大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

令和元年12月議会

一般質問表題

・九年制義務教育学校設立の要望対応について
・暴風台風による大規模停電対策について

一般質問詳細

◯議長(日比野芳幸君)
 12番 田中孝典君。
〔第12番 田中孝典君 登壇〕

◯第12番(田中孝典君)
 皆さん、おはようございます。
 私も、ことし頻発するこれまでにない災害被害に遭われた方、また亡くなられた方、本当に心からお悔やみを申し上げます。一刻も早い復興が進みますことを心から祈念いたします。
 それでは、通告に従い、2点の質問をさせていただきます。
 まず、9年制義務教育学校設立の要望対応についてお伺いをいたします。
 去る9月26日、上石津地域を代表する4連合自治会とまちづくり協議会から連名で、市長と教育長に要望書が提出されました。それは、小中9年間を一貫制度とする義務教育学校の設立を求めるものです。同地域には、小学校4校と中学校1校があり、児童生徒数は牧田小学校88人、一之瀬小学校32人、多良小学校73人、時小学校37人、上石津中学校141人となっています。また、一之瀬小学校では1、2年、3、4年、5、6年が複式学級、時小学校では2、3年が複式学級で運営されています。同地域の年間出生数は、ここ数年20人程度で推移しており、多良小学校においても数年後には複式学級への移行が予測されております。一方、上石津中学校では、生徒数の減少により教員の配備が減員となり、教科担当教諭の不足が既に始まっております。こうした中、地域では全ての小学校区でまちづくり活動を推進し、歴史、文化の振興や特産品の開発、大学、高校との交流の促進、移住定住活動などにずっと取り組んでまいりましたが、ここ数年、人口減少、特に子供の減少の勢いがさらに強まり、学校内外でさまざまな影響が出るようになってきました。
 このような事態を受け、先ほど述べた5団体では自主的にプロジェクトチームを立ち上げ、2年以上にわたって調査研究、検討を重ねてこられました。その特徴は、1、自治体の会合等ではなかなか意見が出にくい若い世代に、聞き込みに行って意見を集約すること。それは、各保育園の保護者や各小中学校のPTA関係者、消防団の各分団、各自治会の子供会等の会合に出かけること15回に及びました。2、次世代の子供たちのためを最優先とし、今考えられる最高の教育環境をつくろうという姿勢で一致。各自治会でさまざまな事情を抱えながらも、この姿勢でまとまり、地道な調査と研さんの結果、単なる小学校の統合では時代おくれ、小中一貫校にしよう、小中一貫校でも6年と3年の並立型では弊害が残ったままとなる、9年を一貫とする義務教育学校こそがこれからの子供たちには最も望ましいとの結論に至りました。義務教育学校の県内先進地である白川村立白川郷学園や羽島市立桑原学園を、自分たちでバスをチャーターして視察、また、元岐阜大学教育学部教職大学院特任教授 後藤信義氏を招いての学習会なども全住民を対象に開催され、意見の集約に努めてこられました。
 こうした特徴がありますが、小中学校を取り巻く日本全体の流れの中では、地域との連携を非常に大切にし、全国的に地域のふるさと活動と学校教育が連携するコミュニティ・スクールの流れがその一方で拡大しています。そして、近年激甚化の一途をたどる災害対策の面からいえば、地域の小中学校は住民避難の拠点として極めて大切な役割を有しております。このほか、上石津地域は直線距離にして大垣地域よりも長く、かつ山々へつながる中小河川沿いに集落が点在しており、登下校のバスの確保も必須となります。
 こうしたさまざまな課題に直面しながらも、それでも未来志向、子供ファーストで、上石津地域ならではの学校をつくろう、全国から文教のまち大垣の上石津にある義務教育学校に通わせたいと若い家族が集まってくる、そんな新しい学校をつくろうと思いを一致させ、去る9月に要望書の提出に至りました。本市のこれからの対応についてお伺いをいたします。
 2番目の質問に移ります。
 年々台風や暴風雨が激しさを増し、被害も甚大になっています。先ほどの石田議員の御質問にもありました。そしてまた本日、大勢の議員各位が災害関連の質問を予定されておられます。私は、甚大な暴風被害をもたらした台風15号をもとに、本市における大規模停電への備えを質問いたします。
 本年は災害の連続でありますが、台風15号は暴風被害で突出しておりました。台風15号は、本年9月9日午前5時前に千葉市付近に上陸し、関東各地で記録的な暴風になりました。アメダス千葉では、最大瞬間風速57.5mを記録し、観測史上1位となりました。ゴルフ練習場のポールやネット、さらには送電鉄塔2基の倒壊など、これまで考えられなかったような風の被害が各地で発生し、最大93万戸に及ぶ停電が発生しました。そして、この停電は長期にわたって続きました。千葉県内では、発生4日目で約26万戸、1週間後の16日午後11時時点で約7万2,000戸、10日目の18日でもなお約3万7,000戸、発生から2週間が過ぎた23日でもなお約2,300戸の停電が続きました。電気と水は極めて大切なインフラですが、このように長期にわたる停電発生は、まさにこれまで想定されていなかったのではないでしょうか。昨年の台風21号で、実は本市でも最長4日にわたる停電を経験しておりますが、そのときでもこのような長期の事態は予測されませんでした。千葉を中心に、冷房停止による熱中症で犠牲者が発生し、やがて携帯電話も防災無線もバッテリーが切れ、病院施設や老人施設で生命維持装置のバッテリー切れによる患者の他施設への移動が始まり、そして水源施設の電源喪失により水道施設の供給不能などが起きました。長期停電による被害は、次々と他のライフラインの根幹を揺るがせていきました。
 さて、本市ではいかがでしょう。これほどの暴風対策は恐らく想定していないと思います。全国いずこの地でも同じで、そのこと自体は現時点では責められるものではないと私は思います。大切なのは、千葉の事態を教訓として、これからどのような対策を講じていくかということです。
 今回の暴風被害で共通していることは、都市域では電柱の倒壊、山間地では倒木による電線破断が随所、極端に言うと、市内の全域で発生したということです。これは、広域大規模停電のほか、国道、県道、市道の幹線道路を塞ぎ、救急救助作業や復旧作業の大きな妨げとなり、完全復旧まで長期を要する要因ともなりました。停電後のさまざまな対策は、今、必死に情報や調査研究を進め、本市の防災計画に反映されようとしていると信じますが、予防の施策は既にヒントが見えております。都市域にあっては、電線の地中化並びに無電柱化、ちなみにこの無電柱化という言葉に電線の地中化も含まれるそうですが、山間地にあっては、電線破断のおそれとなる樹木や竹の予防伐採です。電線の地中化と無電柱化にあっては、さらに道路輸送の確保という役目もあり、特に医療施設へのルート、災害時の支援物資の緊急輸送ルートの確保にも非常に重要な施策となります。また、樹木や竹の予防伐採に当たっては、電柱側の木や竹でなく、道幅を超えて反対側から倒れてくることも想定して伐採を進めなくてはなりません。ちなみに、郡上市では既に2015年からこのような事前伐採を進めています。
 こうした事態を踏まえ、大規模停電に備えての本市の政策について、次の3点をお伺いいたします。
 1、都市域における電線の地中化並びに無電柱化、医療ルートの確保、緊急物資輸送ルートの確保についての取り組み方針。
 2、山間地における樹木や竹の予防伐採、特に道路両側を含めての取り組み方針。
 3、今回初めて経験した最長2週間を超える長期停電へのライフライン、特に医療と上下水道の機能維持への取り組み方針の3点についてお聞かせください。
 これで1回目の質問を終わります。

