大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成24年9月議会

一般質問表題

「大垣市指定避難場所の停電対策の促進について」
「いつでも どこでも だれでも恩恵を受けられるICT環境の整備促進について」

一般質問詳細

◯第5番(田中孝典君)
それでは、通告に従いまして、2件について質問をさせていただきます。
第1番目に、大垣市指定避難場所の停電対策の促進についてお伺いします。東海・東南海・南海3連動地震の発生予測だけでなく、既に現実に起きている災害も、毎年の報道が、近年にないとか、過去最大級とか、これまでに経験したことがないを連発するようになっています。私たちの経験からしても、既にしとしととした梅雨がなくなり、スコールのような集中豪雨や35度を超える猛烈な暑さが午前中から記録される、このようなことは過去にはありませんでした。また、台風が発達しながら、あるいは強い勢力を維持したまま中部地方、私たちのこの真上を縦断していくということも過去においては極めてまれなことでした。しかし、それらは今では当たり前の現象となりました。実感として、明らかに気候は変動しつつあります。中部地方に住む私たちは、地震にあっては東日本で生じたことが、豪雨災害にあっては近年の九州地区で起きているすさまじい集中豪雨が、やがてこちらでも発生すると想定し、過去の経験値ではなく、未来からの予測値をもとに、災害への備えを再構成する必要があります。
防災は総合事業であり、行政の全分野が関係してきますが、今回、私は、大垣市の指定避難場所の停電対策について質問をさせていただきます。
先ほど災害の変化を述べましたが、本年は落雷も頻発し、大規模な停電も発生しました。今後、さまざまな災害の規模は、拡大こそすれ、縮小に向かうとは予測できません。過去の経験をもとにすると、停電は電力会社の努力で短期に修復するという感覚がありますが、現状では、東日本大震災を初め九州の豪雨、都心部での、特に変電施設等での落雷で、中長期にわたる停電が発生するようになってきています。本市には指定避難場所が、大垣城ホールに始まって合計120ヵ所あります。このうち非常用電源を備えているのは14施設であり、全体の11%にすぎません。
そこで、次の3点についてお伺いいたします。1、本市の指定避難場所について、中長期にわたる停電対策をどのように考えているか。2、全てに自家発電装置や蓄電池を備えることは現実的ではないとすると、災害時応援協定を結んでいる企業へ発電機の応援を依頼することになる。そうした企業の持つ発電装置を指定避難場所の電源として活用できるように、あらかじめ非常用の接続回路を設けておくことは有効な方法だと思われるが、行政の判断はどうか。3、災害が大規模かつ広域化し、情報の収集が非常に重要になっているが、指定避難場所には、照明施設だけでなく、パソコン、プリンター、携帯電話、トランシーバー等の各種情報機器への充電装置を常設しておくべきと考えるがどうか。パソコンも携帯電話も多機能になるとともに電池の消耗も激しく、特にスマートフォンなどは頻繁に使うと、毎日充電していても追いつかないことがあると指摘されています。中長期停電時における通信機器への充電対策が必要ではないでしょうか。
続いて、「いつでも どこでも だれでも」恩恵を受けられるICT環境の整備促進についてお伺いします。
本年4月に大垣市ICT戦略ビジョンが策定されました。目指す将来像として「情報技術と人の絆でつくる情報交流都市 大垣」とあります。また、サブタイトルとして「いつでも どこでも だれでも ICTを」とあります。私は、このサブタイトルのほうに今後の本市の目指す具体的な方向があると考え、注目しています。サブタイトルは、利用者サイドから言うと、次の2点にまとめられると思います。
一つ目は、「いつでも どこでも」ということです。コンピューターの世界では二つのテーマがありました。一つ目は小型化です。真空管から集積回路、大規模集積回路へと技術が進む中で、小型化は目覚ましく進展しました。もう一つは、ケーブルからの解放、接続のいろいろな線からの解放ということです。ついこの間までは、コンピューターとケーブルは切っても切れない関係でした。こちらは、小型化ほどは劇的に変化してきませんでした。しかし、今、このケーブルからの解放を強力に推進する機器があらわれました。スマートフォンの登場です。スマートフォンは、フォンと名前がついていますが、新しいタイプのパソコンです。高速無線接続回線の整備により、スマートフォンは携帯電話とは桁違いの情報を双方向に送受信できるようになりました。私たちは利用者として端末のデザインや使い勝手にばかり目を奪われていますが、実はスマートフォンを支えているのは、一にも二にも高速の無線接続回線の存在だということです。
二つ目は、「だれでも」ということです。たとえ一つ目の「いつでも どこでも」という課題が技術的に達成されても、ICT環境を通じてさまざまなサービスが提供されていなくては、誰でも恩恵が受けられるとは言えません。先ほどスマートフォンのことに触れましたが、この夏市内の販売店を訪問したところ、そこの店員さんが実によく勉強されていて、まさに今現場で起きている、そのことを学ぶことができました。それは、スマートフォンの活用に、今、機種更新を通じて変化が起きているとのことです。第1世代のスマートフォンの購入者が、年齢や使い方によって、次の購入機種の更新時に大きく二つのグループに分かれつつあるということでした。若い世代を中心に、平たく言うと小さい文字でもじっくり読める方々、若い世代を中心に、そうした方々はそのまま新しいスマートフォンに機種更新のグループになります。ビジネスとして使用される方や中高年の方を中心に、電話についてはもう一度携帯電話に戻し、インターネット等の閲覧を雑誌より一回り小さいタイプの新しいタブレットというタイプの端末で行うこととして、携帯電話プラスタブレットという組み合わせで更新をするグループの二つに分かれるということです。タブレットというのは、今お借りしてきましたが、こんな大きさ。

