元対馬市議会議員

脇本ひろき

HIROKI WAKIMOTO

脇本ひろきの活動報告
VOL.29

厚生常任委員会政務活動報告書
(平成26年10月6日~10月7日)

【はじめに】

今回2つの視察地を選定した理由は以下のような思いからである。

①西海市大瀬戸町

対馬市においては、『対馬市特別養護老人ホーム事業「中期経営計画」』に基づき公設公営特養の民営化が進められている。その一環として、市直営の「特別養護老人ホーム日吉の里(上県町佐須奈)」を民営化する議案を次回12月定例市議会に上程準備中であり、担当部より先の9月定例市議会中の議員全員協議会で、その説明を受けた。

西海市では、大瀬戸町に保有していた隣接する3施設、「西海市立病院」、「特別養護老人ホーム大崎やすらぎ荘」、「養護老人ホーム緑風園」を、平成23年4月に「社会福祉法人福医会」へ一括して移譲している。3施設を民間移譲するに至った経緯、移譲過程での住民や議会への説明方法や質疑応答、民間移譲前の想定(メリット・デメリット)との差異、課題とその解決策等について、現地を訪問して調査研究することで、民間移譲を含めた対馬市における公共施設のより良い方向性を探りたい。

②天草市天草町

対馬市では、少子化の進行は著しく、『対馬市立学校及び幼稚園統合推進計画』に基づき市立学校の統廃合が進められている。今後益々、自宅から遠方に通学することになる閉校地区児童の放課後の処遇が課題となる。いわゆる学童保育の充実である。昨今、文部科学省では、『補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律』に規定されている転用手続きの弾力化・簡素化を図ることで、廃校や余裕教室の利活用を推進している。もちろん、学童保育への転用も当該規制緩和の対象となる。しかし、施設管理責任の所在の明確化、同一施設利用では学童のオン・オフの切り替えが困難等の課題も存在する。

また、市内へき地保育所の多くは入園児が激減する中現状のままでの存続が困難な状況を向かえている。しかし、保護者の就業環境等を鑑みると、保育所の統廃合は学校統廃合と同質には扱いにくい。

社会福祉法人誠求社は、平成7年に「もみじ保育園」と併設型児童厚生施設「光洋館」の認可を、全国で4ヶ所の一つとして受けている。同法人の取り組みは、少子化が急速に進む対馬における学童保育と保育の充実に向けた方向性を探る上で、非常に参考となる取り組みであろうとの思いから、同法人に視察受け入れをお願いした。

【11月6日午後1時~午後3時半】

〔訪問先〕西海市大瀬戸町

[1]西海市役所大島総合支所

担当者:総務部総務課課長 森林良行氏 総務課行政班 山川学氏 保健福祉部子ども課子育て支援班課長補佐 浅山康成氏 (市議会議長 佐嘉田敏雄氏 議会事務局長 平岩博司氏)

1.民間移譲までの経緯について

合併前の旧大瀬戸町時代から、町立病院、特養、養護老人ホームの3施設が、同一敷地内に個別に建設されて運営されていた。老人福祉2施設の経営状況はそれほど問題なかったが、過疎化に加えて、本土との間に大島大橋が開通し、佐世保市等への患者の流出が顕著となり、市立病院の経営悪化に拍車がかかっていった。

平成18年3月『西海市行財政集中改革プラン』に基づき、当該3施設について、指定管理者制度または民間移譲の検討を行う方針が出された。その後、独立行政法人制度をも含めた3つの選択肢についての研究を行い、平成20年11月の政策会議において、病院を有床診療所化し、他の2老人福祉施設も一体的に民間移譲する方向で研究することを決定した。翌12月定例市議会で、政策会議の決定方針を市長が表明した。翌年の3月定例議会では、市長が民間移譲の方針で決定したい旨の表明をし、地元審議会、行政区長、及び各施設の職員へも説明した。その後、住民や各施設職員との意見交換会を重ね、平成22年2月に受け入れ事業者との移譲条件の最終確認を行った。3施設を一体化して民間に移譲するための議会の議決を経て、平成23年4月に民間移譲され、翌年4月より新施設に移り運営している。詳細は、別添《資料No.1》参照。

