八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.41 「議会報告」

平成27年第1回(3月)定例議会
≪一般質問≫

1.八王子市環境基本計画について

Q:八王子市は、平成13年、2001年を環境元年と位置づけ、環境基本条例を策定、この条例に基づき平成16年3月に第1次環境基本計画を策定し、水、ごみ・資源など5項目を重点取り組み事項とし、これらに対する具体的な行動計画を定め取り組んできました。この間、平成19年に市内公共下水道整備完了以降、市内河川の水質は大きく改善され、きれいな川が戻り、平成16年以降のごみ収集方法の変更によりごみの排出量の大幅削減やリサイクル率の大幅な向上が図られるなど成果を上げました。第1次基本計画の結果と課題を整理し、平成26年3月には、向こう10年間を対象とした新たな第2次環境基本計画が策定されました。
近年は全国的に環境問題に対する意識が高まり、新たなビジネスとしてさまざまな企業が環境に関する新たなシステムを次々に開発しており、第1次基本計画のころの10年とこれからの10年では、同じ時間でも環境問題に対する世の中の進み方は大きな違いがあると推測します。
限りある資源を大切に有効に使おうという言葉は、過去のさまざまな反省をもとに生まれた言葉だと思います。
人間が生活する上で大量の資源を使い始めたのは、人類の歴史上ではほんの最近のことです。1837年は産業革命と歴史の授業で習いますが、この第1次産業革命とは、石炭を本格的に使い始めたことを言います。これより以前は山の木を切ってまきや炭にして使っていた時代で、日本を例にとれば、このために山の樹木を切り過ぎて国土全体における森林の割合は30%台まで低下した時代があります。これに危機感を抱いて各地でまる坊主になった山に植樹をしたことで、現在は国土の65%以上が森林になっていますが、植樹した木に杉が多かったことが現代になって花粉症など新たな健康被害の問題を発生させています。

さて、第1次に次いで、その後第2次産業革命という石油を本格的に使い始めた石炭から石油への移行時期がありますが、これは1865年から1900年と定義されています。整理しますと、石炭の本格利用から約200年、石油のそれからは100年と少々ということになるのですが、現代しか見たことがない私たちにはちょっと信じられないぐらい短い年月しか現代社会と同じ化石燃料主体のエネルギー環境下にないということになります。これだけ短い期間であるのに、便利になり続けた世の中は急激に地球に過剰な負荷をかけてしまい、私たちは環境に対して優しく生きることを真剣に考えなくてはならない時代を迎えてしまいました。
そうは言っても、この豊かな時代の日本にあって、次々と物がつくられ、大量消費が当たり前の時代において、常に資源には限りがあるという意識を持って生きている人はほとんどいないでしょう。現代においては、資源を大切にするということは必要量しか使わないという意識にはなかなかならず、上手に再利用しようということになってしまうのは、今のところ仕方のないことかもしれません。この再利用を行うことがリサイクルでありバイオマスです。八王子市はリサイクルに関しては積極的に取り組んでおり、ある程度の結果を出していると評価していますが、バイオマスに関しては非常に弱いと感じています。
今まで本市が取り組んだバイオマスにかかわる具体的な施策についてお答えください。

A:本市では、豊かな緑をエネルギーとしても活用するため、平成22年度に剪定枝等について調査を行った。そして、平成23年度に北野清掃工場へ足湯を併設した木質バイオマスボイラーを設置した。 また、平成26年度から再生可能エネルギー利用機器設置費補助に木質ペレットストーブを対象機器として加え設置費を助成している。

Q:平成25年9月にまとめられた八王子市再生可能エネルギー導入検討報告書には、バイオマスに関して、木質バイオマス、食品系バイオマス、農産系バイオマスの3種類が取り上げられ、おのおのについて特徴が示されています。こういった検討結果が出ている以上、これを受けて実施の可否などについて検討を行ったのではないかと思いますが、どのような検討を行ったのかについてお答えください。

A:検討会では、個々のエネルギーの特色を示し、賦存量──これは制約条件を考慮せずに利用できる量──とか、制約条件を考慮した利用可能量に加え、八王子でつくられ八王子で使う、また、市民、事業者、行政が連携し、CO2削減だけでなく、市内での雇用の増加や産業、経済の活性化という視点も考慮し、技術適性、需要適性、立地適性、参加適性、コスト適性の5つの項目から、八王子市で取り組むべき再生可能エネルギーについて議論していただいた。

