八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.54「議会報告」

平成29年第1回(3月)定例議会

≪会派代表質疑・・平成29年度予算について≫

1.一般会計における民生費の増大について
2. 市制100周年記念事業について
3. 全国都市緑化はちおうじフェアについて
4. 職員の働き方について
5. まち・ひと・しごと創生総合戦略との整合性について
6. 観光資源の活用について
7. 地域で子どもを育てるという考え方について(学校選択制について)
8. 学校施設改修について
9. 市内照明灯のLED化促進について

1.一般会計における民生費の増大について

〇平成29年度八王子市一般会計予算及び各特別会計予算並びに関連する議案について、市民・民進クラブを代表して質疑を行います。

〇平成29年度予算に占める民生費の割合が大変気になる数値に映ります。民生費として整理される項目は、社会福祉費、生活保護費、老人福祉費、児童福祉費などですが、これらの総額は前年比率で1.7%増、額で17億5,800万円増となっており、一般会計予算に占める割合は52.3%となります。ちなみに、前年度は51.0%、27年度は決算ベースで50.4%ですので、ここ数年でも年々増加傾向にあります。
 平成29年度予算の特徴として、市長が東京新聞のインタビューに子どもに焦点を当てた施策が多い予算案になったと答えているように、児童福祉施策を充実したことがこの数値にあらわれているのかもしれません。であれば、一過性のものだということになりますが、そう楽観視できる社会情勢にないことは周知の事実です。
・個々に見ると、生活福祉費に関しては高どまりの傾向、障害者福祉に関しては近年制度の充実が図られているため、この10年で約2倍の予算になっているようで、国の法改正によって増加していく傾向にあります。老人福祉費は高齢化により対象者が超増加傾向にあることは言うまでもないことです。社会保障全般に言えることは、既に国や地方が負担すべき費用が本来のその財源である税収で追いつかない状況になっていることに加え、国は社会保障制度改革を進めていますが、社会保障を国から地方に移していく流れがあるため、地方は従来どおりの考え方をしていると対応できなくなる可能性をはらんでいると警鐘を鳴らす専門家もいます。
・さらに、2025年には団塊の世代の方々が75歳を超えてきます。このころになると、といってもあと七、八年後で大都市周辺部でも75歳以上の人口が現在の2倍近くになると予想されており、2025年問題と呼ばれていますが、この莫大な医療や介護などの費用をどのようにしていくのかは喫緊の課題となります。さらに、先のことを申し上げれば、2060年には高齢化率は40%近くになると予想され、今後の民生費は老人福祉費と社会福祉費が異常に高い数値を示すようになることが容易に想像できます。
 制度設計に関しては、国の動向によるところが軸となるため、一地方行政で何とかできる範囲は少ないかもしれませんが、例えば生活保護の受給者への厳正・的確な対応など、制度が正しく使われるための努力などはしっかりと対応しておかなければならないと思います。
 また、民生費が年々かさんでいくことは目に見えていますので、行政として行う他の事業を含めて業務の総点検とコストダウンによる費用捻出はすぐにでも実施しなくてはならないと考えます。時代が大きなうねりとともに変わろうとしている時代だという認識を強く持っていただくことが大事だと思っています。
Q市長にお伺いしますが、民生費の増大にはどのようなお考えを持っていますか。また、この推移の予想の中、将来的に市の財源を維持し、健全な予算を確保するためにはどのような施策が必要だと考えますか。

A【石森市長】
社会保障経費につきましては、対象者の自然増などにより今後も増加が見込まれます。しかしながら、市民の生活を守るための最低限の保障はもとより、次世代育成のために必要な施策など、未来に投資する事業については着実に推進していかなければならないと考えております。そのためにも、ハード・ソフト両面にわたる攻めのまちづくりを進め税収増を図るとともに、選択とバランスによる不断の行財政改革により健全で持続可能な財政運営を行ってまいります。

