大垣市議会議員

田中たかのり

TAKANORI TANAKA

平成20年9月議会

一般質問表題

「森づくり協定による多良峡整備の進行状況について」
「牧田川におけるアユ遡上のための魚道整備について」
「ハリヨの保護のための施策について」

一般質問詳細

◯議長(高橋 滋君)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を続行いたします。
1番 田中孝典君。

〔第1番 田中孝典君 登壇〕

◯第1番(田中孝典君)
まず、質問に先立ちまして、さきの豪雨によって被災されました方々に心よりお見舞い申し上げます。また、復旧の対応に当たっていただいている皆様に心から感謝申し上げます。関係機関がこれから一体となって、一刻も早く災害復旧の諸事業を推進されますように、心からお願い申し上げます。
さらに、今回、ちょうどこの豪雨の中の本当にその雨の真下におりました者として、皆様にぜひお願いしたいことがございます。一つ、情報を共有するということと、その後何が起きたか、何が起きるかを想像し、そして関係する部署が寄ってたかって素早い対応をしていただくということをお願いするものでございます。今回の一般質問に先立ちまして、その要望だけさせていただこうと思います。
まず、今回の雨の降り方が明らかに違う。新聞等では局地的な豪雨の頻発という一言で片づけられております。あるいは、都心部におきますとゲリラ豪雨とか、ヒートアイランドとかという形で局地的に積乱雲が発生して、その真下で雨が降ったのではないかというふうに理解されておられますが、私があの場で土地の人たちと話をしながら感じたことは、少しそれとは違うと。これは明らかに雨の降り方が違う。実際にインターネットと自分たちの感覚とが見事に一致してくるんですけれども、65mmパー・アワー、時間雨量65mmの雨雲の固まりが大体2時間程度、時地区で1時ごろピークが発生しまして、牧田地区で3時ごろ第1回目のピークが発生するわけですけれども、それが3回垂直に、ということは、ちょうど365号を真北に向かって上っていくような形で繰り返し繰り返しそのピークが来ました。古老たちはこんなに雷が鳴り続けるのは珍しいと言っていますが、現実は雷はとどまっていたわけではなくて、繰り返し繰り返し来るということで、現実的には鳴り続けていたということ。ベルト状に真南から真北に向かって雨雲が移動していく。今までは西から東へ集中豪雨ですと風に乗って固まりが移動しますし、あるいは台風によって雨雲がピークを迎えて、台風の目に入って、もう一度ピークが来ておさまっていくという形で終わります。そんな65mm時間雨量という雨が、1日にピークが三度も来るような雨、続かない。しかも、油断がありましたのは、風とセットではございませんので、ただひたすら雨が降り続けるというようなこともありませんでした。また、時山地区は孤立はいたしましたが、そのとき時山地区で実際どういう話題をされていたか。孤立した側からいうと、沢からの水の出方が、三重県のほうから来ている沢の水の出方が多いので、これは三重県は大変だぞというふうに三重を心配していました。事実上、そのとき時地区は大雨が降っていました。ということは、幅数kmでベルト状で65mmの雨が降っているということです。こうしたことをぜひ関係セクションで情報を共有していただいて、私の感覚では明らかに大気の循環が過去の例と違う。だれに聞いても、真南から真北に向かって65mmで風なしの雨雲が移動する、しかもそれが65mmというようなピークが3回も来るというようなことはあり得ませんでした。ここから、ぜひ市全体の防災のほうで将来の予測をしていただきたい。これは、規模がもしもう少し大きくて、もう少し大気の循環が東にずれたら、事実上どういうことが起きるかというと、ちょうど258号の上を時間雨量65mmないしそれ以上強力な雨雲がひたすら雨を降らしながら北上していくというような、直線的に雨雲が移動して、あたかもそこにとどまったかのように雨を降らし続けるという事態です。こういう事態を恐らくまだ想定されていないだろうと思いますので、今回の上石津地域でどんな災害の形態であったかということをぜひ分析していただいて、各課で共有して対応をしていただきたい。一次災害はどうしようもございません天災ですけども、二次災害はわかっていて放置する、それからわかろうとせずに放置する、その結果、とうとい人命が失われるということになります。また、牧田川は全国でも珍しい南から北に向かって流れる川です。ここで起きた水量変化と日本の大多数の北から南に流れる川とは、また状況が変わってまいります。そういった変数を含めて、ぜひ将来の災害防止に役立ててほしい。さらに、今回、私が異常だと思っておりますのは、通常は台風災害がこの時期最大に防災態勢として整えられるシーズンなんですけれども、台風が一切想定されていなくて、この台風級のただひたすら雨が半日の間に3連続で来るというようなことは本当にだれも想定していない事態であって、これはヒートアイランドとかゲリラ豪雨とはまた違った大気の循環が起きているのではないかというふうに感じました。
