大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成29年12月議会

一般質問表題

様々な体験プログラムの振興・推進を

◯議長(岩井哲二君)
 9番 田中孝典君。
〔第9番 田中孝典君 登壇〕

〇第9番(田中孝典君)
 きのうは、本当に好天に恵まれてスポーツ日和でございました。マラソン大会の、本当に大勢の人たちの参加でにぎわったこと、そして夜には、大垣ミナモの一部昇格のお祝いが大勢の市民の間でなされたこと、本当に喜ばしいことだと私は思います。その中で、大垣ミナモの一部昇格につきましては口々に、企業、そして地域の支援ということが述べられておりましたが、私はそこに、実は大垣ミナモチームはクラブチームでありまして、特定の施設を持たない、本当に市民のさまざまなスポーツチームが融通し合って支えてきたチームでもあるということに、私は思いがそこに至るわけです。今回の一部昇格のうれしい出来事が全てのスポーツ関係者が我が事のようにこぞって喜べる内容に、ぜひ市としてもしていただきたいと。それは、これまでなかなか手が回らずになされてこなかった大規模な修繕、改修をぜひ進めていただきたい。北球場、総合体育館、市民プール、武道館、浅中陸上競技場等々すばらしい施設が大垣市にございますが、私が見る限りにおいては、もう本当に大規模な改修等が後回しになっていると思っております。どうか総合管理の計画は庶務的な計画でございまして、市長の政策的な決断で、この喜ばしい出来事を契機に大規模な改修、修繕を一気に加速してほしい。そのためには、もうわずかとなってしまいましたが合併特例債がまだ少し残っております。そもそも合併特例債は、新市の一体感の向上等に資するという大きな目的がございまして、これがスポーツ施設に役立てて、次世代あるいは中高年齢層の健康づくりに役立てていただけるのなら、本当にすばらしい内容、これはもう市長の政策的判断しかありませんので、庶務的な計画の推進のほかに、こうした決断で大勢の市民が喜べる、そういうきっかけにこの一部昇格をしていただけたらと思います。
 少し前段が長くなりました。通告いたしておりました質問に入らせていただきます。
 きのうは非常にすばらしい天気でございましたが、実は、ことしは全体から見ると天候には本当に恵まれなくて、当初予定していたいろんなイベントが中止になったり延期になったりと、本当に天気には苦しめられた1年でございました。それでも多くの魅力的なイベントが市域全域で繰り広げられました。市民の皆さんの努力に心から感謝いたします。
 その中には、従来踏襲型のイベントもあれば、新しい変化が予測されるイベントも数多くございました。また、中心市街地だけではなくて、里山地域でも同じようにさまざまな取り組みがなされました。私どもは自分の住んでいるところが里山地域ですので、どうしても里山地域で行われたイベントを中心に少し述べさせていただきますが、例えば、関ケ原合戦における島津の、退き口ですね、退き口敵中突破と題したウオーキングとかバスツアー、日本学生オリエンテーリング選手権大会のスプリント競技という非常に伝統ある大会。また、里山マルシェという西濃各地手づくり雑貨のストリート、あるいはキッズスタジオという取り組み。また、里山を中心にしたかみいしづフォト祭り2017という取り組み。これらはどれも斬新で、全国からのお客様、あるいは3世代がともに楽しめる非常にすばらしい内容で、いずれも感動いたしました。
 その中で、今回は特に体験をキーワードに市の今後のイベントのあり方について質問したいと思います。
 実は第1に今社会のニーズが大きく変化しておりまして、ものの提供から、こと、体験、時間の提供へと大きく変化しているという点が挙げられます。先ほど述べさせていただいたイベントの中から二つのイベントを紹介させていただきます。
 まず1番目は、緑の村公園の芝生広場を会場に開催されたキッズスタジオというイベントです。
 大垣市内開催第8回目ということでしたが、なかなか場所が定まらずというお話も聞きました。私は初めて今回出会い、本当に感動しました。大垣市内や西濃地方の職人さんとか中小零細企業の皆さん、あるいは中堅企業の皆さんが、子供たちへさまざまな体験コーナーを整備し提供してくださっていました。少し例示してみます。聞いているだけでも楽しくなります。有料体験のブースでは、ミニ畳づくりとか、グラスペイント、組子コースター、ファブリックパネル、モザイクタイルコースター、すのこ風ブックスタンド、ミニハウスカレンダー、緑と木の実のウオールデコ。無料体験ブースでは、地盤調査機体験、重機操縦体験、高所作業車体験、柱の立て起こし体験、型枠の組み立て体験、庭石パズル体験、測量機器の操作体験、瓦で庭づくり体験、家の建て方体験、安心・安全セコム体験などなどです。どれもこれも子供たちを中心に、あるところでは神妙な顔で、またあるところでは歓声とともに充実した時間が流れておりました。特に個人的には、重機によるスーパーボールすくい体験などというのは、私も含めて大人もやってみたいという顔で、もう本当にほとんど指をくわえたような状態で大人たちも見ておりました。そして、これだけ多くの内容でありながら全体として調和して進行するように各企画をユニット化する、いわゆる形を整えるという、この工夫が随所に見られて時間がスムーズに進行するように流れておりました。裏方の人たちの、本当に工夫と、それから活躍に、そこにも実は感動しました。時間、予約制度、幾つか体験できるようにそれぞれの開始終了時間の調整、そして、その間に担当者の休憩タイムの調整など、本当に細かいアイデアが盛り込まれておりました。本当にこれから私たちがどういう企画を提供していったらいいかという見本のような体験プログラムでございました。