〔タブレットを提示〕

◯第5番(田中孝典君)
私たちがイメージしているよりやはり小さくて、これはB5のノートとほとんど同じで、薄さもB5のノートより薄いくらいのものです。こうしたタブレットというものに今注目が集まっています。また、第1のスマートフォン機種更新のグループでも、明らかに現行のスマートフォンよりも実は一回り大きい、大型で画面が大きなものに変更される割合が高くなっていて、それは明らかにタブレットパソコンの小型と呼べるということでした。
今、最先端で起きているのは、小型を持つか、あるいは手帳より一回り大きいものを持つか、それともこのB5サイズぐらいのものを持つか、違いはあるにせよ、このタブレット型パソコンで誰もがICT環境につながろうとする時代になりつつあるということでした。この技術、これはスマートフォンに込められた画面を自由に大きくしたり小さくしたりすることのできる機能、縦でも横でも画面が自動に切りかわる機能、ページをめくるように直感的に画面に触れて画面を操作できる機能など、これまでのキーボードとマウスで操作するパソコンとは全く違う操作方法が、ICT環境と日常生活を簡単に結びつけることを可能にし、新しいサービスの開発競争が起きています。そして、ICT技術の恩恵を受ける分野、人々が飛躍的に拡大しつつあります。例えば、アメリカのあるグループホームでは、視力の弱まりに伴って、ひとりぼっちでグループホームの片隅に引きこもっていた状態の高齢の御婦人が、このタブレット端末が配備されたことによって、画面を自在に大きくする機能を使って、本当にその方が大好きだった読書や新聞購読ができるようになり、今度はそれらがきっかけで、どんどん話題ができて人の輪の中に戻っていくという事例が報告をされていました。また、私は、昨日、医療の勉強会に行ってびっくりしましたが、今このタブレットを使って自動問診システムが開発されていて、それは膨大なコンピューターのデータの中から自分で問診表に答えていくと非常に高い確率で診断されて、最適な医療機関が紹介されるというところまで行っているそうです。そして、それのさらに最先端は文字ではなくて音声で聞いてくる、音声で答えるという、音声認識と組み合わせるというところが今最先端のテーマになっているということです。医療の分野、あるいは観光の分野、あるいは教育の分野でも、こうした素早く、簡単にICT環境とつながるタブレット型端末の特徴を生かして、今さまざまなサービスを展開する試みが始まっています。
そこでお尋ねをいたします。第1に、いつでも、どこでも、市民あるいは本市へ来訪される方々がICT環境へアクセスできるようにするため、本市ではどのような施策を進めておられるか、あるいは進めようとされているかお聞かせください。第2に、誰もがICT環境の恩恵を受けるためには、市の全ての部局が、例えばこうしたタブレット端末を通じてどのようなサービスを提供できるか考え、実現していかなくてはなりません。各部局間で開発競争をするぐらいでないと充実したサービスは生まれてこないと思います。市民あるいは本市来訪者がICT環境を通じて誰でも恩恵が受けられるよう、どのようなサービスを展開していく方針かお聞かせください。以上で1回目の質問を終わります。