ということで、通告に従いまして、3点の質問に移らせていただきます。
まず最初に、森づくり協定による多良峡森林公園の整備についてお伺いをいたします。
去る2月25日、財団法人田口福寿会と大垣市、岐阜県の3者が、企業との協働による森林づくりの三者協定を締結いたしました。岐阜県が企業と自治体を仲介した森づくりの協定締結を行うのは、トヨタ紡織、ブラザー工業に続き3例目ですが、県内企業及び企業関連団体は初めての事例であり、新聞各紙でも大きく取り上げられました。地球温暖化問題で森林の役割が大きく見直されつつあること、企業の社会貢献活動が文化・スポーツの支援から良好な環境の維持まで広まりつつあることの条件がそろって締結に至ったものと考えられます。
岐阜県の森づくりに対する考え方は近年大きく進化しております。去る5月3日に緑の村公園で開催された第38回岐阜県みどりの祭りのテーマは「みんなで 豊かな 里山づくり」、サブテーマは「温暖化、緑で止めよう未来のために」でした。そして、会場に掲げられていたスローガンの一つは「植えて、育てて、伐って、利用する」というものでした。テーマにある里山についてはさまざまな定義がなされますが、全国各地でその価値の見直しの機運が大きく高まっております。本市の第五次総合計画では、その65ページで里山の定義を「都市や集落に近い山のすそ野から田畑が広がる里にかけての一帯をさします。里山は農耕文化と深くかかわり、昔から薪や柴をとったり、炭を焼いたり、落ち葉を集めて肥料にしたり、山菜を採ったりというように、生活に必要な様々な恵みを受けて、様々な形で繰り返し人間が利用してきた自然です」と解説しています。ここで最も大切なことは、「繰り返し人間が利用してきた自然」ということです。この点の再評価が全国で進み、5月3日の緑の祭りでも「利用する」ということがテーマに盛り込まれることになりました。
一方、企業においては、森づくりにかかわることで何を目指すのでしょうか。新聞報道によれば、「物流業としてエコドライブの徹底を図っているが十分でない。CO2を吸収する森林づくりに参加したかった」、「ハイブリッドカーの導入などでCO2削減に努めてきたが、森林が最も吸収してくれる。県内企業が関心を持つきっかけになれば」、「物流業界として二酸化炭素削減の取り組みのほかに、地球温暖化防止に有効な方法がないか模索してきた。協定期間は7年間だが、末永く継続したい」と報道されています。明らかに地球環境への貢献がテーマであり、他の企業へ広く波及するよう願いが込められています。
本市では、森林面積が合併により、それまでの391haから1万947haに大きくふえました。これは実に本市の総面積の53%を占めることになりました。しかし、たった一夜にしてこれだけの変化が起きたわけであり、その活用については、残念ながら明確な方針の確立はこれからの課題となっております。それでも、さきに挙げました第五次総合計画では、その64ページ、森林・林業のほうで、一番最初に現状と課題が出てまいりますが、その現状と課題の中で、「水源のかん養や山地災害の防止、生活環境の保全、生物多様性の保全など、多面的かつ公益的機能を持続的に発揮する健全な森林の育成が求められています」と分析しております。
こうした大きな背景の中で、今回の県、市、企業の協働の森づくり協定が締結されました。森林をめぐる先進的な取り組みが本市で始まりますことに心から期待を寄せるものであります。森づくり協定による取り組みの内容は、多良峡森林公園内の本市の所有する森林約18haを対象として、杉、ヒノキの間伐やモミジなどの苗木の植樹を行うこと、期間は7年間で、同財団からの支援金は合計1,500万円となっております。この事業について、1、事業の現在の進行状況、2、今後の方針、3、そのための事業費、財源の構成についての3点をお尋ねいたします。
次に、牧田川におけるアユの遡上を促進するための魚道の整備についてお尋ねします。
