大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成24年6月議会

一般質問表題

市が率先して行う獣害対策として河川内繁茂草竹木除去の推進を

一般質問詳細

◯第5番(田中孝典君)

皆様、おはようございます。今議会1番というトップバッターのくじを我が幹事長が引いていただきまして、1番ということで緊張いたしておりますけれども、所見を述べさせていただいて、市長あるいは担当部長の見解をお聞きしたいと思います。
ただ、その前に、きょう、11日、本当にあの大震災から1年3ヵ月がたった今、本当に阪神・淡路と比べていかにも対策が遅いということに心を痛める次第であります。
さらに、1点だけ冒頭に申し述べさせていただきたいのは、本市は文教のまちということを掲げて、少年の主張大会が先日行われ、そしてまた昨日はかがやき教育週間ということで、特にPTAの人たちが子供たちの育成を願って非常に多くの方々が集まっていただきました。その中で私が考えたのは、子供たちはしっかりと大人の行動を見ている。震災瓦れきの受け入れ等についても、きずなという言葉を大人たちは一生懸命叫んでいるけれども、今、そのきずなをどう行動であらわそうとしているのか、子供たちはしっかり見ています。我が子さえよければいい、あるいは大垣さえよければいいという態度でもし臨んだなら、同じ日本人としてきずなをお父さん、お母さんはどう示したのと子供たちが大人になったときに聞かれる、私は心底そう思いました。私たち政治家は、いたずらに風評、あるいは一方的な知見を披露するだけではなくて、しっかりとした科学的根拠に基づいて政府に説明を求め、また、きずなを示していく、そういう着実な行動が問われていると本当に子供たちの姿を見ていて私は思いました。
さて、本日は、しかし、私のほうはそうした震災のことではなく、切実に起きている問題について1件質問をさせていただきます。
平成23年3月議会に獣害対策について一般質問をさせていただきました。そのときにいろいろな事例を挙げて、今一番大切なのはスピードですと述べさせていただきました。その後1年以上を経過しましたが、それが生かされているのか疑問に感じざるを得ません。イノシシ、猿、ニホンジカ等による生活被害、いわゆる獣害が農作物への被害と言われていたのはもうはるか昔のこととなっています。国道、県道では、イノシシやニホンジカなど、100kgを優に超える大型動物との衝突が頻繁に発生するようになりました。30万円や40万円の車両損害は当たり前となっており、軽車両がシカと衝突して全損となり、80万円の損害を市民が自損事故として負担する事例も発生しています。一方、車両損壊だけでなく、急ブレーキや突然の車線変更による車同士の大型事故の危険性も当初から指摘されています。また、先日はゴルフ場経営者の方とお話をさせていただく機会があり、その中でこんなお話がありました。この数年の間にニホンジカが急速にふえている。最初のころは10頭程度の群れだったのが、今や30頭が当たり前になった。早朝からふんの除去やバンカーの整備などに人手を集めて繰り出さなくてはならない。そのコストが経営に負担となっており、頭を悩ませているとのことでした。獣害は既に農業被害の域を超え、交通安全やサービス産業に被害を拡大させつつあります。
本日は、この獣害の中でも近年急速に被害が拡大しているニホンジカについて述べさせていただきます。
先ほどゴルフ場経営者の方のお話を紹介させていただきましたが、この道40年以上というベテラン猟師さんのヒアリング内容とも一致するもので、前回の質問でも述べさせていただきましたが、再度紹介をさせていただきます。それは、昔は、ニホンジカは山にすんでいるときは2年に一度1頭の子供を産むのが普通だった。里へおり出して少し栄養がよくなり、1年に1頭子供を産むようになった。さらに、里でほとんど暮らすようになって非常に栄養がよくなり、1年に2頭の子供を産むようになった。ここ数年の間に倍々ゲームでニホンジカがふえ、猟師がとる以上にふえ続けているというお話でした。過去6年間のニホンジカの捕獲実績によれば、中山間地の上石津地域では平成18年度には52頭であったのが、平成23年度では343頭になっています。猟師さんたちには実に6倍強を駆除していただいておりますが、それを大きく超えて被害が拡大しています。また、大垣地域に目を転じれば、ニホンジカの過去6年間の1年当たりの平均捕獲頭数は5頭ですが、平成22年度には14頭が大垣地域で捕獲されています。また、これまで夜行性と言われていたニホンジカが既に白昼に出没するようになっています。獣害は、中山間地、あるいは農村部で食いとめなくては、やがて都心部に被害が及ぶようになります。既に赤坂地域からも獣害対策を求める声、被害の声が寄せられています。猿やイノシシ、ニホンジカが白昼住宅街に出没し、警察や消防が発砲することができずに苦心惨たんして捕獲するといったことが日常的に発生することになるかもしれません。被害は必ず高齢者、子供、女性といった社会的弱者から始まります。子供たちの通学路に野生動物に注意といった看板が設置されるのが当たり前になるような事態は何としても避けなくてはなりません。
さて、もう一昨年になりますが、2010年のこと、暮れも押し迫ろうという12月16日、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の井上雅央氏を招いて学習会が開かれました。そのときのお話は目からうろこの連続でしたが、あえて3点に要約させていただくと、1、冬のえさとなるものを絶つ、2、身を隠す茂みを絶つ、特に河川、3、見つけたら脅しまくるの3点でした。この中で第2点目の身を隠す茂みを絶つ、特に河川という指摘こそ行政が率先して実施する分野だと私は考えます。上石津地域を南北に貫く牧田川は、今やアシ、ススキだけでなく、雑木や竹が生え放題の状況になって久しく、とても市民のボランティアで何とかなるという状況ではありません。また、県管理の河川維持事業として位置づけられ、岐阜県の厳しい財政状況の中でなかなか手がつけられる状況にありません。しかし、獣害の拡大はそんなことはお構いなしに拡大の一途をたどっています。手をこまねいていれば野生生物は倍々ゲームでふえていき、夜行性だと考えられていた動物が白昼堂々とまちに出没するようになります。
だから、私は、平成23年3月議会で今一番大切なのはスピードですと述べさせていただきました。この2ヵ年の市の対応を見ると、従来からある電気さくや防獣ネットの購入支援のほかは耕作者の先進地視察や学習会の支援、あるいは耕作者がみずから集団を形成して獣害対策に取り組むモデル事業への支援など、獣害対策がこれほど社会問題化しつつあるのに、耕作者、すなわち市民だけに具体的な対応を丸投げしているような気がしてなりません。本市は、あらゆる機会を通じて市民協働を強調されていますが、市民協働とは、すなわち市と市民の協働であり、それは市が率先して実践すること、市と市民が力を合わせて実践すること、市民が率先して実践することの三つをそろえることにあります。市民協働の名のもとに、市民の皆さん、頑張ってください、行政は支援に努めますというのは、行政の責任放棄にほかなりません。
 そこで、私は、本市が率先して実施する獣害対策事業として、河川内の草竹木の除去を提案いたします。難しい事業ではありません。道路の除草や除雪のように、民間企業と委託提携を結び、河川を区分けして定期的に計画的に草竹木の除去を行うだけです。早くすれば早く効果があらわれ、遅ければそれだけ被害も拡大します。今すぐ着手できる全く単純な獣害対策事業です。本市の考えをお聞かせください。

