八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.60「議会報告」

平成30年第1回(3月)定例議会

≪会派代表質疑・・平成30年度予算について≫

1.一般会計における民生費の増大について
2. 学童保育所の施設整備と充実について
3. 多摩都市モノレール整備推進の意義について
4. 都市景観形成の理念について
5. 再生可能エネルギー推進における剪定枝の取り組みについて
6. 戸吹清掃工場のごみ発電を利用した電力自己託送について
7. 給食センター整備に移行する学校給食事業の取り組み方について
8. 学校施設の適正化に向けた取り組みについて
9. 下水道設備の将来に渡る適正な維持管理について

1.一般会計における民生費の増大について

〇平成30年度一般会計予算は2,009億円、そのうち民生費の占める割合は50.8%です。
(29度予算52.3%、平成28年度の決算値で50.1%)
額では平成28年度は1,030.4億円に対して30年度は1,021.2億円で9.2億円のマイナスとなっており、この数値だけ見ると減少しています。
 将来に向けた社会情勢を考えると、民生費の中の老人福祉費が一番の課題だと考え、今回は民生費のうち老人福祉費に着目し、決算における差異理由の中の老人福祉費に関連するものを拾いますと、介護保険施設等の整備促進事業費において、地域密着型サービス施設整備支援及び広域型介護保険施設等整備支援という老人関連施設整備費の補助金が減額になったものがあり、これは、民間の老人介護施設整備に補助金を用意していたが手が挙がらなかったということで、11.8億円のマイナスとなっています。この事業が仮に30年度に見込みどおり実施に向けて事業展開されたと仮定し、11.8億円を足した数値で見ると、民生費は1,033億円、一般会計に占める割合は51.1%となりますので、ほぼ前年並みということになります。
 平成25年度決算における老人福祉費は60億4,000万円ですが、30年度予算では80億9,000万円で、この額に先ほどの施設整備マイナス分を乗せると92億7,000万円となり、5年で1.5倍と大きく増加しています。

〇2025年には団塊の世代の方々が75歳を超えてきます。あと七、八年で全然遠くない将来ですが、大都市周辺部でも75歳以上の人口が現在の2倍近くになると予想されており、2025年問題と呼ばれています。
 さらに先のことを申し上げれば、2060年には高齢化率は40%近くになると予想され、さらに日本全体の人口が減少し、現在より3,000万人減、1億人を割り込む予想になっています。特に問題なのは、生産年齢人口と言われる15歳から65歳の人口が現在の3分の2程度になってしまいます。
 これらから容易に想像できることは、行政の税収が減り老人の割合がふえますので、現在と同様の施策を展開していると老人福祉費の予算に占める割合はとてつもなく高くなり、まともな行政運営すら出来ない時代になってしまうということです。
 近未来のこのような予想が容易にできる現在は、そういった状況に備えて施策の方向転換をしていかなければならない時期だと思っています。老人福祉費の中で持続性が持てないと判断されるものを整理整頓すること、他の事業においては将来の財政的な負担とならないことを基本としておのおのの施策を検討することなどが求められます。

Q市長にお聞きしますが、年々額が増大するだけではなく、今後は一般会計における比率から見ても益々負担増となることが予想される老人福祉費について、その事業内容や施策が持続可能であるか、どのように捉えて今後の財政運営を行っていくのかについて御所見をお聞かせください。

A石森市長
 高齢者が住みなれた地域で健康で安心して暮らせる環境を整えることは、高齢社会にあって必要な取り組みであります。この取り組みに要する経費の多くは介護保険で支えておりますが、制度として公費負担によって成り立っていることも事実であります。
 介護保険については、国において持続可能な制度としてさまざまな角度で議論されているところであります。本市にあっては、民生費は年々増加し、財政への影響は大きくなっておりますが、必要な事業に必要な財源を確保できる不断の見直しを行い、持続可能な財政運営を行ってまいります。