 もう一つは、里山を中心にしたフォト祭り2017。こちらは初めての取り組みということで、非常にアグレッシブで挑戦的な試みがてんこ盛りにされておりました。
 日本昭和音楽村を起点として里山地域に四つの拠点ゾーンを設けて、それぞれにプロカメラマンを配して撮影ウオーキングをしながら随時アドバイスする、そして地元スタッフが各ゾーンを案内し、細かな要望へ対応し、またバス運行の支援もみずからのワゴン等を使って行ったりということでした。また、協力団体が地元農産物を使った弁当を提供し、特産品バザーも開設ということです。また、全国的に有名な低山トラベラー大内さんを招き、1日目は公園、そして翌日には実際に大内さんとともに、そしてプロカメラマンとともに800mの低山烏帽子岳に撮影登山を行う、コーディネーター、スタッフ、地元スタッフ、協力者、支援企業、非常に充実した内容でした。こちらは、どちらかというとリアルな文化体験を前面に押し出して、落ちついた大人らしい文化企画でありました。こうした企画によって、次世代の大垣のあり方のヒントを私は得ることができました。本当に関係者に感謝しているところであります。
 今、また交流産業の大きな柱である観光事業も大きな変化をしつつあります。
 大観光地のない本市にとって、先ほど述べたようなこと消費、時間消費、体験プログラムへの変化は大きなチャンスでもあると私は思っております。小規模でもよい体験とよい環境やよい雰囲気を提供できれば、必ず交流人口は大きくふえると思っております。それは根拠がございます。
 私は最近、中国からの観光者、あるいは研修者を企画している岐阜市内の方とお話をする機会が多うございます。日本へ来る最大の外国人観光客は中国からの観光客の皆さんですけれども、既にもう観光交流を企画している事業者の方々は、爆買いというのは中層市民に移ったと、中国ですけれども、購買単価の高い顧客はものから体験へ移っていると。京都、富士山、東京見て歩きはもう古いパッケージ型観光になりつつありまして、富裕層は質の高い体験プログラムを求めておりまして、それにはもう本当に日本人では考えられないような、お金を惜しまない、そういう対応に今なってきていると。豊かな環境で充実した時間を過ごせるプログラムを既に富裕層は求めているというお話を聞くことができました。  ここからが実は私のきょうの質問の大事なところでございますが、この体験プログラムの充実を提言する理由は、これからの次の点にございます。
 今少し触れさせていただいたように、体験プログラムの整備、充実、提供というのは観光だけにとどまらずに、子供たちから大人まで、高齢者までの学習であったり、文化、健康づくり、あるいは心身のケア、緩和ケア、高齢者や身障者の社会参加、庶民のちょこっとした時間の経済化、お小遣いをつくったり、可処分所得をふやしたりと。そして、体験を購入してもらうという形の新しい農林水産業、あるいは予防医療、リハビリ医療の分野での体験提供など、さまざまな活用方策がこれから展開されると私は考えています。また、幼少期に実際の自然の中で遊んだり、社会のいろんな人たちの、仕事をする人と触れ合ったりするということは、本当にこれからの大垣や、あるいは日本の発展に、子供たちが大きく育っていく、大切な幼少期の体験だと私は思っております。このように子供にとっても大人にとっても、また外国人にとっても、雰囲気のよい環境の中で充実した体験プログラムを味わっていただくということは、これからますます具体化してくる社会的ニーズ、そうしたものを持った人々にとって大きな魅力になると私は思っております。この体験プログラムの充実というのは、さまざまな分野で活用できる社会的な万能細胞になり得ると私は実は考えております。
 そこで、こうした体験プログラムの充実ということについて、市長はどういうふうに考えておられるかということをまずお聞きしたい。
 続いて第2点として、職員の体制や資質の向上についてもお聞きしたい。
 職員が縦割りのばらばらではなく垣根を越えて、こうした社会的なニーズを持ち寄って、本市で提供できる体験プログラムの組み合わせや構成を考えて、市民団体の皆さんと協働して、そのニーズに応えていくようにしなくてはならないと考えております。縦割りで、観光はうちでやるけどほかのことは知らない、農業はうちでやるけどほかのことは知らない、ここはうちでやるけどほかのことは知らない、時間はばらばら、それはお昼にはできないけど、夜はできると、これ夜にはできるけどお昼にはできないと、もうばらばらではだめだと私は考えております。
 社会のニーズと本市の体験プログラムをマッチングさせる力、すなわちコーディネート力が必須となってきます。この体験プログラムの充実と職員のコーディネート力がそろってこそさまざまなニーズに対応し、これから大勢の人たち、それは市民でもあり市外から来る人たちでもありますが、そうした大勢の人たちのニーズに対応できると考えております。この点についての市長の考えをお聞きいたします。
 以上で1回目の質問を終わります。

