大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成23年3月議会

一般質問表題

「発達障がい児支援の連携強化を」
「獣害対策の迅速な推進を」

一般質問詳細

◯議長(岩井哲二君)
 次に移ります。
 1番 田中孝典君。

〔第1番 田中孝典君 登壇〕

◯第1番(田中孝典君)
 皆さん、おはようございます。
 私も、去る3月11日に起きた東日本大震災の被災者の方々に心からお見舞いを申し上げ、一日も早い救援と復旧が進みますように心よりお祈り申し上げます。また、本市が素早く救援体制に入ったことに、敬意と感謝の意を表しておきます。
 それでは、通告に従いまして、2点質問をさせていただきます。
 第1番目は、発達障がい児への支援の連携強化についてであります。
 発達障がいとは、広汎性発達障がい、いわゆる自閉症のこと、学習障がい、注意欠陥多動性障がいのことを指します。知能そのもののおくれを指すわけでありません。この点が重要です。適切な支援を受けさえしたら社会人として適応できるのです。これらの発達障がいについては、小中学校児童生徒の6%程度にあらわれると分析されています。この発達障がいについて、最初は、ちょっと気になるといった程度で見過ごしてしまうことが多いのが特徴です。言葉のおくれ、親や先生からの指示が伝わりにくい、会話が成立しない、かんしゃく、パニックを起こす、発音が不明瞭、ひとり遊びが多い、落ちつきがない、こだわるなどなど、特に子供が小さいとついつい見過ごしてしまうことや、他のことにかまけて対策が先送りになってしまうことが多い状況にあります。この発達障がいの対策の難しさは、次の2点にあるのではないでしょうか。第1に、小学校に進学して、これまでの保育から学習を目的とする集団生活の中で、不適応状態に児童が追い込まれていくことです。それはまず、社会性の問題として、集団行動ができないこと、友人関係上トラブルになりやすいこと。次に、心理上の問題として、自信喪失や自己不全、多動、集中不良、反抗、非行に陥りやすいことが原因となっています。それらの結果として、不登校状態に至ってしまうことです。第2に、子供の発達段階に応じて課題のあらわれ方や、かかわる人、対処法が皆違ってくることがあります。幼児期は軽度の発達上の問題ととらえることができ、早期発見できるかどうかがかぎとなります。学童期前半は、問題が顕在化する時期ととらえることができます。そのときは病状の把握が必須となります。学童期後半は、学校不適応や心身症もあらわれてきます。この時期になると、医療との連携が重要となってきます。
 さて、これらの対応が後手後手に回ると、思春期以降、社会へ適合できないまま成人となってしまうことになります。社会との適合は、持って生まれた資質だけによるのではなく、家庭や学校、地域社会とのかかわりの中ではぐくまれるものです。先日、そうした子供を育てたお母さん、お孫さんの面倒を見ているおばあちゃんにお話を聞く機会がありました。さまざまな御意見をいただきましたが、皆様がどの子も温かい包容と適切な指導で対処すれば、やがて社会の一員として適応できると異口同音におっしゃっておられました。発達障がいの対策の決め手は、早く発見し、適切な支えを行うことともおっしゃっておられました。国においては、平成17年4月に発達障害者支援法を施行し、取り組みを開始しています。本市における発達障がいに対する取り組みの現状と今後の方向性についてお伺いします。
 続いて、2番目の質問として、獣害対策の迅速な推進についてをお伺いします。  去る1月中旬、新聞各紙は県内版で一斉に農作物鳥獣被害を報じました。これは岐阜県の発表によるもので、それによると、2009年度の県内被害額が3億9,000万円に達したということです。これは2005年の3倍になるとのことです。今年度はさらにふえて、4億円に達するというおそれも指摘されています。岐阜県農業振興課によれば、その被害の原因のうち、イノシシが45%、猿が14%、シカが9%となっています。でも、これは岐阜県の平均値であって、その土地その土地によって被害の大きい鳥獣が違うことは言うまでもありません。例えば上石津地域では、圧倒的に今シカの害がふえています。岐阜県は、こうした被害の拡大に対して、新年度に鳥獣害対策の専門ポストを設けて対処するとしています。
 こうした一方で、私は、この道40年以上のプロの猟師の方のふんまんやる方ない声を忘れることができません。先月の9日に、次のようなことをお伺いいたしました。その方によれば、岐阜県はイノシシだけ狩猟期間を3月15日まで1ヵ月間延長した。しかし、担当者は、猟、狩猟というのをわかっているのだろうかとおっしゃいました。その理由として、1、猟犬はイノシシを見ればイノシシを追い込み、シカを見つければシカを追い込んでくる。獲物はその日によってまちまちである。イノシシだけを選んでとるような猟はない。イノシシにもシカにも困っているのだから、どちらが出てきてもとれるようにしておくべきではないか。そうではないと狩猟は商売にならない。理由の2、2月中旬も過ぎれば、イノシシは臭みがきつくなって売り物にならない。この時期に商品になるのはシカだと。イノシシだけ猟期を延長しても売り物にならないのだから、狩猟意欲は高まらない。理由3、ニホンジカの捕獲頭数制限が1日1頭とされている。狩猟というのをわかっているとは思えない。狩猟は、全く獲物のない日もあれば、シカのグループを猟犬が追い込んでくる日もある。5頭があらわれたとしても、猟銃で撃てるのは2頭が普通。よほど腕のよい猟師でも3頭撃てることは滅多にない。撃てるときに撃てるだけとっても、せいぜい2頭ないし3頭である。全く獲物に出会えない日もあることを考えれば、1日1頭という制限は、現場の狩猟をわかっている人が考えたとは思えない。このような内容でした。現場、最前線の方々の声にもっと耳を傾ける必要があると感じました。
 また、ある農家の方は、農業は自然を相手にしているということをわかっているのだろうかと話されました。1年が1サイクルだということです。今、対策を実験する機会を逃せば、次は365日後の来年になるということを認識してほしい。春から時間ばかりかけて報告書をまとめ、秋に、さあ対策をと言われても、その年の前半は既に終わっている。季節を先取りしてできることから始めるべきだとおっしゃっていました。報告書作成に時間をかけるよりも、効果のありそうな方法を幾つか選び、意欲ある農家にまとまって実験してもらい、その成果を持ち寄り、検証することがはるかに効果的です。今、意欲ある農家や企業がさまざまな手法を開発しています。今や専業農家、兼業農家だけではなく、畑で家庭用の野菜を育てている主婦からも、これだけイノシシや猿にシカにとられたら、もうとてもつくる気になれないとの悲鳴が上がっています。
 今、一番大事なのはスピードです。具体的に水田あるいは畑で、少しでもよいと思われる対策を講じることです。全県共通の普遍的な対策などありません。成功したところは、その土地その土地での試行錯誤を重ねる中から編み出しているのです。既に岐阜県鳥獣被害対策本部では、農業被害とともに人身被害への対策もその課題として協議が始まっています。こうした中で、本市は鳥獣害対策についてどう認識し、どのような施策を展開しようとしているのかお伺いいたします。

