を行うことで水素が作れますので、これを溜めておき、必要なときにエネルギーとして利用することが可能となります。再生可能性エネルギーの弱点である必要なときに発電してくれないという欠点をこれで補う使い方ができることから、再生可能エネルギーと組み合わせた使い方が期待されています。既に、太陽光発電と組み合わせた利用は、山梨県甲府市の米倉山に設置されたメガソーラーなどで実証試験が始まっています。

Q高倉町に水素ステーションが開設されました。また、八王子市は公用車として本田技研の水素カーを1台導入しました。どちらも国の補助金対象事業となっていると思いますが、これらの取り組みの概要と費用、国の補助金などについて教えてください。また、これらの水素施策に関する感想をお聞かせください。

A高倉町の水素ステーションは、平成26年度にJX日鉱日赤エネルギー株式会社が設置しており、市の支出はないが、概算で約5~6億円の設置費に対し、国から1億9,000万円、東京都から1億8,000万円の補助金が交付されたと聞いている。
 また、公用車については約860万円の総額に対して、国及び東京都から約420万円の補助金がリース会社に交付されており、本市は差額である約440万円について60ヵ月のリース契約を締結している。この金額を見ても、水素に関する施策はかなり高額になると実感をしているが、普及啓発を行う上でPR効果が高いと感じている。

Qこういった経過を見ると、八王子市として水素に対して全く興味がないということではなさそうなのですが、今後の水素関連施策に関しての考え方をお答えください。

A地球温暖化対策として、低炭素化を推進していくに当たり、水素も有効なエネルギーであると認識をしている。国等の補助金活用も含めて、社会状況を勘案しながら地球温暖化対策を推進して行きたいと考える。

◇環境基本計画などについて

八王子市は、八王子ビジョン2022を基軸として環境基本計画を制定し、その個々の計画をさらに細分化し、エネルギー関係は地球温暖化対策地域推進計画に整理して、地球温暖化防止に向けたCO2削減を主目的として取り組むことを明示しています。
 地球温暖化対策地域推進計画の中で、再生可能エネルギーに関するものは、太陽光発電、太陽熱利用、木質バイオマス、木質ペレットストーブ、車に関しては電気自動車までで、水素自動車は出てきません。
 私は、自治体として取り組むエネルギーに関しては、その地形上、ダムなどの大がかりな施設を保有していない限り、大それた発電などに関与する必要はなく、CO2削減による地球温暖化防止という目標に向けた取り組みに徹するべきだと過去に何度も申し上げてきました。今でもその考え方に変化はありませんので、本市がここに示す目的に関しては賛同しております。
 ただ、推進計画の期間について、平成27年度から平成36年度までの10年間を対象期間としていますが、現代のエネルギー分野はちょうど変革期にあることも影響していますが、新技術の導入や技術革新など驚くような早さで変化していますので、10年間のスパンは長過ぎると思います。
 電気に関して例を申し上げますが、電気の世界の歴史は案外浅く、ファラデーが電磁誘導の法則から初めての変圧器をつくったのが1837年、トーマス・エジソンが白熱電球を発明したのは1879年であり、1800年代半ばから後半にかけてようやく電気というものが使われ初め、ここから数えて現在は150年程度です。
 日本で東京電燈や大阪電燈という会社が海外の技術を導入し、日本で初めて発電し商用の電気が送られたのは、それぞれ1893年、1897年ですから、こちらは120年ほどしか経過していないのです。なのに、現代の世の中に目を移すと、電気は空気や水と同様に、これがない生活は考えられないほど技術革新され、生活に密着しています。たったの120年で、です。
 こういう歴史背景を考えても、推進計画の10年間というスパンは余りにも長過ぎます。平成36年度まで、この推進計画に基づいた施策展開をしていると、世の中との温度差は相当広がってしまいます。

Q環境政策には、山の緑の保全など、木の成長に合わせたり、じっくりと取り組むべき種類のものも当然存在しますが、再生可能エネルギーを含めたエネルギー分野は目まぐるしく変化している社会情勢を敏感に察知して、次々に生み出される新技術に柔軟に対応すべきと考えますが、いかがでしょうか。
 具体的に申し上げれば、最低5年で改訂、その中間であっても必要なものは追加していく対応をしていただくべきだと考えますが、いかがでしょうか。

