八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.30 「議会報告」

平成25年第4回(12月)定例議会報告

一般質問をした内容についてご報告させていただきます。

1.病児保育について

Q:病児保育施設とは、保育所に通所中の児童が病気または病気回復期で通常の集団保育を受けることが困難な期間において一時的に預かる事業施設で、市内に2ヵ所、病後児保育施設という回復期にある子どもを預かる施設が1ヵ所あります。本年10月中旬にみなみ野に開設していた病児保育施設イルカ・ルームの医師である岩坪先生が56歳という若さで急死され、以降、イルカ・ルームは閉鎖されています。
 施設の内容に関しては、1日の受け入れ人数は4名まで、9時から17時の通常時間帯の保育料金は1日2,500円、前後の延長があれば延長料金が発生します。昼食とおやつを含めて600円程度。市から委託金として年間約1,200万円が支給されています。(委託金額は、年間受け入れ児童数により決まっている)  施設には保育士の方が2名ほど常駐し、他に給食の係りの方などがいらっしゃいます。施設は室内型保育園のイメージで、病気によっては室内で子ども同士を隔離できるよう、部屋が区切れる仕組みも整備されています。
 子育て世代の親は社会で現役ですから、なかなか緊急的に子どもを預けることは難しく、核家族化の進行や地域の人間関係の希薄化などの社会的背景が重なり、病児保育を利用する家庭が減ることはないと推測します。一刻も早く開設施設を戻していただきたいと思っていますが、みなみ野の病児保育再開に向けたスケジュールをどのようにお考えか、お答えください。

A:病児保育施設の早期の再開に向けて、現在、新たに運営していただける医療機関を医師会の御協力のもとに鋭意探しているところである。市民の皆様に御不便をおかけしているため、早いうちに開設施設数を従前並みに確保できるよう努めたいと考えている。

Q:利用率に関しては、年間平均27%から40%ということでしたが、私の家庭では2施設ともに利用させていただいていますが、感覚的にはいつもいっぱいでキャンセル待ちといった印象が強くあり、この程度の利用率だったのかと実感と随分違う印象を持っています。風邪などがはやる時期的な偏りがあることは容易に想像できることですが、利用率に関して、行政としてその評価をどのように捉えているのかお聞きします。

A:平均利用率が40%のイルカ・ルームの平成24年度の実績で見ると、開設した297日のうち、定員いっぱいの4人利用のあった日が21日、3人利用の日が73日ある一方で、利用者のない日が88日と、日によって利用にばらつきがある。このことから、平均の利用率だけで実態を把握するのが難しい事業と捉えており、キャンセル待ちなど定員を超える申し込みにより利用できない方があることを想定すると、今後は利用率にあらわれないニーズを捉えていく必要があろうかと考えている。

Q:利用して気がついた利用率向上に向けた改善点に関してお聞きします。
病児保育施設利用の受付は、前日までに病院で受診し予約を済ませます。予約が定員の4人を超えると後の人たちはキャンセル待ちとなります。万一、当日の朝に預ける必要がなくなった場合、朝7時に施設に電話連絡をしてキャンセルを伝えます。キャンセルの子どもが出ると、7時半くらいまでに施設からキャンセル待ちのお宅に電話でキャンセルが出たことを連絡します。この時間に電話がなければキャンセルは出なかったことになります。働く側から考えますと、7時半まで預けられるかどうか一縷の望みをじっと待つだけという人はあまりいないのではないかと思います。そもそも当日の勤めに行くか行かぬかをそういう時間に決められるくらいであれば、子どもの調子が悪くなった時点で仕事を休むことを選択できるでしょうし、絶対に休めないのであれば前日にキャンセル待ちになった時点で他に預ける場所を探すなどの対策を必死になって施すでしょう。
病児保育そのものの利用要望は、結果として出ている利用実績よりも高い数値であると感じています。しかし、実際のところ、前日に確定できなければ次の日の計画など立てられませんから、この部分が利用者の実態に合致しない使いづらさを生んでいると思っています。このキャンセル待ちのシステムを工夫すれば、利用率はもう少し上げられると思います。
1施設の利用者1日4人という上限が決まっている背景についてと、キャンセル待ちへの連絡方法など利用者側に立った改善の実績の有無、保育定員に幅を持たせる考え方についてお聞かせください。