◯議長(岩井哲二君)
 市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
 発達障がい児支援の連携強化について御答弁申し上げます。
 国におきましては、平成17年4月に発達障害者支援法を施行し、また平成22年12月の障害者自立支援法の改正によりまして、発達障がい者・児が自立支援サービスの対象となりました。また、県におきましても、平成18年1月に専門の相談機関である発達支援センターのぞみを設置し、専門相談や研修会を実施するなど、市町村への支援体制整備が行われております。
 こうした中、本市におきましては、子育て日本一を目指し、昨年6月に庁内の保健、福祉、子育て、教育の各部署からなります発達障がい児等の支援体制構築プロジェクトチームを設置し、早期から一貫継続した支援のあり方について調査研究を進め、取り組みを開始したところでございます。本プロジェクトチームでは、子供の特性を理解し、ライフステージを通した支援を実現するため、発達の様子を記録する大垣市スマイルブックを作成し、平成22年9月から、まず、小学校並びに中学校の入学を控え、支援が必要と思われる子供の保護者へ配付したところでございます。これは保護者のほか、保健、医療、教育等の関係機関が子供の支援に役立つ情報を記載、共有し、一貫継続した支援に活用するものでございます。さらに、障がい児指定保育園等への巡回相談を行うとともに、保育者、教員、保健師を対象にした研修会を開催し、関係者相互の理解を図っております。今後、プロジェクトチームでは、啓発パンフレットの作成、講演会の開催、発達障がい児、保護者、保育者、教員等への適切な助言を行う人材の育成に努めてまいります。  いずれにいたしましても、関係機関との連携を図り、発達障がい児の早期発見、早期療育に向け取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(岩井哲二君)
 経済部長。