◯議長(日比野芳幸君)
 市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
 暴風台風による大規模停電対策について御答弁申し上げます。
 ことし9月の台風15号では、暴風による電柱の倒壊等により、交通障害や大規模な停電が発生したことから、全国的に災害時の緊急輸送道路と非常用電源の確保が課題となっております。
 無電柱化につきましては、災害時の輸送ルートの確保に有効な手段であるという認識のもと、防災上重要な緊急輸送道路を整備候補としております。とりわけ、防災拠点である市役所本庁舎、地域災害拠点病院である市民病院と名神高速道路大垣インターチェンジを結ぶ緊急輸送道路の確保を目的として、市は市道丸の内船1号線、国は一般国道258号、県は主要地方道大垣一宮線について無電柱化に取り組んでいるところでございます。
 次に、樹木や竹の事前伐採につきましては、中部電力と協議しておりますが、道路沿いの樹木のほとんどが私有地の中にある個人所有のものであることから、所有者の皆様に伐採していただくことが原則となりますので、なかなか進まないのが現状でございます。県の補助事業におきましても、伐採後の樹木の処分費用は所有者負担が原則となっておりますので、御理解をいただきながら事業の検討を進めてまいります。
 次に、医療、上下水道の機能維持につきましては、災害時の停電に備え、非常用発電機の燃料を、市民病院は3日分、上下水道施設は1日分備蓄いたしております。また、停電が長期化した場合の対策といたしましては、市と岐阜県石油商業組合西濃支部と災害応援協定に基づき優先的に燃料の供給を受け、施設の機能維持を図ってまいります。
 今後とも、国や県と連携して災害対策に取り組み、安全・安心のまちづくりに努めてまいりますので、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。

