八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

エネルギー関連
VOL.7

現在、主力の火力発電所の将来

〇原子力発電所の事実上停止状態の2年間、火力発電に頼り切ってきましたが、日本の火力発電の行く末について触れておきます。

・まず石油の枯渇問題についてです。石油は太古の生物の死骸であり、ある場所は決まっていて当然使えばなくなります。また既に50年もの間、大きな油田は見つかっていないにも関わらず、世界での石油の消費量は増加する一方です。石油を利用する生活文化の定着・進展に加え、発展途上国での石油消費量が年々増加していることなどが消費量増加の原因です。埋蔵量といつまで枯渇しないか、ということに関しては実は誰も言い当てられないというのが事実のようです。その理由は産出国の石油価格などに対する様々な思惑や、アメリカなど実際に未だ国内を掘っていない(または様子を公表していない)大国があることなどですが、おおよその目安として数百年といった長期に渡って安定的なものではないことは明らかだと考えられます。また間違いなく単価は上がり数倍になってくるものと考えられますので、無くならないにしても早めに他の代替物質への転換を図ることが必要になってきます。

・石油には現在利用されている使い勝手のよい(良質な)石油と、ドロドロしていて使い勝手の悪いものがあり、良質な石油はおそらくあと30年程度で枯渇するのではないかといわれています。その時までに使い勝手の悪い石油の利用技術を確立させておくことが石油の枯渇問題に対応するキーになります。

・石油はその使い道が石油製品や航空燃料など、今のところ他のものでは代替えできない広い範囲で使われていますが、日本の火力発電に限って見ますと、オイルショックの反省から脱石油を目指したことから既にあまり石油に依存していない状況になっており、石油よりも埋蔵量が多く他に用途が少なく発電に向いている液化天然ガスや石炭などが主流になっていますので、発電分野での石油の枯渇問題はエネルギー源としてではなく、石油製品の不足によるものになってくると考えます。ただし原子力発電所停止状態の現在はやむなく石油火力を再稼働していますので石油依存度は上がっています。

・火力発電が抱える問題は、まず石油以外の燃料に切り替えてあるとは言っても、ガスや石炭などそれらの燃料も全て自国では採取できず全てを海外からの輸入に頼っていることです。このことは海外の政治的影響を受けますし、取引先の国の社会的安定も条件になり、また価格変動の影響をもろに受けることになってしまいます。また今後の発展途上国の動向を考えると当然ガスや石炭なども価格の高騰が考えられます。

・日本製の火力発電所は高度な技術開発を経て高効率化が図られていますが、それでも変換効率は50%と少々です。(発展途上国のみならず米国や中国などの設備は発電効率が20%程度のものが多くあると聞きますので50%は世界トップレベルです) 50%は発電業界では高効率と見ますが、半分は電力にならずに捨ててしまっているということですから、こういった評価も今後の社会情勢によって評価のされ方が変化するものと思われます。
環境問題におけるCO2排出量削減も必須の課題であり、CO2排出量の多い火力発電所に今後も長期に渡って発電を頼り切るといった構図は考え難いですし、変える必要があります。

・日本における火力発電の将来は、様々な角度から見て不利な背景ばかりです。

(参考文献・偽善エネルギー 武田邦彦氏  他)

相沢こうた
八王子市議会議員