2. 市制100周年記念事業について

〇平成29年度に八王子市は市制100周年を迎えます。29年度予算にはその記念事業費として約10億円が計上されています。「百年の彩りを次の100年の輝きへ」というキャッチフレーズのもと、100周年記念事業を計画していますが、これについて幾つか思うところをお話しします。
・まず、市民にどの程度浸透し、盛り上がっているかということです。記念事業の予定を見ますと、例えば4月に八王子大音楽祭なるものが西放射ユーロードで開催される予定があります。予算額は1,308万円です。4月といえば1ヵ月後の話ですが、市民の間にこの行事は期待感を持って伝わっているのかというと、期待感どころか、開催について余り知られていないのが現実です。
 予算の概要には記念事業がさまざまに記載されていますが、こういった行事を積み重ねていくことで雰囲気を盛り上げていくのだといった考え方もあるでしょうが、私は100周年記念事業として選択した以上は、それら一つ一つをもっと強くPRして、個々が盛り上がった行事にする努力をするべきだと思います。個々の記念事業の中には、市制100周年のキャッチフレーズと果たして合致しているのだろうかというものや、これらの事業選択に何か一貫した考え方、筋が通っているのかということに疑問が湧くものもあります。例えばボルダリングワールドカップ八王子2017ですが、今までの八王子市の歴史の中でボルダリングが尊重され盛んだったわけではなく、また今後の100年はこれに力を注いでいくのだという方針があるわけでもありません。
・今後は民生費の予算に占める割合がさらに大きくなることは容易に想像がつきます。何かやりたい、手を打ちたいと考えても、予算がつけられない状況がこのままですとわずか数年後にやってくると想像します。それを考慮すると、今回実施する100周年記念事業の意義は大変重要となってくると思います。100周年記念事業で何を成し遂げたいのかという目標を明確に打ち出し、強い思いを持って取り組んでいただきたいと考えます。市制100周年に当たるから何かやらなくてはならないという程度の記念事業なのか、これを機に将来につながる施策を一気に仕上げてみたいといった気概を持った取り組みを実施するのか、その差は大きいと思います。
Q市長にお尋ねしますが、市制100周年事業に対する意気込みと考え方をお示しください。

A【石森市長】
市政100周年記念事業につきましては、本市の歴史を振り返り、まちの魅力を再認識することで郷土愛を深め、未来を見つめる契機として実施をしてまいります。
 市民の皆様を初め多くの方々と協働し、本市の抱負な地域資源を活用した多彩な記念事業を展開し、さらなるまちの発展に力を注いでまいります。

3.全国都市緑化はちおうじフェアについて

〇市制100周年記念事業の目玉的行事として、第34回全国都市緑化はちおうじフェアが本年9月に開催予定となっています。
 都市緑化はちおうじフェアの開催期間は平成29年9月16日から10月15日の1ヵ月間、メイン会場を富士森公園とし、西放射ユーロード、道の駅八王子滝山、夕やけ小やけふれあいの里、高尾登山鉄道滝山駅、片倉つどいの森公園、南大沢駅前などをサテライト会場として行われる予定となっており、事業費は約8億円が計上されています。大変大がかりな行事であり、市民のみならず他市からの多くの来場も期待したいということから、近隣他市へのポスターや店舗へのチラシ設置などによるPRを早い時期から展開したいといった方針が昨年の都市環境委員会で示されました。
 しかし、近隣他市どころか、八王子市内の、少なくとも私が飲食したり買い物をするお店にこういった展開はされていません。今年になってからの都市環境委員会では、緑化フェアにかかわる報告事項もありません。個人的には、都市緑化はちおうじフェアがコスモスをメインにした会場づくりであるという御説明をいただいたときに、コスモスで有名な昭和記念公園が近隣の立川市にあるので、コスモスではだめなのではないかと、その考え方を再考する必要性を都市環境委員会で申し上げましたが、それについてどうなったのかもお知らせいただいておりません。
 また、この緑化フェアに関して、市民の間で余り話題になっていないことから、市民の認知度も低いと感じています。果たして緑化フェアが巨額の費用に見合うものになるのかと考えるとき、開催まで半年と迫った現時点で余りにも取り組み状況が伝わってこない現状に疑問を感じます。
 緑化フェア開催に当たっては、設計や実施の詳細については専門の設計会社やイベント会社が主導で実施するのだと推測しますが、事前のPRや開催に向けた盛り上げ方などについても早目に外部の専門の方に関与していただくことが、開催まで半年となってしまった現状では必要なのではないかと考えます。
Q市長にお聞きしますが、事業費8億円にふさわしいイベントにしていただくためには、開催日まで半年と迫ってきた現時点で事業の進捗状況を総点検する必要があると考えますが、PRを含めた事前準備状況と、開催に際しての意気込みをお聞かせください。

