大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成28年6月議会

一般質問表題

「きらりと光る若い企業の積極的誘致について」

一般質問詳細

◯第8番(田中孝典君)
 私も、今なお災害の復旧・復興が続いております熊本、大分の災害の被災者の方々に心からお見舞いと、一日も早い復興をお祈りするところでございます。
 ただ、本市に目を向ければ、非常に活力が今満ち満ちていると考えております。それは一つは、西濃運輸さんが予選を突破して都市対抗へ進出されている。それから、ミナモのソフトボールチームが1部リーグに手が届くというところへ頑張ってくださっている。そして、私は本当にうれしかったのは、辻 彩奈さんがカナダのモントリオールの国際音楽コンクールで見事に優勝された。まさに文教のまち大垣の、スポーツも音楽もともに優秀な人たちが育っている、面目躍如と捉えるところでございます。特に辻さんにおかれましては単なる1位ではなくて、バッハ賞、そのほかパガニーニ賞でしたか、五つの主要特別賞も受賞されているという形で、テクニックも、そして情感表現も、ともにすぐれたすばらしい若手だという評価をいただいたと。本当に心強い、将来が楽しみな人が大垣から今世界へ羽ばたこうとしている、そう感じております。
 そこで、私は今回は文化振興もやろうかと思ったんですけれども、それは後日にひとまず繰り延べさせていただいて、1点に絞って一般質問をさせていただきます。
 新聞によれば、昨年度、岐阜県への移住が過去最高となって、1位が高山市、高山市は知名度からいっても、国際観光都市という性格からいっても別格ですけれども、高山市が昨年度248人、次いで、何と次いで大垣市168人ということで、実は10年ぐらい前から移住、定住を課題に議会でも活動をさせていただいて、六、七年前に名古屋へ説明会にお邪魔したときには、大垣という名前が名古屋ですら全然知られていないということで、その当時の担当職員がショックを受けて帰ってきたということがございました。その場に私も立ち会わせていただいて、これはしっかりしないといけないなというふうに思いました。それ以後、担当者や関係部局の努力がこうやって実を結びつつあるということに、今感謝と敬意を表する次第です。その要因を、市は今どのように分析しておられるか、これをまずお聞きしたい。
 私のこれは個人的な見解ではございますけれども、子育て支援を本市は今全面に出していますけれども、全国比較でいうと何か突出した施策、例えば給食費の無償化などがいろいろとそろっているという、そういう全国でも珍しいようなというところとは今のところまだ言いがたい。一生懸命子育て日本一を全面に掲げて取り組んでいるけれども、そういった施策がめじろ押しで人を呼び込んでいるというふうには、私はちょっとまだ思えないかなと思っております。やはり名古屋市への通勤が非常に便利という地の利、これが移住者増の最大の要因ではないかというふうに私は感じております。
 実はきょうの主題はそこではなくて、現在の移住・定住施策を通勤便利とキーワードを仮定して、若いサラリーマン家庭の移住、定住を対象にしているとします。移住・定住施策には二の矢、三の矢が必要です。そこで、私は第2弾の施策を開業快適というキーワードにして、小型でもきらりと光る企業、すなわち若い、これから伸びるであろうという企業を対象にして、積極的に誘致することを提案します。
