八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

相沢こうたNEWS
VOL.18 「視察報告」

都市環境委員会の視察報告

○5月9日~5月11日の日程で都市環境委員会の視察に行って参りましたのでご報告をさせていただきます。今回の視察地は①鳥取県立鳥取放牧場風力発電所、②兵庫県豊岡市・自然環境整備とこうのとりの復活、③神戸市東灘下水処理場での「こうべバイオガス」、の三点でした。
今回はそのうち、②の豊岡市について詳細にご報告させていただきます。

◇豊岡市・こうのとりと共に生きる(自然環境復活)(視察日・平成24年5月10日)

相沢こうたの活動報告

・自然環境政策に様々に力を入れているので一度視察に訪れて欲しい、と豊岡市議会で活躍中の仲間の議員にお声掛けいただきました。

兵庫県の日本海側、いわゆるはずれに位置する豊岡市は古くから自然環境が豊かな土地であったとお聞きします。その証拠に日本でいちばん最後まで野生のこうのとりが生息していた地であります。こうのとりは全高1.2m、羽根を広げると巾2m以上にもなる大きな鳥で地方によっては鶴と呼ばれており、ドジョウやフナなどの川魚やカエルやバッタなどを主食としている肉食の鳥で、田んぼや川に多くが人々の農業と共存するようなかたちで住み続けていた鳥だそうです。

その後人間が大量の農薬を使用するようになると、こうのとりが餌としていた田んぼや川にいた生物が激減するとともに、農薬から体内に入った水銀の影響で繁殖能力に異常が発生し、日本の自然界のこうのとりは昭和46年に豊岡市を最後に姿を消しました。絶滅寸前の昭和40年から豊岡市では人工飼育に取組んでおり、日本のこうのとりが絶滅後は同じ品種のものを旧ソビエトから譲り受け、引き続き人工飼育を行い平成1年に初の繁殖に成功しました。

豊岡市ではもう一度自然にこうのとりを放そうということを目標にして、こうのとりが生きていける環境作りに取組みはじめました。農薬の散布を完全に止めて昔ながらの方法でコメ作を行う、川には湿地帯を設けたり昔ながらの小川に復活させる、こういった様々な取組みを市民が一体となって進めてきたとのことです。

農薬を散布せずに今の時代にコメ作りが可能であるか、収穫量が確保できるのか、元来河の氾濫など水害の歴史が多い土地で生活安全と湿地確保策の整合はどのようにしていくのかなど、はじめは市民の反発や戸惑いの声も多かったようです。しかし、それらのひとつひとつに真摯に取組み、対話をした中で取組んだ施策に結果が出始めると子どもから年配者までが自然環境作りに協力的になり、並行してこうのとりの人工繁殖が順調に進み、100羽を超えたら自然に放鳥するという目標に着実に近付くとともに、川や田んぼの様子が確実に変わりはじめたことを実感できるようになったそうです。平成17年に5羽の放鳥が行われた以降は自然に帰った鳥からも雛が産まれて順調に増加しているそうです。

相沢こうたの活動報告

これらの取り組みをお聞きして、まずもって素晴らしいと感じたのは市民が同じ方向を向いているということです。また自然環境については私が幼かった40年以上前に確かに日本中にあった田畑や森、河原や河川を感じることができました。過去には様々な地を視察させていただきましたが、自然環境に関しては右に出るものはいないと感じる土地でしたし、市民のつながりに関しても同様でした。こういった人のつながりというものが現代社会で一番欠落している部分であり、他人の批判ばかりしたり、すぐに自分に関係ないものという判断をしたがり知らんぷりをする、結束などという言葉が実現していない、そんな世の中になったなとつくづく感じていましたが、市民が子どもたちからお年寄りまで同じ目的のために力をあわせている姿は羨ましさをも感じました。

「こうのとりのために取組んで来たが、こうのとりが生きやすいという環境は人にとっても素晴らしい環境であることに気が付いた。こうのとりのためと言いながらそれが結果して自分たちのためになっていることが不思議です」と説明者の方がお話しになっていた言葉が印象に残りました。

視察したメンバーのほとんどが、こうのとり復活にかける取組みをまとめたビデオを見ながら涙を流し、そして説明が全て終了した際に拍手喝さいであったことを付け加えておきます。自然環境のみならず、いろいろな面で勉強になったと感じました。

豊岡市に誘導していただいた青山議員さま、そして現地で大変ご丁寧にご案内いただきました豊岡市役所の皆さまには大変素晴らしい取組みをご紹介いただきましたことに心より感謝申し上げますとともに、今後益々のご活躍をご祈念申し上げます。

相沢こうた
八王子市議会議員