2.学童保育所の施設整備と充実について

〇市内には68保育所、83ヵ所の学童保育所があります。学童保育所は保育園と同様に、女性の社会進出がますます求められる社会的背景を考えると、特に小学校低学年の子どもたちの安全な居場所と健やかな成長のために施策の充実が求められるものと捉えています。
 平成28年度の数字では、市内全体の定員6,600人に対し受け入れ児童数は5,909人で、市内全体の定員に対して9割弱という数値ですが、中心市街地や児童数の著しい増加が見られる地域では保育枠に不足が生じているという偏りが生じています。
 この課題について、平成30年度はテナント利用学童保育所の増設で、第四小学校、第十小学校学区で2施設を増設するなど、児童数がふえて待機児童が発生している地域3ヵ所に新たな整備をする計画となっています。待機児童解消は喫緊の課題であり、これについては年度の早い時期に取り組んでいただけるようにお願いいたします。

〇さて、現在ある学童保育所の施設を見ると、その貧弱さが目につきます。学校の敷地の一角にプレハブで設けているのが多くの施設ですが、もう少し何とかならないのかと感じる施設が多くあります。プレハブの室内が一つの教室だけの保育所では、勉強や本を読んだりしたい子どもたちと運動したい子どもたちがまざり合って過ごしています。
この教室が2つに分かれている保育所は使い勝手が格段によいと学童保育所の職員の方にお聞きしました。最近は隣接する学校の理解をいただいて、校庭を開放してもらっているところがほとんどのようですので、天気がよければそちらに逃げられますが、雨天や日中の短い時期、また土曜日は校庭を団体に貸したりしますので利用できないため狭い室内となります。

・また、生徒が使用するトイレが男女に分かれていないところは多くあるようです。小学校3年生くらいになると異性を意識し始める年齢にもなってきますので、これは改善してあげたいと思いますが、何せ建物全体が狭いことが支障となります。

・先生方の控室も貧弱で、休憩する場所や更衣室が整備されていない、トイレは子ども用を兼用するなど、執務環境整備も課題です。

・用具などを保管するスペースがない、玄関が狭く下駄箱などの設置に苦慮していたり、総じて敷地が狭いことに起因する課題が多く、逆に捉えれば、もう少し広く学校の敷地を貸してもらえたら改善しそうな課題は多くあるということになります。

〇学童保育所が整備されてきた経過を見ると、以前は学校の敷地の一部に建っていても、入り口を学校とは別にするなど、学校施設とは全く別の施設であることが条件になっていました。ですから、学童保育所の入り口が単独で設置できる校庭の隅っこに整備されているところが多いようです。
 例えば、学童保育所に接している校庭をもう少し提供してくれるだけでも随分改善に向けた取り組みが展開できると思います。大体が学校の隅っこですので、学童保育所に隣接している場所は学校施設側から見るとデッドスペースになっているケースが多いはずです。
80を超える施設を一斉に直すことは求めませんが、学童保育所の実態調査と改善に向けた手法の検討を早急に実施していただき、まずは現状をしっかりと把握していただきたいと要望します。

Q市長にお聞きしますが、学童保育所の施設整備と充実に当たってのお考えをお示しください。

A石森市長
 学童保育所は、集団の中で社会性を身につけ健全な成長を手助けする施設であり、保育環境を整えることは重要であると認識をしております。
 これまでは待機児童解消に重点を置いた施設整備に取り組んでまいりましたが、今後は良質な保育環境を整え、子どもたちが快適で生き生きと放課後を過ごせるよう、空き教室の活用などを含めた改善に取り組んでまいります。

3.多摩都市モノレール整備推進の意義について

〇多摩都市モノレールの八王子ルート延伸については、八王子市交通マスタープランにその方針が述べられていますが、地域への浸透度が低いとして、平成30年度は地域の機運向上のための施策としてパンフレットなどを作成する予算が計上されています。
私は、地域や八王子市民が多摩都市モノレールの八王子ルート延伸について興味を示さないのは、必要性を含めたモノレールの建設そのものに課題があるのではないかと考えます。

〇八王子ルートの予定地を細かく見ると、多摩センター駅から唐木田駅、南大沢駅、みなみ野駅、京王片倉駅、八王子駅、既存の駅名が6つもあります。このルートは、多摩センター駅から京王線で橋本を経由して横浜線に乗りかえて八王子に来るものとほとんど変わらないルートです。近年は橋本付近の開発が進み、京王相模原線の本数は八王子側ルートよりも多く大変便利になっていますし、横浜線もそれなりに本数はあります。果たしてこのルートでモノレールをつくる意義があるのだろうかと疑問を感じます。