A再生可能エネルギーの利活用については、地球温暖化防止のためにCO2を削減するという視点から導入推進を図っているところだが、議員が指摘のとおり、エネルギー分野については技術革新のスピードが速いため柔軟な対応が必要だと認識はしている。地球温暖化対策地域推進計画の計画期間は10年間としているが、このような背景も考慮し、5年をめどに見直していくことを記載している。

◇新館清掃施設のごみ発電について

・平成34年度の稼働を目指してこれから建設する新館清掃施設においては、既に施設整備基本方針が示されており、廃熱利用による発電システムの導入が明記されています。一般的にはごみ発電と表現されているシステムで、焼却処分するごみ処理の際に発生する熱を無駄にすることなく有効利用するもので、環境政策としてよい取り組みであり、近年建設される清掃施設にはおおよそどこにでも導入されています。ごみを焼却する際に発生する廃熱を利用して発電し、所内電源として利用するほか、余剰分については売電します。各メーカーとも発電効率の向上を図っているため、新館清掃施設での熱エネルギー利用も期待が持てるところであります。

Q廃熱利用の発電システムの導入に関しては計画どおりということでよろしいのでしょうか。現時点で発電量はどの程度になりますか。また、所内電源として利用する分、売電する分など、大まかな設計値をお示しください。

A東日本大震災での経験を踏まえ、災害時においても継続的なごみ処理が可能となるように、新館清掃施設整備基本計画に沿って廃熱を利用した発電システムを導入したいと考えている。
 現時点での発電量は3,500キロワット程度を想定し、そのうち1,000キロワット程度を施設内電源として利用し、残り2,500キロワット程度を売電する計画となっている。
 なお、具体的な電気容量については、今後、事業者からの提案内容を精査し決定していくこととなる。

◇発電した電気を売電する方法について

・売電は、電力会社の送配電系統に接続して送り出すことになります。電力会社が所有している送配電線に接続する際、電気の供給を受けるのではなく売電が目的である場合、既存の電力設備から施設まで新設する送配電線の整備費用は全て原因者負担となります。新館清掃施設の場合はこれに該当しますので、電力会社で送配電線工事は実施しますが、その費用は市が全額負担することになります。太陽光発電設備の建設費なども同様ですが、新たな発電所の近隣に適当な電力設備が存在しないことで、売電のための送配電線整備工事が大規模になり過ぎ、これが見込み違いの高額となってしまい、中には太陽光発電所建設を断念した例があるほど事業者には負担額が大きくなる場合もあります。  また、発電する容量によって、配電線と呼ばれる6,600ボルト(これは電柱のレベルです)で済むのか、送電線と呼ばれる6万6,000ボルト(これは鉄塔のレベルです)の設備になるのか、さらにはそれらが架空設備となるのか地中設備となるかによって費用は大きく違います。
 新館清掃施設外側の電力設備整備費用について、私なりに大まかな試算をしてみました。  まず6万6,000ボルトの送電設備の場合ですが、一番近くにある送電設備で接続可能な設備は、地中送電設備が3キロメートルほどの距離にあるため、これになると想定されます。地中送電設備は架空送電設備よりも高額となり、整備費用は3億5,000万から4億円程度と試算します。
 一方で、配電設備での接続を検討しますと、旧館清掃工場へ電力供給をしていた実績がありますので、設備形成上大きな問題はありません。配電設備の信頼度向上策など、手厚い設備形成にて接続をしても2,000万円程度で済むと試算します。当然ですが、特別高圧と高圧では、清掃施設側の電気設備もその形態と価格に大きな差があり、運転開始した後の点検などランニングコストにもそれなりの価格差が生まれてくるのは当然のことです。
 これらを積み上げて比較すると、特別高圧と高圧の設備関連費用の差額は5億円近くになるのではないかと想定します。配電線で済むのか、送電線となるのか、大変大きな課題となってきますが、この選択はどっちがよいということではなくて、先ほどお答えになった売電容量によって決まってきます。
 先ほどの質問でお答えいただきました新館清掃施設の発電容量は3,500キロワットでしたので、所内電源などで使用する部分を除いて2,500キロワット程度が売電容量になると仮定して、この数値から判断しますと、高額となる送電線での設備形成が必要であるということになります。

Q新館清掃施設の売電のためにかかる電力設備整備費用についてお聞きします。
 特別高圧での設備形成に必要な費用を仮に5億円としますが、非常に高額に映るこの費用に対する予算措置については予測がついていた、あくまでも当初から特別高圧の設備形成で考えていたということでよろしいのでしょうか。