A:1施設1日当たり4人という定員については国の基準により施設に配置する職員の職種と人数が定められている。その基準により、施設には少なくとも看護師1名と保育士1名を配置する必要があり、その体制で受け入れ可能な最大の児童数が4人のため、定員を4人として事業をスタートさせた経過がある。
キャンセル待ちの連絡方法については各施設に委ねてきた。定員増に関しては、平成23年度末に3施設に対して打診をしたところ、各施設とも保育士の増員配置が難しいとの理由から実現には至っていない。
定員に幅を持たせることについては、保護者の利便性と事業の安全性に留意しつつ、提案の趣旨を踏まえてどのような対応が可能であるか、今後有効な改善策を検討したい。

Q:病児保育に関しては、全国的に実施している自治体は多いようですが、八王子と比較にならないほど利用率が低いところもあると聞いています。御回答いただいたように、利用率としてあらわれている数字だけではなく、利用者の使い勝手の部分を重視した対策をお願いします。

※その後の病児保育

・閉鎖されたみなみのイルカルームを引き継いでくださる方について医師会を通じて検討いただく他、他の医院での病児保育の検討を重ねていただいた結果、平成26年4月28日に西八王子駅前の南多摩病院と連携したかたちで新たな病児保育施設「はる」がオープンすることとなりました。

定員も7名までと既存より多くなります。

八王子市は広域のため今後は他の地域にも同様の施設ができることを目指したいと思っています。

2.児童相談所について

Q:児童相談所は平成17年2月14日の指針の改正により、中核市程度の人口規模(30万人以上)を有する市、政令で指定する市などは児童相談所を設置することができるとされ、中核市に限らず、おおむね中核市と同等以上の人口を有する市で、希望があれば個別に設置できることとなっています。  全国的には中核市で児童相談所を単独で持っている市は横須賀市と金沢市、熊本市で、熊本市については既に政令指定都市となったので、現在は2市のみで、人口30万人以上の児童相談所設置市は今のところありません。ですから、八王子市が中核市になるからといって、そのときにその権利が発生するわけではありませんが、近年、児童虐待の問題が多発し、これに対応する機会が著しく増加しています。こういった社会情勢の変化により、子どもを地域で守っていくということがより重要視されてきています。中核市となるタイミングは、児童相談所を都から移行するのか、将来的な指針を含めて検討するよい機会だと考え質問をさせていただきます。
 東京都では、平成7年から都の独自事業として子ども家庭支援センターを設置し、地域に身近な相談機関として事業を開始しました。その後、国で平成16年12月に児童福祉法の一部が改正され、この中で子ども家庭支援センター事業が法的に裏づけられました。
 現在の八王子市での双方の役割は、子ども家庭支援センターは住民からの相談への早期対応、事故の未然防止を中心に、積極的かつ迅速な活動を主としており、児童相談所は要保護性の高い困難な事例への対応や法的な権限を生かした活動となっています。
 さて、双方と学校を含めた子どもに関係する機関の役割分担、連携に関して問題視された事件として平成22年1月に江戸川区で発生した小学校1年生を両親の虐待により死亡させてしまった事件があります。この事件では、虐待の情報があったにも関わらず機関同士の連携した対応が全くとられず最悪の結果を招いたものでした。子どもたちにかかわる機関が複数あるということは、好意的に見れば見守る箇所が多いと言えますが、逆に責任の所在やそれぞれの役割がぼやけてしまうマイナス要素もあるということになります。八王子市においての関連する機関の連携に関して、日常的な連携強化策などがあればお答えください。また、江戸川区の事件を機に改善された事項などありましたらお答えください。

A:虐待の早期発見と予防に向け、子ども家庭支援センターを核に要保護家庭を支援するネットワークを活用して、児童相談所を初め、保健福祉センターや学校、保育園、幼稚園等、関係機関との連携を強化していたが、江戸川区の事件後、新たにハイリスクな家庭を対象に医療機関や警察等との定期的な連絡会を開催するなど、さらなる情報の共有に努めている。

Q:近年、子ども家庭支援センターで扱う相談件数を相談内容別に見ると、平成24年度は児童虐待、養育不安、教育、しつけ、家庭、生活環境などの項目で、年間2万1,369件の相談のうち、虐待に関するものが7,905件と3分の1以上を占めています。虐待については、平成20年度、相談数が2,208件であったものが年々増加し、5年間で7,905件と3.6倍にも増えています。虐待に関しては子どもの生死にかかわる事件に発展してしまいますので迅速な対応を求められますが、こういった相談に対応する処理フローについてお伺いします。子ども家庭支援センターはその設置目的が地域に身近な機関であることを求められていますので、児童相談所に直接入る相談も含めて一次対応していると思いますが、東京都の機関である児童相談所と市の機関である子ども家庭支援センターでは、業務面での壁ややりづらさなど現在の体制の中で問題点がないかお聞きします。