・ルートとして魅力を持たせるのであれば、現在の京王線や横浜線から離れた地域の利便性を上げることを前提にすべきで、例えば、多摩センターを起点として、南大沢駅を目指すのではなく、上柚木、中山方面を経由して、鑓水からみなみ野駅方面を結び、みなみ野駅から富士森方面を経由して西側から八王子駅に到達するというような、鉄道路線から距離がありバス路線も脆弱な地域を選定したルートであれば期待感は少し違うだろうと思います。

・ただし、経由する地域の人口構成などを考えたとき、果たして採算がとれるのかということは別の課題として検討する必要があります。

〇今後は人口減少と超高齢化の時代となり、老人福祉費を中心とした民生費の増大を考えると、持つべき資産や展開する建設工事は極力縮小しなくてはなりません。また、高齢化時代の後の日本の人口は現在の3分の2程度以下になるとの見方が大方ですので、現在のさまざまな施設規模は縮小しないと維持すらできなくなります。

・こういった社会的背景を考慮したとき、果たして八王子ルートのモノレールが本当に必要なのだろうかと思うわけです。少なくとも現在提示されている予定のルートであれば、現在の既存の鉄道ルートだけで十分です。

・平成30年度の予算は176万円と目くじらを立てるほど多いわけではありませんが、建設の実現性や妥当性を感じられるものでなければ、少しの費用でも無駄に映ります。

Q市長にお聞きしますが、多摩都市モノレールの八王子ルートの必要性や現在のルート設定についてどのようにお考えなのか御所見をお聞かせください。

A石森市長
多摩都市モノレール八王子ルートは、地域経済の発展や社会活動の活発化などに大きな効果をもたらすものであります。また、ルート設定については、多摩ニュータウン、八王子ニュータウン、中心市街地の拠点間を結び、一体的なまちづくりを進め、人や物の交流を促進することは重要であると考えております。

4.都市景観形成の理念について

〇八王子市景観条例は平成23年3月に法の規定に基づく景観計画の策定、行為の届出等について必要な事項を定めたほか、良好な景観の形成に必要な施策を講ずることにより、後世に継承する良好な景観の形成を市、事業者及び市民との協働により推進し、潤いと風格を感じる魅力あるまちの実現に資することを目的として制定されました。

・同じく、平成23年10月からは、八王子市景観計画の運用を図り、市内全域において一定規模以上の建築物、工作物の建設、開発行為等を行う場合には、景観法に基づく届出等が必要としました。

・八王子市景観計画では、市域を18の地域・地区に区別しており、平成30年度からの施策はこの18地区のうち中心市街地環境整備地区、高尾駅・多摩御陵周辺地区、高尾山参道周辺地区の広告物に関して取り組みを実施するとあります。

〇日本は、高度成長期以降、全国どこへ行っても地域全体の調和、美観、伝統を軽視した住宅やビル、工場、護岸などの建築物、構造物が次々に建てられ、まち並みや自然景観から調和や地域ごとの特色が失われていきました。良好な景観や環境を求めるよりも経済性が優先され、建築基準法や都市計画に違反しない限り、どのような形態の建築物でも建てることができる状況が続いたことで、長い年月をかけて形成された伝統と風格と調和のあるまちなみが都市部を含む各地に残っているヨーロッパなどの諸外国と比べて、無秩序でみすぼらしいと言われる状況に至ってしまいました。

・そのような社会状況下において、各地で高層マンションの建設などをきっかけにしたトラブル、屋外広告の氾濫などによる伝統ある都市景観の損失などを受け、景観の価値に対する意識が次第に高まってきたことから、景観の価値が重要視されたことが、景観法が制定された背景にあります。

・景観法では、対象となる地域内の個人の建築物や広告物のほか、そこに位置する道路、河川、自然公園、農地などの行政財産も全て対象として、その区域の良好な景観形成に向けた取り組みをすることが求められています。
 このように考えると、景観形成の取り組みとは、宣伝広告物の規制、建物の色調や階高の規制などという細かな取り組みを優先して行うことではなく、まず行政が地区計画などによってその地域のまちづくりをどのように進めると考えるのかを地域などと協調して先に練り上げることが必要で、そのための施策の一部として景観という視点が反映されていることが正しい物事の進め方であるはずです。

