八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.49「議会報告」

平成28年第3回(9月)定例議会

≪会派代表質疑・・決算について≫

1.中核市移行について
2.人口減少社会の影響と動向について
3.子育て支援について
4.子どもの虐待について
5.再生可能エネルギーの取り組みについて
6.設計委託業務、入札制度について

1.中核市移行について

〇平成27年度は八王子市が中核市に移行した初年度です。
 先日の一般質問で他の議員から、中核市移行前の見通しと移行後の状況についての質問があり、財政については法定移譲事務及び東京都移譲事務に関して、移行前の試算のとおり、地方交付税及び臨時財政対策債の中で補うことができているという回答がありました。また、中核市移行による評価についてもおおむね良好な感触である旨の回答がされました。移行1年目としては、事前に予想していた範囲内にその結果がおさまっているということのようです。
 中核市移行は、それがゴールではなくスタートだと以前から市長は申しておりますが、平成27年度の検証を十分に行っていただき、次年度以降に生かしていただく取り組みが重要なのだと考えますので、今後の展開に期待するところです。

Q:中核市移行により増大する仕事量に対応するには、人数に換算して65人の増員が必要との見込みのとおり、平成27年4月1日には、その65人が福祉部、資源循環部など、それぞれに追加配置されました。当初業務の条例策定などを終えてこの人数は平成28年4月では55人となっています。65人の職員を増やしているのですが、一般会計款別財政構成を見ますと、27年度の人件費は前年比マイナス4億420万円、率にして1.4%のマイナスとなっています。全体の職員数で見ると、平成26年度で2,765人に対して27年度は同数となっており、中核市移行で必要だとされた人員は全体の数字からは読み取ることはできません。中核市移行により発生した新たな65人はどのような手法で生み出されたのか、その手法による市政全体への影響についてどのように検証されているのかについてお答えください。

A:職員体制は、可燃ごみ収集運搬業務や学校給食調理業務などの委託化の推進による効率化と多様な雇用形態の職員の活用を図り確保している。検証については、毎年新規事業の対応や、国や東京都の制度改正などの動向を踏まえ、各職場の業務状況の聞き取りを行い実施している。
 今後、新たな課題が生じた場合には、八王子ビジョン2022組織・定数管理基本方針に基づき適切に対応したいと考える。

2.人口減少社会の影響と動向について

〇日本では、少子高齢化による人口構造の変化がもたらす事象に対応する施策の展開が検討実施されるようになり久しく、ついに数年前からさらに大きな転換期ともいえる人口減少社会に突入しました。  八王子市の人口の推移を見ると、平成24年の56万4,500人まで年々増加してきましたが、この数値をピークに、25年、56万3,482人、26年、56万2,572人、0.2%ずつ減少に転じ、平成27年は56万2,795人と223人が微増したものの、明らかに従来とは違った傾向が見られます。
政府は、加速度的に進む日本全体の人口減少や都市部への人口の一極集中の是正などを目的とし、地方創生、まち・ひと・しごと創生と銘打って、地方自治体みずからが地方版総合戦略を策定し、それを実行することで地方における安定した雇用の創出、若い世代の結婚、出産、子育ての推進などにより、地域の活性化とその好循環維持の実現を目指す取り組みを始めました。各自治体はこの指示により各々が総合戦略を作成し、それに沿った取り組みに着手しなくてはなりません。
決算のさまざまな数字に関しては、業務遂行状況の健全性を図るものとして重要なことはいうまでもありませんが、ここに結果としてあらわれる数字の過去との比較により、時代や社会情勢の変化や傾向を読み取る資料としても非常に重要な意味を持つものだと考えます。

Q:市長にお聞きしますが、日本が危惧する社会情勢の変化を八王子市ではどのように捉えているのか、また平成27年度決算などの分析から、そこにあらわれている現象や傾向などはあるのかについての御所見をお答えください。