2.移譲に至る過程での住民や議会への説明方法等について

平成20年11月に民間移譲する方向で研究を始めるとの決定2ヶ月後の翌年1月には、早速『市立病院の経営改革と地域医療確保対策についての調査業務』をコンサルタントへ委託し、説明会や意見交換会の準備に取り掛かり、当該施設職員等と24回、審議会・区長会に7回もの丁寧な説明会及び意見交換会を繰り返し実施した。最終判断直前には、住民に対して7ヶ所(340名参加)、議会議決後に17ヶ所もの地区で説明会を実施し、入院患者・入所者及びその家族に対しても当然実施されている。説明会や各種意見交換会での主な質疑応答を以下に抜粋する(別添《資料No.2》)《資料No.3》参照)。

Q-1特養に生活保護者受給者が入所する場合は、個室では負担が重い。全室個室ではなく、4人部屋も併設できないか。

A-1事業者と協議したが、将来的には全室個室が義務付けられることも予想され、改築負担も考慮し全室個室とする。

Q-2施設職員を継続雇用することが入所者の安心につながると思う。

A-2市も同意見で、希望者は全員雇用されるよう事業者と協議中だ。

Q-3移譲の個人負担は高騰しないか。職員の待遇は低下しないか。移譲先が破綻した場合、入所者はどうなるのか。

A-3居住費は国の基準より低く設定されている。職員は、非常勤から正職員待遇に変わり、待遇は改善される。移譲先が解散した場合は他の事業者を探す。また、移譲先も新施設建設費等大きなリスクを負って参入するため、早々の撤退は考えにくい。

Q-43施設を同一事業者に、かつ同敷地内に移転する意義はなにか。

A-4治療から回復、再発防止まで情報を共有化し、医療と介護、福祉の連携強化には、一事業者同一敷地内運営が最善と判断した。

Q-5病院を有床診療所14床、新型老健40床とした理由はなにか。

A-5現在の入院患者の医療区分を分析した結果、医療の必要度が低い患者、回復期の患者の割合が高く、新型老健が適している。
市役所担当者の説明会を受けた後、委員との活発な質疑応答が行われた。主なものは以下通り。

Q-1移譲前の職員の再就職先はどうなっているか。

A-1医師を除く病院職員48名中、市職員へ任用替27名、退職21名。移譲先に何名移ったかは不明。任用替職員は2年間の研修期間を設け、年に一度は人事班がヒアリングを行う等の支援を受け、不慣れな事務職に苦労しながらも多くが継続勤務している。これは、全国的に看護師が不足しているとは言え、転居を伴わなければ勤務できる医療機関がないことも影響していると思う。

Q-2移譲前後でサービスの質に変化はあったか。

A-2移譲前後で変わらない。ただ、職員の入れ替わりが多くなった。

Q-3移譲に際し、残債はあったか。あれば、どう処理したか。

A-3移譲時に約1億円あった残債は繰り上げ償還した。移譲の1年後に新施設移転を控えていたため、残債無しで無償譲渡した。

Q-4無償譲渡後に、設備・備品の修理等の要請はなかったか。

A-4特養のボイラー修理の要請があったが、最終的には市の持ち出し修理費はなかった。

[2]社会福祉法人福医会 西海医療福祉センター

担当者:専務理事法人統括本部統括長 山田直樹氏 常務理事法人統括本部統括次長 德永翔氏(特養施設長) 馬場勇氏 西海福祉部介護福祉課課長 川添大輔氏(特養副施設長)

1.施設の概要について

市立病院(一般病床14床、療養型病床40床)は、民間移譲された平成23年4月から1年間病院として運営された後、新施設「西海医療福祉センター」へ移転と同時に、人工透析室や軽微な手術には対応できる手術室が整備された有床診療所(一般病床14床)「さいかいクリニック」に縮小した。なお、不足する病床を補完する施設として新型老健(定員40名)「介護療養型老人保健施設さいかい」が設置再編された。新型老健とは、終身入居も可能で、簡易な医療措置ができる介護保険施設である。高齢者や運転が困難な患者向けに、法人独自で無料巡回シャトルバスを運行している。