〇平成30年度に景観形成に取り組む予定の3地区に関しては、中心市街地まちづくり計画はありますが、例えば高尾山という観光資源を最大限に生かすための計画は同じく平成30年度に着手予定で、まだ具体的な構想は示されておらず、多摩御陵周辺のまちづくり計画はお聞きしていません。本来は、こういった地区計画が先行し、その中に付随した形で地区ごとの景観計画が示され、それには個人の所有物に限らず、道路や河川、農地などについても景観という観点からの整備方針や工程が明記されていなければならないはずです。

・そのように考えると、平成30年度予算に示されている地域景観形成の事業は、景観形成だけがひとり歩きしているように映ります。地区計画の議論が熟していない中で行う景観形成は、その地区の一体となった整備と歩調が合わなくなる可能性も秘めてしまっていると考えます。

Q市長にお聞きしますが、地区ごとのまちづくり方針の策定を初めとした市のさまざまな事業展開に地区景観形成の理念を生かした取り組みを期待しておりますが、本来、市の事業や地区計画に付随して取り組むべき景観形成の理念を生かす意識が薄いのではないかと感じますが、御所見をお聞かせください。

A石森市長
 市では、公共事業の計画等に景観形成の理念を生かすよう、今年度から職員に景観研修を実施し、意識醸成を図っております。
 今後さらに研修を深めることで景観形成の理念の浸透を図り、業務に反映させてまいります。また、その取り組みについて、さまざまな機会に市民の皆様に周知をして、景観にすぐれたまちづくりを行ってまいります。

5.再生可能エネルギー推進における剪定枝の取り組みについて

〇八王子市地球温暖化対策地域推進計画における再生可能エネルギーの取組み事項は、太陽光発電、太陽熱利用、木質バイオマス、木質ペレットストーブ、車に関しては電気自動車の導入などが掲載されていますが、総じて今までそれほど積極的に取り組んできた感じには見えませんでした。特に木質バイオマスと具体的に示されている割には、北野清掃工場の敷地に足湯としてのバイオマスが1件、ほかには市内に数台しかないと聞く木質ペレットストーブの補助金程度だけで、余りにも寂しい展開でした。

〇清掃事業のほうに目を向けますと、ごみの戸別収集は定着化し、資源物の収集に関しても、空きびん、空き缶、ペットボトル、プラスチックなど、品目ごとに既に市民に定着しています。

・平成30年度は、ここにモデル事業として剪定枝の再利用を取り組みとして加えるとあります。この取り組みは、再生可能エネルギーの推進にうたう木質バイオマスに通ずるものとして、期待したいものとして捉えています。

・今回の剪定枝資源化モデル事業は、ある決められた地区から出る植木などを伐採した枝ごみを収集し、これを民間施設でチップ化し、堆肥やボイラー燃料として利用する取り組みです。
 この剪定枝の取り組みは、モデル事業としての位置づけになっていますが、木質バイオマスの取り組みは全国的に見れば真新しいものではなく、多くの自治体や企業で既にさまざまに取り組んだ実績があります。これらの実績を学べば、モデル事業として小さく行うのではなく、本格的な取り組みとして実施できるのではないかと考えます。

・八王子市は、面積が広大であり、山も多く存在しますので、樹木の伐採で出る剪定枝の量は多い地域だと思います。個人宅の庭木はもとより、公園、街路樹、企業の敷地の樹木、林や森の間伐など、剪定枝として収集して活用できる原料は幾らでもあり、木質バイオマスの取り組みを行う材料に事欠きません。剪定枝は、木質バイオマスの取り組みがされていなかったのでごみや産業廃棄物として焼却処分していましたが、市が収集して活用するということであれば企業は喜んで協力してくれるでしょう。

Q市長にお聞きしますが、木質バイオマスの取り組みは八王子市地球温暖化対策地域推進計画に具体的に明記されている項目であり、この取り組みをしっかりと定着させるべきだと考えます。全国各地に導入や実証の例は多くありますので、これらを十分に参考にして、モデル事業にとどまることなく推進していただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。

A石森市長
 今回のモデル事業を通じて、全ての家庭等から排出される剪定枝を資源化する場合の課題や問題点を洗い出し、再生可能エネルギー推進の視点も踏まえ、事業の本格実施につなげてまいります。  事業者から排出される剪定枝については、現在事業者責任において、木質バイオマスなど一定の資源化が図られているところであります。事業系を含む剪定枝全般の一体的な資源化には多くの課題を解決する必要があるものと考えております。