A【石森市長】
町会・自治会を初め、市内幼稚園、保育園、小中学校等にポスターを掲示したほか、公式キャラクターとともに市内外のイベントに参加しPRを行っております。
 今後は、さらに多くの方がフェア開催を認知し来場していただけるよう、広報宣伝のノウハウに長けた事業者とともに、鉄道事業者の協力やメディアを活用し効果的な取り組みを進めてまいります。
 市制100周年記念の中心的事業であるはちおうじフェアは、多くの来場者に本市の魅力を発信し、さらなるまちのにぎわいにつながり、次の100年の輝きのために大変重要であると考えていることから、全市を上げて盛り上げてまいります。

4.職員の働き方について

〇最近「働き方改革」という言葉を聞く機会がふえました。
 少子高齢化の社会問題は、労働人口にも大きな影響を与えています。大企業の若年社員、中小では後継者の不足など、日本全体において労働力不足が問題視されるようになってきました。一方で、AIと呼ばれる人工知能の発達に代表されるように、その昔、オートメーション化という自動化に移行する時代がありましたが、そんなものとは比較にならない恐ろしく早いペースで仕事の質が変化し続けているのが現代社会です。人口構成や社会構造が昭和から平成初期の時代とは大きく変化している中、企業においては終身雇用の時代は終わり、実力、能力に見合った資金体系を求める動きが活発化しています。
 こういった背景から、相変わらずの社会保障制度や労働三法では、時代ニーズに適合しないと改正を要望する声が高まっており、これからの時代の雇用形態などは現状のまま推移するものではないという認識も必要になってきます。これは社会一般上の話ですので、行政という仕事の性質上、成果を出さなくてはならない仕事もありますが、市民対応全般では地道な仕事も多く、そこまで極端には変われないかもしれません。しかし、国が働き方に関して方針を出せば、行政という立場上、社会の見本となる必要がありますので、やはり働き方や労働に対する考え方は変化させることが求められます。  現在、社会問題化している非正規雇用の削減や同一労働同一賃金という課題があり、安易な非常勤での対応はふさわしくありません。結局、時代の変化によりここでも業務の再点検による業務改善、効率化が必要になると考えます。
Q市長にお尋ねいたします。国民の働き方について盛んに議論されている現状と、労働人口の減少や非正規社員の削減に向けた取り組みなど、労働に関する課題が山積されている現代において、一方で、行政サービスの充実や高齢者の増大など、社会構造の変化に対応しなくてはならない立場でどのようなスタンスをとるのかは大変難しい課題です。働き方についても大きな転換期を迎えようとしている時代、これらの問題をどのように捉えておられるのか、御所見をお聞かせください。

A【石森市長】
 社会情勢が大きく変化し、職員に求められる役割や能力も多様化・高度化している中、職員には精度の高い市民サービスの提供が求められていることから、職員ひとりひとりが時代の変化に目を向け、業務内容や事務量を検証するとともに、ワーク・ライフ・バランスを考慮した働き方をすることが重要であると考えております。
 今後も国の働き方改革を注視しながら、職員の能力向上や働きやすい環境づくりに努めてまいります。