揖斐川の支流である牧田川はアユの生息条件に適しており、昔から釣りの名所として多くの方に親しまれてきました。今日でも、解禁日には上石津地域の各所で「友鮎あります」ののぼりや看板が立ち、大勢の太公望がその釣果を競っております。財団法人経済生産性本部発行のレジャー白書2007によれば、平成17年のスポーツ参加人口全28種目中、釣りは第8位で、国民1,070万人が親しんだとのことであります。ちなみに第1位はボウリングで2,760万人、第2位は器具を使わない体操、第3位はジョギング、マラソンとなっております。また、スポーツ新聞でも釣りの紹介の欄は人気コラムとなっており、釣りは国民的なレジャーとなっております。また、アユは東アジア、特に日本の名産魚として知られ、急流を好む性質があります。古くは万葉集にも詠まれ、俳句においては夏の季語ともなっております。
 このような中で、牧田川は総延長3万7,180m、比較のために申しますと揖斐川は9万1,903m、杭瀬川は2万3,880mです。特に上石津地域内においては、変化に富んだダイナミックな姿を呈しております。上石津地域内の最下流域にかかる広瀬橋の長さは255.5mなのに対し、最上流域、今回時山地区でございますが、時山地区にかかる上陰橋は13.5mです。数mに満たないさらにその奥の源流から300m近くまで幅員が大きく変化します。また、霊仙山、三国岳、烏帽子岳、養老山、霧ヶ峰、笙ヶ岳などに代表される800m前後の山々から、豊かな水が各地の谷川を下って牧田川へ合流しております。このように比較的短距離の川にあって高低差が急流を生んでいること、川幅に変化があること、広葉樹主体の山林から栄養に富んだ水が流れ込むことなどが牧田川の特色であり、それがアユの生息に好条件となってきました。
しかし、近年、さまざまな条件の変化によりアユの遡上が減っており、釣りの名所という観光資源の将来を危惧する声が高まっております。幾つかの原因があると考えられますが、その大きな一つとして、広瀬橋下流域の魚道がうまく機能していないことが挙げられます。幾つもの魚道が設けられておりますが、これらがうまく機能していないことが地域からの要望事項としても繰り返し示されております。老朽化した魚道の再整備について、本市の対策についてお伺いします。
3番目に、市の魚をハリヨに制定する議案が今回上程されております。そのハリヨの保護のための施策についてお伺いいたします。
今回の市の魚の募集では、4月15日から5月31日までの募集期間に2,575通もの応募があり、大勢の皆さんが関心を持って選定に参加されたことに深く感謝申し上げる次第です。ハリヨはトゲウオ科の淡水魚で、背びれ、腹びれ、しりびれに強いとげがあること、湧水などの清水を好み巣をつくることなどが知られています。さらに生息地の固有性が強く、そこに住む在来種を守らずに、例えば本市ですと、琵琶湖周辺など他の生息地から安易に放流をすると遺伝子に乱れが生じ、固有種としての特性が失われてしまうということが最近わかってきております。このような点で、観光やレジャーには向かないかもしれませんが、環境の良好な度合いを知るには好適な魚と言えます。
ハリヨを守るためには湧水を守らなくてはなりません。しかし、その湧水や清らかな池が減少していることがハリヨの生存を脅かし、希少となっていることを考えると、今いるハリヨの保護は地域住民の皆様が主体となって取り組んでおられるのに対し、湧水や池などに代表される豊かな水環境を整えることは行政が主体となってやるべきと言えます。豊かな水環境とは、表流水、伏流水、地下水、これらを森林域、水田域、都市域でどのように確保していくかという施策に置きかえることができます。森林域にあっては、広葉樹林に代表されるように、保水力が高く安定した水供給の確保、水田域にあっては水田を水田として利用することによる平面ダム機能の確保、都市域にあっては地下浸透水の確保などが求められます。しかし、現実は、利用されない森林、4割が転作となる水田、コンクリート、アスファルトに覆われた都市表面、これらの組み合わせとなっております。ハリヨが絶滅に向かうならば、それはやがて人間にとっても生活環境が苛酷になることを暗示しています。
市の魚としての制定後は、今まで以上に保護や育成を行っていくことが行政にも求められることになりますが、どのような内容による保護育成をお考えでしょうか、その内容をお尋ねします。生息する湧水池や小河川の日常的な管理は市民グループでとのお考えだと思いますが、そもそも湧水を安定させるための地下水脈の保持として、行政がどのように主体的に取り組んでいくのかをお尋ねし、1回目の質問を終わります。