Q:第2次環境基本計画に示す今後10年のバイオマス関連の取り組みについて、考えていることがあるかお聞きします。

A:平成25年度に策定した第2次環境基本計画では、基本施策に森林の循環の強化を掲げ、間伐材等の森林資源を利用し、木質バイオマスの利用促進を図ることとしている。同じく平成25年度に策定した再生可能エネルギー導入方針でも、太陽光、太陽熱と木質バイオマス熱の利用を重点的に推進することとしているおり、そのうちの木質バイオマスについては、需要や供給の仕組みを構築し、普及拡大を図っていきたいと考えている。

Q:バイオマスという言葉ですが、生態学で特定の時点においてある空間に存在する生物、これをバイオと言います。その量を物質の量、これをマスと言います──として表現したものです。これが転じて生物由来の資源を指すことになり、バイオマスを用いた燃料はバイオ燃料、またはエコ燃料と呼ばれています。バイオマスは、燃料源の種類が多岐にわたり、様々なものが燃料源となります。例えば木質バイオマスでは、建設発生木材、剪定枝、間伐材、製材くず、刈り草などが燃料源となります。同様に食品系としては食品残渣、加工過程で発生する食品廃棄物、農業系としてはトウモロコシなどの作物、家畜の排せつ物など、そのほかに工業系として自動車内装などのシュレッダーダスト、可燃ごみなどの一般廃棄物、下水汚泥も立派な燃料源となります。これらの燃料源からエネルギーを得ますが、その方法は、直接燃焼、発酵させてメタン、エタンなどを取り出し利用する化学変換、化学合成によりペレットなどに形を変える燃料化などがあります。八王子市は今のところこれらのうち、作物系からつくる燃料を清掃車の燃料として使うことと、木質バイオマスによる足湯程度にしか手を出していません。
木質バイオマスについて少しお聞きしたいと思います。現在足湯に使い、新たな取り組みとして木質ペレットストーブの利用拡大ということをお考えのようですが、もう1歩2歩進んだ取り組みが必要だと考えます。木質バイオマスの燃料源については先ほど申し上げましたが、全国的な発生量として剪定枝が飛び抜けて多く、行政が行う業務でも、街路樹や公園、公共用地などの樹木剪定や刈り草による木質系のごみはとても多く出ます。これにライフラインの保守などのために伐採する樹木や企業用地、市民の方々の御自宅までを合わせるとさらに相当量の木質系の廃棄物量になります。
こういった木質系の廃棄物は現在どのように処分しているのか、現在の処理状況をお聞きします。

A:街路樹や公園から発生する木質系の廃棄物は各管理者がそれぞれ処分を行っており、チップ化や堆肥として活用しているものもあれば、焼却しているものもある。本市の清掃工場に運ばれたものについては、焼却の際に発生した熱を発電等に利用するとともに、焼却灰はエコセメントの材料として活用している。

Q:木質バイオマスを足湯以外に利用することを考えていますか。

A:木質系の廃棄物については、その熱を電力などのエネルギーとして活用するほか、チップ化して土壌改良材としての活用や、舗装材にするなどの活用方法もあると認識している。例えば公園や道路街路樹の剪定枝等につきましては、指定管理者や管理委託業者に対し適正な処理を行うよう指示しており、その多くはチップ化あるいは堆肥化を行っているリサイクル業者に運んでいる。様々な用途に再利用されている中で、発電等のエネルギーとしての活用も一つの選択肢となっている。

Q:下水関係についてお聞きします。
下水汚泥も全国的に発生量が非常に多い物質です。下水汚泥の処理は、一般的には焼却されて焼却灰として埋め立て処分される方法が主流だとお聞きします。この方法では、焼却時の温室効果ガスが発生することと、焼却灰の最終処分地の問題が発生します。しかし、下水汚泥も乾燥させて炭化させることでバイオマスとしての処理が可能となり、燃料としての再利用と同時に温室効果ガス抑制や最終処分地の問題解決も図れます。
鳥取県境港市では、下水汚泥の資源化事業として民間企業にこれを委託しました。この試みは環境省の廃棄物エネルギー導入・低炭素化促進事業に採択され、補助金を受けて実施されることとなり、恐らく地域で実施する二酸化炭素などの温室効果ガスの削減とともに、地元の雇用創出などの経済効果も上げるものと思われます。
八王子市は、現在の北野下水処理場での処理分も平成27年度には東京都の実施となり、残念ながら下水処理に関して単独での取り組みは展開できません。しかし、東京都や下水道処理ルートを共にする近隣自治体と共同して研究し、実施に向けた取り組みを行うことはできるのではないか、また必要なことではないかと考えます。下水道に関しては、ほかにも発生するメタンガスの取り出しや下水が持つ熱を熱交換によって取り出すなどの方法でエネルギー源として利用する方法もあります。 こういった下水道を利用した再生可能エネルギーの取り組みに関して今までに取り組んだ実績をお聞きします。

