元対馬市議会議員

脇本ひろき

HIROKI WAKIMOTO

脇本ひろきの活動報告
VOL.31

【対馬いづはら病院跡利用施設整備に係る進捗状況について】

そもそも、新病院建設を決定した当初、跡利用は介護施設のみを予定していた。これは、対馬市も参画して策定した計画であり、建設資金は、地域医療再生臨時特例交付金を活かし、対馬市、長崎県、県病院企業団が協定を締結することにより資金を負担し、2病院を統合し、新病院を建設することとなった。

その後、現在に至る主な経緯は以下の通りである。

○平成24年2月の対馬市長選挙の際、財部市長が跡利用施設は60床程度の病院と介護施設を併設するケアミックス型施設とする公約を突如掲げ、その選挙で再選される。

○厳原地区区長会から厳原地区の医療体制を危惧し、対馬いづはら病院跡利用については、病院機能を併設する介護施設の設置が要望された。

○平成26年9月定例議会において、跡利用施設をAの体制で進出いただけることが、社会医療法人財団池友会(後に、一般社団法人巨樹の会に変更)と大筋合意したことが公表された。

○長崎県病院企業団は、平成26年4月の診療報酬改定により、新病院が20床設置する予定であった亜急性期病床が廃止されたことに伴い、それに代わるものとして『地域包括ケア病床』50床を設置することに見直された。(200床以上の病院は病棟単位の設置となる)。また、新病院で採用する包括評価制度を実施するためには、在宅復帰を支援する病床を設置する必要がある。

○平成26年12月定例議会小職一般質問において、跡利用施設の診療科目の種類や規模、一般病床数によっては、新病院の経営を圧迫しかねないという従来の懸念以外にも、新病院が計画している地域包括ケア病床50床と、対馬市提案の回復期リハビリテーション病床50床、合計100床を対馬医療圏内で設置しようということは、全国の整備率(10万人に50床程度)の状況を踏まえると明らかに過剰であり、県の認可は下りないとの懸念も新たに生じている現状が明らかにされた。

最大の懸案事項である《基準病床数問題》以外に、①医療従事者の確保、②跡利用施設と新病院の医療体制の調整が、解決すべき大きな問題点である。なお、基準病床数問題については、公立病院を統合する際に設けられている(医療法第30条の4第7項の)特例による病院開設を、2月の県の医療審議会への諮問や厚生労働省への協議をお願いしたが、②の調整ができていないことが主な理由で、困難であることが保健部長より報告された。

①医療従事者の確保

跡利用施設の医療従事者は、開設当初は、参入する巨樹の会が自前で確保するとのことだが、現地採用することがこの業界の常識とされている。わざわざ福岡から派遣される跡利用施設の医療従事者の待遇は、病院企業団のそれより厚遇であろうことは想像に難くない。そうなれば、現在の病院企業団の医療従事者はもとより、今後医療従事者を目指す対馬の子どもたちの多くは、跡利用施設への就職を希望することとなり、益々新病院の医療従事者確保は困難となることが予想される。

②跡利用施設と新病院の医療体制の調整

跡利用施設の医療機能は新病院を補完する機能との説明がなされてきたが、実際は在宅復帰を支援する類似した病床を双方が設置することとなり、バッティンが生じている。

予定されているそれぞれの医療体制の概要は以下の通りである。

A.跡利用施設(医療機能)B.新病院
a.一次医療a.一次から2・5次医療
b.一般病床10床b.一般病床222床
c.回復期リハビリテーション病床50床c.将来的に一般病の内50床を
地域包括ケア病床に転換予定

上記の現状を1月20日の委員会で共有認識したところで、委員会では、跡利用施設の実現が益々困難を極める状況を打開するために、議会としても市長と協力していかなくてはならないとの合意に達した。

なお、1月30日開催の議員全員協議会において市長より、跡利用施設設置に係る進捗状況が報告された。これを受けて、当委員会正副委員長が正副議長に今後の議会としての対処方針を相談したところ、議員全員協議会を早期に招集し決定したいとの意向であった。
同日、引き続き開催した委員会で、議長の意向を委員に伝え、委員会では善後策の検討までは行わず、前回の報告書の取りまとめに止めることとした。

《私見》

善後策としては、2年以上前から小職が提案しているように、跡利用施設を在宅支援拠点とすることによって特例的に設置可能な有床診療所として病床を確保し、ターミナルケアも可能な新型老健の病床で供給不足を補い、更に特別養護老人ホームを併設するという方法しかないと思われる。

市長は、8月開催予定の県の医療審議会までは、対馬市から福岡圏の回復期病床への患者の流出状況を調査し、対馬市における回復期病床の需要が高く、跡利用施設に50床を設置しても供給過剰とならないことを訴え続けると、1月30日の議員全員協議会で発言している。しかし、1月7日付の長崎県福祉保健部長の回答文書からは、現在の構想では医療審議会で審議される可能性はほとんど無いと言っても過言ではない状況だと思われる。今後は、善後策を早急に策定し、対馬市の人口の約3分の1が集中する厳原地区に、病床が全くなくなる事態を回避すべく、軸足を善後策の検討に即刻移すべきである。

脇本ひろき
元対馬市議会議員