5.まち・ひと・しごと創生総合戦略との整合性について

〇国において平成26年11月に公布・施行されたまち・ひと・しごと創生法に基づき、地方公共団体では、地方人口ビジョン、地方版総合戦略が策定されており、八王子市では平成27年10月に八王子市まち・ひと・しごと創生総合戦略が策定されました。国の創生総合戦略の基本的な考え方には、人口減少と地域経済の縮小を大きな課題として捉えて、東京一極集中の是正、若い世代の就労、結婚、子育て、さまざまな地域課題の解決を目指し、しごとの創生、ひとの創生、まちの創生の三本柱について細かく示しています。地方は、地方版創生総合戦略を策定し、限られた財源や時間の中で最大限の成果を上げるための施策を集中的に実施するとしており、5年ごとの短期での目標設定と報告が求められています。
・八王子版まち・ひと・しごと創生総合戦略では、総合戦略のコンセプトとして、八王子市基本構想・基本計画である八王子ビジョン2022に則った施策展開を前提とした中で、特に人口減少問題と向き合うとしており、八王子ビジョン2022のもとで展開する施策を2つの基本方針、4つの政策軸として掲げて、具体的な取り組み項目を設定しています。
 基本方針は、1つがまち・ひと・しごとの好循環、2つ目が交流人口の増加であり、4つの政策軸は、「ひとづくり、しごとづくり、まちづくり、本市の魅力の発信」となっています。基本的には八王子ビジョン2022の施策展開を基本としているため、平成29年度予算の施策の中にはそれぞれに当てはまる項目はありますし、それらを創生総合戦略達成のためにと言ってしまえばそういうことなのかもしれません。しかし、それでは創生総合戦略の目標など、到底達し得ないと思っています。
・創生総合戦略の大変重い課題は、異常な人口減少社会の改善と地方都市の消滅の危機回避です。八王子市は東京圏に位置しますので、都市消滅の危機という部分ではさほどの心配はないのかと思いますが、前者の人口減少に関しては、日本の国を挙げて取り組まなくてはならない大きな課題だと捉えるべきでしょう。
・「出生率を上げること」 対策はこれに尽きますが、容易な手法では結果を出すことのできないこの課題について、市はどのように取り組むのであろうかと私はずっと注視しています。 2.07という人口置換水準、人口がふえも減りもしない出生率に対して、平成26年の数値は全国が1.42、東京都1.15、八王子市1.19という壊滅的数値であるものをいかに好循環に持っていく努力をするのかということは、単年度での施策では到底不可能であり、相当長期間の継続的な取り組みが求められます。また、取り組み内容もそれを検証しながら、効果のある施策を模索し続けなければならないと考えます。
当然のことですが、作成された総合戦略には、人口減少が与える影響に対応すべくさまざまな施策が記載されています。しかし、市の現状を見ると、予算編成やふだんの仕事の中でこれを意識されているのだろうか、職員の中に浸透しているのだろうかと思うわけです。
Q市長にお尋ねしますが、平成29年度予算にはまち・ひと・しごと創生総合戦略はどのように反映されているのかについてお聞かせください。

A【石森市長】
 本市のまち・ひと・しごと創生総合戦略は、八王子ビジョン2022の施策の一部をパッケージ化してお示ししているものであります。八王子ビジョン2022の実施計画であるアクションプランを策定する段階から総合戦略を反映させ、アクションプランに計上した事業を予算化しておりますので、子育て支援や中心市街地の総合的な再生など、総合戦略の目標達成に必要な施策を盛り込んでおります。