6.戸吹清掃工場のごみ発電を利用した電力自己託送について

〇戸吹清掃工場では、可燃ごみを燃焼させたときに発生する熱エネルギーを利用したごみ発電を従来から行っており、発電した電気は工場内で消費する部分を除いた余剰分を売電し、年間1億円程度の利益を上げてきました。
しかし、平成29年度以降は、固定価格買取制度(FIT)の期間満了により買取価格が3分の1程度に下がり、利潤も同等程度に下がりました。単価が下がってしまった電気を売電ではなく市の6つの施設に自己託送する方針が本年2月に発表され、現在リプレース中の発電機器が再稼働する本年8月以降、自己託送を本格的に導入する予定です。
 ちなみに、供給する施設は、八王子市役所、北野下水処理場、小児・障害メディカルセンター、東浅川保健福祉センター、こども科学館、ひよどり山トンネルの6施設となっています。

〇自己託送制度は、平成26年4月から国が推進する電力システム改革の一つとして制度化されたもので、発電元から電力会社が所有する送配電網を経由して指定する供給先に電気を届けるもので、送配電網を所有する電力会社には送電する電気料に応じた託送料と呼ばれる施設使用料を払います。近隣自治体では横浜市などで導入されていますが、東京都内での自治体では初の導入となるようです。

・今回の方向転換は、電力の地産地消や経費節減、環境にやさしいなどの効果を狙ったものだと報道にあり、取り組み自体には問題はないと考えます。しかし、自己託送への移行には幾つかの課題がありますので、その課題について触れたいと思います。

〇自己託送することになると、これからは発電事業者としての責務が発生します。今までは発電した余剰電力分だけ電気事業者に供給するのみで、需要と供給のバランスは電気事業者側が行っており、発電量の変動に対して特にペナルティはありませんでしたが、発電事業者になると、計画値同時同量義務が発生します。

・計画値同時同量義務について、簡単に説明します。
 今回の発電者は戸吹清掃工場になりますが、発電事業の責務として、あらかじめ供給する電力量を発電計画として提示して、30分ごとに発電計画と発電実績を一致させるように調整を行わなくてはならない制度で、実際の供給量が計画値を逸脱した場合は、一般送配電事業者から調整供給を受けて、その分の電気料金を支払い、精算することになります。供給量不足となることをインバランスと呼び、精算する料金はインバランス料金といいますが、供給責任を全うできなかった分、当然高額の料金となります。これを極力抑えるために、今後は変動の少ない年間を通じた安定的な運転が求められます。

・戸吹清掃工場の発電機器の定期点検は毎年6月に2週間ほどの期間で実施しているとお聞きしますが、この期間は電力供給が止まることになり、他の発電会社から電力融通をしてもらう必要があります。6月という気候を思い浮かべていただくと理解できると思いますが、6月は気温と湿度が高く、企業は夏休み前でフル稼働している季節です。さらに天候不順により太陽光発電などの変動が大きい時期なので電力融通には苦慮することが容易に想像できます。

・発電事業に関与するということは、今までのつくった分だけ売ればよいというある意味無責任な売電とは違い、行政という立場で発電事業を行う責務として社会的な電力バランスなどにも配慮する必要があり、清掃工場の点検サイクルなどの見直しや安定供給のための各種検討が求められますので、必ず検討を実行してくださるようお願いいたします。

・不慮のトラブルなどで機器が停止した場合は、今までは売電収入が下がるだけでしたが、発電事業者としての責任が発生するとともに、インバランスによる損失が発生するということになります。導入に当たって未知の部分が多く、新聞報道にあったような現行の運用に比較して、年間1,000万円を超える利益が上がるかどうかは疑問だと思っています。

Q市長にお聞きしますが、ごみ発電による自己託送を実施する目的と利点はどこにあるとお考えなのか御所見をお聞かせください。

A石森市長
 最も重要な点は、電力の地産地消を実現することにあります。これまでは発電した電力を売電し、一方で、各施設で使用する電力は小売電気事業者から購入してまいりました。しかし、みずから発電する電力をみずから使用することで電気料金削減の効果に加え、化石燃料に由来する電力からバイオマス発電による電力にシフトすることができます。このことによって経済性が高まるとともに、環境にも配慮した二酸化炭素排出量の削減効果も期待できるものと考えております。