A:虐待等の対応を行っていく過程で、例えば児童相談所の職権による一時保護を必要とするか否かなど、リスク判断をめぐって見解の違いがまれに見られることがあるが、結果として子どもにとってどのような対応が最も望ましいかという視点を持って対応している。

Q:東京都特別区長会では江戸川区の事件以降、児童相談所のあり方に関して検討が行われており、この中では児童相談所を区に移管した際の課題を整理するとともに、深刻化する児童虐待など情勢の変化を踏まえた移管の方向性の確認、また、児童相談所や子ども家庭支援センターを取り巻く課題とその改善策などについて議論されています。そして、本年(平成25年)11月15日に区長会は、この児童相談所移管モデルの最終報告をまとめ、23区がそれぞれ児童相談所を設置し、各区が児童相談所設置市を目指すという方針を示しました。八王子市では児童相談所移管に関してどのような見解をお持ちなのかお聞きします。

A:区長会から東京都に対して提示されたモデル案の中では、区としては児童福祉司や児童心理司の配置を充実させることで、相談・見守りにとどまらず、法的措置から家庭復帰まで一貫して対応する考えだと聞いている。現場に最も近いところで虐待防止に取り組んでいる区部の考え方が集約されたものと受けとめており、これは東京都内の動きでもあるため、今後区長会や都の動向について注視したい。

Q:八王子市では子どもに関する政策において「地域で子どもを育てる」というフレーズを頻繁に使用します。中核市で児童相談所を運営している金沢市は、移行に当たる背景として、市長が福祉政策に特段に力点を置いており、子どもたちについて地域で見守るという意向が強く、市長の英断で県から移行したと聞きます。八王子市では児童相談所の移行について検討された経過があるのか、また児童相談所を市で管理することによるメリットと、不安要素に関してどのように捉えているのかお聞きします。

A:メリットとして、これまで子ども家庭支援センターで行ってきた民生児童委員等、地域と連携したきめ細やかな支援に加え、法に基づく一時保護や児童養護施設への入所措置等の一貫した継続的な支援が可能になると考えている。一方、児童相談所の機能を十分に発揮させるためには、児童福祉司の配置や職員の高い専門性の確保、また、一時保護所の整備等、ソフト・ハード両面にわたって解決しなければならない課題が数多くあると考えている。

Q:児童相談所を八王子で運営すると仮定した話をします。
現在の八王子児童相談所は、八王子、町田、日野の3市を受け持ち区域として、職員数68名で運営されています。八王子単独となるには児童相談所の管轄の再編が必要となります。仮に八王子単独での運営となっても現在の3市の人口比率や児童虐待の多い時代背景から考えると職員数は50人程度必要だと予想します。職員は児童福祉司が多数必要となり、児童心理司や看護師など多数の専門職も必要となります。施設は現在の八王子児童相談所は築30年以上経過しており大規模改修か建て替えが必要、他の場所に設置すればそれはそれで一からの建設費が必要となります。単独で持つためには5年程度の十分な準備期間を考慮することが妥当であり、そう考えると、中核市移行というタイミングは、全ての仕事を今後どのようにしていくかを見定めるよい機会ではないかと思います。市長にお伺いしますが、市長は児童相談所に関し、都から市への移行を含めてどのような考え方を持っておられるのか、お示しください。

A:【石森孝志市長】
児童相談所設置については、単独で設置することにより児童福祉分野において本市の対応能力を高めることになることは理解できるところであるが、設置に当たっては、解決すべき課題も多く、本市の子どもたちにとってどういう姿が最も望ましいのかという視点を持って、今後適切に判断していきたいと考えている。
※現在の市の意向では中核市のタイミングでの児童相談所独立は全く考えていないようです。しかし児童虐待をはじめ子供が犠牲になる事件(出来事)が頻繁に起きてしまう時代背景を捉えた対応策の充実は必要不可欠だと思いますし、時代に合致した策の再編が求められる時だと考えます。一歩踏み込んだ検討を行っていただけるよう今後も市への投げかけを続けて行きたいと思います。

