大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成25年9月議会

一般質問表題

「獣害対策を第二段階へ」
「土曜日学校教育の再開について」

一般質問詳細

◯第5番(田中孝典君)
皆さん、おはようございます。
自民クラブ・石田幹事長の強い運をいただきまして、9月議会のトップバッターとして発言させていただきますことに、心から感謝申し上げます。
 去る9月4日、私たちの先輩・野村 弘議員が御逝去されました。議員としての心得からスポーツ交流まで、私たち後輩に温かく御指導いただいたことが、私にとってついきのうのように感じられ、今、議場におられないことが信じられません。心から感謝と哀悼の意をささげ、御冥福を衷心よりお祈り申し上げます。
また、9月4日は、本市における計測史上初となる時間雨量108mmという猛烈な雨に見舞われました。浸水や冠水、土砂の流入等、被害に遭われた方に心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧を望んでやみません。また、これほどの雨は従来の想定にはないということで、根本的な対策の見直しを当局に求めるものであります。特に、災害対策にはほとんど機能しない屋外スピーカーの件も含めて、いろいろと確認したいことが多々ございますが、今回は通告に従い、2件の質問をさせていただきます。
まず、倍々ゲームのように拡大しつつある獣害への対策についてお聞きいたします。
ニホンジカ、イノシシ、猿等の獣害対策について、西濃圏域は岐阜県下でも残念ながら後発地域でありましたが、ここ一、二年の間に、住民が学習会や実証的な取り組み事業にチャレンジするなどして急速に進展しつつあります。本市におきましても、本年2月14日に大垣市鳥獣被害防止対策協議会が発足し、官民挙げて取り組む体制が整いました。その会議等でも明らかなように、直面している最大の獣害はニホンジカであります。そこで、まず、質問の第1番目に、どうしてニホンジカがこのように急速に生息数を拡大しているか、当局の見解をお聞きします。農家や猟師の方々の現場感覚では、少なく見積もっても数年前の4倍にはふえているとのことです。
続いて、本質問のタイトルは、獣害対策を第2段階へとなっております。なぜ第2段階なのか述べさせていただきます。
農産物の被害だけが獣害ではありません。獣害被害は、産業、生活、堤防等構造物の全ての範囲に拡大しつつあります。しかし、残念ながら、現在の本市の捉え方は、農業被害が発生しているので、その農地を住民が柵等で囲って自己防衛するといったところではないでしょうか。これは電気柵で水田を囲い始めた20年前の感覚です。現状はそんな甘いものではありません。住民は今、次のような現実に直面しています。1、ニホンジカは倍々ゲームでふえているのに、農業従事者は高齢化と減少化が進んでいて、体力も気力も、そして経済力も低下の一途をたどっています。2、集落と山林の境を全て防護柵で囲ってしまう、それぐらい徹底した方策でない限り、直接個体数を減少させることにはつながらないということは十分承知をしています。それでも目前の被害を防止するために、自分の農地を小規模に、いわば虫食い状に囲うだけでもやらざるを得ない。それ以上のことはとても一農家でできることの範囲を超えているからです。3、猟師も高齢化し、減少しています。そして、ここが根本ですが、猟師は駆除隊ではありません。猟師の皆さんも経済法則のもとに生活をしています。売れなきゃとれないのです。とればとるほど出費がかさむようでは、猟師の生計は成り立ちません。4番、捕獲、あるいは補殺した野生獣についての処理は、今、その当事者に任されています。本市では、1、穴を掘って埋めてほしい、2、30cm四方以下に解体して搬入すれば市クリーンセンターで焼却可能とのことです。
これでは捕獲するなと言うに等しいとは思われませんか。150kgから200kgもあるようなニホンジカやイノシシを埋める穴を、高齢者がスコップ一本で本当に掘れると担当者は考えているんでしょうか。しかも、水田や谷、あるいは山の中でどうやったらいいんでしょう。また、そこで30cm四方以下に切断して血や内臓がだらだらと流れるものを、一体何に入れ、何に乗せ、どうやってクリーンセンターまで運べと言うんでしょう。本市の当局は本当に現場を知っているのか、極めて疑問を感じざるを得ません。大型野生獣による被害は、個人の責任による被害ではなくて、公共災害に等しいものです。5番目、猿等が集落に出没し、登下校児童の安全のために住民が引率と安全確保に努める事例が出始めています。また、隣の市では、町なかでイノシシに衝突された市民の死亡といった悲しい事件も発生しています。また、直近の事例では、宮崎県日向市では、コンビニ帰りの男性がニホンザルに襲われ、20針以上も縫う大けがをされました。日向市では、8月28日以来、12日間で18人に被害が及んでいるということです。6、国道、県道でニホンジカ等の大型野生獣との衝突事故が頻発するようになり、自損事故はほとんど被害者の泣き寝入り状態であります。しかし、私のもとにも、急ブレーキや急な車線変更などの回避行為が、逆に追突とか衝突事故等の人身事故につながると住民から深刻な相談が寄せられています。そして、今、被害は農産物から堤防や水路、あるいは100mに及ぶあぜ道の破壊が発生するようになりました。このままでは堤防が危ない。はっきりと断言します。皆様のお手元の写真は、水田のあぜの獣害写真並びに牧田川の堤防の獣害写真です。これはたまたま私の家から車で5分もかからないところの極めてローカルな写真です。去る8月18日に撮影したものです。この事例は西濃圏域のどこでも起きている被害であり、生息数の増加に応じてどんどん下流域にも拡大していくと予測されます。さらに、ここに時間雨量100mmを超える豪雨が頻発するようになってしまったのが今現在です。