7.給食センター整備に移行する学校給食事業の取り組み方について

〇八王子市内の中学校給食については、長年にわたる課題の一つでした。市は今までデリバリーランチ方式や小学校との親子方式などを導入し取り組んできました。

・昨年の台風21号で加住小学校の裏山の土砂が崩壊し給食室が損壊しました。この給食室の完全復旧に多額の費用がかかるという試算から、これがきっかけとなり、給食センター整備に大きくかじを切ることになったと理解しています。
 市内では、待ち望んだ中学校給食が始まると明るい話題となっています。私どもも給食センター方式による小中学校給食の全校導入に期待しております。

〇ただ、一連の事業の進め方についてですが、本来、こういった大きな事業に関しては、基本構想から基本計画を策定し、さらに詳細検討を実施した後、実施設計に至るという仕事の進め方により、いささか慎重過ぎるのではないかというぐらい慎重に検討し進めていくのが行政だと思っていました。  中学校給食に関しては、長い期間の課題でしたので、題材としては突発的ではないにしても、課題だったから長期間検討されたというものでもなさそうで、やはり今回の決断は急であったのだろうと感じています。

・長い期間をかけて検討したから必ずよいものができるとは思っていませんし、短いからだめと言うつもりはありません。ただ、給食センターに移行するに当たっての骨子が示されていないことについてどのようにお考えになっているのかお聞きをしたいと思っています。

〇給食センターは、センターそのものの建設規模一つ考えても、配膳を担当するエリアや担当する学校の区分けなどにより食数を割り出してセンターの規模を決める必要がありますし、その地域の将来見通しや近未来に検討実施が必要と考える学校施設の統廃合による配膳数の変化なども考慮する必要があります。給食センター設置の土地については、費用削減の観点から、既存の市の適切な土地に7ヵ所の給食センターを設置するとお聞きしてしますが、センター設置の候補地とその地域や学校の割り振りは何通りも可能性があり、無駄な設備規模にしないためにも慎重な検討が求められると思いますが、そういった具体的な検討内容はお聞きしていません。ですから、給食センターを7ヵ所設置することについても、その数の妥当性についてすら判断できません。

・他にも、給食センターから学校への運搬方法、新設される給食センターの雇用の検討、将来にわたる維持管理費用の試算等々、思い付くだけでも相当の検討事項があります。また、周辺自治体で給食センター方式による学校給食を導入しているところの実態を学び、それを生かして八王子市で実施した場合の詳細検討を行い示すことが必須だと考えます。

Q市長にお聞きします。
 給食センター方式への移行はぜひとも進めていただきたいと思っていますが、移行に関連する諸条件や方策などについては、しっかりとした根拠のもとで計画を組み立てて進めてもらいたいと考えますが、御所見をお聞かせください。

A石森市長
本市が培ってきた安全で安心なおいしい給食の提供や地産地消による食育推進、さらには市内業者を優先した食材調達による地域経済の活性化なども踏まえつつ、新たな手法について検討を重ねてきた結果であり、台風被害前から整備をする判断をしておりました。
 現在、先行する2施設の調整や残りの施設の用地選定などに取り組んでおりますが、今後の実施設計の中で整備に係る詳細な内容について丁寧に検討してまいります。

8.学校施設の適正化に向けた取り組みについて

〇八王子市内には、高尾山学園を含めて108の小中学校があり、今回は69校ある小学校について伺います。

・少子化の影響だけではなく、地域ごとの人口構成や歴史によって、小学校に通う児童数は大きく変動しています。過去には大規模な宅地開発で子育て世代が多く移り住んできて子どもたちであふれ返っていた小学校が、時代の流れとともにそこに通う生徒の数が減少してしまっている学校があります。 また、歴史ある俗にいうナンバースクールでは、中心市街地周辺へのマンション建設などから生徒が増加している学校が多く、老朽化した学校施設の建て替えと新たな教育方針から小中一貫校への変更が検討されたりしています。

・学校施設は地域にも貢献している部分は多く、学校を拠点とした地域に根差したまちづくりの視点からは、地域で子どもたちを見守り育てるほか、地域活動や防災拠点としての活用などにおいても重要な位置づけになっています。また、子どもたちの教育環境整備や子育てしやすいまちとしての視点からも、小学校の施設整備は重要だと考えます。