◯議長(日比野芳幸君)
 教育長。

◯教育長(山本 讓君)
 9年制義務教育学校設立の要望対応について御答弁申し上げます。
 上石津地域の小中学校につきましては、今後、児童生徒数の減少が見込まれておりますが、学校生活においては、集団の中で多様な考え方に触れたり、互いに切磋琢磨する環境が重要であると考えております。
 こうした中、上石津地域の四つの連合自治会及び上石津まちづくり協議会から、小学校4校と中学校1校を統合し、義務教育学校を設置する要望書が本年9月に提出されました。学校教育を充実させたいという上石津地域の皆様の強い思いや願いが込められた要望書であると受けとめております。現在、義務教育学校に関する調査研究を進めつつ、検討委員会の設置に向けて準備を進めているところでございます。
 今後は、上石津地域の学校のあり方について、地域の御意見をいただきながら、さまざまな角度から幅広く丁寧に検討を進めてまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(日比野芳幸君)
 12番。
〔第12番 田中孝典君 登壇〕

◯第12番(田中孝典君)
 今いただきました御答弁をもとに、少し補足の質問等をさせていただきたいと思います。
 先に暴風台風による大規模停電対策について要望をいたします。
 アメダスによると、台風15号による最大瞬間風速は千葉での57.5mのほか、木更津では49.0m、成田で45.8m、羽田で43.2mを記録し、19ヵ所で観測史上1位を記録しました。台風の進行方向の右側は危険半円とも呼ばれ、台風の回転による風向きと進行方向が一致して、台風本体の回転力に移動速度が加わるため、台風の左側よりも強い風が吹きます。今回、その傾向が顕著でした。地球温暖化の影響で海水温が上昇し、中部地方では台風の進路が西から東ではなく南から北へとなりつつあるということです。熊野灘から琵琶湖を通過し、若狭湾へ抜けるルートが台風のルートとなりつつあります。暴風が最大となる危険半円に本市がすっぽりと入る事態も想定されます。少しでも早い対応を進めていただくよう強く要望します。特に、先ほどの答弁は従来の対策のやはり延長にしかすぎないように聞こえます。民間林で木が倒れたとしても、公共が最大の被害を受ける、そこにどう踏み込むかということに、今最大の課題が突きつけられている。従来の政策を繰り返していたら、巨大台風や巨大災害には対応できないということを肝に据えて、新しい施策に踏み込んでいただきたいと私は思います。
 次に、9年制義務教育学校設立の要望対応について、これはお伺いをいたします。
 特に、義務教育学校という言葉を初めて聞いたという方、事実上大多数だと思います。これは、少人数学校への対策ということではなくて、国が新しい学校の形態として義務教育学校を広く今ホームページ等でも公開し情報提供と、それから全国でその設立の動きがあるということで、一度ここでその制度の概要説明を改めて簡単にお願いします。共通理解としての質問でございます。
 以上で2回目の質問を終わります。

◯議長(日比野芳幸君)
 教育長。

◯教育長(山本 讓君)
 義務教育学校の概要について御答弁申し上げます。
 義務教育学校は、義務教育期間を一貫するカリキュラムで教育を行う9年制の学校でございます。
 義務教育学校のメリットとしましては、1人の校長のもと、一つの教育方針で児童生徒を育てることができること、小学校段階から教科担任制を行いやすくなり、専門性の高い指導ができることなどが挙げられます。また、中学校段階の学習内容を小学校段階から始めることができるなど、児童生徒の学習状況に合わせたカリキュラムで指導することができます。さらに、1年生から9年生までの児童生徒が一つの学校に通うため、小学校段階から中学校段階への移行が円滑となり、中1ギャップの解消につながるとともに、異年齢での交流が深まり、社会性の育成に大きく寄与すると考えております。
 上石津の学校のあり方につきましては、こうした義務教育学校のメリットを踏まえつつ、さまざまな観点から総合的に検討してまいります。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(日比野芳幸君)
 12番。
〔第12番 田中孝典君 登壇〕

◯第12番(田中孝典君)
 今教育長から御答弁、御説明いただきました義務教育学校についてですが、本市ではたまたま地域主導で勉強を重ねてきて、今義務教育学校という名前が出てまいりましたが、去る12月3日には、岐阜市が既にもう来年度、次の4月からですが、小中一貫校を岐阜市内の2校区で開設すると発表しました。恐らく私の感覚では、2年以上にわたってさまざまな研究や検討を市が進めてきて、それを地元へ説明し協議し、合意がなされたというふうに私は推察いたします。校長と副校長は小中で1人、教職員も多くが小中の担当を兼ね、校舎を行き来するということです。教科担任制の小学校への拡充や中1ギャップの解消などがメリットとして挙げられています。これは少人数校に特化したということではなくて、既にもう近隣のまちでもこれからの学校のあり方として検討が始まっているということです。
 人口減少、特に児童生徒の減少は全国的な流れであり、今後、本市内の各地でも直面せざるを得ない課題です。今、最高の義務教育学校をつくろう、文教都市大垣にふさわしい最高の学校をつくろうという取り組みをすれば、その成果が市内全地域で役に立つときが必ず来ます。本市の次の100年のための教育の見本となるような取り組みを、ぜひスピード感を持って迅速に進めていただくことを強く要望し、私の質問を終わります。

田中たかのり
大垣市議会議員