A:【石森市長】
本市において合計特殊出生率は平成23年以降微増傾向にありますが、出生者数では減少傾向にあります。また高齢化率は上昇し続けており、今や人口の4分の1が高齢者となっております。
決算においてもこの10年間で民生費が金額、構成比とも大きく伸びておりますが、こうした状況に対応するため、子育て施策や高齢者福祉の充実に努めてきた結果であると、そのように考えております。

3.子育て支援について

〇子育て支援施策については全般的にさまざまに知恵を絞り施策を展開していると感じるとともに、例えば保育園申し込み時期には子ども連れで相談にこられる方々への対応として保育スペースを設け、保育士を配置していただいたことなど、指摘、要望させていただいた事象に関して積極的に対応していただいていると評価しています。一方で、保育園の待機児童解消に向けた取り組みなど、対策が追いつかない現実もあり重い課題を抱えているとも感じています。
子育て支援の課題について幾つかお聞きしたいと思います。

〇まず、保育園の待機児童についてです。  八王子市の保育園待機児童数は、平成27年4月では144人、平成28年4月では139人です。毎年待機児童解消を目指して保育園新増設、保育ママ、テナントなどを利用した小規模保育など、さまざまな手を打ち、平成26年には351人、平成27年には245人分の保育枠の拡大を図っていますが、待機児童は依然として発生し続けている現実にあります。
 先日行われた東京都知事選挙では、各候補が保育園待機児童ゼロを公約に掲げていました。当選された小池都知事は、9月9日にこの対策費を盛り込んだ126億円の補正予算を組み、東京都全体で5,000人の保育定数の増員を目指すと発言しました。私は都知事選挙のときからひっかかっていたのですが、実際にこれを展開するのは地方行政であるので、都庁で理想論を展開されても果たしてそんなに簡単に待機児童の迅速な解消ができるとは思っていません。
 そもそも、保育体制の早期充実、対策強化に関しては、どこの地方行政でも地方議員は随分前からこの必要性を訴えていましたし、行政側も重要性を十分に理解し、限られた予算の中で精いっぱい対応してきました。社会問題として国会前で訴える若い母親をマスコミが大きく取り上げたのはつい最近ですが、それから急にこの問題がクローズアップされ、国や都が慌てて対応しようとしている経過は個人的には少々不愉快な思いもまじりますが、きっかけは何であれ、現在の流れを大いに利用すべきだとは思っています。ただし幾つか冷静に考えておかなくてはならないことがあると考えます。

Q:まず、保育施設充実はどのような形が理想であるかということについて、社会の現状分析と将来展望から、よく考えておかなくてはなりません。八王子市の現在の未就学児童数、出生率や新生児数の推移、市内の住宅開発予定などによる子育て世代の転入予想など、未就学児童の数の現状と将来の推移についてしっかりと予測することが必要です。さらに、地方創生総合戦略では少子化対策を大きな課題としており、取り組み目標を掲げて出生率向上の目標値まで設定しています。こういった施策展開も加味した予想が必要になります。
 市長にお聞きしますが、適正な保育施設数、保育環境整備のための未就学児童数の推移などについて、社会情勢や少子化対策などの他の施策の効力など、総合してどのように捉えていくのかについて御所見をお答えください。

A:【石森市長】
未就学児童数は子どもを産み育てる若年層の減少に伴い平成23年以降緩やかに減少しており、この傾向は当面続くものと認識をしております。その対策として第3次子ども育成計画やまち・ひと・しごと創生総合戦略でお示ししたさまざまな施策の確実な実行により出生率の上昇を図るとともに、若年層の社会減を抑制し、乳幼児人口を安定化させていく考えです。

Q:将来展望をきちんと見定める取り組みを行っていただくことと並行して、とりあえずは現在既に発生してしまっている保育園待機児童の解消策は継続してスピード感を持って進めていかなくてはなりません。人口減少社会の予測や東京都の現在の出生率1.1%台であることなどを考えると、子どもの数が劇的に増えるとは考えにくく、減少の傾向になることは現時点では自然な答えだと思います。それでも短期的に定員増を図るためには、平成27年度に既に少しは取り組んでいる小規模保育を空き店舗や空き家を有効活用して展開していき、児童数の変動に柔軟に対応できる施設整備を目指すことが得策ではないかと考えます。社会的問題化した保育園待機児童対策について、市の施策展開の考え方と取り組み状況についてお答えください。