 これから事業を企画しようという卵を育てる、これは卵からふ化するというインキュベート機能を強化した施設として、本市にはソフトピアジャパンが立地しております。その施策は先進的な施策として高く評価します。でも、私が今提案したいのは、起業されていてその拠点を求める、豊かな自然の中で仕事のクリエーティブ性、創造性を高めたいという、小型だけれども、規模は小さいけれども、高い価値を生み出している、あるいはこれから生み出そうとする若い企業の積極的な誘致です。若い企業の本市への積極的誘致を提案します。こうした企業は、従来の事業に挑戦したり目のつけどころを変えたりして、新たなニーズを掘り起こして成功に向かっている産業です。総じて若い人々が経営したり、従事したりしていることが多いのが特徴です。人手を集め、大量生産でコストを下げて、汎用品を大量に製造する20世紀型産業とは全く形態を異にした産業が、実は今誕生しつつあります。もう少し振り返りますと、5ha、10haの単位で土地を大規模に削り、ならし、道路、水道、変電所などを整えて重厚長大製造業を誘致する、いわゆる工業団地型誘致は高度成長期の花形手法でありました。これらは、地理的には都市近郊の農地や、海岸部の埋め立てられた平たんな土地に向いています。時代的には、人件費が極めてやすい、人口が爆発拡大期の国、あるいは時代に向いています。それに対してクリエーティブ志向型、創造型の企業は、豊かな川や山に囲まれ、空気と水が美しく、伸び伸びとした空間を求めます。立地するスペースは小さいですが、環境全体の高いクオリティーを求めます。そして、その環境にあって非常に付加価値の高い製品、またはサービスを少人数で生み出しています。こうした頭脳集約型企業は、実は豊かな自然環境にありながら、それでも最低でも毎秒100Mb級の高速光通信、都市部へのすぐれた交通網、2ないし4t程度の小型輸送トラック配送エリアにあることの三つの条件を求めることが多いと聞き及んでいます。
 さて、東海環状自動車道の完成がもう目前に迫った今、改めて本市の里山ゾーン、上石津地域の地理的条件を確認してみます。国道365号が中央を走り、三重県と岐阜県と福井県を結んでいます。名神高速道路関ケ原インターチェンジは既に関ケ原町境に、文字どおり隣接しています。さらに2年後には養老町との境に、これも文字どおり隣接して養老サービスエリアにスマートインターが開設されます。東海環状道路では既に大垣西インターチェンジが開設されていますが、今後、養老インターチェンジ、そして、三重県北勢地域にインターチェンジが開設されると、豊かな里山ゾーンでありながら、5分ないし20分の位置に五つのインターチェンジが整備されることになります。
 また10年前に、ちょうど合併時に本市が主体となって、デジタル放送への移行に伴う国の制度事業を導入して、上石津地区地域は全域が光ファイバー網、さらにこれは金属ではなくグラスファイバーですけれども、光ファイバー網で軒下まで全て結ばれました。いわゆるファイバー・トゥー・ザ・ホーム、FTTHが完備されました。グラスファイバーですので雷障害に対しても非常に安定しています。しかし、残念ながらあれから10年が経過しましたが、本市がそれを事業誘致に活用したという事例はまだ聞いておりません。
 また居住地域の99%以上、ほぼ全域が広域下水道または集落排水事業が整備されて、家庭排水等は全てクリーンに処理されて牧田川へ放流されています。生活雑排水が生活環境内の小川等を汚染することは一切ありません。お子さんのアトピーに悩む御家庭がわざわざこの環境を求めて移住されてこられた事例もあります。また、全域で蛍の復活が見られ、各地で蛍祭りや鑑賞会が開かれるようになっています。
 繰り返します。合併して10年たちました。上石津地域を合併時の編入した区域だという行政手続的な発想で見ているのは今や行政だけではないでしょうか。本市の面積の半分以上、52%を占める豊かな里山ゾーンとして真っさらな感覚で捉えて、未活用のまま放置しているのはもったいないと冷静に捉えるべきではないでしょうか。未活用で更地だからこそ、新しい時代のニーズを捉えた新しい取り組みを展開できると考えるべきではないでしょうか。市民も事業者も市の財政もみんなハッピーになれる、そんなウイン・ウイン・ウインの事業、移住・定住施策はそうした事業に発展していかなくてはならないと考えています。
子育てサラリーマン家庭の誘致に続く第2弾として、小型でもきらりと光る若い企業の自然豊かな里山ゾーンへの積極的誘致を、これからの事業の柱の一つとして提案いたします。市長の考えをお聞かせください。