6.観光資源の活用について

〇2007年4月にフランスのタイヤメーカーミシュランが発行する日本版観光ガイドで高尾山が三ツ星の必ず見るべき観光地との好評価を受けました。ちなみに、山として三ツ星の評価を受けたのは高尾山と富士山だけです。この後、2009年3月に改訂されたミシュラン観光ガイドでも高尾山の評価は変わらず三ツ星となっています。ミシュランガイドに紹介されるという価値は相当に高いもので、過去には紹介されたいがための金銭不正が発覚した事件などもあり、ここに紹介されることは社会的に大きな影響力があるのです。これを境に、高尾山を訪れる観光客、登山客が激増し、現在でも多くの来山者があります。八王子で一番の観光資源であることは私が言うまでもなく、皆さんが認識しているとおりです。
・八王子市は、立川市や町田市、相模原市など近隣市と比較されますが、駅前や郊外の大型商業施設による集客中心である他市と比較して、高尾山の存在を初めとした自然環境は貴重です。また、高尾山を訪れる観光客、登山客をまちの活性化に何とか活用できないのかと、それを求める提案や意見は2007年以降、議会でも多くの方が発信してきましたし、私もそのうちの一人です。
 また、皇族の墓地である多摩御陵は、その性質上、観光地とは呼べませんが、その近隣も含めて趣があり、近代史上でも貴重な場所だと思いますし、もっと一般に知られるべき場所なのではないかと思います。高尾山からそれほどの距離もなく、八王子駅までの動線上に位置しますので、鉄道駅がないことを克服できれば、貴重な八王子市の資産として活用できると思いますし、八王子城跡なども同様で、アイデア次第だと思っています。
・平成29年度予算では、観光に関連する項目として、観光資源情報の活用、高尾599ミュージアムの管理運営、新たな観光資源の整備とあります。観光資源情報の活用では、外国人観光客の誘致に主眼を置いているようですが、高尾山がミシュランガイドの三ツ星に紹介されているという意味は、外国人観光客に日本に行ったら必ず訪れてみる場所として推薦されているということなのに、なぜ10年も本腰を入れて取り組んでいないのかと不思議な感じがします。高尾山を基軸とする観光、これを十二分に生かした取り組みを完成させることが最優先で行われるべきだと考えます。
 そういった意味では、市制100周年記念事業に高尾山の観光資源としての確立を入れていただきたいと思っています。この予算を活用して、例えば土日だけでも高尾山から多摩御陵、八王子駅までの無料循環バスを確立するとか、高尾山近隣道路の混雑緩和のために、少し離れた場所の、例えば西八王子の飲食店がある近くに駐車場を整備して無料バスを運行させる、それによって道路渋滞の緩和とともに駐車場近隣での飲食や土産物などの経済効果につなげていくことは可能だと思っています。そういった取り組みを加速させていただき、観光資源を活用して市内の経済効果に結びつけてもらいたいと考えます。
 当然ですが、観光は道路整備やまちづくりとも密接なつながりを持って進めるものですので、縦割りではできません。八王子市の方針、完成図をしっかりと描いて、それに向けて理事者の強いリーダーシップと各所管の連携で進めていくべき課題です。
Q市長にお尋ねしますが、高尾山の観光資源としての価値とその生かし方、観光客をまちづくりに生かす取り組みなどについて早急に加速させて取り組むことで、八王子市の経済効果と活気の創出につなげていただきたいと考えますが、御所見をお聞かせください。

A【石森市長】
 高尾山は、圏央道の開通や高尾599ミュージアム、温浴施設の開設により観光地としての魅力が向上し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催を控え、今後ますます来訪者の増加が期待をされます。
 市といたしましても、市制100周年を契機に、来訪者には高尾山だけでなく、市内のさまざまなスポットやイベントにも足を運んでいただけるよう、さらに効果的な観光情報の発信や交通の利便性の向上など、回遊性を高め、地域活性化に資する取り組みを進めてまいります。

7.地域で子どもを育てるという考え方について(学校選択制について)