A:認可保育所の施設整備を中心としながら、平成27年度からは子ども・子育て支援新制度で新たに創設をされた地域型保育事業の活用も図り増え続ける保育ニーズに対応したこと、また待機児童ゼロに向けた取り組みを進めているところである。
 本市においては、老朽化した園舎の建替えを優先し、安全な保育環境の確保にあわせて、待機児が多い低年齢児の定員を拡充しているのが特徴である。また、必要な地域には新設園を建設し、駅周辺など土地の確保が難しいエリアでは、賃貸物件を活用した保育施設の整備を進めているところである。

Q:保育の中に、病児・病後児保育があります。これは、体調不良により通常の保育園に通えない場合、臨時的に預けられる施設で、平成27年度は八王子市内では4ヵ所の施設運営がされています。市は、施設運営に対して補助金を支払う形でこの運営を補助しています。施設の利用率は年間平均では50%前後の数値ですが、風邪を引きやすい時期やインフルエンザなど、はやり病の時期が偏るため、そのような時期では定員はすぐに満員となってしまうなど運営は難しいものがあります。また利用する側のことも考慮すると、まだまだ定着と充実には研究と時間が必要な施策だと思っています。日常においてイレギュラーがあったときにしか利用しない、こういった施設は充実を求める声は多くありますが、実際の運営上、また施設整備上、さまざまな課題があります。
 平成27年度は町田市と協定し、どちらの病児保育でも空きがあればお互いの市民が利用することができるという体制をつくったことはとてもよい取り組みだと評価します。これをもう少し拡大して、近隣の複数市で共同運営し、各駅前など便利な場所に施設整備を進めていったらどうかと考えますが、いかがでしょうか。町田市との共同での利用に至った経緯と考え方、あわせて今後の病児保育の充実に向けた考え方についてお答えください。

A:本市の病児保育室は、従前より他市の方の利用が可能であったが、町田市内の病児保育室を利用するためには町田市の認可保育所に入所していることが条件となっていたため、八王子市民の利用というのは限られていた経緯があったため、両市民の利用の利便を図るため、広域利用に関する協定を締結したものである。  病児保育室の今後の充実に向けては、28年3月で廃園になりましたみなみ野の施設を引き継ぐため、現在、小児科医と協議を進めており、29年4月の開園を予定している。今後、近隣市との連携も視野に入れ、子ども育成計画に位置づけている駅周辺での開設に向けて努力をしていきたい。

Q:子どもが病気になったときには、そばにいて看護してあげたいと思うのが親としての本音だと思います。育児・介護休業法という法律があり、この法律には育児休業制度や看護休業制度などが定められており、その第16条にこの看護休暇制度というものがあり、小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより1年に5日まで、病気、けがをした子の看護のために休暇を取得することができるとあります。また、第10条と16条には、事業主はこういった制度で休業した者に対して、これを理由に解雇など不利益になる扱いをしてはならないとあります。
 しかし、この看護休暇については、年間で与えられている休暇とは別の扱いとして有給としている、また子ども2人に対して5日足す5日で10日を可能としているといった子の看護制度の充実を図っている企業は大企業か行政などに限られており、小さな企業では現実的に利用できない、取得した場合は欠勤扱いとされてしまう、言い出しにくい職場の雰囲気があり実際には取得できない、賞与などの評価に影響しているように感じるなど、看護休暇の普及充実が図られていないのが現実のようです。法律で定められているこの制度をきちんと活用できるように指導し定着させることで、体調不良の子どもをあえて病児保育に預けることをしなくて済み、そうすれば病児保育室は現状程度で十分なのかもしれません。このことは、育児休業制度充実によるゼロ歳児保育にも同様にいえることと思います。  市長にお聞きしますが、市内企業にそこで働く労働者の労働条件の充実に向けた指導、また子育て支援など、法で定める内容の遵守などを指導して、子育てする労働者の労働環境と子育て環境の改善を図るべきだと考えますが、27年度のこういった活動の実績についてお答えください。また、法律で定められている権利が履行されていないなど、子育て環境の厳しい現実に対して改善に向けた取り組みが必要だと考えますが、御所見をお聞かせください。