◯議長(岡本敏美君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
おはようございます。市が率先して行う獣害対策として河川内繁茂草竹木除去の推進をについて御答弁申し上げます。
近年、中山間地域を中心といたしまして、ニホンジカ、イノシシ、猿等による農作物被害が増加しております。最も被害が多いのは田畑の農作物ですが、このほかにも人や物への危害、家屋の汚損など、被害は多方面へと広がっております。また、鳥獣害対策は、有害鳥獣の捕獲、防護さくの設置、集落の環境整備という三つの対策を総合的に組み合わせて取り組むことにより効果があると言われております。
こうした中、本市におきましては、有害鳥獣捕獲隊による捕獲を初め、各農家への電気さくや防護ネット等の設置に対する助成、鳥獣害対策講演会や先進地視察研修の実施などに取り組んでいるところでございます。また、本年度は、地域ぐるみで広範囲に防護さくを設置する獣害対策モデル事業を牧田地区及び時地区において新たに実施する予定でございます。御提案の河川内繁茂草竹木の除去につきましては、河川管理者であります県、国へ要望するとともに、有害鳥獣の繁殖抑制に効果があるか検証してまいりたいと思います。
いずれにいたしましても、今後とも、地域住民の皆様を初め、関係機関と連携し、有害鳥獣対策事業に積極的に取り組んでまいりますので、御理解いただきますようお願いいたします。

◯議長(岡本敏美君)
5番。

〔第5番 田中孝典君 登壇〕

◯第5番(田中孝典君)
ただいまは、答弁をありがとうございました。
今の答弁の中で数点気になるところがございまして、まず1点、前段述べられた防護さくの設置とかを取り組んでいるというふうに今の答弁の中でありましたが、取り組んでいるのはそれは耕作者、あるいは市民が取り組んでいるのであって、市が取り組んでいるのは申請があったら補助金を出すということに取り組んでいるということでありまして、獣害対策に率先して取り組んでいるというわけではないということであります。市長の答弁の中に総合的に取り組むとありましたが、総合的というのは、先ほど述べさせていただいたように、市も取り組んでいる、市民も取り組んでいる、県も取り組んでいる、国も取り組んでいるというのが総合的に取り組むという分野であります。獣害対策について、地域住民は決して手をこまねいているわけではありません。個人個人で水田や畑を囲うだけではだめだとの教訓から、2年に及ぶ学習会や先進地視察の経験を踏まえて、去る5月20日には上石津地域で全域を対象として市民手づくりの鳥獣害対策プロジェクトチームが結成され、現状を学ぶ、対策を実践する、行政に働きかけるを3本柱に行動が始まりました。既にモデル水田地域には2団体が、先ほど市長のお話にもありましたが、申請されています。また、県から講師を呼んでの学習会も引き続き直ちに行うべく、今月と来月の2回計画されています。
本当に獣害対策、獣害はいつも最初は笑い話で始まります。しかし、数年後には我が身に及び、そうなって初めてあのとき対策をとっておけばと悔やむことになります。ついこの間まで猿にカボチャをとられたとか、イノシシと出会ったとか、シカがぴょんぴょんと飛びはねるのを見たというのは笑い話、びっくり話のたぐいでした。でも、今ではだれもそうした獣害の話を笑い話だとは思っていません。今、検証するとおっしゃいましたが、今まで検証されていないことに私は驚きです。河川が彼らにとって寝床であり、道だということがわかりました。このままではやがて河川を伝って必ず都心にも被害が及びます。車道からイノシシやシカが来るわけではありません。河川内の草竹木の除去はすぐに実行できます。市民の行動におくれることなく、行政として一刻も早い事業の着手を要望して、私の一般質問を終わります。

田中たかのり
大垣市議会議員