◯議長(岩井哲二君)
 市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
 様々な体験プログラムの振興・推進をについて御答弁申し上げます。
 本市では、平成15年4月に大垣市まちづくり市民活動育成支援条例を制定しまして、大垣市まちづくり市民活動支援センターの設置や市民活動助成制度などによりまして、地域で活動する市民団体の育成、支援に努めておるところでございます。また平成16年9月には、大垣市かがやきライフタウン構想を策定し、市民の皆さんが社会参加や地域貢献を通じて自己実現や生きがいが実感でき、一人一人が輝けば、まちも輝くまちづくりを進めているところでございます。現在ではこうした活動の成果として、市民団体等を中心といたしまして、各地域においてさまざまな体験プログラム等が展開されております。
 地域資源を活用した体験プログラムにおきましては、大垣の伝統や文化を伝える水まんじゅうづくり体験や枡づくり体験を初め、郷土に息づく戦国秘話である「おあむ物語」にちなんだ水の都おおがきたらい舟の乗船体験や船頭体験などがございます。上石津地域におきましては、自然の恵みや農業の重要性を感じてもらう無農薬さつまいも収穫体験や、地域の皆さんと交流し、緑豊かな里山の魅力を感じてもらうことで移住を促進するかみいしづ魅力体験事業などを実施しております。また墨俣地域では、毎年春先に開催されますいき粋墨俣つりびな小町めぐりにおいて、絵手紙やつりびな人形づくりなど、さまざまな体験プログラムを実施し、好評をいただいておるところでございます。さらに平成23年度からは、従来市民団体や事業者、行政などが個々に実施しておりました体験講座などを集約し、一つの体験博として展開するおむすび博を開催し、これまでに延べ9,000人以上の方に御参加をいただいておるところでございます。このおむすび博では、市内の酒蔵や大垣競輪場など、ふだん訪れることができない場所において体験プログラムを実施するなど、市民や市民団体、事業者の皆さんから広く企画提案をいただきながら事業展開を図っております。本市では、こうした取り組みの成果を生かし、平成27年5月からは、ふるさと納税の返礼品として体験プログラムを提供するなど、あらゆる世代の方々に大垣の魅力を体験していただけるよう努めております。
 いずれにいたしましても、引き続き市民団体や事業者などと協働し、体験プログラムの充実を進めるとともに、体験機会を通じた交流人口の増加を図り、地域活性化に努めてまいります。また、市民団体などが実施する多種多様な体験プログラムを対象者の希望にあわせまして提供できるよう、コーディネート能力の向上に努めてまいりますので、御理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。