A:【石森市長】
労働環境に対する企業への指導監督は国の役割と考えております。市といたしましては、労働者と企業の双方が知識を深めることが重要と考え、毎年、国や都の関係機関と連携してセミナーを開催するなど周知啓発活動に取り組んでおり、平成27年度は3回、5日間、延べ300人の方に御参加をいただきました。今後も労働者が権利を行使しやすい環境づくりに協力していきたいと思います。

4.子どもの虐待について

Q:平成27年度の子ども家庭支援センターの相談件数と内容を見ますと「虐待とその疑い」が断トツで、平成27年度実績の46%、これに一つ間違えると虐待につながってしまいそうな養育不安という項目を加えると全体の75%になります。
 以前、会派で香川県の子どもの虐待SOS事業という取り組みを視察させていただきました。コンビニや新聞配達の方、郵便配達や電気、ガス、水道の検針の方などの御協力をいただき、地域から異常を感じたときに通報をいただき虐待を発見する体制強化策でありました。相談件数にもあらわれているように、子どもの虐待が増加傾向にある中で、近隣からの通報などに対応していただいておりますが、子ども本人からのSOS発信という視点も大事だと考えます。
施策として実施をした子どもへのセーフティネット施策はどのようなものがあるのか、また子どもの虐待に関係する課題が全国的にも年々多くなっていることについてどのように捉えて施策展開に反映されているのか、あわせてお答えください。

A:子ども自身からの相談については、子ども家庭支援センターで受け付けているほか、教育委員会では子どもの電話相談、総合教育相談、また都の教育委員会においては24時間受け付けをしている東京都いじめ相談ホットライン、などを実施している。年内に子どもが直接相談できるように子ども家庭支援センターや関係機関の電話番号を記入したカードを教育委員会と連携して作成し、学校を通じて配付をする予定である。
 児童虐待の相談数の増加については、まず子育ての悩みを抱え込んだ子育て家庭の孤立化によるものが多いと考えている。それ以外に、近年、市民や機関の意識の高まりによって通告の数が増加したことも関係していると考える。また、夫婦間のDVあるいは他の子どもが虐待を受けている、このようなものを目撃していれば、その兄弟も心理的虐待として受理することになったことも件数の増加に影響していると考えている。 虐待については、まずは予防対策が大切であると考えているが、実際に起きてしまった虐待に対しては早期に発見をして対応することが重要だと考えているので、そのためには関係機関との連携が不可欠であり、今以上に連携を密にして強化をしていく考えである。

Q:子ども家庭支援センターの要員は、相談担当職員18名、嘱託職員16名の合計34名で相談対応をこなしているということです。平成27年度の相談件数は合計で3万3,962件、業務量としては非常に多いと思います。相談が毎日均等に来るわけではありませんし、さらに子どもの虐待の対応は緊急性を要しますので、こういった業務実態と業務の心理的負担を鑑み、担当職員数の適正化は検討の必要があるのではないかと思います。平成27年度の子ども家庭支援センターの業務実態についての実情と相談対応の課題についてお答えください。

A:家庭支援センターでは子どもと家庭の全ての相談を幅広く受け付けていて、内容は虐待に対するような重篤なものから身近な育児相談までとなっており増加している。リスクの低い育児相談的なものは、一義的には子ども家庭支援センターで相談を受けているが、解決まで全てを子ども家庭支援センターが担うということではなく、子育てひろばや保育園、幼稚園、または民生・児童委員など、より身近な施設で解決に当たっている。リスクの高い虐待の対応や、また地域にお願いをしていたが急にリスクが高まったような場合は、専門機関である子ども家庭支援センターや児童相談所が対応する仕組みになっている。家庭支援センターの人員については随時見直しをしていきたいと考えている。