◯議長(高橋 滋君)
市長。

〔市長 小川 敏君 登壇〕

◯市長(小川 敏君)
森づくり協定による多良峡整備の進行状況について御答弁申し上げます。
この協定は、岐阜県森林づくり基本計画の中の県民協働による森林プロジェクトの一つである企業との協働による森林づくりの推進に位置づけられたものであり、水源のかん養、山地災害の防止、保健休養機能の向上、地球温暖化の防止等に貢献するために森林の整備を行うものでございます。
計画では、多良峡、いわゆる多良峡森林公園を七つのエリアに分け、本年度から平成26年度までの7年間にわたり、間伐、下刈り、枝打ち等を実施し、間伐後の林内にモミジを植樹するなど、森林公園の整備を行うものでございます。事業の実施に当たっては、森林整備のため企業から本市に対して7年間で総額1,500万円を提供していただくほか、本市としましても今後公園内の関連施設の整備を行ってまいります。本年11月には、多良峡もみじの名所作り実行委員会の協力を得て、企業の社員や市民等のボランティアにより、上石津・西高木家陣屋跡地のモミジの種子から育てた苗木を公園内に植樹する予定です。この事業を通じて、多良峡森林公園を市民の憩いの場としてだけではなく、森林整備のモデル的なケースとして位置づけるとともに、今後の森林整備のあり方を検討するため、新たに森林管理委員会を設置する予定でございます。
今後とも、健全な森林の育成に努めてまいりたいと存じますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(高橋 滋君)
経済部長。

◯経済部長(田中重勝君)
牧田川におけるアユ遡上のための魚道整備について御答弁申し上げます。
牧田川はきれいな水が流れ、アユなどの生息条件に適しており、漁業や観光資源として重要であると認識しておりますが、近年の河川環境の変化によりアユの遡上が少なくなっております。牧田川の広瀬橋より下流の河川改修は国によって実施されており、今後の改修については現在専門家等を入れて検討中と伺っております。河川改修に合わせ、魚道整備等の河川環境整備について関係機関に対し要望してまいります。御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(高橋 滋君)
生活環境部長。

◯生活環境部長(上田静夫君)
ハリヨの保護のための施策について御答弁申し上げます。
本市では平成12年に策定いたしました大垣市環境基本計画において「ハリンコが泳ぎ、ホタルが舞う水都・大垣」を望ましい環境像として位置づけており、水環境保全の象徴であるハリンコ、これはハリヨのこの地方独特の呼び方でございますが、このハリヨがどこにでもすめる環境づくりを目指しております。
こうした中、市民の皆様から募集をいたしました結果を受け、今議会において市の魚をハリヨに制定する議案を提出させていただいたところでございます。ハリヨは湧水など、きれいな水にのみ生息する体長5cmほどのトゲウオ科の魚で、岐阜県西南濃地方のほか、滋賀県北東部にのみ分布している希少魚であり、環境省により、ごく近い将来における絶滅の危険性が極めて高いとされる絶滅危惧IA類に選定されており、また岐阜県希少野生生物保護条例に基づく指定希少野生生物でもあります。市内の生息地といたしましては、西之川町、加賀野、曽根町などがございますが、西之川町と加賀野につきましては、地元保存会の活発な保護活動もあり、平成15年11月11日に指定希少野生生物保護区に指定され、良好な生息環境が維持されているところでございます。本市では環境基本計画に基づき、雨水浸透域の確保や透水性舗装、保水力の高い樹林地や農地などを保全、創出することにより水源の保全に取り組んでまいります。また、市内の事業所におきましても、地下水のくみ上げの自主規制により湧水等の水源確保に努めていただいております。
今後も、国や県を初め関係機関と連携を図るとともに、市民の皆様との協働による水環境保全のさまざまな施策を通してハリヨの保護に努めてまいりますので、御理解賜りますようお願い申し上げます。