◯議長(岡本敏美君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
「いつでも どこでも だれでも」恩恵を受けられるICT環境の整備促進について御答弁申し上げます。
本市では、平成14年3月に大垣市IT戦略計画、平成19年3月に第二次大垣市IT戦略計画を策定し、地域情報化に取り組んできたところでございますが、近年、ワイヤレスブロードバンドの普及によりICTを取り巻く環境が大きくさま変わりしております。こうした中、本年4月に大垣市ICT戦略ビジョンを策定し、豊かな生活を送る上でICTを身近なものとして利活用するため、市民、企業、行政のあらゆる分野において地域情報化を推進し、活力あふれる地域づくりに努めているところでございます。ICT環境の整備促進につきましては、無線通信の技術革新を背景に、いつでもどこでもインターネットにアクセスできるようになりつつあるため、今年度、民間事業者と連携しながら、観光、体育等の公共施設20ヵ所にWiFiスポットを整備したところでございます。今後も民間事業者との技術的な連携のもと、市内の公共施設におけるWiFiスポットの整備を推進してまいりたいと存じます。
次に、急速に普及しつつあるスマートフォンやタブレット端末の可能性を探るため、昨年度には各課から業務での利用提案を募り、7事業において実証実験を行いました。今年度も各課に積極的にタブレット端末を貸し出して、利用方法や効果を検証しているところでございます。今後、子育て分野ではIAMASと連携した幼児教育で活用できるアプリケーション開発、観光分野ではまちなか観光を支援する観光関連情報の提供方法、教育分野では電子教材による協働的な学びの推進など、各部局と庁内一体的にタブレット端末を利活用したICT環境の整備について調査研究を進めてまいります。また、特に高齢者への利用促進につきましては、操作のしやすい端末を活用した講座の充実に心がけてまいります。
いずれにいたしましても、市内全域で簡単に高速インターネットが利用できるICT環境の整備を促進するとともに、タブレット端末の利活用を市民サービスの向上を図るための重要な手法の一つと位置づけ、引き続き調査研究してまいります。御理解いただきますようお願い申し上げます。

◯議長(岡本敏美君)
生活環境部長。

◯生活環境部長(社本久夫君)
大垣市指定避難場所の停電対策の促進について御答弁申し上げます。
初めに、中長期にわたる停電対策につきましては、現在指定避難場所120ヵ所のうち14ヵ所において発電機が備えられておりますが、そのほか市内26ヵ所の防災備蓄倉庫などにおいて、発電機113台、投光機178台などを分散配備し、電源確保に努めております。なお、自主防災組織での発電機の備蓄は86台となっております。また、災害時に企業などから発電機の提供を受け、それを活用できる接続回線を整備することは有効な停電対策の一つと考えられますので、協定の締結も含め検討しております。
次に、通信機器の充電対策につきましては、避難所の運営上、無線機、携帯電話、パソコンなどの機器は欠かせないものであり、発電機の配備とあわせて、充電機器の配備につきましても検討してまいりたいと存じます。いずれにいたしましても、停電対策は災害対策上重要であり、現在電気事業者、通信事業者を含む防災関係者で構成しております大垣市地域防災検討委員会での議論を踏まえて、見直し作業を進めております市地域防災計画などに反映させるとともに、関係機関との連携のもと体制の充実に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(岡本敏美君)
5番。