A電力会社との協議により、特別高圧での設備形成が必要となった場合には整備に要する費用負担が発生することは承知をしている。
 また、施設の整備については、環境省の廃棄物施設建設工事等の入札・契約の手引きにより、発電容量が2,000キロワット以上となる場合には、原則として特別高圧の設備が必要であると示されていることから、新館清掃施設にいても、現状、特別高圧になると予測している。
 しかしながら、周辺の電力需要など地域の状況に応じ高圧となる場合もあることから、引き続き特別高圧になるか、高圧になるかは電力会社と協議を行い決定していく考えである。

・売電容量2,500キロワットを基準に考えると、高額な特別高圧地中送電線となるわけですが、この数値を2,000キロワット程度にすると、一般的な高圧での対応が可能になります。
 売電したい容量が高圧では絶対に無理といったかけ離れた数値ではなく、売電容量を少し落とせば5億円程度のコストダウンができる際にあります。3,500キロワットの総発電量から所内で1,000キロワット程度を利用、売電は2,000キロワットとします。そうすると、500キロワット程度が余りますので、この余り分を利用して新しい有効な取り組みとして、国家プロジェクトとしての取り組みが期待される水素に取り組んでは如何でしょうか。
余剰電力を利用した水の電気分解による水素発生システムを導入し、ここで得られた水素を活用し、CO2削減などの環境施策の充実を図ると同時に、水素は備蓄できますので、災害対策の充実などの副次効果も見込めますし、そういった先進的なプロジェクトに取り組んだらいかがかということが今回の提案です。
 水素を利用した取り組みは、今のところ、水素バス、水素自動車、水素フォークリフトなど、車両の燃料として利用するものが目立ちます。また、再生可能エネルギーから得た水素を備蓄したり移動させ、燃料電池ユニットを介して発電したり、温水を供給したりする形でのエネルギー供給システムは既にかなりの実証がされていますし、川崎市では、東芝製の自立型水素エネルギー供給システムを公園に設置して、エネルギーの水素への変換による備蓄や災害などの緊急時に活用する取り組みを実施しています。

Q水素に対する取り組みとしてお尋ねしますが、先ほどのお答えで「何をするにも高額であり、周囲の取り組み状況や国の動向などを見てから実施したい」ということは、現状での感覚としては間違っていないと思います。この清掃施設の完成までにはあと5年あります。水素の活用に関しては国家プロジェクトとしてさらに加速しながら推移することは確実です。5年という歳月がどの程度水素社会を身近に感じられる状況にしているか想像できませんが、新館清掃施設は、さまざまな角度から見て水素の取り組みを進めるのに適した条件下にあると思いますが、余剰電力利用や設備形成などの視点から見てのお考えをお答えください。

A新館清掃施設整備基本計画では、安全・安心を確保し安定した処理を継続できる施設、また廃棄物を利用した積極的に発電する施設、経済的にすぐれた施設を目指すことなどを基本方針に掲げ、積極的な売電についても取り組むこととしている。
 こうした中、水素エネルギーの活用は、技術開発は進んでいるものの、現時点では広く普及している状況ではないと認識しており、課題点の整理に向け引き続き技術動向を注視するとともに、調査研究を行うことが必要だと考える。

・まず、水素をつくるというシステム上の視点では、八王子市としては新たに取り組むことになりますけれども、全国的に見れば、既にさまざまな企業や大学で日々研究開発が進められていますし、現時点で既に導入されているところは多くありますので、問題はないと推測します。私の知識で判断すると、500キロワット程度での電気分解による水素発生装置はそれほど大きくはないと思いますが、水素備蓄の装置や水素ステーションなど、活用するにはその他の設備も必要となります。新館清掃施設に導入すると仮定した場合、スペース的に設置可能かということがまず1点目の検討課題となります。
 また、現在でも鉄工所などに水素のシステムが導入されているくらいですから、余り気にする必要はないかと思いますが、清掃工場という事業種的に安全性などから置くことができるのかということも検討課題となります。

Q水素施設設置に関して、現状の新館清掃施設の設計図や地域事情など、客観的に見てどのような課題があると考えますか。

A敷地内には清掃工場を初め、収集部門の清掃事業所、また開かれた清掃施設を目指し、日ごろからの住民への開放、また災害時にも活用できるスペースの確保などを検討していることから、現状では手狭な状況にあると考えている。水素のメリットは承知しているが、安全性が十分に認識されていない状況もあり、地域住民との新たな合意形成に向け慎重な対応が求められると考えている。