3.高尾駅橋上化について

Q:高尾駅の橋上化は平成17年度に具体化し、現在はその実施方法や費用などJRと協議を継続しています。平成32年ごろの開設に向け、その巨額な工事費についての積み立てを行っており、平成25年12月現在の積み立て額は16億円となっております。
高尾駅橋上化はもともとそれが本来の目的ではなく、高尾駅がその地区の南北の往来を阻害しており、従来より地元から南北自由通路整備要望が強く出されていたことに対応する策として浮上したお話で、この要望書の署名人数は4万6,000人程度とお聞きします。この署名は南北自由通路整備の要望ですから、橋上駅化を正当化するためには、南北自由通路とは別に巨額な費用をかけて駅を改善する理由づけが必要となり、それは高尾駅を含めた周辺地区のまちづくり計画であると私は考えます。このことは本年3月の予算等審査特別委員会で市側に申し上げたことです。
 まず、南北自由通路の必要性と費用対効果について、どう考えるか質問します。高尾駅が支障となって南北の移動が遠回りになってしまう対象者は、かなり限定されると考えます。日ごろから南北自由通路を必要とされている方の数は、大体の目安となる数は平成21年度から実施している高尾駅構内通行者用の補助事業で知ることができます。この通行費用補助の対象となっている人は高齢者と体の不自由な方ですが、まずこの施策に登録されている人数を教えてください。これらの方以外に、御自分で駅の入場券を購入して通行しておられる方など、その方々も含めてどのように捉えておられるかお答えください。

A:現在行っているJR高尾駅構内通行費用支援事業への登録者数は本年11月18日現在で735名。利用者の見込みは、高尾駅は交通結節点であり、高尾駅南口には金融機関やスーパーマーケットなどのサービス施設などが集積していることから、南北に行き来が自由にできるようになれば、多くの方の利用があるものと考えている。

Q:駅前広場など関連する事業費全体で114億円、橋上駅化に関しての総工事費は88億円、そのうち市の負担額は自由通路の整備及び管理に関する要綱という国土交通省都市地区整備局長名の通達により、その費用のほとんどを原因者負担とすることとなっていると報告されています。これだけ巨額な支出をするより、駅舎に触れず南北自由通路を単独で施工するほうが大幅に有利だと私は未だに考えております。南北自由通路をつくるだけならば、駅横断方向にシールド工法でトンネルを抜く方法で6億円から8億円で可能です。こういった自由通路だけの建設方法について過去に検討され、JRと協議をした種類のものはあるかどうかお聞きします。

A:橋上化以外の検討に関しては、平成6年3月に行った高尾駅南北自由連絡施設設置基本調査において、単独自由通路として、こ線橋方式で3案、地下道方式で1案の計4案を検討した。高尾駅は収容線などを含めると11番線まであるJR中央線と、高架となっている京王高尾線を連続して横断しなければならず、どの案も南北両駅前広場からの単独自由通路へのアクセスルートに課題があり、バス利用者などの利便性を十分に確保できるものではなかった。また、地下道方式は、地下道の全体延長が90メートルと長くなり、利用者の安全確保が大きな課題。その後、平成16年度に鉄道事業者から単独自由通路設置に関して、鉄道施設に与える影響が大きいという意見があり、事業化には至っていない。これらを踏まえて、事業の再検討を行い、平成17年度に橋上駅化の整備方針を決定した。

Q:高尾駅という駅の位置づけについてお聞きします。本市には21の鉄道の駅がありますが、例えば八王子駅は八王子市の顔として周辺の商業を含めたにぎわいを創出する駅としての機能を求められます。私の最寄り駅である北野駅は地域の方々の生活に密着した駅として、限定された周辺のまちづくりとあわせてそういった立ち位置があり、市内の駅はほとんどがこういった駅であると考えます。
高尾駅は高尾山や多摩御陵の最寄り駅として、本市では数少ない観光の一面を持った駅です。そういった視点で現在の駅舎などを見ますと、甲州街道側の駅舎は大変風情があって高尾駅にふさわしい雰囲気だと思いますし、JR中央線の山梨側の各駅への景観のつなぎや1日の乗降車数を考えると、現在の駅舎で大きな不満はないように思います。子どものころからこの方面に育った私の友人は、橋上駅化の計画に対して、高尾駅は今の風情のある駅のままでよいのではないか、現状維持を望む声があることを加えておきます。ちなみに現在の駅の老朽化に対する修繕は、鉄道事業者の理由として実施することですから、行政の負担は発生しません。私は、橋上駅化して、駅中を含め全く新しい駅の形にしてしまうことが本当に必要なのだろうかという気持ちを持っています。市は高尾駅そのものをどのような意味を持った駅だと捉えておられるのか、また、高尾駅をどういった位置づけで発展させていく駅だと考えておられるのか、お聞かせください。