◯議長(川上孝浩君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
きらりと光る若い企業の積極的誘致について御答弁申し上げます。
近年、本格的な人口減少社会が到来する中にありまして、将来にわたってまちの活力を維持していくため、本市では昨年10月に「水の都おおがき」創生総合戦略を策定し、子育て支援施策を初めといたしまして、地域の魅力を生かした移住、定住の促進や産業振興の推進、地域コミュニティーの活性化、空き家対策などに取り組んでおるところであります。
とりわけ子育て世代の移住、定住を促進するために、高校生世代までの医療費無料化や子育て世代への住宅取得支援策などを実施するとともに、東京、大阪、名古屋等での移住相談会の開催やインターネット広告など、さまざまな手法により本市の魅力の発信に努めているところでございます。
こうした取り組みの結果、昨年度は143世帯465人の方が移住されており、特に県外からの移住者数は県内自治体で2番目に多いということでございます。また、上石津地域におきましては、地域の皆さんと連携し、自然豊かな環境の中での魅力体験事業の実施などにより、昨年度は7世帯17人の方が移住されております。
御提案の里山地域への若い企業の誘致につきましては、移住、定住を促進する上で企業誘致による雇用の場の確保は大変重要であると考えております。地域の皆さんの意向を伺いながら研究してまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、子育て日本一が実感でき、雇用と人の流れが生まれ、安全・安心な暮らしができる住みやすいまちづくり、まちの創生に努めてまいりたいと思いますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(川上孝浩君)
8番。

〔第8番 田中孝典君 登壇〕

◯第8番(田中孝典君)
今、御答弁の中で、移住・定住施策については非常に具体的な取り組みの紹介がございましたが、きらりと光る若い企業の誘致については抽象論しかいただけなかったような気がしますので、少し方向を変えて質問をさせていただきます。
大垣市、本市の中には国道が幾つか走っておりますが、例えば国道258号は全国チェーン店の展開が非常に多く、地元との連携については逆に薄い。そのかわり大規模店が入ってきている。市長にぜひ見ていただきたいのは、国道365号に今、小さいけれど個性的なお店の開店がここ数年の間に非常に相次いでいる。これは従来のお店と重ならない。例えば家庭料理をビュッフェの少量でお皿にとって回れるビュッフェ形式のお店、あるいはキッズスペースを設置したお店、里山の食材をメーンにしたまき窯ピザ、手づくりの自然酵母のパンをメーンにしたパンカフェ等々、これは思いつきで皆さんつくられているわけではありません。バブルの時代のような行け行けどんどんではなくて、リサーチとコンセプトの絞り込みを行った上で展開をしてございます。また、東京でマクロビオティックの料理店の経営者としての経験を反映させたり、こちらへ、お父さん、お母さんが高齢化されて第二の人生をこちらで送るというときに、その喫茶店を引き継ぐときに、わざわざ大阪の商業リサーチの会社による365号沿線リサーチ、そして喫茶店コーディネート、コンセプトの絞り込みまでやって進出しておられる方、皆さん、頭と足でしたたかに調べて、国道365号の大垣市里山ゾーンにきらりと光る小さなショップをオープンされておられます。滋賀県米原市から三重県いなべ市までの大体これぐらいのスケールで国道365号を走ってみると、いかに本市の里山ゾーンに個性的な食堂、喫茶が立地しているか実感してもらえると思います。小規模飲食業のベースでは、もう既にきらりと光る若い店舗の立地が本市の里山ゾーンに今集積しつつあるということです。
そこで、本市の根幹たる物づくり産業を考えたいと思います。都心部における商業サービスゾーン、郊外における工業団地ゾーンの育成が20世紀までの産業ニーズだとすると、豊かな自然を持つ里山地域での頭脳産業ゾーンの育成、形成が21世紀の産業ニーズではないでしょうか。先行事例として、これはもう実は本当に日本でも、全国でも、すばらしい事業を展開しているところに徳島県の神山町の事例があります。本市よりはるかに条件が厳しいのに20社近くの頭脳型産業が立地し、先日は中央省庁の地方移転実証の実験地にも選ばれて、消費者庁のテレワーク・テレオフィス実験が長官みずから現地へ行って行うというパフォーマンスまで実施されました。こうした具体的な事例というのは非常に重要であります。神山町の成功事例について、本市が参考とすべき点があるとしたらどのような点にあると思われるか、その分析をお聞かせください。
以上で2点目の質問を終わります。