また、特養(定員50名)も定員を維持したまま「特別養護老人ホームさいかい」と名称を変更され、新施設に移転し5ユニット全室個室となり、更にショートステイ(1ユニット8名)「短期入居生活介護さいかい」が整備された。そのほか新施設には、在宅支援事業所「デイケアさいかい」と「訪問介護さいかい」が、併設された。

次に、養護老人ホーム(50床)は、措置50床を維持したまま従来の施設を活用し運営を継続することで同法人に移譲され、「養護老人ホームさいかい」と名称を変更した。

2.新施設の運営形態選定、規模設定及び建設財源内訳について

病院を診療所化することで、入院の点数は低くなるが、訪問診療や訪問看護等の在宅医療を行うことが可能になる。当地の在宅医療の需要は高く、国策で今後も診療点数が益々高まることが見込めるため、診療所化することによるメリットは大きい。規模の設定理由については、西海市から示された条件及び前項Q-5の応答の通り。

新施設建設に係る投資額とその調達方法は以下の通り。土地は無償貸与、医療機器をはじめ備品は無償譲渡された。西海市は長崎市の医療圏に属するが、過剰病床(基準病床数以上)であり、建設費用のうち診療所部分については、福医会が独立行政法人福祉医療機構からの直接融資が受けられず、西海市を介して借り入れることとなった。

なお、社会福祉法人等が医療機関を運営する際は、事業者自らが基金を設立し、「生計困難者のために無料又は低額な料金で診療を行う事業」(第2種社会福祉事業)を実施することが義務付けられている。福医会は事業承継を受けるにあたって、長崎県で初めてその事業認可を受けた社会福祉法人となった。

3.移譲前の想定(メリット・デメリット)と現状の差異について

市役所で質問した際は、「サービスの質は変化なし」との回答であったが、老人福祉施設特有の周期も全く感じられない真新しく、プライバシーにも十分配慮された施設に整備されたこと自体大きなサービス向上と言える。150名の職員の6割は地元大島の住民であり、それ以外のほとんどは大島大橋を渡って近隣自治体から通勤する職員である。医療従事者は地元で確保することがこの業界の常識である。市立病院時代から勤務している職員は、どうしても病院職員の常識から脱することが難しく、診療所や介護施設で提供可能な医療サービスの範囲に順応できにくい傾向があり、移譲後に退職していく要因の一つと思われるとのことである。

4.譲渡元自治体と移譲先施設の視察を踏まえた提言

今般「日吉の里」を民間移譲するのであれば残された僅かな期間で、入所者とその家族、現在の施設職員、取引業者等のステークホルダーや地元住民、議会へ丁寧な説明や意見交換の実施が、必須条件となる。《資料No.3》で示されている様に、西海市では3年間をかけて60回以上もの説明会や意見交換会を開催し、関係者に3施設を民間移譲することに対する理解を求めている。西海市の病院を含む3施設を一体化しての民間移譲と、対馬市の特養1施設のみの民間移譲という規模の違いはある。しかし、今回の対馬市のケースは、方針決定から移譲までの取り組みの粗雑さは、猛省すべきである。

平成22年1月臨時議会において、対馬市教育委員会が翌年4月に久原中学校を仁田中学校に統合させる議案を上程した際、市議会から痛烈な批判を受けた。今回も移譲実施時期が1年未満という間近に迫った時点で初めて具体的な公表となった。3年前の教育委員会の失態を対岸の火事としか見ていなかったのかと思われても仕方あるまい。西海市の丁寧な取り組みを、対馬市が今後予定している公共施設の指定管理者制度等から民間移譲を図る際の手本とされたい。