◯議長(高橋 滋君)
1番。

〔第1番 田中孝典君 登壇〕

◯第1番(田中孝典君)
ただいまは、丁寧な御答弁をいただきありがとうございました。この三つの質問は実はそれぞれ関係がございますので、改めて要望を申し述べさせていただきたいと存じます。
森林にはさまざまな価値があり、今回の協定による事業の対象となった多良峡は別名を一ノ瀬嵐山と呼ばれ、モミジの名所でした。その時代を知る古老が、地域に由来のモミジの古木の種から苗を育て、千本、万本と植えることで、新しい市民の憩いの場としてモミジの名所を再生していこうと、合併を機にこつこつ取り組み始めたのが多良峡モミジ1万本運動です。この熱意が家族や地域の人々を動かし、今、大きな輪となろうとしています。しかし、それはあくまで市民が主体であり、それを支援したことをもって行政に負託された責務を果たしたとは言えません。先ほど述べさせていただいた今回の協定の背景には、環境貢献や多企業に広まる先導性が求められており、まさにこの点にこたえることが行政の責務であります。多良峡を森林公園として市民の方々へ提供していくのであれば、それは必然的に間伐や草刈り等の維持管理がセットになります。昨今の報道を見ていると、あたかも間伐がすべてのような錯覚に陥りますが、現状の間伐の大半が切り捨て間伐といって、切り倒された樹木が現地に放置されます。仮に切り出された材木も利用のすべがなく、産業廃棄物として処分されております。このような形での間伐は、京都議定書では環境貢献があるとは認めていません。経営に基づいた維持管理がなされている森林であること、すなわち切り出されたものが何らかの形で利用されていること、すなわち燃料として石油に代替されていることや、内装材、住宅材として炭素の長期固定に役立っている、こうしたこととつながっている森林を環境貢献があると認めております。また、林内に放置された樹木は防災の面からも好ましくありませんし、また腐敗して発生するメタンガスは温室効果の点からいえばCO2の20倍と言われています。さらに、現在林業施策として行政に求められているのは、森林エリアでは間伐した材を低コストで搬出することのできる林道や作業道の整備を促進することであり、都市エリアではいかに木質素材の利活用を高めていくかということです。岐阜県では、こうしたことを踏まえて、平成16年3月に岐阜県森林づくり30年構想というのがまとめられました。これは関係者と県民の非常な熱意によって策定された全国に誇り得る内容を持っており、こうした蓄積を生かして、本市の森づくりが今回の協定による事業をきっかけとして加速され、広まり、充実されることを強く要望いたします。
 揖斐川本流の徳山ダムの完成は本当に喜ばしいことであります。そして、これから支流へも整備が進むものと期待するものであります。また、平成22年には全国豊かな海づくり大会がこの岐阜県で開催されます。海なし県における開催は岐阜県が初めてであり、磯焼けの拡大や砂浜の退行で危機に瀕している海岸地域からの、豊かな海のためには豊かな森、豊かな川が必要だとの強いメッセージに呼応する形での大会となります。森林の代表として岐阜県が選ばれたことは大変名誉なことであり、また全国へ発信するまたとない機会でもあります。本市は、合併により一つの自治体として、森林域、水田域、都市域がセットになりました。森づくり、川づくり、都市づくりが統一的に整備できる全国でも有数の条件を備えた自治体になりました。環境貢献度の高い森づくり、アユ釣りの名所となる川づくり、ハリヨが将来にわたって生息していける池づくりは皆つながっています。これらの施策を連動させて真剣に取り組めば、平成22年の大会には岐阜県を代表する取り組みとして大垣を全国へ発信することができます。
去る6月29日に大垣城ホールで開かれた湧くわく水サミットで、C・W・ニコル氏が締めくくりとして、「森は手を加えないと死んでしまう」とコメントされました。何が死ぬのか。それは森だけではなく川も海も、そして都市もということです。本市において大きな水循環をもとに、森づくり、川づくり、池づくり、都市づくりが各部門の協力のもとに着実に推進されるよう切に要望して、私の質問を終わらせていただきます。

田中たかのり
大垣市議会議員