◯議長(川上孝浩君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
徳島県神山町の成功事例の要因について御答弁を申し上げます。
神山町ではNPO法人が主体となり、今、空き家などを活用した企業、店舗の誘致や起業、創業のための人材研修などが行われております。こうした民間の自由な発想や創意工夫による活動が雇用の創出にもつながっているのではないかと考えております。
本市といたしましても、地域の皆さんと連携し、子育て日本一が実感でき、また雇用を創出し、人の流れが生まれ、安全・安心で住みやすいまちの創生に努めてまいりますので、御理解いただきますようよろしくお願いいたします。

◯議長(川上孝浩君)
8番。

〔第8番 田中孝典君 登壇〕

◯第8番(田中孝典君)
今、市長の御答弁の中に、民間の自由な発想による創意工夫という言葉がございました。
実は私がこの里山ゾーンでモデルにしている小さな企業がございます。ムジカという小さな企業でございますが、ここは本当に小さな、だけど非常にいい音のするアンプを民生用にはつくっておりまして、社長お二人と、それから従業員が、若い子育て中の女性ですけれども、4名で、何と世界37ヵ国にそうしたアンプを輸出しておられます。そこは恐らく10年は先を行っている雇用形態をとっているというふうに思いますが、子育て中の女性を極めてフレキシブルに採用されておられます。時間も常に社長と協議しながら働く時間を決める。すごいときは、赤ちゃんができたから会社へ通勤できないと。じゃ、いいよと。家で、これだけノルマがあるから、ここまで部品をつくってくれたらそれを届けてくれたらいいよと。ミーティングのとき、後ろで奥さんが小さなお子さんを、社員の皆さんが連れてこられたお子さんをあやしながらミーティングをされている。そういう形で非常にフレキシブルな、女性の雇用にとってはまさにベストじゃないかと思うくらいの状況をとっておられます。そして、世界へ大垣から音響を輸出しておられる。こうした企業があります。ぜひ市長に見ていただいて、なるほどと。こういう若い企業がどんどん大垣に来るようになったらまた子育て環境もまた変わるなと。こういったことを魅力に、今度大垣で働きながら子供を育ててみたいと思う家族がふえると私は考えております。
抽象論はさておいて、一つの成功事例が次への成功事例に必ずつながっていきますので、具体的に成功事例をつくることに、ぜひ、小さな会社で結構ですから、邁進していただきたい。恐らくその頭脳やノウハウは、本市のセクション、あるいは地域事務所が総活躍すれば必ず可能だというふうに考えております。
実は若いサラリーマンの移住、定住については第1ステージにすぎないというふうに私は申しました。本市は総合計画に「水と緑の文化・産業・情報・交流都市」とうたっております。これをうたうのであるならば、これから伸びようとする若い企業もまた緑のゾーンに呼び込み、支え、発展してもらってこそ、その面目躍如となると思います。本市の条件は実は今全国でもトップクラスにあります。非常に集積の進んだ中心部と非常に豊かな自然のある中山間地、この二つどちらを選択していただいても大垣クオリティーを保証する、これが本市のまさにメリットであります。行政が発想をアップデートして、さあやるぞと。
大型企業も呼ぶぞ、小型企業も呼ぶぞと気合いを込めて取り組めば、絶対に全国の若い企業は本市に注目します。規模は小さくて構いません。きらりと光る若い企業もまた熱心に誘致していただいて、全国のライバルに負けないような圧倒的なスピード感を持って取り組んでいただきたい。それを強く要望して、私の質問を終わります。ありがとうございました。

田中たかのり
大垣市議会議員