Q:以前から申し上げておりますが、中核市である本市の取り組みとして、なるべく早期に独自で児童相談所を設置・運営する決断をして、子ども家庭支援センターとの連携強化により、重大な社会問題と化している子どもの虐待対策に市を上げて全力で取り組んでいただきたいと切に思っています。 市長にお聞きしますが、深刻な社会問題となっている子どもの虐待防止施策として、八王子市独自の児童相談所の設置に関しての御所見をお答えください。

A:【石森市長】
児童虐待の対応につきましては重要な課題だと認識をしております。今年度においては、子ども家庭福祉のあり方に関する検討会を新たに設置して、東京都との役割調整及び専門的な人材や財源の確保などの課題を検討しており、引き続き、児童福祉法の改正を踏まえ、子どもの最善の利益が図れるよう調査研究を進めてまいります。

5.再生可能エネルギーの取り組みについて

〇八王子市の再生可能エネルギーの取り組みは、CO2削減などによる環境負荷の軽減が主目的であり、平成27年度の取り組みは、補助金に関しては太陽光設備補助金として113件・949万円、木質ペレットストーブ2件・20万円の合計984万円、バイオマスに関しては北野清掃工場敷地内の足湯の運営にとどまっており、ほかには啓発活動が主な活動で、少し消極的な施策展開に終わっている印象を受けます。

Q:清掃工場で行っているごみ発電も新エネルギーの取り組みですが、戸吹清掃工場で行っているごみ発電については、電力契約が新電力の日本ロジテックとの契約となっており、こことの売電を含めた電力取引を行っていました。日本ロジテックという会社はさまざまな自治体との契約実態がありましたが、平成27年度に入ってから経営状況が悪化し、八王子市でも契約不履行により平成27年10月から平成28年2月までのごみ発電による売電額約6,800万円が現在も未収入になっています。この後、日本ロジテックは倒産しています。
 市長にお聞きしますが、これは電力取引に限りませんけれども、今後、契約に関するトラブル防止、契約する企業の健全性の担保など、類似のケース防止のための方策の確立が必要だと考えますが、御所見をお答えください。

A:【石森市長】
今回の事態を受け、再発防止に向けて指示をしたところであり、契約保証金の適用や信用調査会社の活用、さらに危機管理研修の実施などの対策を講じました。

Q:CO2削減の取り組みと関連して市内照明灯についてお聞きします。
 市が管理する照明灯には、防犯灯、道路照明灯、公園灯、中心市街地の商店街灯などがあり、これらについては現在それぞれに管理箇所が異なっていますが、厳正的確管理、管理費の削減、市民への公平性の担保、水銀条約などの新たな規制への対応や技術面などさまざまな理由から、LED化して市の一括管理に移行することがふさわしく、一刻も早い対応を図っていただくことを何度も提言させていただきました。検討はしていただいているようですが、実施に至っていません。
 27年度の環境負荷軽減の取り組み実績については、大きな成果を上げるような案件はありません。このような取り組み状況では実質的なCO2削減は果たせていませんし、今のところ新たなプロジェクトのお話も聞こえてきません。市の管理する照明灯の数は、防犯灯と商店街灯で約2万8,000灯、道路照明灯1万6,800灯、公園灯3,500灯、これらを合計すると5万8,300灯もの数がありますので、これらをLED化することは環境負荷軽減の観点から大きな前進であり、手っ取り早く成果を上げられる施策だと考えます。
 市長にお聞きしますが、市内照明のLED化について、個々の管理箇所の対応ということではなく、環境負荷の低減という観点を重視し、環境政策の施策として取り組んでいただくことは得策だと思いますが御所見をお答えください。

A:本市では、平成27年3月に策定した地球温暖化対策地域推進計画において市施設等での地球温暖化対策を施策として掲げており、省エネルギー設備の導入を推進しているところであります。  中でも、照明設備の機器更新につきましては省エネ効果が顕著にあらわれる取り組みであると認識しておりますので、今後は環境負荷の低減にも配慮しつつ、商品開発の動向や費用対効果も勘案しながら、総合的な視点で省エネルギー化を推進していきたいと考えます。