◯議長(岩井哲二君)
 9番。 〔第9番 田中孝典君 登壇〕

◯第9番(田中孝典君)
 ただいまは御答弁ありがとうございました。
 今、市長の口からも、本当に大垣市の今、市内で行われている楽しそうな、またわくわくするようなイベントが数々出てまいりました。私は1980年代の未来博のころからこうしたことに携わってきておりますが、その当時はイベント・オリエンテッド・ポリシー、行政も率先してイベントをやって地域の活力を高めるということが提唱されました。そして、2000年ごろになって市民協働ということで、市民と協働して行政は市民の活動を支援していくんだということが言われるようになりました。そして今、2020年を目指して今盛んに言われていることは、コーディネートであったりマッチングということで、市民活動を支援するということだけではなくて、その地域に対してどんな社会的ニーズがあるか、それに対して何を提供していくかという、こういうマッチング能力、コーディネート能力というのをこれから高めていく、それに長けたところがこれからの大競争時代を勝ち抜いていくというふうに言われていると私は感じております。
 市長も今、コーディネート能力を高めないといけないという御答弁をいただきましたが、私も全く同じと思っておりまして、その中で特に今述べられた大垣の現状を言うと、どうしてもやっぱり個別で、ただそこにあるというイベント、あるいは観光で行われているか、市民の体験学習で行われているか、個別で行われているだけで非常にもったいないです。体験プログラムは、行政だけでは当然開発維持できませんが、行政各課と市民団体、市内外の関係団体と協働で開発、整備、改良に取り組む必要が逆にあるだろうと思っています。そして、今少し触れさせていただきましたが、各体験がばらばらであるだけでは使い勝手が非常に悪い。活用しやすいようにユニット化する必要があります。さらに、内容の充実はもとより、その社会的ニーズに合わせる力というのは必要となる。それで、私は具体的な一歩として、一番最初がイベント・オリエンテッド・ポリシーで、イベントをつくるということだった。次は支援する側だった。今度はコーディネートする側。コーディネートする側に立って初めて同じ立ち位置に市民の皆さんと行政の担当者が立つということですので、虚心坦懐でそうした具体的な事例に取り組んでいる方々にいろんな工夫とか、困難とかを聞いてみるということをやっぱり始めるべきだと思います。
 例えば、キッズスタジオの主催者であったり、フォト祭りのコーディネーターであったり、中国商工観光の関係者であったりする方に、実際今どういうことが行われていて、ニーズはどういうふうに移動しようとしているのか、あるいはどういうふうにプログラムを提供していくとより大勢の人に役立つのかといったようなヒアリングを行うことを、私は具体的なこととして提言したいです。
 次の市の100年を考えるに当たって、そういうゼロからともに協働をしてつくり上げていく。そのためには、現場に学び、現場の声を聞くというふうにスタンスをぜひ変えていただきたい。市民から企画があるからそれを審査してお金をつけるという、いわゆるバックアップ型の協働から、現場におりていって同じ立ち位置で今のノウハウを吸収してくる。私は現場から学ぶべきことは非常に多くある。それをまざまざと今回の、先ほど述べた二つのイベントから感じました。そうした現場に立つ人、そういった人たちに職員がどんどんノウハウ等を聞くということ、これはほとんどお金がかかる内容ではございません。ちょっと聞かせてといって行くだけで、ちょっと来て、あるいは行くよという形で、耳を傾けるだけで多くの学ぶことがあると思います。こうした取り組みからまずは第一歩、始められてはいかがでしょうか。
 私はその点について、具体的なそうした一歩を踏み出すことについて市長のお考えをお伺いしたいと思います。

◯議長(岩井哲二君)
 市長。
〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
 団体活動の主役はあくまでも市民であるわけでございますけれども、こういった市民活動が、ニーズとシーズがしっかりとマッチングしていくようにコーディネート能力をしっかりと高めていく、そういった意味におきましても、市民団体の皆様方からの御意見等は今後ともお聞きし、またコーディネート能力の向上に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。

田中たかのり
大垣市議会議員