〇一方で、近未来に超高齢化社会を迎える中での行政運営の効率化などを考えたとき、現在ある小学校数69校が妥当であるのかどうか精査する必要があります。地域の人口や年齢層の推移を長期にわたって見通すことは大変難しいことであり、また学校にはその地域とそこに生活する方々の歴史としての重みもあると理解していますので、地域住民の理解を得て整理するということは難題です。

〇小学校ごとの学年ごとの在籍生徒数や今年の新入学児童数を見ると、課題として取り組むべき数値の学校は複数あります。

・各学年の生徒数と新入学児童数が30人に満たない学校は、中野北、長房、館、恩方第二、上川口、美山、由木西、中山、鹿島、南大沢と複数あり、このうちの数校は各学年の児童数が20人未満で、次の新入学児童数が一桁の学校もあります。単純に少ないから統合してしまうといったことではありませんが、そろそろ具体的な英断に向けた取り組みを行う時期ではないかと考えます。

Q市長にお伺いしますが、学校施設の適正化への取り組みは、学校教育という観点からだけではなく、行財政改革の視点から取り組むべきことであり、社会的な将来予想の観点からは具体的な方向性を示すべき時期ではないかと考えますが、御所見をお聞かせください。

A石森市長
 本市の公共施設の約6割を占める小中学校において、児童・生徒数が昭和60年ごろのピーク時と比べ約4割減少する一方で、学校数は20校増加しているため、適正配置を検討することが重要であると考えております。
 平成20年度に適正な学級数と適正配置を示した小中学校適正配置推進計画を策定いたしました。現在この計画に施設の老朽化対策や小中一貫校の視点を加え、実効性のある計画となるよう見直しを行っております。この計画を平成30年度にお示しをし、議会、市民の皆様の御理解を得ながら進めてまいります。

9.下水道設備の将来にわたった適正な維持管理について

〇八王子市内に敷設してある下水道管の総延長は2,119キロメートルにもなります。下水道管の耐用年数は概ね50年で、現在敷設してある下水道管のうち約1%に当たる21キロが50年を経過しています。また40年経過している管では約160キロ、30年経過している管は約560キロとなります。
下水道管の敷設年度は、その地域の開発時期により大きく偏りがあり、下水道の普及促進を積極的に実施した年度などと合わさって、年度分布は一定ではありませんが、敷設からの耐用年数の50年を超える対象管路は今後年々増加してきます。

・50年前は、未だそれほど下水道が整備されていた時代ではありませんでしたが、社会の進展とともに下水道が整備されてきました。その様子を振り返ると、敷設から50年という節目を迎える設備が年々増加してくることは容易に想像ができることと思います。

〇下水道管は年代により使用されている管種が異なり、鋳物やヒューム管、ポリエチレン管など材質や形状には複数の種類があり、管種によって強度や劣化速度は異なります。また、埋設されている場所や地質、使用状態などによっても劣化の度合いは違いますので、一概に50年を過ぎたら壊れるというものではありませんが、耐用年数の50年を経過する時点ではその健全性を判断する必要があります。

・現在、下水道課では、下水道管の台帳の精度を上げること、管路内をテレビカメラにより点検すること、そして管路内に補強材を施す方法で更生工事による長寿命化を図っており、平成30年度はカメラでの調査30キロメートル、更生工事4キロメートルを計画しています。年々増加してくる対象設備に対し、現在のように丁寧な対応を期待できるかと考えたとき、費用面や作業量から見て同様の対応は今後不可能になってくることは火を見るよりも明らかです。

・新技術として、安価で確実な管路内診断方法や補修方法が確立されるかもしれませんが、自らが開発するわけではありませんから、他力本願な希望的観測は持たずに、現在と同じ手法しかない中でどのように対処していくべきなのかということを考えておくべきだと思います。

Q市長にお聞きします。
 下水道設備は市民生活に欠かすことのできない未来永劫継続される設備ですが、その設備量は膨大で、維持管理は永久に続く課題です。将来を見据え、対象設備が増加する危機的状況に備える施策を研究し確立する努力をしておくべきだと思いますが、御所見をお聞かせください。

A石森市長
 本市では、管渠の敷設年度が古い地区において、予防保全型の維持管理として計画的に延命化や更新工事を進めております。
 今後も異常な兆候に対して迅速に対応する保全を強化し、市民生活の安全と安心を守る維持管理を行ってまいります。

相沢こうた
八王子市議会議員