【11月7日午後1時半~午後3時半】

〔訪問先〕社会福祉法人誠求社 もみじ保育園 めばえの広場 児童厚生施設光洋館 光洋児童クラブ

担当者:社会福祉法人誠求社理事長 松浦四郎氏

1.法人の沿革について

前身は明治4年に移民交易事業会社として設立された「誠求社」。明治後年までサルベージ事業を、以降は戦前まで窮民対策事業を継続した。昭和36年に老人クラブの公民館建設を機に解散した。昭和41年に地域乳幼児、小学生のための集会所を建設し、昭和42年に社会福祉法人化し、「もみじ保育園」を開園した。平成7年に保育園「併設型児童厚生施設光洋館」を当初全国で4ヶ所の一つとして建設した。平成9年に「児童厚生施設あけぼの児童センター」を高浜地区に建設し、保育園敷地内に子育て支援センター「めばえの広場」を開設した。放課後児童健全育成事業「光洋児童クラブ」「あけぼの児童クラブ」を開始した。平成25年に高浜地区に「あけぼの保育園」を開園した。平成26年に、前年度4小学校統廃合を受けて、高浜地区へ統合改称した天草小学校近隣に「光洋館」「光洋児童クラブ」を移転するとともに「あけぼの児童センター」を廃止した。

 

2. 保育所と学童保育の両方を併設運営する意義について

沿革で示したように、昭和41年に地域乳幼児と小学生のための集会所を建設して以来、もともと乳幼児から小学生や中学生を同一施設で受け入れてきた確かな実績と長い歴史がある。平成に入っても、保育園に児童館を併設することで、児童生徒から高齢者も含めた地域の幅広い年代の方と一緒に行事を楽しむことが脈々と受け継がれている。このことは、兄弟が少なくなり、近所に子供が少なくなった現代の子供たちにとって、長幼の序、年少者への思いやり等を、幼児期から身をもって体験できる貴重な機会を提供することになり、園児や児童の社会性を育むことに大きく寄与している。

また、開園当初と比較すると同年代のみとの交流をする傾向が強くなっている保護者にとって、年長者との交流は苦痛を伴うものとなっているようである。誠求社の地域ぐるみの子育てを図る取り組みは、保護者自身の成長に多大な影響を与え、年長者との交流経験は、やがて地域への愛着、更には地域おこしにもつながっていくものと確信する。なお、高齢者が地域に接することで、生き甲斐を感じる機会の提供ともなっている。

3.保育・学童保育の理念と方針について

◎保育理念「昼間の兄弟」を合言葉に地域に開かれた保育を目指す。

◎保育方針「心と体を育てる保育」

真似ることは学ぶことであり、体を動かして初めて分かることが多くある。練習しながら確かめ、散歩しながら考えることなどを大切にしている。芝生の運動場で遊ばせたり、保育園の隣接地で馬を飼って馬と触れ合わせる等もその実践の一環であろう。

子供の活動量はこの40年間で10分の1に激減したとのデータがある。運動あそび、音楽あそびに、ヨコミネ式の自学自習と運動を加え、逆立ち、掛け算の九九などは普通の姿になっている。読書を推奨するにあたり、大手商社関連財団より図書の寄贈をいただいている。保育園から学童までを通じて読書した本のタイトルを書き留める読書ノートをつけさせており、最終的には一人数千冊に及ぶ。

また、自分で辞書を使って意味を調べさせる癖を幼い頃から身につけさせている。仮名から漢字に至るまで、反復して書いて覚えさせることで、美しい字が書けることにつながることも、練習帳を見せていただき実感した。珠算検定にも取り組ませている。

保育園で、ヨコミネ式を取り入れた運動あそびを見せていただいた。子供たちの柔軟性や運動能力の高さ、規律を守りながらも元気に走り回る姿に委員全員が驚きを隠せなかった。また、どんどん色んなことができるようになっていくことが、子供たちは楽しくてしょうがない様子。次は何に挑戦してみようかという積極性が、ひしひしと伝わってきた。「全ての子どもは天才である。天才は一日にしてならず。ハラハラドキドキの体験が成長の元、好奇心は成長の薬、先人は良くお見通しでした」と入園のしおりに記載してあり、苦手、不得手をあそびながら解消すること、自信をもつことの大きさ、大切さが説かれている。更に、併設の「めばえ広場」では、一時保育、育児不安等についての相談指導、育児サークルの支援等、子供たちの成長はもちろん、保護者の支援更には成長をも支援しており、法人の理念を具現化した取り組みだと感じた。

