八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

エネルギー(電力)に関して
VOL.1

はじめに

◇私は東電労組出身の議員です。現在も東京電力の社員です。福島第一原子力発電所の事故以降、この立場について様々にマスコミや世間から批判されました。 この二年半の間、世論で叩かれ続ける東電をはじめとした電力のことを関係者として見続け、同時に自分自身も非難されたり微妙な立場に立たされる経験を重ねて来ましたが、事故以降、様々に持論を展開する人たちは、電力のことを相対的に考えて発言する人が非常に少なく(正論はマスコミにあまり取り上げられず)、そういった電力に関して基礎的な部分が全く欠落したような人たちの発言ばかりが大きく取り上げられることによって、間違った理論が蔓延してしまっていることを痛感しています。

ご迷惑をお掛けしてしまった福島の方々には心からの謝罪の念を持ち続けており、一刻も早い復興を願っていることは申し上げるまでもないことです。一方で日本のエネルギー政策に関してはこれまでの経過と日本の将来を考えた時、少なくとも電力に関して正しい知識を基に冷静に判断してもらわなくてはならないと強く思っています。私は一介の小さな地方議員ですが、なぜこの時期に議員という存在で、多少は世の中に対して声を発することができる立場でいるということを考えた結果、電力の職場で30年も実務に触れた知識を基に得意分野であるエネルギーに関して自分の考えを発信したいという結論に至り、このコーナーを開設いたしました。この間に読ませていただきました様々な文献も活用しながら展開して参りたいと思います。

〇平成23年3月11日に発生した東日本大震災における津波により福島第一原子力発電所が全電源損失の事故に陥り、それ以降日本のエネルギー政策は迷走しています。
脱原発や自然エネルギーへの転換を叫ばれる方は多くいらっしゃいますが、その中に脱電気、脱電力をおっしゃる方は一人もおられません。現代の日本社会において電気の無い生活に戻ることは出来ないのです。現代社会において電気は空気や水と同様に人が生活するうえで不可欠なものであり、私は電気が安定して安価で提供され続けることが理想の社会だと思っています。
豊な生活は続けたいがそのためのリスクは全く負いたくなく、お金も払いたくない、こんな理不尽な考えが平然と横行しそれを社会的地位のあるような人や国会議員までも平然と口外し(衆議院、参議院選挙でも酷いものでした)マスコミが煽る。その結果、非常に歪んだ世論が形成され、物事の本質が見えていないのに間違えた世論だけを盾に大声で筋道の通らない考えを喚き散らす、そんな光景になってしまいました。

当然のことですが、エネルギー(電力)に関して冷静に正しい見方をしている人たちは数多くいらっしゃいます。しかしこれほどまでに世の中におかしな風潮が行き渡ると、なかなか敢えて言い出しずらくなります。加えてエネルギーや電力という分野は実は相当に専門的ですので、論破するだけの正しい知識を十分に持っている人は非常に少ないのだろうと想像しています。
私は東電に籍を置きますので、私の発言が及ぼす悪影響の方を懸念して聞く立場でいるように努めてきましたが、産業界や雇用、地球温暖化防止問題など様々に波及してきてしまっている現状から正しいことを発言する時期だと判断しました。

あえて付け加えさせていただきますが、私は原子力発電そのものについては大いに賛成でも反対でもありません。ただ日本を含めた世界のエネルギーの実情や諸問題を考えると、当分の間(30年から50年くらい)は原子力発電を稼働させる必要があると思っています。残念ながら現在実用化されている自然エネルギーと呼ばれているものによる発電方式では安定した大容量の電力を長期間、安価に発電することは不可能であることは明白であり、全く新たな方式を発明し実用化するまでの間は極力安全に原子力発電を稼働させることでしか対処できないと考えているからです。

以降、項目ごとに区切って電力に関わる課題について記していきたいと思います。

相沢こうた
八王子市議会議員