A:北野下水処理場では、これまで地球温暖化防止対策として、省エネルギー化を中心に推進してきた。具体的には高効率型遠心脱水機の導入による汚泥焼却炉の使用燃料の削減や、省エネタイプのモーター導入等により、10年前と比較して電気使用量は約12%、二酸化炭素に換算した温室効果ガスは約27%の削減となっている。

Q:下水道を利用したエネルギー化に関しての考え方をお聞きします。

A:本市では、北野下水処理場を平成27年度から段階的に東京都流域下水道へ編入する予定であり、今後本市の下水は全て東京都の3つの水再生センターで処理することとなる。そこで、今後は東京都の下水道事業におけるエネルギー基本計画スマートプラン2014に位置づけられた汚泥焼却炉の排熱を活用した発電や、汚泥を炭化させてバイオマス燃料とする取り組み等について、東京都と情報交換を行いながら連携して取り組んで行きたい。
また、本市独自の取り組みとしては、年間を通して温度が安定している下水の熱エネルギーを回収し、再生可能エネルギーとして活用できるよう調査検討して行きたいと考える。

Q:環境基本計画は全体的によくできていると思いますが、パンチがないと感じます。
学識経験者を集めた検討委員会を設置するという八王子市がさまざまな分野でよく用いる手法を環境に関しても用いています。検討委員会はあくまで土台づくりで、検討委員会から出された答申については、その後担当所管が現場サイドの主観や実現性をより具体的に検討する作業をしなくてはいけないと思いますが、このエッセンスを加える工程が曖昧なのではないかと常々思っています。私は、八王子市が主導で環境施策全てをなし遂げて結果を出していくのだという根本的な考え方に無理があるのではないかと思っています。このことが今後の八王子市の環境政策を進めていく過程で非常に大事なポイントだと思います。
第2次環境基本計画を読んでいて、そこにパンチや発展性、期待感やわくわく感を感じられません。例えば、企業との連携による新たな発展的な取り組みを積極的に検討し取り入れたらどうかと考えます。
現在の世の中において、環境ビジネスといいますか、環境にかかわる研究の進歩は物すごく早いです。世の中の関心事項に敏感なのは企業の特性ですが、新たなビジネスチャンスが環境関連にあると、さまざまな企業がこの分野に力を入れています。例えばバイオマスで製造できる木質チップなどは、ほんの数年前までは発熱温度が低く使い道が限られていましたが、今は発電に使えるほどの高温を得るものをつくることができます。また、廃プラスチックを油化して良質な軽油などに燃料化するのは当たり前で、さらにこの処理過程で発生する熱エネルギーを他に有効活用するなど、廃棄物再利用の技術革新はすごい勢いで進歩しています。こういった企業の力を使うことが大切なことだと思います。
環境をキーにして市の事業を手伝っていただくとともに、地域に根づいていただき、エネルギーのみならず地域雇用を含めた地域経済に寄与していただく、そういった企業誘致にまで発展するような取り組みを進めるべきだと思います。八王子市は環境政策に大いに力点を置いており、企業の力を求め、二人三脚で進めていく意向を持ち、協力いただく企業への特典も考え、大きな宣伝をするべきです。また、環境都市八王子を全面的にアピールできる第2次環境基本計画の改定版をつくるべきだと思いますし、庁内一体となった取り組みが必要だと考えます。
そこで、最後に理事者にお伺いしますが、申し上げた環境基本計画の手詰まり感を打破するためには、企業との連携による環境都市八王子をつくり上げたらいかがかという私の提案についてどのようにお考えになりますか。環境に関して新たな手法を取り入れながら鋭意取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお答えください。

A:【村松満副市長】
平成26年度に策定した地球温暖化対策地域推進計画においても、あらゆる主体との連携を施策として掲げており、環境負荷の低減に資する技術を持った企業や大学等との連携は必要だと認識をしている。御指摘のように、本市内にはエネルギー関連の大手企業の支店や営業所があり、また、製造業等の有力な成長企業もあるため、本市として地球温暖化防止対策等の環境技術や製品の開発を支援するとともに、その成果を市民の皆様に発信をしていきたいと考える。

相沢こうた
八王子市議会議員