〇地域で子どもを育てるというフレーズで地域運営学校の推進、放課後子ども教室、地域の子育て支援ネットワークなど、さまざまな施策が挙げられています。私が子どもだった時代は、映画「三丁目の夕日」に代表されるような時代でしたから、地域で子どもを見守り育てていくということは当然のことで、今思えば大変温かい人間愛にあふれた中で育ったものだと感謝の念を感じる次第であります。こういったことは、日本の文化というよりも、人間という生き物として、子孫を残し後世まで繁栄していくという本能から考えれば至極当然の行為であり、同じ地域に生活し、その中で育っていく子どもたちを周りの大人たちが温かく見守ることは必然なのだと思います。
 しかし、人間の面倒なところは、本能のまま生きる動物ではないということで、人のことには極力関わりたくないという考えの人は当然昔からいますが、近年は特に自己中心型で、自分のことが一番かわいいという考えの人が増えているように思います。ですから、さまざまな施策を仕掛けて、地域で子どもを育てよう、さらにはそれを地域の活力と協調に結びつけようという取り組みは必要なことだと理解しております。移ろいゆく人の心が原因で自然に地域が希薄化していることを立て直そうという取り組みがある一方で、いまだにそれを助長するかのような施策が改善されていないことに釈然としない思いでいます。
・市内小中学校の学校選択制です。平成29年度の地域活動の援助に子ども会に関する項目があります。子ども会が消滅してしまった地域があることに危機感を抱いてのことだと思いますが、そもそも子ども会活動が順調さを欠いた原因は何だとお考えでしょうか。指導者などの後継者不足もありますが、私が住んでいる地域での原因は学校選択制の影響です。隣近所に住んでいるのに違った小学校に通っているため普段から交流がなく、子どもたちが交わらないので、当然その親たちもつき合いがありません。さらに、小学校のカリキュラムが微妙にずれているため、例えば運動会や参観日の代休に子ども会活動をしようとしても、子どもたちの休みの日が合致しないことも発生します。こういった事象が重なっていくことで、子ども会へ参加する子ども、協力してくれる親も減ってきたことが直接の原因だとPTA会長からお聞きしました。地域で同じ学校に子どもたちが通うということは、子どもとその親である大人も交流する機会を持つことになり、それを基盤に地域活動や地域の安全にまでつながる非常に大事なことだと思いますが、そういったことも希薄になってしまうのです。
・学童保育所や特別支援学級の定員などに関しても、学区制であれば人数把握は容易であり、それらの設備形成計画などにおいても無駄な労力がなくなることは当然のことで、子どもたちを地域で育てるということ以外にも、地域の協調や安全、市や学校の業務の簡素化や効率化が図られます。学校選択制によってさまざまに発生している多くの業務は学区制に戻せば解消し、仕事の効率化が図れますし、複数の所管で取り組んでいる地域というキーにかかって、取り組みの方向性が合うことでお互いの協働が図られ、効果が発揮しやすくなります。
Q教育長にお聞きしますが、地域で子どもを育てるという市の基本的スタンスに合致していないと感じる学校選択制については、導入から一定程度の年月も経過していることから、見直し検討が必要と考えます。八王子市の施策を広く捉えるとともに、現代社会の歪を的確に分析していただき、本当に必要な施策であるのかと考えたとき、私は見直すべきものだと考えておりますが、御所見をお聞かせください。

A【安間教育長】
 議員のお話にもありましたとおり、学校、家庭、地域が一体となって地域ぐるみで子どもを育てるということは、子どもたちに社会で生きて働く力を身につけさせるとともに、地域への愛着とその一員としての自覚を養うことができ大変教育的意義があることだと考えてございます。
 学校選択制については、次回の教育振興基本計画の策定に合わせて検証し、見直しを行っていく予定でございますが、こうした教育意義を踏まえ、検証に当たっては子どもの状況についてのデータ分析に加え、保護者や児童・生徒たちだけではなく、地域の声も十分反映していきたいと考えております。

8.学校施設改修について

〇八王子市には小学校70校、中学校38校と多くの市立小中学校があります。建設年度が同時期ではなく、中間での修繕や建てかえなどの歴史がさまざまなため一概には言えませんが、設備改修が必要となっている学校は多くあります。平成28年度もトイレ改修を初めとした改修工事を順次実施していただきましたが、該当する施設を抱える対象校は依然多く残っており、未改修の学校が45校あるとのことで、これらの学校の施設改修は順番待ちとなっています。
・一方で、校舎の老朽化による建てかえとともに、新たな学校教育の取り組みである小中一貫校として、第六小学校と第三中学校を合併したいずみの森小中学校が、一部市の施設も入りますが、平成32年4月に全く新たな校舎に建て替わる予定で、総予算は90億円を超えます。いずみの森小中学校の取り組みに関しては、新たな義務教育のあり方と、市内小中学校の将来像の一例として注目しており、反対するものではありませんが、一方で、トイレが古い和式のままだったり、排水設備などの老朽化で臭いが出ていたり、更衣室がなく空き教室をカーテンで仕切って使っていたり、例を挙げれば切りがありませんが、そういった日常利用する施設が改修されていない、また不十分な学校が多くあることに釈然としない思いがあります。どちらも義務教育の八王子市の学校です。現在未改修の学校設備改修の残りを全て行った場合に一体幾らの総工事費になるのかは存じませんが、いずみの森小中学校に90億円もの予算を引き当てられるのであれば、この学校の開校が二、三年おくれても、まずはその原資を既存の小中学校の老朽化した施設改修から充てていくのが筋ではないのかと考えます。市内の義務教育の小中学校ですから、最低限のレベルは合わせてあげて、教育環境、学校生活環境における市内での格差を是正するべきだと考えます。
Q教育長に質問いたしますが、老朽化している施設を抱える学校の改修と質的向上を図ることを最優先に取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお聞かせください。

