八王子市議会議員

相沢こうた

KOHTA AIZAWA

エネルギーについて
VOL.2

電力が安定しなくてはならない理由(1)
・生活と産業・

〇現代社会において電気はなくてはならないものであるということは、既に申し上げましたし皆さんも実感されているとおりです。では電力が安定しないとどういった影響が出るのか、ということについていくつかの課題ごとに整理してみます。

◇生  活

・当然のことながら皆さんのご家庭には家電製品がたくさんあり、夜道には街灯の明かりがあったり、日々電気は身近なところに何気なくある生活となっています。
※ただ、電気料金が高くなることはなるべく阻止したいと思う方がほとんどだと思います。普通の家庭で1万円前後、オール電化にされている家庭で2万円前後が1か月の電気料金だと思います。
実は電気料金が高くなることで一番先に打撃を受けるのはこういったご家庭ではなく、一人暮らしのご老人など収入が少なく小さな住まいで月の電気料金がほとんど決まっていて数千円といった家庭ではないかと思います。こういったご家庭には元々家電製品は少なく、節電には既に心掛けていらっしゃるのですが、実は節電効果をあまり得られません。ほとんど決まった量の使用なのに単価が勝手に上がることで電気料金が上がっていくことが家計をより圧迫してしまいます。火力発電依存での燃料費増大による電気代の値上げに加えて、再生可能エネルギー固定価格買取制度という悪法でも圧迫されるのはこういった方々ですので、私は八王子市の進めた公共施設の屋根を民間に貸出しし商売させる普及促進方法に反対をしたのです。蛇足ですが固定価格買取法は国民生活を広く等しく見ていませんので改正すべきだと思います。

◇産  業

・電力が安定しなくて一番困るのは家庭よりも産業界です。電気の使用量が莫大だからです。それでも震災以降の電力供給不安定な中で自家発電や太陽光などを新たに設置することを検討された経営者の方から、電気は結局は電力会社から買った方が安価だという結論に至ったとお聞きしました。莫大な電力を自前で発電するにはそれなりの大きな発電設備が必要で、その燃料費やメンテナンスを考えると割が合わないということです。
日本の産業界の発展は安定した電力があったからと言っても過言ではありません。電圧変動が少なく停電も少ない(これらを電力品質が良いと言います)安定した電力があったからこそ製造技術が飛躍的に進歩しました。精密な組立機器が寸分の狂いもなく動くのは電力が極めて安定しているからです。

・これ以上電気の価格が上がることによるコストアップは製品価格に上乗せして回収せざるを得ないことになります。また、それを避けるために海外に生産拠点を移行することを考えている企業は多いと聞いています。大企業は海外への移転が可能かも知れませんが、もろに打撃を受けるのは中小企業です。海外移転する費用が捻出できない以前に、取引先の大企業が海外移転してしまったら、それこそ大変なことになります。
産業界において電気は血液のようなものです。これが循環しなくなることで発生する様々な事象は物価上昇 だけに止まらず、海外移転や中小企業の倒産など雇用問題 に発展します。電力供給不安により失業者を大量に生み出してしまう懸念があります。

・現代は工業のみならず農業など一次産業でも電気を多く使います。当然、食べ物の価格も上昇することが考えられます。

・太陽光や風力、小水力などで少しでも電力不足の穴埋めをしようとした場合、ある程度大きな発電所であれば良いのですが、小さな発電所で作った電気を細々と系統につなぐことは電力品質を悪化させるとともに系統運用が複雑化してよいことはありません。産業用の電力は大きく安定した安価な電力でなくては現在の日本の産業界は維持できないのです。
産業界の電力不安は、結局は雇用不安や物価上昇など、私たちの普段の生活に影響してくるのです。

相沢こうた
八王子市議会議員