学童保育においても、食育の一環としておやつはスナック菓子等のジャンクフードを避け、子供も一緒になって作る手作りおやつを提供している。また、長期休暇中には、「お泊まり会」と称し、スノーケリングやビーチコーミングを、日帰りでシーカヤック体験乗馬教室を通して積極的に自然と親しむ機会を提供している。

4.保育園と学童保育の併設現場の視察を踏まえた提言

時間の都合上、ヨコミネ式学習を実際に取り組む子供たちの姿を視察することはできなかった。しかし、子供たちが普段から使用している辞書や読書ノート、作文、珠算の成果物を見せていただきながらの理事長からの説明で、当該法人での一貫した自学自習の効果が現れていることが充分に伝わってきた。教科学習に留まらず、手作りお菓子を子供と一緒になって作り提供する等、食育への取り組みも素晴らしく、対馬の学童保育現場でも是非取り入れられたい。

国は、学童保育の不足に対して、単に学童を預かる施設の拡充を図ることに精力を傾けがちである印象が拭えない。学校の余裕教室を活用した学童保育では、児童は同じ顔ぶれとなる。学校生活の延長では人間関係を息苦しく苦痛に感じる子供も少なからずいるはずである。その環境から少しでも解放してあげる支援も必要だと思う。

保育所と学童保育の併設はその一助となる可能性もあろう。対馬市でも「ふれあい教室」と称して、小学校高学年の児童が乳幼児と触れ合う取り組みを年に1回実践しているが、少子化によって失われている年長者が年少者の面倒をみることによって育まれる社会性を身に付ける機会を更に拡充していく工夫が必要であろう。

【おわりに】

今回は、対馬市の民間移譲を含めた公共施設マネジメントに関する課題解決に向けたヒントを探ろうと2つの視察地を訪問した。当初の視察目的以外にも、視察前には気づかなかった対馬市にとって参考となる勉強をさせていただいた。視察地毎の感想を以下に追記するので、参考とされたい。行政当局が本拙稿の内容を真摯に更に深く調査研究された上、今後の施策に反映されることを切望する。

①西海市大瀬戸町(公共施設の民間移譲)

対馬市では現在建設中の「長崎県病院企業団対馬地域病院(仮称)」が来年5月17日に開院することを受けて、「対馬いづはら病院」跡を、医療施設と介護施設の複合(ケアミックス型)施設に転用する計画が進められている。市長より、先の9月定例市議会において、一般病床10床、回復期リハビリテーション病床50床の合計60床も有する病院及び介護施設を予定しているとの行政報告がなされた。その後、第6期介護保険事業計画策定に向けた審議会では、介護施設は50名の定員を予定していることが報告されている。

今回訪問した西海医療福祉センターもケアミックス型施設である。また、西海市は、人口約3万人と対馬市の人口とほぼ同数で、高齢化率や橋で本土とつながったとは言え強風に見舞われれば通行止めになることもしばしばあるといった脆弱な交通体系が背景にある等、共通点も多い。「西海医療福祉センター」の運営状況と課題を調査研究し、「対馬いづはら病院」跡利用施設が、対馬の現状を踏まえるに留まらず、将来的にも財政負担が過重とならないかも充分考慮に入れた適性規模適性形態の施設となるよう指摘しておく。

②天草市天草町(保育所と学童保育の併設)

幼稚園では幼児教育を、保育所では保育を提供するという既成概念にとらわれない、乳幼児に対する健全育成及び、保護者の単なる子育て支援に留まらない保護者の成長をも図ろうという「誠求社」の多岐にわたる取り組みは、まさに目から鱗が落ちる思いがした。これは、幼保連携の認定こども園へも大変参考となると思われる。

『Pay it foward』。見返りを要求せず、施されたことを次の世代にお返ししてくださいと言う意味である。私たち大人は、常にこの精神を忘れず、次世代を託す子供たちに接していかなければならないと再認識させられる視察となった。

脇本ひろき
元対馬市議会議員