◇何に水素を使うのか

・既に水素フォークリフトはさまざまな場所で導入されています。水素バスまであることを考えれば、水素清掃車は可能だと思います。館方面の交通は便利とは言えませんので、地域還元の施策として水素バスの活用もよいと思います。また、水素は備蓄、移動ができる利点がありますので、清掃施設以外にも近隣の市民センターや小中学校などに燃料電池ユニットを導入すれば、通常時のCO2削減施策としての展開はもとより、他に地域の緊急避難場所の充実を図る目的でも使えます。

Q新館清掃施設で水素を導入した場合、どのように利用したらよいと思うか、少し夢を含めてお答えください。

A新館清掃施設に水素を導入すると仮定した場合、本市で使用しております収集車両などを順次水素燃料車両に切りかえていくことで、地球温暖化対策などに期待ができるものと考える。また、これに伴い余剰電力を水素エネルギーに変換し、水素ステーションを設置、利用することで、ごみ発電での地産地消、環境学習などに高いPR効果が期待されるものと考える。

◇水素の将来について

・現在は水素の取り扱いに関係する法令はガスなどと区分されていません。例えば、水素は空気中に放出されると、どの気体よりも軽いため瞬く間に上空に拡散されてしまいます。余程気密性の高い場所で酸素とまじらない限り爆発の可能性はなく、これは都市ガスなどとは違います。また、密閉する圧力や運搬方法などもガスとは違うなど、水素を世の中で使いやすいするためには、法令を水素専用にしてほしいという要望が既にさまざまな団体から出されており、これについては恐らく近未来に実現されると思います。また、水素関係車両が今後は増加していくことは想像できますので、その単価は下がると予想されますし、またさまざまな製品が開発され、導入されることも容易に想像できます。  まだ何をやるにも値が高いということは事実ですが、国が導入を真剣に考えているということですので、補助金制度はその対象が拡大されながら、しばらくの期間は継続されるであろうということも想像がつきます。
 今は社会に水素を導入する追い風が吹いている状況にあります。川崎の例を申し上げましたが、燃料電池ユニットをさまざまな施設に組み込むことで、そこに水素を持っていけば発電や熱供給ができますので、災害時に電気やガスのライフラインがとまっても、その施設は緊急避難場所として機能させられます。こういった視点からも、率先して導入に向けて検討していただきたいと思います。
 水素の利用に関して検討する時間はまだ5年の猶予がありますので、具体的に何をしたらよいかという検討は、それこそ世の中の動向を見ながら検討すればよいと思いますし、その時間は十分あります。
近年の技術の進歩はすばらしく早いため、恐らく5年後の導入時期には思いもしなかった有効活用が図れる可能性が大いに期待できると思います。世の中の動向を見て、何に利用するか検討するのはきっと楽しいと思います。
 今、私が求めているのは、売電は配電線としてとりあえず費用を抑え、余剰電力については水素利用を基軸として活用検討するという大枠のジャッジがまずは必要ということです。

Q八王子市で水素に取り組むとしたら、新館清掃施設はさまざまな条件、角度から見て最適であり、ここでの導入検討は十分に価値のあるものになると信じて疑いませんが、お考えをお聞きします。

A水素エネルギーはCO2の排出がほとんどないこと、貯蔵できることなど、夢のある新たなエネルギーと捉えている。一方で、新館清掃施設整備基本計画を踏まえて事業を進めている状況の中、水素エネルギーを導入するための事業変更、安全性の確保、住民との合意形成などを考慮した場合、高いハードルが存在していることも事実だと考える。
 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会における水素の活用、その後の普及状況、導入実績など、幅広い視点で検証した上で、新館清掃施設の供用開始後の導入とともに、本市が保有する清掃施設への導入の可能性について引き続き検討して行きたいと考える。

・北野清掃工場の閉鎖後のあったかホールに燃料電池ユニットを導入すれば、移転した先のごみ発電でつくった水素を利用することができ、市民に取り組みをアピールすることができますし、北野のあいた敷地に太陽光パネルと水素発生ユニットを導入すれば、再生可能エネルギーを備蓄し利用することもできます。さらに、この場所を緊急避難場所として整備するためにも大変有効な施設整備事例となります。
水素が積極的に活用される世の中は、近い未来に必ず来ます。新館清掃施設をきっかけに、八王子市がさまざまな施設に水素が活用検討されるようになり、水素タウン、CO2削減を積極的に行う環境都市となっていただくことを強く望みます。

相沢こうた
八王子市議会議員