A:高尾駅周辺地域は現行の都市計画マスタープランにおいて、地域のバランスのとれた発展と身近な市民生活の利便性の向上を図る地域住民のコミュニティを支える拠点として位置づけられており、東京の西の玄関口として、交通アクセスの向上や豊かな自然環境を生かした観光・レクリエーション拠点づくりを市街地整備方針としている。高尾駅はその中核を担う施設であり、観光拠点及び交通結節点として重要な役割を持っているものと考えている。

Q:現在、市が考えている高尾駅橋上化に向けたスケジュールを確認します。7年後の完成を目指しているとお聞きしましたが、そこまでの工程について要点をお答えください。

 

A:平成25年度中にJR東日本及び京王電鉄と高尾駅南北自由通路に関する基本協定を締結し、翌平成26年度から2ヵ年でJR東日本が実施設計や京王電鉄側の基本設計、詳細設計を実施した後、施工に移る予定。高尾の橋上駅につきましては、合わせて約5年の工事期間を想定している。

Q:南北自由通路が地域の念願であることは十分に承知しております。しかし、南北自由通路として同時に駅舎を大幅改良する工事に巨額の資金を投入するには、先ほどの回答にあった利用者数と、実数として把握していない想定数では、費用対効果の面で橋上駅化の総工事費88億円を納得させる理由には弱く、また、他の施工方法による横断通路建設についての過去のJRとの協議実績も褒められたものではないと感じます。JRの土地の地下を掘れないのであれば、23区内の地下鉄や地下道、日本国中至るところにある横断地下道の説明がつきません。私はシールド工法による地下道建設のほうに魅力を感じます。そもそも南北自由通路整備ができればそれだけでよいのですから、駅の改造工事まで行う必要性について、市内で高尾駅付近から遠く離れた所に居住する市民までが納得するだけの背景を示すべきです。本年3月の委員会で1度問題提起をしておりますが、その内容を受けて、周辺まちづくり計画はその後現在までどのように扱われていたのか、また、先ほどより、建設よりもまちづくり計画作成が必須だと再度申し上げておりますが、これについてどのようにお考えか、お聞かせください。

A:高尾駅周辺のまちづくり計画は、平成24年度から改定作業を進めている八王子市都市計画マスタープランの中で具体的な検討を進めていくこととしている。地元の方々からの御意見をいただき、地域別土地利用方針の検討に入っているところであり、西南部地域の拠点としてふさわしいまちづくりの方向性あるいは考え方を示していきたいと考えている。
 まちづくり計画の作成については、改定作業中の都市計画マスタープランにおいて、高尾駅周辺の歴史的な施設などの保全を図りつつ、地域の市民の生活の利便性向上やコミュニティを支えるような拠点づくりを目指すとともに、都市機能の集積をさらに高めるような土地利用の活用、誘導などの考え方を整理しながら、計画づくりを進めていく。

Q:高尾駅橋上化の案が出た当初から、これだけ巨額な費用を投入して実施すべきことなのか、疑問を持ち続けています。議会ではこの件について今まであまり異議を唱える方がおられない状況であるのが不思議です。私の考える事業推進に対する課題を整理しますが、自由通路単独ではなく、橋上駅化する目的を周辺まちづくり計画の策定に合わせて市民が納得のいく形で早急に提示できるよう取り組んでいただきたい。それから、橋上駅化の費用に関して、市の持ち出し分を自由通路単独施工とした場合の金額に極力近づける努力を継続して実施していただきたい。さらに、過去に1度委員会で見させていただいた、新たに橋上駅化された高尾駅の完成概要図には風情がなく、私には魅力が伝わってきませんので、高尾駅の、駅としての位置づけについてお答えになった、そのイメージと策定する周辺まちづくり計画をもとにこの地にふさわしい駅の形となるよう、絵を描き直す必要があると思います。実際の工事施工については、JRとの調整が山ほど発生するでしょうし、完成予定の7年後というのは東京オリンピック開催と重なるため、工期設定や工事の諸調整は通常時の工事よりも難しいものになると想像されますので、しっかりとした工程管理が必要となります。これらについて市長のお考えをお聞かせください。

A:【石森孝志市長】
本事業については、西南部地域における地域振興拠点の機能強化を図るためのプロジェクトであり、その実現は地域の皆様の長年にわたる悲願でもある。今後も地域を支える拠点としてふさわしい役割を担う施設として、周辺まちづくりに合わせ整備していきたいと考えており、的確に対応していく。

相沢こうた
八王子市議会議員