 そこで、第2段階の内容です。フェンスやネットを第1段階とすれば、ふえ過ぎた大型野生獣の個体数を直接減らす駆除こそが第2段階です。獣害対策の基本は駆除です。獣害の発生を聞いて、誰でも最初は必ず、そんなこと、ここは大丈夫、奥地は大変だなと根拠のない楽観を述べます。しかし、現実は甘いものではありません。今現在、このただいまも野生獣はふえ続けています。この被害は数年後には必ず都市部に及びます。先ほど、ニホンジカは倍々ゲームのようにふえていると述べました。ここ数年で4倍になりました。このまま手をこまねいていれば、これからの数年で8倍に拡大します。農作物被害は生産者が涙を流すだけかもしれませんが、都市部への出没による児童や高齢者への被害、交通衝突事故、特に人身事故の発生、堤防等の崩壊誘発による災害の拡大、今この場で、皆さんどうか想像してください。今、中山間地で獣害を食いとめなければ手おくれになります。安全や財産に対する被害は、カラスなど比較になりません。身体に危害が及ぶのです。北海道のエゾシカ対策のように直接駆除しか、ふえ過ぎた固体数を減らす根本的な獣害対策はありません。この駆除について、次の3点の提案をさせていただきます。1、農家や猟師に責任を転嫁することなく、公共事業として個体数の減少、すなわち直接駆除に着手すること。2、捕獲、あるいは捕殺した野生獣の焼却処分を簡易にできるようにすること。3、河川や生活安全など、関係各課が被害を未然に防ぐ立場から協議し、将来を予測して今から対策を講じておくこと。これらについて、本市当局の見解をお聞かせください。
次に、2番目の質問として、公立学校における土曜日学校教育の再開についてお伺いします。
参議院議員選挙の喧騒の中で見過ごされることになってしまいましたが、去る6月28日、ある重要な報告が文部科学省から発表されました。それは、「「土曜授業に関する検討チーム」中間まとめ」と題された報告書です。この報告によれば、土曜日授業を特別の必要がある場合に限定している学校教育法施行規則の要件を緩和し、学校設置者の判断で取り組みやすくするという内容です。中央教育審議会での議論を踏まえ、早ければこの秋にも同施行規則を改正したいというのが文部科学省の方針です。
公立小中学校の土曜日休校は、1992年度に月1回、95年度に月2回と段階的に導入され、2002年度から現在の完全週5日制となりました。本市においても2002年4月から実施されています。わずか10年余りしかまだ経過しておりません。しかし、その結果、子供たちにとって何がよくなったでしょうか。私にはよくなったことが思い浮かびません。子供たちにとっては、結局のところ、平日の詰め込み強化、ついてこられない子供の切り捨て、部活・クラブ活動のスケジュールの複雑化、親の経済力の差による学力の格差の拡大、さらに学習指導要領の改訂による授業内容の質的・量的増加などなど、土曜日に半日でも学校へ行き、学校でしっかりと過ごすほうが全ての子供にプラスなのではないでしょうか。
さらに振り返ってみますと、残念ながらこの学校週5日制は、子供たちに少しでも充実した教育を贈ろうという視点ではなく、アメリカの対日貿易赤字が拡大した1980年代に、欧米諸国から日本人の労働時間の長さが非難され、政府は労働時間の短縮政策に乗り出さざるを得なくなったことに起因をしています。学校における週休2日制の導入も、実はその流れの中にありました。しかし、学校の現場では、先生方にとっては逆に平日の勤務時間がふえ、非常に過酷な勤務となりました。民間の研究所であるベネッセ教育総合研究所の学習指導基本調査によれば、小学校教員の退勤時刻は1998年から2010年にかけて55分遅くなり、中学校教員も1997年と2010年の比較では1時間以上も在校時間がふえ、平均の勤務時間が12時間を超えるという結果が出ています。さらに、学習指導要領の改訂により、子供たちに教える事項が増加した結果、カリキュラムの作成に追われ、平日の忙しさが倍増し、子供たちに目が届かない、子供たちの声が聞こえていても聞こえないといった状態になっていないでしょうか。
ゆとり教育と週5日制を世間では混同しています。ゆとり教育の趣旨は、単なる知識の詰め込み、それは今ではデータ保存と言われていますが、データ保存ではなくて、現状をしっかりと分析し、自分の力で考えをまとめ、堂々と述べ合える考える力、世界で通用するタフな論理と構成力、粘り強さ、そしてその根底にあるふるさと愛の醸成と地域のさまざまな人や文化との触れ合い、そうしたことを目指したものでした。それらを総称して生きる力と呼んでいました。それはとても週5日で賄える内容ではないのに、休みをふやすことをゆとりだと考え違いをしてしまった、まさに私たち大人の責任です。
今大切なのは、土曜日の半日をもう一度学校教育の時間に戻し、文字どおりゆとりを持って子供たちの教育に取り組めるようにすることです。現実は、平日は知識と計算能力の詰め込み教育に戻り、土曜日は教育からはるか離れた託児所となりつつあります。まだ託児所へ行ける子供は幸せかもしれません。知識量や計算速度ではなく、現在の状況を捉え、誰も正解を教えてはくれない中で仮説を立て、実行し、そして失敗し、再度よりよきものにトライしていく力、これは託児所では絶対に身につけることはできません。先生と児童生徒が、あるいは児童生徒同士がじっくりと向き合い、君はどう考えるのかを繰り返し問いかけていく中からしか身につきません。そのために土曜日を学校教育の中に戻し、子供たちのために活用すべきだと考えます。
 私は、子供たちとは無関係に始まってしまった学校週5日制は、結局誰にもメリットを生まなかった極めて不適切な施策だったと考えます。子育て日本一を掲げる本市において、子供たちにとって何がプラスかをしっかりと考え、土曜日の学校教育の再開にかじを切るよう心から求めるものであります。本市は、今この時間、小中学校32校、1万3,596人の児童生徒が、それぞれさまざまな状況を抱えながら学んでいます。その子らを前にするつもりで、本市の見解をお聞かせください。