〔第5番 田中孝典君 登壇〕

◯第5番(田中孝典君)
ただいまは、答弁をありがとうございました。まず、1番目の大垣市指定避難場所の停電対策の促進についてですけれども、もう1点追加としてお聞きしておきたいことがございます。
東日本大震災のときに、災害発生後のある時点から急に携帯電話が、いわゆるバーが立っている、充電されているという状態にもかかわらず、通信困難になって、みるみるうちに通信不能地域が拡大しました。これは、有線電話がかなりの被災で壊れていて、皆さん携帯で使っていたのが、充電してあるにもかかわらずつながらなくなっていった。これは、情報の孤立地域が発生したということですが、これが実は東日本大震災の被災地のほぼ全域にわたって発生したと。これは実は携帯電話の電波を受ける側の基地局の非常用バッテリーが短期間しか持たなかった、こちらもすぐに停電は回復するだろうという想定のバッテリーしか入っていなかったと。このため、被災地では、基地局のバッテリーのダウンとともに一斉に携帯電話が使用不能に陥ったということでございます。東海・東南海・南海3連動地震が発生すれば、長期の停電がかなりの確率で発生すると予想されます。長期停電時の携帯電話の通信確保について、本市は現状を把握しているか、また何らかの働きかけや対策を行っているか、あわせてお伺いをします。
次に、この停電対策に関して1点要望ですけれども、実は非常用発電機のお話がありましたが、こちらも東日本大震災のときに、実は一番よく機能したのがLPガスをベースにしたガスタービン発電機でございます。恐らく今、非常用発電機というのは石油系の燃料で、重油、軽油、灯油等で燃やすものになっていると思いますが、そのときの教訓で、全ての燃料を一つにしてはいけないと、いわゆる全ての燃料を石油に頼ってはいけないというのが教訓でございます。ですから、これは要望ですけれども、非常用発電機として、LPガスを使用するガスタービン発電機とか、外燃機関として木でも何でも燃やして駆動、もしくは電力をとるスターリングエンジンといったものを検討してほしいと。これが東日本大震災を教訓とするということだと思います。こちらは要望です。
2番目の「いつでも どこでも だれでも」恩恵を受けられるICT環境の整備促進についてですけれども、こちらも一つだけ要望をどうしてもお伝えしたい。このICTの環境整備には、最先端の分野の情報収集や、あるいは行政だけではなくて、本当に現場で、今そこでいろんな困難、すなわちビジネスチャンスに直面している民間の活力との協働が必須です。本市の各部局で職員が提供できるサービスの開発競争を行うことはもちろんのこと、ぜひ若い職員、頭の中が非常に柔軟でやわらかくて、いろんな発想ができる若い職員を、東京等で行われる各種研究会に派遣して情報収集に努めることや、部局を超えた意見交流と方向性をそろえるための会議を行うこと、そして民間を交えて、どんなふうなサービスが提供されたら本市のこのICT環境で市民が便利になったな、よくなったなと思えるかというがやがや会議をぜひ起こしてほしい。職員の発想力や企画力の強化を図ること、特に若い職員がチームを組み、新しい発想で意欲的にサービス開発に取り組んでもらえる環境の整備を強く要望します。
1点目の最初に述べた停電対策について、お答えをよろしくお願いします。

◯議長(岡本敏美君)
生活環境部長。

◯生活環境部長(社本久夫君)
携帯電話の通信確保につきましては、基地局の非常用バッテリーが脆弱であり、対策を進めていると伺っておりますので、長期の停電にも耐え得るよう通信会社に対して要望してまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

田中たかのり
大垣市議会議員