A【安間教育長】
 学校施設は、子どもたちの学習の場であるとともに、一日の大半を過ごす生活の場でもあります。老朽化への対策としては、特に外壁改修やトイレ改修について補正予算に計上し、優先的に取り組んでいるところでございます。
 子どもたちのよりよい学習環境を整えるため、安全面や衛生面など、各学校の実情に合わせ、引き続き教育環境の質的向上に努めてまいります。

9.市内照明灯のLED化促進について

〇市の管理下にある夜間照明灯の防犯灯は町会管理を基本としているため市民活動推進課、街路灯は道路附帯設備のため道路交通部、公園灯は公園課、商店街灯の一部、商店街灯のうち中心市街地分の一部は市の管理となっており、中心市街地政策課などがあります。この複雑な管理体制のため、各照明灯に対する考え方が微妙に違います。私は平成23年から6年間も継続して外部委託化による市の一括管理への移行と同時に全灯LED化をすることを推奨しておりますが、この管理体制がそこに踏み込めない大きな要因の一つとなっているようです。
・それぞれの灯数は、防犯灯、約2万8,000灯、街路灯、約1万6,800灯、公園灯、約3,300灯と八王子市は面積が広い分、灯数は近隣他市より格段に多く、当然その維持管理費や電気料金は高額となっています。灯数に比例して管理不行き届きが多いということが先に一括管理に移行した他の自治体の実績から判明していますので、外部委託化による一括管理に移行することは多くの無駄を省くことにつながります。単純に考えても、専門にされている方々が管理されたほうが効率的かつ有効であることは言うまでもないことです。ですから、近隣他市では、多摩市、日野市、相模原市など、委託やリースなど管理方法はさまざまですが、既に全灯LED化と合わせて変更しており、町田市と八王子市がいまだにかじを切っていない状況となっています。
私は、今まで管理の効率化や安全性、市民負担の公平性、厳正的確管理の観点や技術面など、専門家が管理する妥当性、有意性やメリットなどについてさまざまに申し上げてきました。ここでは全ての角度から見て、電気事業関連を専門にしている会社に一括管理させる方法に移行することが適正であるとだけ申し上げ、違った視点で早急に取り組むことの必要性をお話します。
・先ほど来申し上げている中の随所に出てくる話として、市の財政における民生費の増大というキーがあります。むだな業務は省き、むだな出費も抑える努力が必要です。私は、あらゆる仕事が従来の考え方では現代社会に適合しなくなってきており、根本的に視点を変えて全ての業務を見直す時期なのだと考えています。ですから、照明関係についても防犯灯の町会管理などという非合理的な考えは捨てること。職員みずからが街路灯の維持管理をしていることより委託のほうがよほど効率よく的確であるため速やかに移行し、市の職員の働き方改革のためにも、直営でやらなくてよい仕事は手放し、真に職員が行うべき仕事との区別を図り業務改善に取り組む必要があること。公園の電灯は、公園課に電気の専門家がいないのに、そんな仕事を持っている必要はないということから業務改善し的確な方法に移行すること。これらを総合的に申し上げると、市に関連する夜間照明灯の維持管理は一括して委託化し職員の仕事から外すことで働き方改革に寄与し、同時に電気料金削減と機器の長寿命化による維持費削減の観点からLED化を行い、照明機器等設置場所の適正化などとあわせて設備と経費のむだを削減し、環境政策の観点から、これらの取り組みによってCO2削減による環境負荷の軽減を図る、こういった方向に変更することは当然のことです。
Q市長にお尋ねしますが、市内夜間照明の委託化による市の一括管理方式への移行と、あわせて全灯LED化に関しては積極的に行うべき施策だと御提案しますが、御所見をお聞かせください。

A【石森孝志市長】
 市内照明灯は単体でのとりかえや工事にあわせ、LED化を含む省エネ化に取り組んでいるところであります。また、維持管理については、防犯灯や街路灯、公園等、商店街灯の管理状況はさまざまでありますが、現状適切に行っております。なお、御提案いただいた一括管理方式につきましては、現状の取り組みと比較検証するなど、参考にさせていただきます。

相沢こうた
八王子市議会議員