◯議長(林 新太郎君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
おはようございます。
冒頭、皆様方によりまして黙祷をささげられましたが、私のほうからも改めまして、9月4日、御逝去されました野村 弘議員の長年にわたる御活躍に対しまして敬意を表しますと同時に、謹んで心よりお悔やみを申し上げます。
そしてまた、同じ9月4日、大垣市内におきましては時間雨量108mmという県下最高記録を更新するという集中豪雨に見舞われました。ゲリラ豪雨の恐ろしさというのを感じたところでございます。床上・床下浸水など約400棟、市内各所で道路冠水などがございました。不幸中の幸いで人的被害はなかったということでございますが、改めて被災された皆様方に対しましてお見舞いを申し上げますと同時に、また今後とも治水対策に努力してまいりたいというふうに思います。
それでは、田中議員の質問に対して御答弁申し上げます。
まず、獣害対策を第2段階へについての御答弁でございます。
近年、中山間地域を中心といたしまして、ニホンジカ、イノシシ、猿等による農作物被害が増加しております。とりわけニホンジカにつきましては、県の生息調査によりますと、県全体で平成19年度の約1万頭から、平成23年度には約5万頭に増加しております。これは狩猟の制限等保護政策や、あるいはまた天敵の減少、下草等の餌の増加、暖冬による冬季の死亡率の低下等が主な原因であると言われております。
こうした中、本市におきましては鳥獣害対策といたしまして、本年2月に、関係機関や市民等により大垣市鳥獣被害防止対策協議会を設置するとともに、有害鳥獣捕獲隊による捕獲や各農家への電気柵や防護ネット等の設置に対する助成等を行っているところでございます。また本年度は、地域ぐるみで広範囲に防護柵を設置する国の鳥獣被害防止総合対策事業を、上石津地区を初め市内全域において新たに実施してまいります。さらに、国の鳥獣被害防止緊急捕獲等対策事業や県の野生生物保護管理事業等を活用し、有害鳥獣の捕獲に対する報奨金を上乗せするなど、有害鳥獣捕獲隊の活動を充実させてまいります。御提案の有害鳥獣の直接駆除や簡易な焼却などの鳥獣害対策につきましては、国、県等に要望するとともに、より効果的な手法を研究してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、今後とも地域住民の皆様を初め関係機関と連携し、鳥獣害対策事業に積極的に取り組んでまいりますので、御理解いただきますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
教育長。