6.設計委託業務、入札制度について

Q:大きな事業には設計委託業務費を計上しています。ここで申し上げるのはそういった大きな件名ではなく、ごくごく小さな補修などについてのものです。全てではないと思いますが、工事発注前に施工会社に見積もり依頼を行うことが多くあるようです。こういった見積もりに対して施工会社側は、営業の一環として無償で行うことが社会通年上からは当然のことのようになっています。個人で考えれば、数社から見積もりをもらい、価格を比較して契約するための選定条件として活用するわけで、このことからは営業活動の一環という見方は合っているのかもしれません。しかし、実際に参考見積もりを依頼された会社は、正確に積算するために当然一度は現場調査を行い、図面も作成します。修繕などの現場状況によっては簡易な仮補修なども行うとお聞きします。しかし、契約時には競争となり、参考見積もりを提出した会社が受注できる保証はありません。本来、市職員が行うべき業務を代行している一面もあることから、こういった小規模の見積もり依頼に関しても調査費や簡易修繕費など、場合によっては実費相当額を支払う仕組みが必要ではないかと考えますが、これについての御所見をお答えください。

A:参考見積もりの作成に当たっては、業者側に一定の時間と労力がかかっていることは承知している。一方で、見積もりを無償で徴集することは商慣習として広く行われていることでもあり、現状において参考見積もりの費用を市が負担することは想定していない。参考見積もりには、小規模な工事において実勢価格を発注時の積算に反映させ、適正価格による契約につなげるという側面もあると考える。
参考見積もりを求める場合には、業者側に過剰な負担とならないよう配慮に努めたい。

Q:平成27年度も請負工事、物品購入ともに市内事業者優先の考え方で業務遂行しています。この考え方は今後も引き続き継続していただき、少しでも市内で仕事をする方々に仕事が回るようにしていただきたいと考えます。しかし、きちんとある程度の利潤が取れるものにしていただかないと、この施策の効果は出ません。請負工事については、ある一定価格以上の工事では最低制限価格を設けていますが、物品購買については自治法により最低制限価格は設けられないことになっています。自治法は細かな改訂は行われているものの、基本的には昭和20年代に制定されたものです。
 物品販売の現状について少しお話ししますと、昔はどのような物品にも定価がありました。消費税もありませんでしたので、定価がストレートに物の値段をあらわしていました。その後、定価ではなく、希望小売価格という表現になり、オープン価格という全く値段の表示をしていない商品販売も多くあります。消費税が導入され、内税、外税など、表示の仕方もまちまちであるため、物の値段はわかりづらくなってきました。また、ディスカウントショップなどが多くできて、基準となる価格がさらにわかりづらくなっています。ですから、自治法が定められた時代の物品販売とは背景が大きく変わってしまっており、適正価格というものがどこを指すのか理解しづらい現状にあります。それでも、市に納入したという実績を積みたい、年間の納入実績を積み上げたいなどの理由で、時には原価割れでも入札に参加している現実をお聞きしています。八王子市内の会社を優先しているのに、これでは反対に首を絞めてしまっているのではないでしょうか。
 物品購入に関しても最低制限価格を設定し、適正価格で契約できる仕組みを設けられないのか、自治法に定められているものが現実と合致していないのであれば改訂すべきであり、今後、物品販売に関して現状調査をしていただき、実態に合ったものに変える努力をするべきではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。

A:入札額はメーカーとの関係、販売実績、仕入れ時期等のさまざまな要因を踏まえた上で、各社の経営判断に基づいて決定されるものと考えている。
 自治体の競争入札においては最低価格の相手方と契約することが原則となっており、最低制限価格は、地方自治法施行令の規定上、物品購入契約に設定することができないため、現在の制度においては価格競争とならざるを得ないが、極端な低価格入札については入札者に確認するなど、今後とも適正な契約事務に努めていきたい。

相沢こうた
八王子市議会議員