◯経済部長(伊藤亮一君)
 獣害対策の迅速な推進をについて御答弁申し上げます。
 御案内のとおり、近年、ニホンジカ、イノシシ、猿等による農作物の被害が増加しております。こうした中、本市においては、鳥獣害対策事業として、有害鳥獣捕獲隊による駆除を初め電気さくや防護ネット等の設置に対する助成を行っております。また、昨年12月には、専門家を講師に招いて鳥獣害対策講演会を開催したところでございます。
 鳥獣による農作物の被害の拡大は、生産意欲の低下を招くなど耕作放棄地の増加につながるものであり、鳥獣害対策は喫緊の課題であると存じます。市といたしましては、引き続き電気さくや防護ネット等の設置に対する助成を行うとともに、新たに有害鳥獣捕獲隊の強化育成や地域における勉強会を開催するなど、鳥獣害対策に積極的に取り組んでまいりたいと存じます。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(岩井哲二君)
 1番。

〔第1番 田中孝典君 登壇〕

◯第1番(田中孝典君)
 ただいまは、丁寧な答弁をいただきありがとうございました。
 まず、1番目の発達障がい児支援についてでございますが、去る2月26日に情報工房で開かれた研修会では、「発達障がいに対する気づきと支援」と題して、鳥取大学の地域学部地域教育学科の小枝達也教授から、5歳児健診の重要性と有効性が具体的に示されました。また、保育士、家庭、小学校、巡回相談員、かかりつけ医師が、子供の発達段階に応じて滑らかに支援を行えるようにしておくことが大切だと提言されました。改めて、これらの点について本市では具体的にどのようなことを進めようとしているかお伺いします。  次に、2番目の獣害対策の推進については、私が指摘したかったのは、現場から発想してほしい、経験がなければプロの意見に耳を傾けてほしい、そして有効な対策は試行錯誤の中から生まれるという3点です。国や県の施策をうのみにせずに、逆に現場の意見はこうだと注文するぐらいでいてほしい。そのためには、現場の従事者やプロの職人に徹底的に聞き込みを行ってほしい。また、可能性のある施策と意欲のある農家の連携で試行錯誤を繰り返し、大垣方式を編み出していく覚悟を持ってほしいということです。
 先ほどお話しした猟師さんは、これまで1頭のシカは1頭の子を産んでいたが、最近は栄養がよくなって半数以上が2頭の子を産むようになっている。幾ら猟師がとろうと、このままでは被害は拡大していくだろうとおっしゃっていました。猟師が少なくなったから農業被害が拡大しているのではもうないんです。猟では追いつかないほど個体数がふえているので、被害が今拡大しています。農地を原野にしてしまえば、次は必ず都心部に被害の波が押し寄せることになります。担当部局、今、具体的なお話を伺いましたが、従来の施策のやはり横並べだと私は感じました。担当部局に待ったなしとの認識があるか、その点だけ再度お伺いいたします。

◯議長(岩井哲二君)
 市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
 5歳児健診と発達段階に応じた滑らかな支援について御答弁申し上げます。
 本市では、乳幼児の健全育成のため、4ヵ月児健診、10ヵ月児健診、1歳6ヵ月児健診、3歳児健診を実施いたしております。5歳児健診につきましては、小学校就学前の発達障がい児の早期発見、支援にとって重要な取り組みであると考えており、5歳児の中で気になる子供を対象に検討してまいりたいと存じます。
 また、発達段階に応じた滑らかな支援につきましては、子供のライフステージに応じた専門的支援の継続が必要でございます。本市といたしましては、発達障がいに関する専門職員の養成に努めるとともに、スマイルブックの活用、巡回相談の実施などを通じて、子供の継続的な支援に取り組んでまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(岩井哲二君)
 経済部長。

◯経済部長(伊藤亮一君)
 鳥獣害対策につきましては、喫緊の課題であると認識をいたしております。引き続き農家等から意見を聴取するなど、地域との協議を通じて迅速な対応に努めてまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(岩井哲二君)
 1番。

〔第1番 田中孝典君 登壇〕

◯第1番(田中孝典君)
 本市の子育て日本一のまちの実現のために、職員の皆さんが発達障がいの子供への早期かつ適切な支援体制の構築をテーマにプロジェクトチームを結成され、取り組まれていることに、本当に心から敬意を表します。これまでも一般質問で提言してきましたとおり、子育て日本一はお題目で終わらせてはなりません。具体的に本市が何にテーマを絞り、全国1番を目指して具体的にどのように取り組んでいるかが重要です。部署を横断し、関係する課が競うように知恵を出し合って、充実した成果が上がるよう期待するものです。また、このプロジェクトのような取り組みが普及するよう、市長及び関係部局が促進されるよう要望します。
 次に、獣害対策につきましては、迅速な試行錯誤こそ有効な獣害対策に至ることを認識して、各種施策に取り組まれるよう強く要望します。
 以上で私の質問を終わらせていただきます。

田中たかのり
大垣市議会議員