◯教育長(山本 讓君)
土曜日学校教育の再開について御答弁申し上げます。
学校週5日制につきましては、学校、家庭、地域の三者が連携し、役割分担しながら社会全体で子供を育てるという理念のもと、市内の小中学校では授業時数の増加を目的とした土曜授業は実施しておりません。現在、子供たちは土曜日に家族との触れ合いを大切にしたり、スポーツ少年団や部活動、各地区センターでの体験活動等に積極的に参加したりするなど、家庭や地域の中で豊かな人間性を育んでいます。
こうした中、文部科学省から、土曜授業に関する検討チームの中間まとめが公表され、土曜授業の実施に関する基本的な方向が示されました。この公表を受け、本市といたしましても、いち早く取り組みを行っている東京都に行政視察を行うなど、情報収集に努めているところでございます。しかしながら、土曜日に授業を実施した場合、東京都では教職員は夏休みなどの長期休業中に代休日を取得することができますが、岐阜県では取得することができないため、県の条例改正にかかわる課題があります。
本市では、以前から土曜授業について検討しており、県の条例改正につきましても引き続き要望してまいります。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(林 新太郎君)
5番。

〔第5番 田中孝典君 登壇〕

◯第5番(田中孝典君)
ただいまは、御答弁ありがとうございました。
獣害対策ですけれども、もう一度危機意識を持っていただきたい、私はそう言わざるを得ません。こういう想像をしてください。国道21号、大垣の環状線、国道258号、あるいは揖斐川等の堤防道路、ここへ150kgから200kgもあるような鹿やイノシシがぽんと飛び出してくるんです。最初、養老と垂井の間を結ぶ幹線道路に鹿飛び出しの看板が出たときに笑った人がいました。しかし、今ではそれを笑う人は一人もいません。今私が訴えたいのはそこです。中山間地で起き始めたことは確実にここへ来ます。21号から来るか、258号から来るか、大垣環状線から来るかわかりません。既に上石津では、一番僕が怖いなと思ったのは、トンネルの入り口、出口の陰に隠れて鹿が草を食べています。これがもし山側へ飛び出ずに、トンネルの道路側へ飛び出てきてしまったら事故は回避できるのか。そこまでもう事態は来ています。きょうの答弁の中で、これから県に働きかけていく、あるいはより効果的に、積極的にというお言葉がありました。それはそれでありがたいんですが、現状でやっているのは緊急捕獲、報奨金、駆除隊と言われました。1点だけ追加で質問しておきます。何か新しいことをやるのであれば、第2段階というふうに私のこの質問に答えたことになりますけれども、今やっていることを繰り返していくだけなら新しいことにはならない、第2段階にはならない。今構成されている捕獲隊のメンバーを把握されているのかどうか、それをお答えください。今、誰が捕獲をしているのかということです。
続いて、公立学校における土曜日学校教育の再開ですけれども、非常に力強い答弁をいただきましたが、もう一度私は確認しておきたい。私は、学校は楽しいな、1日でも多く、1時間でも多く、学校でみんなと一緒にいたいなというのが日本の近代教育の原点だというふうに私は思っています。学校でみんなとともに学ぶ喜び、学校で先生に褒めてもらったり、あるいは、ちょっとここが足らぬな、頑張れよと言ってもらえる喜び、これが原点だと私は思っています。教員数の増加など、国の施策とももちろん強く関係してきますけれども、この大垣市は文教のまちではありませんか。子育て日本一のまちではありませんか。まず先頭に立って取り組んでほしい。この先頭に立つということが日本一のゆえんです。この覚悟があるかどうか、それをもう一度お聞きしたい。
再質問として、以上2点、お伺いいたします。

◯議長(林 新太郎君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
有害鳥獣の捕獲に関しましては、地元の捕獲隊、大垣市有害鳥獣捕獲隊に委託し進められているところだと思っております。

◯議長(林 新太郎君)
教育長。

◯教育長(山本 讓君)
土曜授業の実施につきまして、積極的にその取り組みを考えてまいりたいと考えております。

◯議長(林 新太郎君)
5番。

〔第5番 田中孝典君 登壇〕

◯第5番(田中孝典君)
最後に意見だけ述べさせていただきます。
現在の有害鳥獣の駆除隊は、猟師と農家のわなの免許を取った人たちで構成されています。これは第1段階のメンバーです。これでは対応できないということを私は訴えたいんです。国や県と直ちに連携をとって、農家や猟師に頼らない駆除隊を組織して、直ちに駆除に取り組まないと大変なことになるということを述べさせていただいて終わります。ぜひ第2段階へ取り組んでください。

田中たかのり
大垣市議会議員